さて、17日に山本のりこさんを講師に迎えて、ボサノヴァ講座を開催しました。
ボサノヴァの歴史をまずは講義。山本さん自作の年表はレコーディング史や歴史経済の絡みや他のクラシック音楽のムーブメントもしっかりと絡めてあって、実に素晴らしいものです。
この年表をもらうためだけでも価値がある講座だと思いました。
あとは実習あるのみです。ボサノバの基本的なリズムを学んでいきました。
そして、「かえるの歌」で表と裏の拍感を感じ取る練習・・・うう、難しいです!
それから、ブレスやポルトガル語のアクセントについて講義。もちろんみなで軽く歌いながら・・・です。
アクセント言語であることを踏まえると、ボサノバのリズムが立ち現れてきます。これは実に面白い経験だったと思います。
・・・さて、いろいろと書きましたが、先日書いた「私が生徒達のために講座を企画した意図」です。生徒たちと書きましたが、僕はクラシックギタリストに不足がちな要素を気づいて欲しくて、この講座を企画しました。
結論は「歌うことによってしか気づくことができないことが音楽にはある」ということです。
クラシックギターをやっている人は、「歌うことが苦手」という人が多いです。それは今までもこのブログで記事にしたことがあります。なので、その音楽的な重要性は、今ここで議論の対象にしません。
さて、クラシックギターのレッスンにおいて、又クラシックギターを学んでいくうえにおいて、やはり「歌うこと」に抵抗があると、音楽の大切な要素を見失うことになります。そこで、私なりに考えたのですね。
歌いことに抵抗がある人を自然に声を出させるためにはどうしたらいいのか?・・・そして自然に声が出るタイプの人には、「歌うこと」によって音楽的にどのような効果があるのか?・・・これらのことをトータルに体感して欲しかったわけです。
ボサノバを弾き語りすることによって、ある一定のリズムの上にメロディーが乗っかることによって、独特の「心理的な揺れ」が生じます。それは非常に気持ちのよいものです。
そして、ハーモニー的にもギターと歌が創り出す「緊張感や緩和」を感じることができます。実はボサノヴァという音楽はギターだけではまったく「成立しないもの」といって過言ではありません。
それは独奏楽器においてもそうです。
メロディーだけをうたって、低音や伴奏部分だけをギターで弾くと、思いもよらぬ発見があります。
だから、クラシックギターを学ぶ上で「歌うこと」は必須です。残念ながら、歌うことに抵抗がある人で音楽的にきちんとした演奏をしている人は見たことがありません。プロの世界では当然のことですし、是非アマチュアの方にも声部を歌うことによってしか得られない「音楽の面白さ」を体感していただきたかったわけです。
もちろん今回はボサノバ音楽ですから、その特徴的なリズムやハーモニーを楽しむことが前提となります。むしろ、それを楽しんでもらえればよかったわけですが、参加した方には楽しむまでの過程が実に着実なトレーニングから生まれるか・・・が分かったはずです。
山本さん曰く「みんな自然に声でていましたね!」ということでしたので、これで成功だったと思います。
声を出すこと・・・これは音楽をやる上で根源的な欲求だと思います。もちろん器楽音楽には「声で実現できない世界」を求める傾向がありますが、だからといって、音程やリズムを感じるうえで「体感」することが有益であることは否定できません。
若干、参加者が少なかったことが悔しいです。
ホセ・ルイス・ゴンサレスのテクニックノートのときはたくさん集まりましたが、ボサノバ講座となると見向きもしない「クラシックギター界」・・・。
非常に残念なことです。
「音楽とは何か?」「音楽をやる意味は何か?」「音楽の快感はどこにあるのか?」・・・これらのことを徹底して考えることがクラシックギター界に欠けている部分だと思います。
と、厳しい意見となりましたが、次回の日曜ワークショップは2月14日です。講師は私、またギターテクニックについてやります。
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