ソルについて明日レクチャーします。
講師をお願いします!といわれてから、いろいろと資料を読み直し、楽譜を見直し研究してきました。
企画をされたアコラさんとのやりとりで、「ソルが言いたかったことは何だろう?」・・・つまり、「ソルにとって音楽の美しさとはなにか?」ということを考えることが大切だなあと思いました。
時代的な背景・・・時代の影響をうけないわけがありませんから、音楽家は。
それからギターというものをソルはどう考えていたのか?
そして、スペイン音楽というものをソルはどう捉えていたのか?
これら二つのことは実は結びつけて考えないと「見失うもの」がでてきます。それは「ギターがどのようにして歴史上発展してきたのか?」ということを考えることでもあります。おそらく、ビウェラが栄華を極めていた時代に「ギター」がどのような存在であったか?・・・というところにもつながってくる話です。
そして、教則本からもソルの音楽的な哲学が垣間見えてきます。
それがわかれば、ソルという作曲家の作品へ、どういうことを気をつけてとりくんでいけばよいか分かると思います。
政治的な立場もあります。彼はナポレオンがスペインから退却すると同じく自分も「亡命」します。俗にいう「フランスかぶれ」と揶揄され、スペイン史的には「国を捨てた」立場ということになります。
現在では、この「スペインかぶれ」というのも、複雑な歴史のあやにまきこまれた・・・という視点で捉えられることが多いのですが・・・。このあたりの要素もソルの音楽的な立場に影響を与えていると考えれば、実に面白いものです。
・・・ざっくりといえば、上記のことを考えてきたわけですが・・・。
もっと、たくさん話したいことがあります。他のギター史上のことと関連づけていけば、もっと具体的な例をあげて話せるネタがたくさんありますね。
とりあえずは、明日のレクチャーは概要をポイントしぼって話しますが、いろいろと広げていける部分は多いかなあと感じています。
まだ、一回目も終わっていないのに、「ああ、2回目やりたいなあ!」って思っている自分がいます。
明日、レクチャーでお会いできるかたは楽しみにしていてくださいね!
2010年07月
- ミラン、パヴァーヌ。和音の多い曲。一番上の声部をしっかりとならさないと、やはり聴いていて安定しない。右手aが担当している場合、まずはしっかりとaとpを鳴らすトレーニングをすること。それから内声のiとmを加えていくとバランスがとりやすい。
- 上記pとaの『枠』を意識することは、カルカッシの3番などを勉強することによっても意識することができる。この場合、指の動きだけで、、、つまり手の甲を動かさず、弾弦できるかがポイントである。
- 上級者を目指したいのであれば、適切な規模の曲を自分で探す力を持たねばならない。今、自分にとって『勉強になる曲は何か?』を探せる力・・・これがなくては、とうてい大曲にはとりくめない。
- バランスをとること。基本的には左手が「ポジションを失うことなく」ネック上を移動できること。この場合の「ポジション」とはフレット上に1−4の指が常に対応しておいてあることをいう。ポジション移動したあとの着地点でシーソーのようにバランスを失うことがないように。あくまでも腕を意識することだ。
- 指板上に、すべての指が常にあること。このことを初心者は意識しよう。それだけで、ほとんどの押弦は押さえやすくなるはず。
- ちょっとでも、毎週レッスンに来ることが大切。仕事などが忙しくとも、すこしでも『レッスンを受けよう』という感覚が大切だ。そこが、自分と音楽とも結びつける「最後の砦」となることもある。
- 弦を捉えること、そして、発音すること。この両者のアクションを分けることがタッチの安定につながる。これを意識しはじめると「ゆっくりとしたテンポ」のほうが難しく感じるかもしれない。
- 小中学生に言いたいこと。勉強やスポーツができる同級生はたくさんいても、クラシックギターをきちんと上手に弾ける子はそうはいない。この意識が大人になって、何か創造的なワークを生む原動力になる。この場合、意識であって、決して「ギターが弾ける」という事実ではないことが大切。これは親であっても理解できない範疇のことである。
- 技術の重要さをこどもの生徒に生徒に理解させるためには、「言語力」が必要だ。これはまさにコミュニケーションの問題でもある。
- 長い音符は長く。短い音符は短く。聞えるようにするのが、大切。機械的に音がでるタイミングだけはかっても駄目な場合が多い。
- 武満編、オヴァー・ザ・レインボウ。ついつい縦で見てしまう曲。というか、練習してしまうのだな。メロディーだけ弾かせてみると、いい感じにニュアンスとフレーズを意識するのに、和音と低音をつけくわえると一気にそのメロディー感がなくなってしまう。
- ブローウェル、シンプル・エチュード19番。和音をばらさずに練習。ダイナミクスを指示通りに。それだけで、十分に楽曲として成立する。この曲はハーモニーというよりは、色彩感を大切にしたい。その色彩がどのようにリズムにのっていき、流れを構築していくのか・・・それが大切。エチュードとしては和音を弾くimaとp指のバランスを学ぶべし。
- ソル、メヌエット。きちんと楽曲を解釈してから、セゴビアの演奏を聴くと、なるほどなあ、という部分が多いことに気づくはず。それまでは必死で解釈すべし。最初に参考音源なんて聴いてはだめ。だめというよりは「真似してはだめ」です。
- ソル。スコットランド変奏。最後の部分のフレーズ。長めのフレーズの前には、なにか「エネルギーをためる要素」があるはず。短いフレーズが「断ち切られていたり」とか・・・。そういうのを探せるようになると、全体が見えてきた証拠。
あれこれやることがいっぱいあります。
まずは来週はひたちなか市にて「ソルを勉強する会」の講師をします。
この準備がなかなか面白い!、、、そのため、寝不足状態です!
フランス革命やナポレオンについて、、、そしてその影響がどのようにスペインにもたらされたのか・・・いろいろと調べています。
また、ソルのギター教本も再読してみると、実に興味深く、且つソルという「音楽家」の理想に満ち溢れた本であると再発見しています。
8月終わりには「あづみ野ギターアカデミー」があります!
今年は「アンサンブルで学ぶ表現法講座」というものがありますが、そのテキストも執筆中です。
この講座に出ない人は「たくさんのものを失う」と断言できるものになりそうです!(←かなり本気で言っています)
内容がわからない!っていう人はあづみ野ギターアカデミーのブログのほうに長文で解説していますので、是非お読みください!
http://blog.livedoor.jp/azuminoguitar/archives/2010-07.html#20100703
受講生は定員まで、あと2名です!申し込みはお早めに!
あづみ野ギターアカデミー公式ホームページ
そのほか、秋から始まる新連載の下準備もちゃくちゃくと進んでいます。これに関しては内容が確定してからご報告しますね!
あと、ギターソロアレンジの仕事もあります。8月半ばまでに10曲仕上げて、レコーディング・・・というハードなスケジュールです。
あと、10月11日にHakuju Hallにてソロリサイタルをやりますが、その準備もそろそろ本格的にスタートしなくちゃ・・・
チケットは7月20日から発売しています!
現代ギター社、ギタルラ社、メディア・カームなどで扱っています!
・・・と、あれこれ多忙な日々を送っています。
ブログの更新もままなりませんが、気長にお待ちくださいまし!
- 装飾音。音を聞いていない人が多い。非和声音と解決の概念を理解しなくてはただの指先の動きにしかならない。最後の音も大切に。次の音にしっかりと「つないで」いくように。
- ラモー。西洋音楽を勉強している人であれば、どのような業績をあげた人か・・・知っておいて損はない。そこから楽曲をどのように攻めていくかを考えるヒントを得ることもできる。
- 自分が演奏している曲の作曲家については最低限、どの時代の人か・・・どのようなスタイルの人か・・・どの国の人か・・・くらいは調べておいてほしい。
- 情報や知識というのは大事だ。先生が限られた時間の中で教えられる情報は限られている。そして、先生がいったことを「自分の知識を結びつける快感」をもてる生徒が伸びる。
- 先生に自分が抱いた疑問ばかりをぶつけてはいけない。上記で書いたように自分で調べたこと、疑問に思っていること・・・を「各自の中で結びつける」ことが学ぶことの楽しみなのだ。それを誤解して「なんでも質問してよい」と思うことは、先生が見た客観的な判断とその導きを否定することになる。「学ぶ」ということを学ぶべし。
- カルカッシ25の1番。スケール練習ではあるが、左手による開放弦の消音という課題も含まれている。しかし、最初は右手のタッチに集中して行うのがよい。明確な音で、輪郭のはっきりとしたタッチで行うべし。
- アルペジオ練習。1週間に一度でもいいので、基本的なアルペジオの型をメトロノームでスピードを測定して記録しておく。「あ!これ以上目盛りあげると、コントロールできないな!」というタイミングは毎日練習していればわかってくる。それがわかってから、数値を記録していく。2年くらいつければ、着実にテクニックが安定していくのがわかるはず。それが「基礎練習の大切さ」を実感する根拠となる。
- aの指は小指から先に動かすこと。これが原則。
- フラット系のキーの曲はできるだけ多めにやっておこう。
- 何度でも同じことを繰り返す。それが定着するまで。だまされたと思ってやること。定着したときに、その大切さがわかるはず。
- アストゥリアスの中間部。雰囲気で弾く人が多い。しっかりとカウントし、リズムのプロポーションを感じること。実に動的に感じるはず。
- 入り江のざわめき。右手のスタッカートを明確に。プランティングの技術がしっかりと身についていれば問題なくリズムはでてくる。
- 入り江のざわめき。メロディーがはいったところ。伴奏部分とメロディーをばらして弾いてみる。メロディーの伸びをしっかりと感じること。伴奏はメリハリをもって・・・。両者合わせる前にこの感覚をもっておくとよい。
- かならず、終わっていない課題のページを開くこと。まだOKが出ていないにもかかわらず、そのページをレッスン開始時に開かない人は多い。
- 消音法。坂場圭介さん式の言い方。「あとどめ」。便利。応用すれば「先止め」もある。スタッカートなどにも応用できる。消音の基本は「同時止め」であるけれど、レガートにつなぐことを考えると基本は「後止め」ということになる。
- プラッテン「ひな菊」。pによるアポヤンドによる消音、pの背中による消音のためには最適の練習曲。比較的早いテンポの曲であるので、バスの進行を示す(和声を示す)音の切り替えは迅速且つ正確に行われるべき。上記、「後止め」も登場するので、探すべし。
- コスト、「舟歌」。この曲も低音の消音に注意する。休符の位置を意識。直接消音でも間接でもよい。次の音を弾くための準備も考慮すること。6弦を消す場合でも直接でなく間接、つまりpの背中で消しておけば、次音が5弦の場合は「セット」(準備)されることになり効率が良い。
- ブローウェル。シンプルエチュード。13番。movidoのニュアンスを考えるべし。スラーによる「波のようなうねり」でもよい。比較して14番のallegroのニュアンスは?・・・よりメロディアスでフレーズの対比の面白さを前面に出してもよい。そして、そのことが表現できるテンポ設定を考えることである。
- ブローウェル上記14番。4分の3、4分の2、4分の3で構成されるフレーズ。このリズムが突っかかって聞こえるかもしれないが、それをしっかりとインテンポに収めるべし。収めたあとに感じる違和感・・・2拍子から3拍子へと乗り越えていく部分に「意識的なアクセント」を含ませていくようにする。これがグルーヴとなる。
- アルペジオを練習する際に、p-iとp−aの「枠」を意識するとタッチが安定する場合が多い。
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さて、忘れる前に日曜日に行われた日曜ワークショップについてレポートしておきます。私の雑感も交えて・・・。
坂場圭介さんによる「消音法」のレクチャーは実に実践的にして、理論的、そして体系がしっかりとしたものでした。
消音とはなにか?・・・消音法の重要性を表現と技術との関連で説明していました。 この「表現と技術との関連において」という部分がとても重要です。
消音というものを意識して右手のフォームを作っていかなくてはいけません。それも比較的初期の段階で・・・。よくアポヤンドをべたーっと寝かせるようにフォームでしか弾けない人がいますが、それだと消音技術の中でもっとも重要なひとつである「pの背中による消音」が不可能です。
どの教本においても最初の段階で消音を意識したフォームを最初の段階では教えるようにはできていません。
私はレッスン時において、まったく初心者の段階において、できるうるかぎり「将来消音が必要になるであろう」ことを想定としたフォームを作るようにこころがけています。
このことは初心者の段階であれば理由を説明しないことも多いです。しかしギターを初めて1ヶ月あたりの段階で、pのフォームをできるうる限り「消音が可能な」フォームに固めておくことが最重要課題でもあります。
このことに関しては坂場さんはさらっと述べるに留めていました。
さて、本題にもどります。
レクチャーはその後以下のように基本的な消音すべきケースを分類して進行しました。
- 順次下降音形における開放弦→左手による消音
- 隣接する低音開放弦
- 休符
テキストには上記3種類のケースが記載。
1に関しては、音階を用いて説明していました。音のにごりを消す、2度の不協和音程を解消するということにおいて説明していました。
2に関しては、pの技術です。直接消音と間接消音。和声の進行を明確にするために・・・ですね。
3に関しては、 楽譜に書いてある休符を意識することです。つまり「書かれてあるとおりの音価で演奏する」ということですね。
さて、私の雑感。
私個人のレッスンでは、基本的に初心者に関しては1の「左手による消音」は伝授しません。左手のフォーム、関節のコントロールがポジションを意識してしっかりとマスターできるまでは伝授しない方法となっています。
先月の私が担当したレクチャーで説明しましたが、左手各指の関節のコントロールにはかなり入念な準備が必要です。初心者や中級者の場合は、まずはポジションをしっかりと・・・そして、安定した「ベースとなる押さえ方」を習得するのが第一であると考えています。
2の右手親指のテクニックに関しては、前述しましたが、かなり早い時期にマスターさせます。これは右手のほかの指のタッチにも影響しますので、最終的には音色にも影響します。実際、私のレッスンの場合、この右手p指の直接消音、間接消音の2種類を技術的に完璧に・・・そして、音楽的に「耳で聞いて不快な音のにごり」を出さないようにできるまでは、そのほかの消音技術については教えません。
今回出席した受講生は、ほぼ全員上記のpの消音法はマスターしていたので、問題はないですが、現実問題としてギター独学の方のほとんどはこの消音法について知らない方が多いのです。
3については、私の場合、適宜教えることにしています。基本的には直接消音を用いることになります。
そのほか、坂場講師に言葉のなかで興味深かったのは「後止め」というものです。
これはたとえば、4弦のレの音のあと、6弦ミを弾かねばならないときに、「どのようにして4弦開放弦の音を消音するか?」というときに用いるものです。ミを弾いてから、レを「後から消す」ので・・・「後止め」という言葉を使っていました。
(この用語は私もレッスンで用いていく予定です!)
実際、私のレッスンでこの「後止め」はある程度のレベル以上の人にしか教えません。もしくは上記2の「隣接する開放弦の消音」が完璧にマスターできた人で、且つ『和声の進行を聞き取れる耳ができてきた』人に教えることにしています。
逆にいうと『和声の進行を聞き取る耳ができれくれば、上記のような4弦開放と6弦開放の混じりは不快に聴こえてくる!』ということです!!
すこし、敷衍して考えていくと、この「後止め」というものがあるのであれば、「先止め」(もしくは「前止め」?」というものもありはずです。
たとえば、低音にスタッカートの指示があるとき・・・とか・・・。用いていけばいいはずです。
あと、「後止め」には、声部をレガートにつないでいく効果もあります。「同時止め」であれば、不思議にレガートに聞こえにくいものなのです。音と音は若干重なりがあったほうが「連結されて聴こえてくるもの」なのです。
というふうに、消音法というものは、実に音楽技術に直結したものです。
坂場さんの講義は、この「消音法」をみごとに分類していました。すばらしい講義であったと思います。ギターを教える仕事をしている人であれば、今回の講義で「ものすごいネタ」を仕入れることができたでしょう!
すべて知っていることと、「整理してあること」は別ものです。
ギターを学ぶ人、ギターを教える人が、このことをしっかりと理解するまでこの「日曜ワークショップ」は続けていくと思います。
もうちょい書きたいことがあるので、続きはまた別記事で!
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