昨日はスペイン在住のギタリスト神成理(かんなりとおる)さんのマスタークラスと演奏会を当教室主催にて行いました。

マスタークラスは4名が受講。受講曲はエストレリータ、タレガのプレリュード、椿姫幻想曲、エンデチャ・オレムス、アランブラ宮殿の思い出。4名のレッスンを午後2時〜午後5時30分まで、休憩なく丁寧に行ってくれました。

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テクニック面に関しては、基本に忠実です。とはいっても、その基本のレベルは現在のギター界が忘れがちな「基本」かもしれません。だから、受講生に対する要求レベルはとても高かったと言えます。丁寧な話しぶりでレッスンを進めていましたが、受講生の方は「基本」の大切さを再認識したはずです。

例えば・・・基本はアポヤンド。アルアイレであっても、アポヤンドに極めて近い音色と音量をもとめること。このことは本当に現在のギター界では忘れられがちです。(これは僕もホセ・ルイス・ゴンサレス先生にしつこーく言われました)

左手のテクニックも左手各指の強靭さを要求していました。スラーやポジション移動、アラストレ・・・いずれのテクニックもしっかりとした指と腕の安定が必要となってきます。ある程度のトレーニングが必要になってきます。

音楽表現面に関しては、「ブレス」「コントラスト」「アゴーギク」を重視したレッスンでした。このあたりは流石、数多くの演奏会をこなしてきた神成氏ならではです。テンポの緩急のつけ方と「聴き手の印象に残る曲想」にしていく方法論が提示されました。これは僕もとても参考になりました。


さて、演奏会。これはマスタークラスの会場と同じ場所で行いました。定員30名でちょうどいい感じのサロンコンサート風の演奏会となりました。
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演奏会の感想は・・・「ギターって凄い」・・・これに尽きます。もちろん、練り上げられたリズムやフレージングにより音楽の流れ、構成感も素晴らしいのですが、クラシックギターの音色の凄さが感じられました。

それはまさに「巨匠ホセ・ルイス・ゴンサレス」を彷彿とさせるものでした。音圧が凄いのです。ギターという楽器の中から音が「ぼこっ!」と出てくる感じ。それでいて、遠達性がある音色。音圧と音色・・・これら二つの要素があって、抜けのよい音になるのですが、まさにそういう音でした。

そういう音があるから、立体感のある演奏表現が可能になるのだなあ、と思いました。

今回演奏されたなかで、エスタニスラオ・マルコの作品がお客様には好評だったようです。日本ではまだまったく知られていない作曲家です。かつてイエペスが「グアヒーラ」というマルコの曲を録音していましたが、その一曲でのみ知られていましたが、最近ホルヘ・オロスコ氏によって楽譜が再発見されて、piles社から楽譜集がでています。

楽譜はこんな感じ。

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オロスコ氏の録音も素晴らしいのですが、また違った切り口の神成氏の演奏を聴いて、ますます好きになりました。いずれ弾いてみたい〜!

・・・という、新しい楽曲への興味も湧いた今回の演奏会でしたが、やっぱり全体の印象は最初に「ギターって凄い」に尽きます。

今回、演奏会に来た方はクラシックギターの本当の音色を感じてもらえたと思います。チラシにも「ギターの本当の音色を!」と書いたのですが、まさにそのままの演奏会だったなあ、と。

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また、来日してほしいなあ!