ちょっと前のことになりますが、スペインからフランシスコ・クエンカ氏が来日しており、4月6日は青葉台のほうで公開レッスン(このときはお兄さんのホセ・マヌエル氏と共同でレッスンを行いました)、4月8日は私の教室主催で公開レッスンを行いました。
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私は通訳兼進行役として、ずっとその場にいましたが、いくつか感じたところがあったので、記録しておきます。私自身が日本のギター界についていつも思っていることをずばりと指摘したレッスンであったと思います。


1:しっかりと自分の音を聴くことから正しいギター奏法は導きだされる。

2:西洋音楽の拍の感じ方(ビートやパルスの感じ方)をやはり日本人は理解していない。


まずはギター奏法について。

まずは青葉台でのレッスンにおいて、クエンカ氏が一番言いたかった事は、「音をしっかりと聴きなさい」ということでした。楽譜の音価をしっかりと保っているか…技術上はそういう指摘が多くなされていました。頻繁に使っていた単語としてスペイン語の「ligado」というのがあります。ギターの技術用語としても「リガード」というのがありますが、この場合のニュアンスとしては「しっかりと音をつなぐ」ということです。

クエンカ氏本人の演奏を聴くと、彼が徹底的に「音をつなぐ」という強い意志があることがわかります。その意思があるから、彼の完璧な技術は導きだされたのです。


6日の個人レッスンにおいては、個人レッスンが7名。主に中級者が中心となりました。やはりそこにおいても、「音をしっかりとつなぐこと」を徹底して指摘していました。しばらく意識させてやらせると、「ほら、できるようになった!…集中力の問題だよ!」と言っていました。


どの生徒さんも意識すれば、ほとんどの場合できるのです。そして、その技術や知識はすでにある場合が多いのです。


では、何故できないのか?…普段からそういう感覚で練習していないからでしょう。そして、本人が強く意識しないかぎり、音を繋ぐ感覚は身に付きません。ある程度の期間(1年から2年)、それだけを意識してやって、自分の中での自然な感覚(当たり前の感覚)となっていくのです。

一回や二回のレッスンで言われて身に付く習慣(感覚)ではないのです。


「自分の音を聴くこと」…当たり前ですが、それができて初めて自分の求めているイメージとの違いが分かります。実現すべき音楽のイメージがあるのが前提ですが、まずは現状の自分を確認すること…このことが一番最初に行う作業です。

ほとんどの人は音楽のイメージを持った時点で、「現実の音として実現できてしまう」と思ってしまう傾向にあります。冷静に自分の音を聴けているか?…なかなかうまくいかないものです。音が繋がっているという錯覚をもってしまうもので、とても危険。「冷静に自分の演奏を聴く」ということが良い演奏に仕上げて行く為に大切な姿勢です。

その姿勢を受講生に身につけさせる根気づよいレッスンであったと思います。 


さて、拍の感じ方についてです。

前に進まない拍は「音楽的な拍」ではありません。人によって言い方は様々ですが、パルス感覚とかビート感覚と呼ばれるものです。

クエンカ氏の拍の感じ方は、彼が受講生に指示する仕草やジェスチャーを見る限り、「前に進んで行く」イメージが強いものでした。ビートがしっかりと「あがっている」のです(このあたり言葉では説明しにくい…)。

いずれにせよ、つぶれる拍の感じを日本人は持ちがちです。私も日本に帰国以来ずっと生徒には、「しっかり(正しく)拍を感じてね!」と具体的に指導を続けていました。今回の受講生全員に言えることは、まだまだ日本人的な拍の感じ方しかできていないということです。

この「拍の感じ方」については私もワークショップなどで講義し続けています。また近いうちに開催する予定ですし、個人的に興味の有る方はメールなどでお問い合わせください(ワンレッスンという形でも可能です)。

参考ブログ記事:拍のプロポーションとは?

拍の感じ方は知識ではなく、実践でしか身に付きません。とはいっても逆に日本人はロジカルに考えることで、西洋的なリズムや拍感を分析できますので、有利であるとも言えます。スペイン人や西洋人が直感的に身につけているものを客観視することができます。うまく行けば、東洋的な拍の感じ方、西洋的な拍の感じ方…両者を使い分けることができるはずです。