「シルバーウィーク」特別連載企画です。

「教える」ことについて書いています。

前回までの簡単なまとめです。

1.理論は現場で多くのケーススタディーを経て、修正されてはじめて「正しい理論」に近づいていく。

2.私が教え始めた時点では私の理論は「自分だけに有効なもの」であったかもしれない。(なぜなら生徒を数人しか教えていないから)


…という感じで話を進めてきました。

「2.」に関して、まずは書きましょう。

2000年当時において私は奏法や音楽表現に関して、「私なりの理論」を築いていました。それは今まで習ってきた先生たちからの教えであるとか、音楽関連の著作や講習会などから得てきた知識をベースとしています。

そして、それらの知識や経験のなかから、自分に合うものを取捨選択していった結果がその時点でのテクニックであり、音楽観であったような気がします。

(気がする…というよりも、そうだった!のでしょうね)

一時期、私もああなんて浮気性なんだろうなあ…というくらい音楽観とかテクニックに関する理論が変化していた時期があります。

ああ、やっぱりバルエコ上手いなあ、とか。

なんだかんだセゴビアみたいな音じゃないと駄目なんじゃないか?、とか…。

でも、やっぱりカルレバーロ奏法が基本かなあ?とか…。

で、ちょこっと悩みました。


でも、当たり前のことですね。勉強すればするほど、知識は増えていきます。そのくらいクラシックギターは歴史は深く、巨匠も多いです。音楽全般で考えれば途方もないくらいの知識が広がっています。

でも、その「知識の大海」から自分で取捨選択するしかないのです。音楽家として。

そして、その時点での「音楽家&クラシックギタリスト・富川勝智」の知識を生徒さんに与えていくしかないのですね。そのことを2000年時点、つまり教え始めた時点では気づいていなかったのです。

このことに気づいたのはおそらく4年ほど前です。「なんでも良いものは良い」というところからスタートしたのかなあ?と思います。

おそらく私の生徒さんから見れば私は『現代的な奏法』の先生ということになるのかもしれませんが、いつの時代もセゴビアやリョベートなどの巨匠への音楽の魅力を忘れたことがありません。

『セゴビアなんて古い!』とかそういう意見を聞くと、むかむか〜っとするわけです。

逆に『ギターの王道はセゴビア奏法にあり!』みたいな意見にも「いや、それはないんじゃないか?」とも思いましたし。

じゃあ、なんでもかんでもOKなの?というとそうでもないんですよね。セゴビアのこの点は普遍性がある…そもそもセゴビアにとって音楽とは何?…とか想像して自分なりの「ベースメントとなる理論」を作っています。

これは奏法的にも音楽的にもです。幸いにして私はセゴビアの愛弟子であったホセ・ルイス・ゴンサレス先生に習うことができました。そして、彼からセゴビア奏法について多くを学ぶことができたと思います(もちろん全てではありませんよ)。

これはセゴビアに関してだけです(念のため)。私自身の研究対象は無茶苦茶広いです。カルレバーロ奏法だろうが、ロメロ・ファミリー奏法だろうか、バルエコ奏法だろうか、全てから学んできたと思います。

「研究対象」はギター奏法だけに限ったことではありません。音楽全般、身体機能について(たとえばアレクサンダーテクニックとか)…さまざまな分野から「ベースメントとなる理論」を抽出していけばいいのだ!という考えに今はなっています。

そして、それらの「ベースメントとなる理論」を生徒さんとのレッスンにおいて応用していきます。そして、実際に普遍性のある理論なのかを検証するわけです。それから「ベースメントとなる理論」を修正&改善していくわけですね。

その作業をひたすら繰り返します。結局、「理論」は完璧なものにはなりません。

これは当たり前のことですし、ちょっと偉そうですが、そのことは全てのギター教師の方に「前提」として把握してもらいたいところです。

「教える」ことにあたっては、そういう知識のストック、理論の形成、自分の実践(演奏家として)、そして伝授&検証、理論の修正+体系化…という作業を徹底的に行なうことが大切であるということです。

上記の作業を10人の生徒さんを対象に行なうか、100人の生徒さんを対象に行なうか?…どっちかというと100人のほうがいいのです。

そして知識のストックは一生続けなくてはいけません。よくプロギタリストでも留学中の知識のみで教授活動している人もいます。多くのギタリストとかかわりながら、知識はリフレッシュしていかなくてはいけません。


さて、もうちょっとだけ書きたいことがあるので、続きはまた次回!

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