古〜い話になりますがご容赦を・・・
 
先週の木曜に大阪のギタリスト岩崎慎一氏の
レッスンを私のギター教室で行いました。
 
一般公開はしませんでしたが、
非常にためになるレッスンでした。
 
☆出利葉さん:受講曲「プレリュード5番」(ターレガ)

まずは版の問題からスタート。彼が使用している版が(おそらく)セゴビアの演奏を採譜したものであることが問題点。
クレッシェンドなどの位置がほぼそれに近いことから類推された。
ということで、私のレッスン部屋の譜庫にある「シャントレル版」(原典版)を元に訂正。
「そういうのがすぐにでてくるのがいいね〜」と岩崎氏。

低音ノイズの消し方から音楽のつくり方まで丁寧にレッスン。

三拍子の曲であるが、2拍目から音楽がスタートし、1拍目で終わる感じで弾くことをアドバイス。これでガラリと音楽のリズムが出てくる。



☆児玉祐子さん:受講曲「フリア・フロリダ」(バリオス)

きちんとした美音での丁寧な演奏。
「大きな流れが出せない」という悩みを解決したいという。
まずは8分の6拍子を大きく2拍子でとることからスタート。

それからロマン派的な和声の流れを、響きを確かめながらチェック。
流れをきらないための運指などもアドバイス。

丁寧に前後の和音の推移をチェックしていくと、この曲の中にある「ロマン派的和声」の美しさが理解できてくる。

「この和音綺麗でしょ」
「この音をちょっと残しながら弾くといいのよね!」
と岩崎氏の音楽への愛情がにじみ出るレッスンとなった。



☆中込君:受講曲「羽衣伝説」(藤井敬吾)

1週間と4日しかさらっていないのに、完全に暗譜。
私の生徒だが、「えらい!」と褒めてあげる!

さて、レッスンはリズムをキープするのがポイント。
あと特殊な右手の使い方のコツなどをレクチャー。

即興的でありながら、緻密に書かれている曲であると再認識。
やはり、この曲に関しては、藤井敬吾氏の愛弟子である岩崎慎一氏のレッスンは譜面への正確な理解があると感じた。

細かい楽譜の指示を読み飛ばさす「しっかりと書かれているとおりのことをやる」ことが大切であるとも感じた。


☆まとめ

いづれの曲も岩崎氏の愛奏曲であった(偶然)。ターレガ、バリオスなどは我々の共通の師匠であるホセ・ルイス・ゴンサレス氏の愛奏曲でもあり、アルコイでレッスンを受けていた当時を思い出した。

「羽衣伝説」はレッスンを聞いていると、「これほどまで緻密に書かれた曲であったか!」と私が驚いた。というより、「弾いてみたいな〜」と初めて思った。
現在までアマチュアの適当な演奏を聞きなれていたせいで、それほど繊細な曲であると感じられなかったのである。

そして、岩崎氏のレッスンから感じたのは、本当に楽しそうにレッスンを行っているところであった。

レッスン終了後、
「生徒にレッスンしていると、“あ〜これ、昔ホセ・ルイスにこう言われたな”とか思っちゃって、自分で自分にレッスンしている感じがする」と言っていた。

自分自身が、その曲の魅力を感じながら、レッスンを行うことが教える側にも大切であると再認識させられた。

本当に楽しそうに表情豊かにレッスンしていたのが印象的であった。