(※2009年3月21日&4月25日のコンサートのための解説メモです)
作品76「2台のギターの為の10のインベンション」より(F.クレンジャンス)
(今回のコンサートでは第6番〜第10番を演奏します)
- フランシス・クレンジャンスは1951年パリ生まれ。
- クレンジャンスはギターをアレクサンドル・ラゴヤ、アリリオ・ディアスに師事している。ラゴヤやプレスティ&ラゴヤデュオで有名である。クレンジャンスがデュオ曲を多く残しているのも、そのことが影響にあるように思われる。
- 〈最後の日の夜明けに〉で作曲家として注目を集める。断頭台を登る死刑囚の描写、そして回想をテーマにした作品は、ロベルト・アルセルの名録音によって広く世界のギター界に知れ渡った。
- ギター作品は演奏会用、エチュード、小品、アンサンブルなど600点以上を発表している。
- 全10曲からなる〈2台のギターの為の10のインベンション〉はそれぞれ異なる音楽家や作曲家、友人などに献呈されている。4番はオダイル・アサド、5番はフランスギター界の重鎮ラファエル・アンディアに献呈されており、どことなく被献呈者の音楽性を感じさえなくはない。
- “インベンション”とは一般にはバッハのクラヴィーア作品として知られている。ポリフォニー音楽の作曲基礎技法を習得させるための作品である。
- このギター作品においても、基本的に和音は終始部分にのみ用いられており、基本は二声もしくは三声で書かれている。
- クレンジャンスの楽曲にはフランス的なロマンティックさ、つまり歌心がたっぷりと盛り込まれているが、この〈2台のギターの為のインベンション〉も例外ではない。
- やはりインベンションの名が示すとおり、2台のギターのどちらかが主従に回るのではなく、あたかも一台のクラヴィーアで弾かれているかのように演奏することがこの曲のポイントか?
(この曲が聴けるコンサートはこちら↓)