ギターレッスンと演奏の日記 from 富川ギター教室

クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。

2014年01月

2019.8 新サイトOPEN!
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富川ギター教室(東京渋谷) https://tomikawaguitar.com
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※他に池袋現代ギター社でもレッスンしています

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何故40分のレッスン時間が必要なのか?

富川ギター教室でのレッスン時間は一枠40分となっています。このレッスン時間の単位は実はいろいろと考えた末の結果です。今まで一度も話したことがなかったですが、最近後輩ギタリストで教室立ち上げを考えている人に尋ねられたので、書いておきます。

多くの教室が30分単位で区切っているかもしれません。大手の音楽教室にはそういうところが多いですね。私もかつては大手の音楽教室でレッスンを受け持ったことがありますが、そのほとんどは30分枠でした。

30分という時間は短過ぎす、長過ぎす…ちょうど良いという印象を持つ方が多いとは思います。ですが、生徒さんの記憶の定着を考えると、実はちょっと足りないのです。

レッスンで伝えたいこと、学んで覚えてもらいたいこと。これらのことが30分という時間枠だと定着しにくいということが分かったのです。

エビングハウスの忘却曲線というものがあります。かつてこれについてはブログに記事にしましたので、是非お読みください。
レッスンメモの鉄則(忘却曲線に抗う)

おおまかですが、以下のような忘却率です。
20分:40パーセント忘却
1時間:60パーセント忘却
1日:75パーセント忘却
1週間:80パーセント忘却
1ヶ月:80パーセント忘却

いかがでしょうか?20分が「忘却の境目」です。30分たったら半分くらいは「覚えていない」と言って間違いないでしょう。

教える際には、この20分という時間にいつも注意を払っています。つまり、あることを教えた場合に、20分後には40パーセントくらい忘れてしまっている!…というわけです。なので、20分後あたりで再度リコール(思い出してもらう)してもらわねばなりません。生徒さんが学んだことを「忘れずに家に持ち帰ってもらう」ために、何かを教えたら、その20分後あたりで復習してあげねばならないのです。

簡単に言えば、「その日のレッスンで与えた課題をそのレッスン時間内にもう一度復習させてあげる」ということが大事だということです。

これが40分のレッスン枠だとやりやすいのです。

30分レッスンの流れはだいたいこのようになります。
1:準備(楽器準備、楽譜の準備、調弦など)
2:前回の課題の確認
3:今回の課題点のピックアップ
4:課題(宿題)の設定

30分のレッスン枠であれば以下のような時間配分になるでしょう。
1:3分
2:7分
3:15分
4:5分
→3の今回の課題点のピックアップをしているうちに最初にほうに出て来た課題点について記憶が希薄になります。

40分のレッスン枠であると以下のような流れにすることが可能です。
1:準備(楽器準備、楽譜の準備、調弦など)
2:前回の課題の確認
3:今回の課題点のピックアップ
4:宿題の設定
5:前回と今回の課題点の再確認

1:3分
2:7分
3:15分
4:5分
5:10分
→2と3の課題点の復習をレッスン時間内に行うことが可能です。ラスト10分でその日行った事を生徒さんと確認することで、帰宅したあとも「レッスンで学んだ事」をしっかりと覚えていることが可能です。

教える立場として、もうひとつ大切にしていることは生徒さんに自主的に「思い出してもらうこと」です。2と3の段階(前回の課題点と今回の課題点)について、自分は何を練習すべきなのか?…そして練習すべき理由とその解決方法をなんとか思い出してもらうこと…これが一番大切かもしれません。

そして、その作業がレッスン時間内に行われることが理想です。そのためにはやはり40分という時間枠が必要だと私は考えています。

レッスン時間枠のなかで時間は「ひとつの流れ」となっているわけではありません。その枠の中で、課題を絞り込み、与えるのが教授者の役目であり、それを学習者(生徒さん)が自力で課題点を覚えておく。そのような記憶の時間になるようにコーディネイトしてあげなければならないわけです。

そして、そのレッスン枠内での「課題点を思い出す作業」を無意識のうちに行わせるのが教授者としての醍醐味でもあります。



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武井壮さんの「スポーツ上達論」から楽器演奏を考える


まずは上記の動画を全部見てください。運動タレント(?)の武井壮さんです。かなり「まともなこと」を言っています。彼が頭脳派であり、そして経験からしっかりと学んでいるのが分かります。

自分が思っているとおりに身体を動かすことがスポーツの基本!と言っています。実はギターなどの楽器演奏でも同じ事が言えます。実際に私が自分の演奏や生徒さんへの指導で大切にしていることは身体の構造、指の構造などの観点からまずは分析し、そこから導かれた正しい身体動作をもとに「奏法」を考える…ということです。

ひとつ例をあげてみましょう。右手の関節は指先からDIP関節、PIP関節、MCP関節といいます。このMC関節をしっかりと動かすことが右手タッチの秘訣です。では、みなさん一つ実験してみてください。
まずは右手をリラックスさせます。そして、右手のMCP関節だけを使って指を動かしてみてください。曲げる方向に。
目をつぶって第三者に見てもらうとよいかもしれません。

…どうでしたか?

もしかしたら、MCPだけを動かしているつもりでも、PIPが強く曲がっていませんか?場合によっては、MCPは全く動いておらず、PIPだけ曲がっている場合も多いのです。

最近、ある生徒さんとのレッスンで動画を撮りました。本人に「イメージ通りに動いていない指」を確認させるために撮影しました。

pimaとpiamのアルペジオです。プランティングで練習させています。




同じパターンですが、MCP関節からの動きを意識させてから弾いてもらいました。だいぶ「イメージ通りに」右手薬指(a指)が動いているのが分かります。



この違いこそが「自分が思っているように動作しているか?」ということです。武井壮さんの言っているとおり、ほとんどの人の動作にはイメージとの誤差があります。ギターは特にそういう楽器かもしれません。「指を根元から曲げる」と考えてはいても、MCP関節の位置が明確に意識されていること&その関節だけを動かす筋感覚が明確に意識されていなければ、誤作動してしまいます。ほとんどの人はPIP関節からのアクションが大きくなってしまうのです。

そして、通常の動作で実現できないものは、ギターの時にもできません。

昨年、クラシックギター奏法総点検というワークショップで、二回にわけて右手と左手について講義しました。

クラシックギター奏法総点検:右手編
クラシックギター奏法総点検:左手編

そこでも、解剖学的にまずは自分の身体の地図(ボディマップ)をしっかりと認識させるところからスタートさせました。そうすると、普段の生活でも「練習できる」のです。当教室で定期的にアレクサンダーテクニークのワークショップを開講しているのも、身体の感覚に鋭敏であることを知ってもらいたいからでもあります。

身体の軸が整えば、武井壮さんがいうように「目安」ができるわけです。そういう正しい身体感覚をしっかりと身につけ、それを楽器奏法に応用していくこと…これがクラシックギター界において、今後主流となっていく教授法となっていくでしょう。

最後になりますが、武井壮さん…なかなか知的な方だと思いました。今までそういう印象がなかっただけにちょっとびっくり。沢山のヒントを頂きました。ありがとうございます!



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使っている楽器のポテンシャルをしっかりと把握する方法(二人羽織法?)

自分が使っている楽器のポテンシャルをしっかりと感じてもらいたい…いつもそう思ってレッスンしています。せっかく良い楽器をもっているのに、その楽器のポテンシャルを感じずに「諦めて」しまう生徒さんが沢山います。とても残念。

ちゃんとしたタッチで弾けば、太い低音、抜けるような高音がでるのにも関わらず…それを試そうとしない人がいるのです。


楽器のポテンシャルをしっかりと感じて練習しないとテクニックは磨くことができません。


レッスンをしているときの生徒さんの心境をシュミレーションすると以下のような楽器になるでしょう。


先生:(お手本を示す)「こんな感じにしっかりと鳴らしてみてね!」

生徒さん:(真似してみるが、望んだ音がでない)「こんな音しかしません…」

先生:「こういうアングルを試してみて!」

生徒さん:(再度試行する。だがやはりきちんとした音がでない)「やっぱり先生のような音はでません…」

生徒さんの心境→『先生の楽器だから、そういう音がするんでしょ!』


こういうふうに「諦めて」しまうのです。楽器自体のポテンシャルはあるのにも関わらず…。


こういう場合どうしたらよいのか?…ちゃんとしたタッチで弾けばこういう音がでるんだよ!ということを体験してもらう方法はないのか?…

生徒さん本人の楽器で実感してもらうのが一番だということに気づきました。とはいっても先生が生徒さんの楽器を借りて弾いてしまうと、距離があります。実際に自分の楽器が手元でどのくらい鳴るのか…それを実感してもらうことがなによりも大切なのです。


そこで「二人羽織法」です(←勝手に僕が命名しました)。

生徒さんにはいつもどおりに楽器を抱えていてもらいます。生徒さんに左手を担当してもらう。いつも弾いている曲を先生だけ「右手を担当する」のです。これをやってあげると、びっくりする生徒さんがほとんどです。タッチがしっかりするだけで自分の楽器全体が振動している!…と。お腹のほうまで楽器の振動が伝わってくる…そう感じる方もいます。

自分の楽器、ちゃんと鳴るんだなあ!…と感じてもらいます。そして、その楽器の振動を真似しようとしてくれます。そこでやっとタッチを意識して音を出して行こうと思うわけです。 


さて、余談です。

「二人羽織」とはいっても、生徒さんの後ろ斜めから右手だけ出して弾いてあげるだけです。この方法を最初試したとき、なんとも弾きにくい!…だって、普段弾いている感じではないですから…なんだかぎこちなかったです。いつもの自分の手首のアングルと違いますし、楽器にレストしている腕もないですから。でも、最近は慣れてきました。ひと月に数回は「二人羽織」をしてあげることがあります。なので、二人羽織スキルが上がってきました。教える方も色々なスキルが上がってくるものですね 苦笑。

 


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機械的な反復と有意義な反復

反復練習には肯定派と否定派がいるようです。

肯定派:何回でもやらないと指に馴染まない
否定派:機械的に何回も繰り返しても無駄である。

反復練習にもふたつの派(考え方)があるというわけです。

「心で弾くピアノ」という本のなかに面白い一節があります。アルトゥール・シュナーベルの息子さんの回想です。

以下、229ページより引用。

ある日、父親のスタジオの外で聴いていたら、たったひとつのパッセージを200回も繰り返していたという。父親が機械的練習にどれほど不賛成だったか知っていたので、なぜこんなに繰り返すのか訊いたところ、「機械的に練習しているのではない、音楽をつくっているのだ!」と父親は反論した。シュナーベルにとって繰り返しは機械的な練習どころではなく、反対に、たえまなく実験を繰り返すことによって音楽をつくる手段を与えてくれるものだったのだ。

心で弾くピアノ―音楽による自己発見
セイモア バーンスタイン
音楽之友社
1999-04-01



ポイントは繰り返すにしても、一回毎に考えながら行うことなのです。技術面でクリアしたい部分があれば、その解決法を考えることが大切ですし、表現面を探求するのであれば、毎回違うアイデアを試しながら行うことなのです。

あのイチロー選手も、ピッチングマシンを相手に3時間〜4時間ほど黙々とバッティング練習をするのだそうです。ただし、ただバットをふっている訳ではありません。一球毎に明確な目標とイメージをもって練習を積み重ねているのです。可能性をためし、アイデアを試しながら行っているわけです。精度を上げるために軌道修正を行いながら練習しているわけです。

なので、反復練習でも2種類あるわけです。
機械的な練習→時間をこなせば上手くなるでしょうか?…ならないでしょうね。。。
頭を使った練習→慣れてくると楽しい作業です!

みなさんも気をつけて練習しましょう。時間だけこなせばいいというわけではありません。脳みそをしっかりと使って無駄のない練習をしましょう。




 


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音楽表現の知識を得ること。そして実践すること。

昨日の午前は日曜ワークショップでした。こちら
以下が当日使ったテキストです。

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当日は各受講生の「パルス、拍子、リズム」の概念を整理し、楽譜を弾いてもらいながら実践的に知識を確認していただきました。
以下のような内容を行いました。

パルス、拍子、リズム:それぞれの定義

ビート感

東洋人と西洋人の拍(ビート)の感じ方の違い

手拍子&ボールのバウンド感


拍節感とは? 

指揮図形から考える 

自然リズムから考える 


アウフタクトとは?

上拍と下拍

下拍(一拍目)の表現(時代毎)


小節線の意味

周期を生み出す

呼吸との関連 

10名弱の参加者で、ちょっと寂しかったですが、皆さんある程度技術レベルの高いギタリストの方が集まったので、自然リズムと拍感のバランスを実際に演奏しながら体験していただきました。

指揮図形と藤原義章氏が提唱している「自然リズム」の説明をメインに行いましたが、我ながらナイスアイデアだったと思います。指揮図形だけだと各拍の意味や拍子のプロポーションが分かりにくかったかもしれません。
参加した方からは「今まで曖昧にしていたパルスやリズム、拍子の区別がしっかりとできた」「アウフタクトの感じ方が整理できた」「普段の先生が伝えたい感じが分かった」という意見が得られました。

まだまだ日本では西洋音楽のリズム感やビート感、拍節感については理論的にしっかりとまとまっているものがありません。もちろん、私が行ったワークショップも全てのリズム研究、拍節研究を参照したものではありませんが、現時点で最も有効である理論をもとに説明を行いました。
全ての音楽する人(特にアマチュアの方、コンクールなどを受けている方)に知っていただきたい内容なので、また同じような内容のワークショップを行いたいと思っています。(個人的に同内容の説明を受けてみたい方は富川までメールでお問い合わせ下さい。)

tomikawaguitar@gmail.com

午後からはリオリコ・ギターアンサンブルの練習です。
そういえば、先日スペインでアンドレス・セゴビア国際ギターコンクール室内楽部門で優勝しましたが、正式な賞状が到着しました。

R0026513










リオリコギターアンサンブルはアメリカから演奏者として招聘されています。
2月末からアメリカ・ダラスにて二回のコンサートを行います。ひとつは「ダラス・ギターフェスティバル」にてあのロスアンゼルス・ギターカルテットの前座!。翌日はアメリカ日本協会の主催にてコンサートを行います。

R0026547










なので、練習も熱を帯びてきました。

指導者、代表としてスコアを丁寧に読み込んでいます。そして色々な可能性を試していますが、やはり「実践あるのみ」だなあ、と感じます。そして、全メンバーが私の生徒たちなので、音楽の基礎教養という面で共通認識があります。例えば、リズムや拍感といったものについて、全メンバーが「なんとなく知っている」という感覚があるわけです。なので、こちらが提案したアイデアにもしっかりと対処してくれます。

音楽というのはある意味、「直感」が大切です。でも知識で裏打ちされた直感のほうが「強い」のです。そういうアンサンブルを目指して、指導しています。

 


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