2015713日〜723日にかけて行われた「ChamberArt@Madrid」のギター部門ですが、そのまとめを書いておきます。

長くなりそうなので、わけて書いていきます。まずは「まとめ 廖

プロで活動している人には「現場力」があります。もともと長く演奏していれば、「現場で通用する音質」や「適応力」がついていくものです。

その場でどのように対応していくか…足りない技術や表現力をその場(リハーサル)で身につけていくことが「プロとアマの差」です。プロはそういう勘があります。その場で適応する技術を生み出すことができます。アマチュアはそういう経験が薄いので、自分の持っている技術や思い込みにしがみつきます。ですが、もしプロでやっていきたいのであれば、「その場で変化できる柔軟さ」と「そういう変化ができる柔軟な基礎」を習得しておくべきです。そして、なによりもその前提となるのは思考の柔軟さと性格の素直さです。

今回参加してくれた20代の若者受講生にはなによりもその「素直さ」がありました。

さて、まずはこのフェスティバルの最初の頃からの話からスタートします。


今回、私は「室内楽講師」という肩書きで招聘されました。それはリオリコギターアンサンブルの指導者としての招聘でしたので、本来のリオリコギターアンサンブル(私の生徒で結成されています)所属メンバーにまずは声をかけました。

同時に、リオリコギターアンサンブルに多くの曲を書いてくれている松岡滋氏に参加を要請しました。とはいっても、飛行機での移動の時間を含むと2週間という長期間のものでしたので、なかなか行ける人は多くありません。結局、私を含めリオリコギターアンサンブル側から3名、他に松岡氏+若手ギタリスト(志望)という混合チームで行く事になりました。

ということで、初顔合わせはドバイ空港!

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そして、スペインへ到着。7月13日マドリッドでの初日!…まずは初音出し。私、尾野さん、松岡さん、多功さんは4人ともプロ演奏家(多功さんはジャズのプロでクラシックギター修行中ですが)。他二名の門脇くん、福間くんは大学生のそれぞれプロ志望者…。大きな問題はないですが、まずまずの仕上がり具合…という具合。


それから二日間のリハーサル期間で、多功氏+ヤング二名にはまだまだ譜読みミスがありましたので、それを丁寧に修正。フィンガリングや表現の細部など練っていきました。


15日は初のこのメンバーでの本番。演奏はなんとか形にした感じ。まだ全員勢いで弾いている感じです。だって、結成3日目ですから(苦笑)。


今回の私の「講師」としての使命は、それぞれの個性(長所も弱点も)を踏まえながら、最終的に「ひとつのアンサンブルグループ」を作ること…と意識しました。
ビデオを撮っていましたので、翌日の16日はそれを見て全員で反省会。この時点でプログループと「若者たち」の意識の落差を感じました。今だから言えますが、彼らの音は「完全に埋もれてしまう」のです。プロ側の音圧と若者二名の音は歴然とした差があります。音質面でも音量面でも、聴き手側からしたら10:1くらいの比率だったはずです。それは初日のビデオを見てもらえるとわかります。直接的にそのことを伝えると彼らは傷つきます。

なので、運指の工夫やタッチの工夫、感覚の修正(スペインの気候に合わせた音作り)といった面をアドバイスし、自分たちで気づく瞬間を待ちました。


それぞれの個性…と書きましたが、若者二名の長所は「素直さ」でした。こちらの指導やアドバイスを素直に実践してくれました。技術面も表現面も。その間に私は彼らの独奏のレッスンもしました。それで彼らの弱点も長所もはっきりとわかってきました。プライバシーもありますので、各自については書きませんが、良い点いっぱい、悪い点いっぱい(苦笑)。ソロ演奏の長所短所は、やはりアンサンブルの意識にも影響を与えます。


多功さんはジャズの世界ですでにプロですので、本番の勘と「現場での学び」の感覚を強く持っています。一回の本番で、両隣の松岡氏と私から「やるべきこと」を学びとってくれました。あとは同じパートを受け持つ私がいくつかアドバイスを与えればオッケーという感じ。


このようにして、2つの本番を迎えます。ひとつは18日、マドリッドの音楽の殿堂「アテネオ劇場」…舞台上はデッド、でも客席にはちゃんと音が伝わっている…という恐ろしい場所。

もうひとつは19日の教会での演奏。こちらは残響がとっても多い。逆に自分の音が「散らばってしまう」。そういうふたつの場所でも負けない音質(音量ではないのです)を身につける大切さを若手二名はわかってくれたと思います。

そして、その環境に負けないタフな精神力とその場での「判断力」。それが本番力です。臨機応変に自分の音質をコントロールしながら、メンバーの音も聴く(もしくは想像する)。そういうことの必要性を身につけて行ったと感じました。

(まとめ△愨海)