昨日はフルート山下兼司氏との2重奏コンサートでした。

和嶋みわこさんの絵画個展のオープニングとしてのイベント。

録音を聴きながら、ひとり反省会終了したところ。簡単にメモしておきます。

アーノルド「ファンタジー」…会場でのリハーサルがなかったので、本番ではなんとなく音のアタックが聴こえなかったのだけど、録音を聴くとそうでもない。もう何回か山下氏とは演奏しているので、割合自由に演奏できている。この曲、玉数(音数)は少ないけど、結構深い曲だなあ。

ラベル「ハバネラ形式の小品」…これは、本番山下氏、かなり自由に吹いてくれたので、こちらも自由に…。とはいって、きっちりはまっているところははまっている。それにしても、山下氏の音色、録音で聴くと、滑らかだなあ。

ジュリアーニ「小さなセレナーデ」…このあたりでお互いの楽器も鳴り始めたようです。ギターの音もだいぶ前に出てきたし、山下氏の音色も古典らしい明朗さに満ちています。アレグロの部分のグルーブ感がいい感じに弾けて、個人的には大満足。

プレーガー「序奏、主題と変奏」…本番直前の「打ち合わせ」が非常に役立ちました。変奏曲というのは、各変奏のテンポ設定とつなぎ方が結構ポイントなのですね。だから結構危険な要素も多いというわけです。それをいい感じに回避できています。全体のノリも演奏中感じていたよりもいいなあ。ギターソロの部分、基本的な音階で弾けると思って甘くみていたら、弾きこぼしがいくつか…悔しいなあ!。アルペジオ、和音ばかりやっていて、突然ソロが来ると結構怖いものだなあ、と思いました。客観的に聴くと、ものすごい格好いい曲です!何故、皆演奏しないのか?…やはり疑問。そのくらい名曲!

テデスコ「シチリアーナ」…自分なりに研究したシチリアーナのリズム感はできているかなあ。でも単純に一筋縄ではいかない曲。細部のチェックをもうちょっと入念にやっておかないと怖い曲だと実感。山下氏の歌いまわしに影響受けて、面白い表現になっている部分もあり、今後の参考にはなる演奏はできたかなあ、と思ってはいます。全体としては悪くないのだけど、テクニック面で私個人にしか分からない後悔は多いかもしれません。

バルトーク「ルーマニア舞曲」…強弱はいい感じにつけられたと思います。バルトークのメロディーで本当に個性的で、魅力的です。基本的にギターは伴奏なので、こういう曲はもう何回かやっていくと、アクセントや流れが身にしみていくのかもしれませんね。今回で「あたり」はついたので、もう何回かやってみたいなあ、と思います。リハーサルではまったくあたりがつかなかったものが、何故か本番では掴めているのが不思議。

ベーレント編「古いイギリスの巨匠による組曲」…残響の多い会場だったので、和音の弾き方を工夫してみました。これは練習では分からない要素かもしれません。アクセント強弱と和音のばらし方そして音の切り方で、ダイナミクスをコントロールしていくという方法ですね。…まあ、偉そうなことをいっていますが、本番のときに思いついただけなのですが。単純にいうとベーレント編は高速での和音変化がすさまじいので、音を切って弾いていくしかないのですが、それをうまいこと全体のダイナミクスへと転化していくということです。

2曲目で途中8小節ほど楽譜を見失って、アドリブしてしまいましたが、今録音を聴いても不自然ではなかったのは幸い。3曲目はメロディーと伴奏のリズムがまったく合わせのときにつかめなくて、本番朝の練習でやっと「こんな感じでいけばいいのかな?」というのが分かった曲。本番はスムーズにいって自己満足です。終曲ジーグもかなり怪しいけれど、なんとかそれなりに処理していますね。もうほとんど、指の動きはオートマチックで動かしているだけですね(ああ、この曲だけはもうちょっと練習しよう!!)。

ピアソラ「カフェ」…録音聴きなおすと、面白いです。山下氏は原則、同じ曲を様々なアプローチで弾いてくれます。特に本番は…。こういうアプローチ法は最近自分でも演奏家として大切だなあと実感しています。リハは割合タイトに(きっちりと正確に)やっておいて、本番でしか生まれないアイデアを大切にする。曲は自分の中で新鮮に響きます。だからといって、デタラメには聴こえないバランス感も必要なのですが…。

各部分の細かいリズム的要素が上手く全体感へとつながっているような演奏となっているのは満足。どこに向かっているのか?が分かる演奏というのでしょうか?…それでいて、各部分の緊張感は失っていません。よく演奏できたのではないかと思っています。終演後、「CDで聴いていて、まあこんな曲だなあと思っていた程度だったのだけど、生で聴くとこんなに感動するものとは思わなかった」という意見を頂きました。嬉しかったです。

パガニーニ「カンタービレ」…当日、楽譜を忘れてしまって、某所よりファックスしてもらうという荒業を使いました。快く引き受けてくれて楽譜関連某所の関係者の方ありがとうございます!!

さて、演奏はとても快適な流れでした。全体としてちょっと早かったかなあ、という感じですが、さわやかな風情があり良かったですね。途中、山下さん、カデンツァを即興している!…というささやかなアクシデントはありつつも、楽しく演奏できました。

デュアート「アン・プティ・ジャズ」…直前、練馬の山下氏のスタジオでのリハで、「あれ〜?音増えてないか?」といわれた今回の問題作(?)。ただ単に私が練習に取り掛かるのか遅かっただけですが…(反省)。でも、本番はできていますね。スウィング感も出ています。

2曲目のメロディーと伴奏の関連が本番でやっと掴めている感じです。録音しておいて良かったという感じ…今後やる場合は、もっと明確にアクセントなどつけられると思います。3曲目は5拍子と6拍子の混合です。これもいい感じにはまっています。和音が半音下降していく「浮遊感」が大切な曲なのですね。これは本番中気がつきました。最終曲は、いわばロックンロールです(!)。楽しめました!

 

(全体の感想)

私が個人的にいろいろと忙しく、山下氏も多忙なので、その合間を縫って2回ほどあわせただけでしたが、本番はそれなりにできました。それなりといってもいい部分はかなりあったような気がします。面白いのは本番でしか出ないアイデアがあるということでしょうね。これを録音でチェックして、楽譜などにメモしておくと頭がすっきりします。で、再演するときに、そのあたりは頭の片隅においておいて、またゼロから楽譜を読み直すとまたいろいろでてくるものなのでしょうね。こういうフィードバックのシステムはどういうふうになっているのか、最近は経験でつかめてきたよう気もしています。

山下氏のフルート、やっぱりいい音です。存在感があるというか…本番で威力を発揮する音色なのですね。録音で聴くと良く分かります。普段は隣にいるので、このあたりはお客さんが一番よく分かっていることと思いますが。

ということで、こんかいの「ひとり反省会」は終了。次回山下氏とのデュオは12月7日。杉並の公民館にて予定しています。これは一般向けのプログラムで古賀メロディーとかをやります。入場は無料ですが、申し込み制です。詳細が分かり次第お知らせします!!

 

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