奏法とか音楽表現に関する知識はやはり我々プロは経験をもって、「こんな感じだな!」とか「このほうがうまくいく!」という感覚で学んでいることが多いものです。
演奏だけをしているのであれば、感覚的もので充分です。
でも、それを教えるという場面になると・・・言葉に詰まることが多いです。
「こんな感じでいくとうまくいくよー!」とか「こっちのほうがいいんじゃないのかな?」・・・もちろん、それでも充分レッスンとしては成立します。
しかし、私の中で、普遍的な理論にしていきたいという欲求があるのです。
どの生徒にでも分かりやすく・・・そして、段階的に説明できる方法はないかなあ?・・・と模索しています。
で、今日は最近ためになった本をご紹介します。
眼が人を変える
著者:田村 知則
販売元:草思社
発売日:2001-08
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この本で、田村氏は「外の目」と「内の眼」を分けて考えています。そして、眼と心理との関連を徹底的に具体例を挙げながら分かりやすく教えてくれています。
普段、演奏のための練習をしていて、ポジション移動や複雑な指の入れ替えなどがある楽曲の部分練習で、たぶん私は「外の眼」と「内の眼」を使い分けて処理しています。
本番で、その「こわいパッセージ」のところは、指盤を見ると失敗する可能性が高いことは経験でしっていました。
練習ととき、もちろん、正確な指の動きを把握するために「外の眼」(通常の視力)で確認します。無駄のない動き、エコノミーな動きを確認しながら練習するわけです。
それから、私の場合は眼をつぶって、その「外の眼」でみた動きを脳内で再生します。そうすると、非常に正確に演奏できることには気づいていました。(これを、この本では「内の眼」と表現しています)
演奏は動きです。それを実際に指や腕などの筋感覚に覚えこませることは当然ですが、眼で見ている動きを眼筋に記憶させるというわけです。
そして、その眼筋に覚えさせた動きを脳内で再生させるだけで、身体のほうも自然に正しい動作を行なうというわけです。
・・・そういうことを理論的に裏づけしてくれた本でした。
「本番で指盤を集中して見ると間違う!」という経験を持っている人は非常に多いと思います。
そして、実際上手いプレイヤーは、指盤を見ているようでも、いわば「半眼」の状態である場合が多いのも巨匠たちの演奏をDVDなどで見ると確かです。
つまり、「外の眼」の動きは非常に少ないのです。そのかわりに「内の眼」が正確に起動しているわけです。
・・・このあたりを理論化してから、生徒とのレッスンにも応用しています。
日々研究です。
すこしでも、生徒の質問や悩みを解決できるように勉強するしかないですね。
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