先週の土曜日に、生徒さんがセゴビア編の20のエチュード、第6番を持ってきた。

私は大好きなエチュードです。曲も美しいですし、音楽上のセゴビアのアイデアにはいつも感動すら覚えます。

一見すると、右手の運指が不規則…だが、セゴビアならではのルールがあるわけです。

そして、基本的にはメロディーはアポヤンドで練習すること…これは、音色の問題であると同時に、そのアクションも大事なのです。

アポヤンド後の指をできるだけ隣の弦に留めておくこと…これはホセ・ルイス・ゴンサレス先生から習った教えです。「まるでブザーを押すように」…弦がもたれかかっている間は音が持続している…という感覚が非常に大事なのです。

そうするためには右手各指の独立が非常に重要です。

そのためのエチュードでもあるわけです。

 

…以上のようなことを、延々と熱く語った後、その生徒さんからメールをいただきました。そうしたら、先週の土曜日は2月21日はセゴビアの誕生日だったそうです。

天国のセゴビアが「俺が楽譜に遺した意図をしっかり汲み取れよ〜」と伝えてくれたのかもしれませんね。

 

アポヤンドというのは音色の問題でも当然ありますが、音の維持を意識するための奏法なのです。

このあたりを忘れてしまっている奏者が多いのは非常に困ったものです。

物理上ありえないことを求めるのが音楽家ってものですから。それを「アポヤンド後に弦の上に指をキープしたって、物理上の音のサスティーンが変化することはないだろう?」と一蹴してはいけません。

(音楽家はいい意味で「ファンタジー」の世界の住人でなくてはいけません。同時にきちんと現実の理屈の世界でもいきていかねばなりませんが・・・)

そういったら、ピアニストが長く伸ばしたい和音を鍵盤で弾いた後、その指を鍵盤に置いたままにするのは「愚」だということになります。

これとまったく同じこと。

音の伸びを「耳」で感じるのか、「指の感触」で感じるのか…それだけの違いです。

それが、アポヤンドの最大の効能であると私は思っています。ターレガを始めとする近代ギター奏法の教本においてアポヤンドをメロディー弾きの基本タッチとしているのも、その点も考えにあるのではないか?…と思っているわけです。

 

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