遅くなりましたが、2016年1月20日に行われたAcoustic Ladyland(石塚裕美&富川勝智)のライブレポートです。アコレデとしては5回目のライブとなります。

場所は渋谷の喫茶SMiLE。(サイト

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今回のセットリストは以下です。カッコ内はオリジナルの歌い手です。


1st.

1. 恋は桃色(細野晴臣)

2. 秘密の花園(松田聖子)

3. Woman〜Wの悲劇より(薬師丸ひろ子)

4. 金曜日の雨(石塚裕美)

5.夜へ急ぐ人(ちあきなおみ)

6. Mercedes-benz(Janis Joplin) 

7. 風信子(鈴木茂)


2nd.

1. 一月一日

2. Over the rainbow

3. He was beautiful(クレオ・レーン)

4. いちご畑でつかまえて(松田聖子)

5. さらばシベリア鉄道(大滝詠一)

6. 機関車(小坂忠)

7.時はかげろう(松任谷由実)


アンコール: 草原のマルコ
 
今回の出演したSMiLEさんのイメージから、日本語ポップス曲多めでお届けしました。簡単に覚書程度にアレンジャーとして各曲のイメージを書いておきます。

「秘密の花園」はサビ部分をよりアダルトにアレンジしてみました。松田聖子さん本人の「区切っていく歌い方」よりは次へ次へとつないでいく歌い方ができるようなアレンジへ。オリジナルのギターフレーズ(これがとてもシンプルでかっこいい!)をうまくアルペジオに織り込みました。
 

「Mercedes-benz」は前回のライブで「ぜひジャニス・ジョップリンの曲をやってほしい」というリクエストがあったので、やってみました。いろいろ考えた末にジャニスの名アルバムの「パール」ではアカペラで歌われているこの曲をチョイス。モード的なアプローチで原曲のトラディショナル感を出してみました。
sound cloudのほうでリハの音源がありますので、是非お聞きください。(こちら) 


「風信子」は日本一のスタジオミュージシャンであるギタリスト鈴木茂さんの名曲。ちなみに僕は鈴木茂さんの大ファンです!ギタリストとしても天才ミュージシャンですが、ソロアルバムでは素晴らしい曲を残しています。そのなかでも僕のなかでベスト5にはいる大好きな曲が、この「風信子」です。ヒヤシンスです。歌詞は松本隆さん。深読みできる歌詞で、男性の強がりと女性の優しさの両面が感じられる名歌詞です。なので、ハーモニーはニュートラルな長調とも短調ともとれないものにしました。

「 一月一日」は1月なので、なにかそれっぽいものを演奏してみたかったというのがあります。僕らの世代にはテレビの隠し芸大会のテーマソングとして馴染みがあります。これもsound cloudにリハ音源を落としてあります。(こちら) 
 

「Over the rainbow」もお客様からのリクエストでアレンジ。ある意味で手垢のつきすぎた旋律です。名旋律なのですが、その旋律の強さを引き出すためのアレンジにしてみました。とにかくリズムと旋律がずれている。ひたすらにずれています。イメージとしては「タイルが敷いてある道を歩いているのだけど、そのタイルを三つずつ跨ぎながら歩かなくても良い!」です。到着する場所は一緒です。これもリハ音源をアップしておきました。(こちら

 「He was beautiful」はクラシックギターの名曲カバティーナの歌バージョンです。かつてLPで「クレオ・レーン&ジョン・ウィリアムズ」というのがありました。そこで歌われていた歌詞です。これも哀しい歌詞です。最近、この歌バージョン自体が忘れられつつあるので、演奏したかったというのもあります。ストレートに原曲自体のイングリッシュトラディショナルハーモニーの感じでアレンジ。
これは、12月に行ったライブでの動画があります。是非、ご覧ください。


「いちご畑でつかまえて」は松田聖子さんの隠れ名曲。大滝詠一さんの作曲。そして、なんとも不思議なハーモニーの曲です。わりとストレートにアレンジしたら、普通に良くなりました。「さらばシベリア鉄道」は原曲のイメージからかなり外れたものにしました。原曲が気温15度くらいなら、氷点下10度のイメージで。

「時はかげろう」はかつて、カルロス・トシキとオメガトライブが歌っていた曲。その後、松任谷由実さんがセルフカバー。どららも良い意味でも悪い意味でもアレンジに時代を感じさせるものになっています。オメガトライブバージョンはまるでフュージョン、松任谷由実さんバージョンは「ああ、シンクラビア使い倒したかったんだろうなあ…」というものになっています。なので、実はメロディーの良さが消えてしまっています。ハーモニーとしては普通の「どマイナーな楽曲」なので、そのままやるとフォークソングっぽくなってしまいます。メロディーのエレガントさを活かすため、導音であるソ(キーはA♭)をうまくギターでドローンのように鳴らすアレンジにしてみました。このアレンジははっきりいうと自信作!…オメガトライブバージョンも松任谷さんバージョンにも勝ったかな(苦笑)…というくらいに良く仕上がりました。 

アレンジというのは原曲のなかにある埋もれている「要素」を引き出す作業だと感考えています。それは歌詞の印象であったり、メロディーの美しさであったり。良い歌詞は様々な観点から切り取ることができます。解釈の余地を残してくれているものです。その点で僕にとっては松本隆さんは神様です。解釈の仕方によっては「希望」とも「絶望」とも読み取れる歌詞のオンパレードですから。
曲のメロディーもそうです。名メロディーも同じことがあります。伴奏で、メジャーのコードがくれば、やはりそこにそういう印象が据えつけられます。ですが歌詞の内容によっては、そこにマイナーっぽい和音がきても良い場合もあります。

そのあたりをひたすらに考えて、アレンジしています。ポピュラーの楽曲を定番のコード進行でアレンジする方法論もあります。原曲のアレンジを生かした方向性もあるとは思いますが、僕も音楽家ですから、自分の解釈でリアレンジしたい部分もあります。そこが僕の個性でありAcoustic Ladylandの個性になっていくのだと思います。

以上、長くなりましたが、ご来場いただいた方は「ああ、奏者はそう考えていたんだなあ!」と思っていただければ嬉しく思います。一粒で二度美味しい…くらいに考えてください。


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Acoustic Ladyland(石塚裕美&富川勝智) LIVE@渋谷宇田川町 喫茶SMILE

2016.1.20 wed. 20:00start 19:00open mc \2000+1drink

出演:Acoustic Ladyland(Vo.:石塚裕美 Gui.:富川勝智)

ご予約:hrmii44-liveinfo@yahoo.co.jp

会場:喫茶SMILE 

東京都渋谷区宇田川町11-11 柳光ビル本館3階 03-6416-3998


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Acoustic Ladyland(石塚裕美&富川勝智)ってどんな音楽やっているんだろう?…という方は当ブログのライブレポート記事を御覧ください。今までのライブレポート御覧いただけます。

Acoustic Ladyland Vol.1 ライブレポ

Acoustic Ladyland Vol.2 ライブレポ

Acoustic Ladyland Vol.3 ライブレポ


Acoustic Ladyland Vol.4 ライブレポ

今後の予定:4/27新宿曙橋BACK IN TOWNでゲストに小川悦司氏を迎え行います。6月には九州方面でのライブツアーも予定中です。