ギターレッスンと演奏の日記 from 富川ギター教室

クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。

ギター奏法

2019.8 新サイトOPEN!
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体が先…身体と脳みそ

奏法というものを考えるとき、いつも大切にしていることがある。

それは「体が先」という考え方だ。


クラシックギターの弾き方について、今まで山ほど研究してきた。生徒を教えるときも言葉で説明することが多い。とはいえ身体動作の言語化は危険も伴う。

言葉の捉え方は生徒さんによって様々。僕は僕の動作を言語化しているのだけど、それはあくまでも僕の感覚である。生徒さんに僕の定義がそのまま伝わるとは限らないのだ。


なので、レッスンの時にまずは生徒さんには「やってみる」ことを勧める。

そして、生徒さんが「どう自分の身体が感じているか」を考えてもらう。どこかに無理なテンションが入っていないか?…なんとなく不安定な感じがする…とか。その上で自分で「言語化」してもらうのが一番良い。


様々な反応が出てくるものだ。そこからいくつかの身体アクションのアイデアを投げることにしている。身体の軸のバランスや腕の使い方や指の関節の意識などである。そこからまたそれを意識して練習をしてもらう。


レッスンで上達しないタイプの人というのがいて、「頭で理解してしまう」タイプ。

こういうのを試してみてねー!と提案しても、「はい、わかりました!」と言って、メモをとって「やってみない」タイプの人。


メモとって、終わりにしてしまう。頭でわかったふりをする。それはできるだろう…と思ってしまうのだ。


これが一番困る。


身体動作はある意味自動化している。歩くのだって、立ったり座ったりするのだって、誰も考えて行っていないでしょう?


これは実はギターでも一緒なのである。


「1弦の5フレット押さえてね!」という時に、ほとんどの人は無意識に今までの身体動作で慣れてきたアクションを用いて弦を押さえるのだ。腕全体のバランスや指関節の正しい形など無視して、指を動かす。


一応「フレットを押さえる」というアクションはできている。この「できている」つもりが一番厄介。本当はポジションや高音弦や低音弦までのレンジを考えた指の形を作っていかなくてはならないし、その動きはできるだけナチュラルなものでなくてはいけない。身体の動きの合理性にかなっていないといけないのだ。


なので、ギター未経験者は自動化された指の動かし方を再調整(再プログラミング)しなくてはいけない。


実際のレッスンではそのような再プログラミングが続くのである。1年も2年も。


話を戻そう。


人間は「動作が先」なのである。「体が先」。よく脳みそが命令を与えて体を動かしている…と思っている人が多いが、その脳みその命令は非常に雑であり、今まで培ってきた「できる動作」で代用しようとする。クラシックギター演奏に必要とされる左右両手の動きは、その「できる動作」よりもより精緻でバランスのとれたものでなくてはならないのだ。


ギター未経験の人でも、フレットは押さえられるし、弦を引っ張り上げれば音は一応出る。でも、その両手の動きでは将来的にきちんとした曲は弾けないだろう。


そのくらい実は一般の人の身体の動作は「雑」で厄介なことに「自動化」されてしまっているのだ。そして、きちんとした美しく理にかなった動作を脳みそに「再プログラミング」させなきゃならない。


そんなことをいつも考えているのだけど、たまたまこんな本に出会った。






ヤング向けに書かれた本。とはいえ、ムッチャ面白い。

身体は「不自由」である。だからこそ、それが個性があり、体というものをそのように扱ってあげてね!という本。(ざっくりしているなあー)


この本が素晴らしいなあーと思ったのは、身体というものは「自分の思う通りにはならないよ」と明言していること。著者の方自身が「吃音」者であり、その経験から書かれている。


その経験をもとに身体の不自由さと脳みその関係をわかりやすく解いている。

「体が勝手にやっていること」がある。

「頭と体が連動しないエラーが起こる」こともある。


この「身体の不自由さ」と「頭と体が連動しないエラーがたくさんある」という二点を考慮するだけでも、奏法を学んでいくことのヒントが得られる。


レッスンでは僕はよくこう言う。


「自分の脳みそって馬鹿なんだよ。手懐けないとね」と。


1つ1つの動作を確認して、身体の理にかなう動きを細分化して学んでいかないと、脳みそは勝手に「この動作でいんぢゃね?」って適当な動作で代用しようとする。

だから、1つずつのアクションを正確に行って脳みそを手なずけていかないとダメなんである。


だからこそ、動作について考えるときは「体が先」なんです。そして、新しい動作をやるときは身体の感覚を優先することも大切。

お馬鹿で怠け者の脳みそに優先権を与えてはダメなんです。


そんなことを考えながら、いっつもレッスンしてます。

上記の本も絶対に面白いです。30分もあれば読めてしまう本ですが、身体について正しい理解を与えてくれる基本書。

ちなみに伊藤亜紗さんの本はどれも面白い。




この本も芸術と身体との関わりという意味で目からウロコがボロボロ落ちた。

そんなことを考えながら書いた本、僕の新しい本ももちろんよろしく。まずは「やってみること」。解説や動画を見ながら自分の言葉で皆さん言語化してみてくださいねー。それがとっても大事。

【1日】に【3つ】のフレーズを【5分】ずつ弾くクラシックギターワークアウトブック
ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス
2022-01-26



p指のタッチ・・・役割を考えてエコノミーに

ずーっと毎月一回日曜日にワークショップをやっております。

昨年はコロナの影響で会場の利用制限などもありほとんどやれてませんでした。で、今年になってからボチボチと再開したのですが、なーんとなく告知が遅くなってしまうという変な癖がついてしまいました。

とはいえ、毎回誰かは参加してくれているので、ありがたいものです。

で、明日ワークショップをやります。





右手のタッチについてです。そういえば、先日九州で演奏させてもらいましたが、その時に主催をしてくれた池田慎司さんに終演後、僕の右手のpのタッチをあれこれ質問されて、「ああ、こうやっているんだなあー」というのが再確認できました。

右手の親指はクラシックギターでは様々なことをやらなくてはならないんです。もちろん良い音を出さなければならないのは当然ですが、低音進行を担う重要な役回りなので、消音も丁寧に行わなければならないし、アルペジオなどを行うときに「支え」にもならなければならないし…とにかく”忙しい”です。

そして、太い指なので頑丈なのですが、割に鈍感です。そして、腕全体とのリンクも雑になりがちな指なのです。

このあたりを整理整頓して、pのタッチとフォームについてワークショップを行っていこうと考えてます。


さて、コンサート。実は月曜にコンサート、、、というかトークライブがあります。「クラギなんか嫌いだ」というシリーズなのですが、今回はCD収録の曲を中心にドバーッと弾いていく予定です。

月曜なんで人が来るのかなあ?・・・ああ、不安。

みなさん、ぜひおいでください。(多分予約なし、当日ポンっときても大丈夫!)

20211018クラギ嫌い












レヒーノ版アグアド教本から学ぶ運指の意味

逃げ回ってきたものに立ち向かう。なーんかそんな年齢になってきた。
というよりは、かつて「勢いで勉強したもの」に意味を感じられるようになってきたのかもしれないなあ。

ということで、最近はレヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ編の「アグアド教本」をツブツブと再勉強中。

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レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサは一応僕のおじいさん師匠にあたる。なので、やっぱり若い頃は「やらねばー」と勢いでさらったものだ。なので、適当w

今、見返してみると、いつも教室で使っている「教室用新ギター教本」(ギタルラ社)との共通点に気づく。新ギター教本の編者である小原安正先生もこのレヒーノ教本にインスパイアされて編んでいるのは明らか。

新ギター教本は俗称「青本」なんて言われているけれど、そのあたりも似ている。レヒーノ=アグアド教本も昔から真っ青である。

とは言え、青本の方が圧倒的に初心者から中級者まで取り組みやすいように教材が練られている。なので、レッスンで使いやすい。だから、僕も使っている。

さてさて…そんな感じでちょっとずつあれこれ考えながら勉強していると、巻末にあるアグアドの名曲の「ロンド・イ短調」の運指にクラクラきてしまった。

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え??それ弾きにくくない?・・・だけど、弾いてみると音楽的に美しいのだ。昔、原典版はこうだからなー!とか、こっちの方が弾きやすいや!とか若気のいたりで直して弾いていたところも、今レヒーノ先生の運指通りにやってみることにしている。そして、おお!これは?こういう意味なのか!なんて類推して楽しんでいる。

楽しんで、そして、勉強になっている。

運指にはギタリストの「音楽観」が出る。

だから、セゴビア編の「ソル20のエチュード」はセゴビアの音楽観を学ぶためのエチュードでもある。そして、セゴビアの選曲は本当に素晴らしい。一曲もハズレがない。

カルカッシ25のエチュードはその意味ではリョベートの運指でやらないとあんまり意味がないかもしれない。日本人は幸いにも全音版が「リョベートそのままの運指」なので、ラッキー。カルカッシ25のエチュードは原典版でやる意味はあんまりないと僕は思っている。

カルカッシ25のエチュードも一曲もハズレがない。全て美しい曲ばかりだ。

セゴビア編のソル20のエチュードもカルカッシ25のエチュードも抜粋でやればいいよ・・・という考えも最近はあるみたいだけど、時間がかかっても全部やってみるといいと僕は思っている。

もちろんエチュードなので、テクニック面や音楽面で一曲ずつ目的がある。目的にあったエチュードだけやっても効果的。だけど、全部やってみると、セゴビアやリョベートの運指にこもっている「音楽観」が見えてくる。そして、彼らがソルやカルカッシの作品をどのように音楽的に昇華させて行ったかがわかる。

というスタンスで、今僕はレヒーノ先生が書いた「アグアド教本」を再履修しているところ。そして、アグアド教本にある楽曲の新たな美しさに気づいている。




譜例作りと「全部消去する」方法(?)

ここ数週間はひたすらに譜例を作っています。基礎技術的なもの。
教本を書いてくださーいというご依頼で。詳細はまた追って発表しますが、基礎練習的なエクササイズをたくさん集めたものです。

こんな感じでちっちゃいエクササイズをいっぱい作っています。

IMG_1064













ただ作ればいいってものではなくて、ちゃんとチャプター毎にテーマが決まっていてエクササイズの個数も決まっています。
そのあたりのバランスが難しいんだなあー。
ざっくり言えば、まずはクラシックギター演奏に必要な奏法テクニックを大まかに掴んで、そこから細かく落とし込んでいく。

ただしこの時にあまり細かくし過ぎてもダメですし、かといってきちんと段階を踏んでいかないのもまずい。

木を見たり、森を見たり…結構大変な作業なんです。
これは今まで教本の類を書くときやワークショップを行ったりする時も全く一緒です。ワークショップをやるときはある程度アドリブでいけるので、少しは気が楽です。

やはり活字や印刷物として残る形のものは、ちゃんと全体感と細部のバランスを見ないと辛い。

ということで、もう少ししたら譜例をざっくり全て作れるので、そこからのブラッシュアップですね。

こういう仕事していると全部書いた後に「全部消去」しなくなるんです。実際にギター史関連や教本関係の仕事でそれをしたことがある。

それ、こわーい!・・・って思う人もいるかもしれませんが、結構効果的なんですよ。一度全体を書いておくと、脳内で整理できますから。意外と二回目は論理構成がすっきりとした文章を書けたりするんですよね。

そう言えば、最近読んだ本で、その中にも同じようなことが書いてありました。



ああ、なるほどなー、プロのライターの人もそういう感じなんだなあーと。ただ無心に書いていると書き過ぎたり、論理構成がぐちゃぐちゃになったり。とは言え、とりあえず書かないと書けない・・・みたいな話がいっぱいあって、そこをライター稼業の人がひたすら話し合い、自分たちの流儀やメソッドをお話しするみたいな本です。

↑雑だー 苦笑

とりあえず、僕たちが教本書いたり、教材作ったりする作業に似ているなあーと。なんかすっごい面白くて一気に読んでしまった本なのでした。

ということで、僕もとりあえず最後まで譜例作っちゃいます。そこからもしかしたら「全消去」するかもなあ 苦笑















道具箱の道具を揃える

今日は朝から雨。

ですが、日曜ワークショップやってきました。雨だし、コロナ感染者も増えているしなあー…誰も来ないかなあー?なんて思っていたら、割と参加者来ました。ソーシャルディスタンスがきっちりと保たれる感じの人数で 苦笑。

今日はimの交互運動を丁寧に解説。右手の弾弦タッチのアングルをしっかりと定めながら。結局、身体の使い方から軽く説明。腕の説明からしっかりとやらないと、橈骨と尺骨のバランスも取れませんからねー。

こんなテキストを使用。

IMG_0912















imの交互運動をひたすら分解。

とりあえず受講した方に一つ道具を渡すことができたかなあーと。

ツイッターにこんなこと書きました。


表現も技術も「道具」なんですよね。それをどう使うかは使う人に委ねられる。

最近、つくづくそう思うのです。とはいえ、一つの道具を使うためにはこちらもたくさんの例を示さなければなりませんから、「とりあえず真似してねー」って教え方もする段階もあるのですが。とはいえ、教師の役割は以下に尽きます。

「生徒が自分1人で学べるようになること」

これでーす。そして、もう一つ。

「生徒ができないとかわからないっていうことの原因は全て教師側にある」

上記二点を気にしておくだけで、割とこちらもきちんとレッスンできるようになるんですよねー。

そういえば、先日関西にお住いの加藤奏さんに「ギター教師養成講座」をオンラインで行いました。ブログに感想を書いてくれています。



 
教えることを「教える」ってなかなか難しいもんです。でも、こちらも教えることで頭が整理されたり。



そういえば、最近カルカッシDVDが完結いたしました!!!

noteに細々書きました。




という感じで、雨なのであれこれ引きこもってやっていた1日でした。

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