教室会報第10号配布中です。
当教室の会報もついに「10号目」です。毎回タイトル下に「今月のことば」を書いています。有名音楽家のことばを探し出してきて載せているわけです。
今月はピアニスト、ルイサダの言葉でした。
カザルスが言ったように、ショパンはモーツァルトのように、モーツァルトはショパンのように弾くべきなのです。
カザルスの言葉を借りて、自分自身の音楽観を伝える…。
この手法を使って自身の音楽に対する考えを伝える。この姿勢に「真の教養人」の姿を見ることができます。
実は物事というものは「自分の言葉」で語るよりも、他人の言葉を借りてきて語るほうが説得力があるものなのです。
それを「教養」といいます。
自分自身の考えなんて、浅はかなものです。自分はたくさんの良い先生に恵まれたと思いますが、やはりレッスン中に自分の師匠達の言葉を「借りる」ことが多いです。
そうすると、生徒達は納得します。
何故か「俺はこう思うなあ!」というより、「いや、これはね、僕の先生のホセ・ルイス先生がこういっていたんだけどね…」といったほうが、生徒さんたちは納得することが多いんです。
こういうとき、師匠達の偉大さを感じるものです。
そして、言葉は本や日常のなかにたくさんあるものです。それらを受け取って、自分のなかにストックしていく作業。この作業をできるだけたくさんすること…これが音楽家を目指す人には大切なことだと思います。
私の教室にも、プロ志望の若手がいます。そして、すでにプロ活動をしている生徒さんもいます。
彼らにもっとも大切なのは、「自分ひとりで悩む」ということではなく、「環境のなかで悩む」ことです。外界との接点を失っては、「ことば」を掴むことはできません。一人で悩んでいるのであれば、悩まずに何かてきとうに本を読んで「時間つぶし」しているほうが後のためになるのです。
「ことば」に出会える場をできるだけ増やすこと…これは、どのような人にとっても大切なことなのでしょう。
面白いことに、このように考えているとひとりで悩んでいる時間が減ります。
これは私がスペイン留学中に思いついた考えです。なんでもいいんですね。ひとりで悩んでいる時間があったら、外に出る。
映画を見る、散歩をする、コンサートに出かける、バルのおっさんと話をする…いろいろと「コトバ」を探すことができるものです。
お勧めの悩み解決法です。