6月19日は「ギター漬けの一日」でした。午前中は日曜ワークショップ。午後から25日に発表する合奏曲の練習。それから、チャリティコンサートのリハ。

今日は日曜ワークショップについてのレポート。

当教室主催で毎月行なっている日曜ワークショップ「カルリ45のエチュードの学び方」講座のパート2を午前中に開催。 教室内外より13名の方が受講してくださいました。全音版45のエチュードの後半部分のエチュードについて大まかに「学び方のコツ」を指導しました。

前半部分ではシャープ3つまでの調だったものが、中盤以降ではシャープ4つになり、またフラット系の調も登場します。それにつれて、ローポジションではない楽曲が出てきます。もともとのカルッリ(本来ならイタリア語の発音的にはカルリよりカルッリのほうがふさわしい)の教本には、まずはローポジションの各調を学ばせたあと、4ポジション、5ポジション、7ポジション、9ポジションで弾くべき(学ぶべき)代表的な調のスケールが登場します。

しかし、全音版だとこの部分が省略されています。つまり学習者にはあらかじめこのエチュード集以外にハイポジションでの「スケール」練習が必要であるということです。

カルッリ教本(原本)の上記のポジションについての調の当てはめ方はとってもシンプルです。

4ポジション=ホ長調
5ポジション=へ長調
7ポジション=ト長調
9ポジション=イ長調

・・・勘のいい方なら気づくと思いますが、全部平行移動して、一種類の運指のパターンで弾けるのです。

中級者以上の方なら、1ポジションでのハ長調の音階を「ゼロフレット(=つまりナット)」を意識した運指で弾けば、上記の調も全て「平行移動して」「同じ運指で弾く」ことが可能であると気づくはずです。

運指のパターンでだいたい弾けてしまう・・・これはカルッリの策略でもあったような気がします。だからこそ、当時の王侯貴族の間で「ギター教授」として凄い人気があったのでしょう。

「ああ、これはホ長調だからね、まず、この4ポジションの運指覚えちゃってください・・・ほーら、この曲なんて、それが分かれば弾けちゃうでしょ?」というギターを教えているカルッリの声が聞こえてきそうな部分です(あくまでも想像です・・・)。

そういう意味では全音版の欠如している部分はこのスケール部分でしょうね。もちろん教材としては問題ありません。教える側がそれをフォローすればいいのですから。それを補完するための他の教材(スケール本など)を用いれば問題ないからです。

あとは、フォローする面としては、ギターのポジショニングの「感覚」でしょうね。

身体面から考えると、通常の人は1ポジションには慣れています。そして、9ポジションは左手小指脇(?)の部分がギターの「肩」の部分に当たるので、目をつぶってでも(指のポジション感覚が出来てくれば)可能となってきます。(実はホセ・ルイス・ゴンサレス著ギターテクニックノートの冒頭の練習はこの指のポジション感覚を養う練習にもなっているのです)

つまり、1ポジションと9ポジションはほとんど人がギターを弾いて数箇月で「体の感覚として覚えてしまう」ものです。言い方をかえれば数箇月で「体の感覚として覚えるべき」ものであります(※だからこそ、僕はレッスンのときに上記のテクニックノートの通称”音出し”練習を徹底的に初期の段階からやらせます)。

各フレットに対して1234と押さえていくと、上記の1ポジション、9ポジションの間に「5ポジション」があります。実はこれも自分とギターの距離感が出来てくれば、ほとんど問題なく『見なくても』捉えられるものなのです。

そういう意味で考えれば、全音版のカルリ45の37番(イ長調での9ポジションの練習)は唐突ではありますが、理に適っているのです(教える人がそのことを説明しさえすれば・・・ですか)。

あとは、パート1では説明しなかったフレーズと音楽用語の理解についても説明しました。23番以降はそれなりに「音楽的に魅力的な作品」として仕上げていくべきだと思います。カルリ=初心者用のエチュードと思ってはいけません。音楽的にはフレーズをしっかりと考えて、音楽のストーリーをしっかりと作っていく「トレーニング」だとおもってくれないと困ります。

もちろん、それは8番以降の曲であれば、すべてに関して「フレーズ」を考えることが可能です。7番というシンプルなエチュードであっても、そのフレーズに対する感覚は生かされなくてはいけませんが・・・しかし、「初心者から学ぶ」という段階において、おそらく20番あたりまでは、左手の正しいポジショニングや読譜、右手のフォームなどを学ぶことのほうに比重が置かれるべきです。そして、20番前後のあたりで「左手と右手の基本フォーム」は完成されているべきです。

それを前提に考えると、23番以降ではすこしずつ「フレーズ」について考えるということが大切になってきます。そして、それは「魅力ある音楽とは何か?」ということにもつながります。比較的初期の段階で(そして、短い楽曲のなかで)そのことについて考えることは『音楽の美しさ』について考えることにもつながります。そして、音楽でメッセージを伝える「方法論」としてのフレーズの考え方を学ぶことは早いに越したことはありません。音楽という言葉でどのような世界を作るのか・・・その方法論を学ぶ意味で、このカルリのエチュードは「音楽的に素晴らしい教材」となります。

あとは音楽用語についての「正しい理解」を得るための「勉強の仕方」を伝授。勉強の仕方・・・とか偉そうなことをいいましたが、アレグロとかアンダンテとかラルゲットとか・・・その「本当の意味をしっかりと考えること」、そういう勉強の仕方をしてくださいね!・・・そして、そのための参考書はこれです!・・・というものです。

下記2冊を推薦。

イタリア語から学ぶ ひと目で納得! 音楽用語事典
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ピアノを弾く人のための 音楽用語ハンドブック
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特に初心者の方には最初のものは絶対にお薦め。もちろん、初心者だけでなく、上級者であろうがプロの人であろうが、一読をお勧めします。私がスペイン留学中に「あれ?」と思ったことを、みごとにまとめてくれた感じの本です。

つまり、カルリのエチュードに書いてある音楽用語の意味を考えて弾いてみましょうね!ということです。そのことで、音楽用語(特に速度記号ですね)の大切さと理解することの「難しさ」も初心者の段階から経験することができる。つまりアレグロのニュアンスを考えることやラルゲットのニュアンスを考えることが「音楽をイメージする」ことにつながります。それは「速く」とか「遅く」という単純な二分法で作られる世界とはまるで違うのです。そして、そういう二分法からは「音楽は生まれません」。

つまり、上記のようなことを考えて、勉強していけば(そして、勉強できる環境にいれば)カルリ45のエチュードは、素晴らしい「音楽を学ぶ教材」そして「ギター奏法の基礎を学ぶ教材」となり得ます。

これは独学の方には難しいかもしれません。(だからこそ、ギターをきちんと勉強したい人、音楽を勉強したい人はしっかりとして教師に就くことが大事なのだと思います)

そして、世の中のエチュードと呼ばれるものには、上記のような「学ぶ方法」があります。その目的なそれぞれ違いますが、有名なエチュードにはそれぞれ「学び方」があります。ソル、コスト、カルカッシ、ヴィラ=ロボス、ブローウェル・・・それをないがしろにする人は「遠回り」です。そして、学び方を間違っても「遠回り」です。

また、同様の講座はやってみたいと思っています。



 


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