ギター史・和声学ワークショップ
今は3周目…つまり3年続けたことになります。毎回ルネッサンス〜バロック〜古典〜ロマン〜近現代〜現代まで概観します。
受講している方に「ルネッサンスとバロック時代の撥弦楽器と言えば何を思い浮かべますか?」と尋ねると…「リュート!」とこたえる方が多いのです。リュートはもちろんルネッサンスとバロックを代表する撥弦楽器であり、優れた音楽がたくさんあります。ですが「ギター史」としての文脈で考えると、ちょっと外れているのですね。
もちろん、モダンのギターでリュートの作品を演奏することが多いです。バロック期の音楽としてのバッハをギターで演奏することも多いです。それは事実ではありますが、ギタリストとしてもっと「ギターの仲間」に注目して欲しい…といつも思うのです。
ギターという楽器にもきちんとルネッサンスやバロックがあったわけですし、ちゃんとギターは少しずつ変化しながらも、ルネッサンス期(16世紀あたり?)からちゃんと存在しつづけたわけです。
簡単に言えば以下のようになります。
ルネッサンス:4コース、ビウエラ
↓
バロック:5コース
↓
古典初期:6コース
↓
古典期:6単弦ギター(19世紀ギター)
↓
ロマン派:多弦ギターが主流
↓
※タレガの時代に現在のギターの6弦が定着する
ルネッサンス期:ビウエラ、4コースギター
バロック期:5コースギター
以上の二つが忘れられがちです。ビウエラは16世紀スペインの一時期に栄え、あとは消滅してしまった楽器なので、ギターの仲間と言えないという研究家もいますが、調弦の近似性や現在のクラシックギターレパートリーへの取り込まれ方から考えて、同じ流れにいれてもよいと私は考えています。
どんな楽器なのかなあ?…みなさんそう思われると思います。写真を撮ってみました。試しに私が弾いている写真を載せますね。
まずはビウエラです。
次はバロックギター。
次は19世紀ギター(1800年代中頃の楽器です。若干ロマン派より?)。
順番に楽器だけの写真を並べてみます。
…いかがでしょうか?
手持ちの楽器でルネッサンスギターがあれば完璧なのですが、大まかな流れは見えたのではないでしょうか?
未だにクラシックギターの世界では「バロック=バッハのリュート組曲」という固定観念が蔓延っていますが、 ギターでバロックといえば、バロックギター!…というイメージが湧く世の中になって欲しいと思っています。バロックギターでのレパートリーもサンスやムルシア…まだまだたくさん良い曲がありますから。是非、それをモダンのギターで弾いてみたらいいのじゃないかな?…と考えるわけです。
ギター協奏曲の代表曲である「アランフェス協奏曲」が、サンスのバロックギター曲のイメージで書かれたこと…それを忘れてはなりません。何故、その発想が作曲家ロドリードに生まれたのか?
1920年代以降の「スペインルネッサンス&バロック音楽の見直し」というムーブメントがあったことを忘れてはなりません。
モダンギターを現代から過去に辿って行けば、19世紀ギターそしてバロックギター…というふうになるということを「ギター史」は忘れてはならないのです。
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