ギターレッスンと演奏の日記 from 富川ギター教室

クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。

トローバ

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10/7 モレーノ・トローバの世界

10/7は「モレーノ・トローバの世界」と題してコンサートをしてきました。
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当日は松本吉史さん制作のトーレスモデルで演奏。遠達性のある素晴らしい楽器です。

製作家ご本人もご来場いただきました。

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当日のプログラムはこんな感じ。

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弾いていて楽しかったのは「ラ・マンチャの歌」。冒頭のプレリュードもとってもレアだったと思います。これも弾いていて”不思議な曲だなあ”と思いました。

本番で通して弾いてみると、やはり同じ作曲家の癖やアンビエンスを感じます。その意味で、別の集中力が必要となるのですよね。

通常のリサイタルであれば、作曲家や時代が変わるところで気分転換できる感じがあります。ですが、今回はそれがない感じ。ずーっと換気なしで同じ部屋で過ごしている感覚があります。

とはいえ、一度やってみると経験にはなりますね。

個人用に会場で録音はしておきましたが、楽器は思っている以上に鳴っている。そして、音の抜け感が良い。楽器もやはり使ってみないとわからないものです。手元で鳴っている感触と客席で聞こえている音はかなり違う。

当日のプログラム解説はQRコードで読み取ってもらうという形式。これはナイスアイデアだなあーと。紙のプログラムだと演奏中にばさっとかカサカサとかノイズしますもんね。会場の方、静かに聞いてくれるなあーと思っていたら、そういう仕掛けがあったのですね。

そしてスマホで見ていれば暗闇でも読みやすい。コンサート行っても、紙プログラムだと客席の照明が落ちると読みにくいですもんねー。良いアイデアと思いました。

プログラム解説、再掲しておきます。興味ある方は是非お読みください。

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曲目

プレリュード


カスティーリャ組曲

(ファンダンギーリョ、耕し歌、ダンサ)


特性的小品集 

(プレアンブロ、オリーブ畑にて、ブルガレサ、五月祭、夜明けの唄、パノラマ)


スペインの城

(トゥレガノ、トリーハ、マンサナーレス・エル・レアル、松のロマンス、アルカニィス、シグエンサ、アルバ・デ・トルメス、アルカーサル・デ・セゴビア)


ラ・マンチャの歌

(ヘリゴンサ、冬がやってきた、コプリーリャ、羊飼いの娘、ラ・セギディーリャ)


解説

作曲家モレーノ=トローバについて

フェデリコ・モレーノ=トローバは1891年にスペインのマドリッドに生まれた。マドリッドの王立音楽院にて作曲を学んだ。彼の師であったコンラッド・デル・カンポは優れた理論家であり作曲家であった。その弟子としてバカリッセやレマーチャ、フリアン・バウティスタなどの一般に27年世代と言われる作曲家がいた。トローバも当時最先端の和声理論を学び作曲家としての腕を磨いていった。

キャリアの初期はオーケストラ曲を書いていたが、1925年の「トルテシージャスの女主人」の大成功によりサルスエラの作家をメインとしていった。サルスエラはいわば”スペイン大衆オペラ”であり、より民族風の旋律やリズムを音楽に盛り込むようになっていった。

同時に1920年代に若きアンドレス・セゴビアと親交を結び、クラシックギターのための曲を書くように勧められる。第1作は本日も演奏されるカスティーリャ組曲の「ダンサ」であった。その後も主にアンドレス・セゴビアのためにクラシックギター独奏曲を多数書き、この分野のレパートリー拡充に大きく貢献した。その中でも「ソナティネ」は格好のコンサートピースとなっている。

トローバがクラシックギター界に与えた影響は大きい。アルベニスやグラナドスやファリャの作品もスペイン音楽の範疇としてギターで演奏されることが多いが、これらは編曲である。その意味でもトローバの作品はクラシックギターのオリジナル作品であり、且つ”スペイン音楽”であるという点から重要なのである。

そして、強いカスティーリャ色が感じとれる点で貴重な存在でもある。カスティーリャ地方とはマドリッドとその周辺地域のことである。簡単に言えばドン・キホーテの世界観と言っても良い。羊飼いや乾いた土、どこまで歩いても変わらない景色.…そこから想起される旋律やメロディーがトローバの作曲の源泉である。一般のスペイン音楽にはスペイン南部のフラメンコ音楽を源泉としてものが多い。トローバのカスティーリャ色は偏見に囚われたイスパノフィロ(スペイン愛好家)からは異質に映るかもしれないが、真にスペイン文化を理解しているイスパノロゴ(スペイン研究家)の目には本当のスペインが感じとれるのである。

本日の演奏曲目も”カスティーリャ”色が濃厚なものを選んだ。


プレリュード

1981年に「Preludes」と題されて出版された。三曲のプレリュードが収録されいるが、それぞれに副題はなく、既存のトローバ楽曲とは趣を異としている。トローバお得意のスペイン音楽風味は極めて薄い。トローバのキャリアのかなり後期の作品であるが、彼が若い頃学んだマドリッドの前衛芸術家集団27年世代の雰囲気を感じさせる。楽譜が入手困難であるのと、一般に思われているスペイン音楽とは違うタイプの音楽なのでほとんど演奏されることがない。だが、ところどころに現れるカスティーリャ風の旋律やリズム要素は明らかにトローバ風であり、新古典派的なトローバ作品としてもっと弾かれてよい作品である。


カスティーリャ組曲

(ファンダンギーリョ、耕し歌、ダンサ)

1920年代に書かれたダンサが巨匠アンドレス・セゴビア曰く「ギタリスト以外の作曲家によって書かれた初のギター作品」とのこと。残念ながらこの栄誉はファリャ作曲のドビュッシー讃歌に与えられるのが通常のギター史の定説である。ファンダンギーリョは強いアンダルシア感を感じさせる。耕し歌の和声はまさに印象派。ギターの平行移動の和音をうまく用いている。終曲に置かれているダンサは、前2曲と比べると素直な和声感であり、華やかな終わりとなっている。


特性的小品集 

(プレアンブロ、オリーブ畑にて、ブルガレサ、五月、夜明けの唄、パノラマ)

小品集と言いつつ6曲でひとまとまりの作品となっている。第1曲のプレアンブロからスタートし、最後のパノラマではそれまでの曲の断片がすべて登場し締めくくりとなっている。三曲目は出版譜では「メロディア」という曲になっているが、アンドレス・セゴビアの実演では三曲目はブルガレサで置き換えられるのが常であった(本日はこのバージョンで演奏する)。全編を通して感じとれる寂寞とした空気感はまさにカスティーリャの空気感そのものである。


スペインの城

(トゥレガノ、トリーハ、マンサナーレス・エル・レアル、松のロマンス、アルカニィス、シグエンサ、アルバ・デ・トルメス、アルカーサル・デ・セゴビア)

スペインの城は実在する古城をイメージして書かれた曲である。スペインの城連作には他にも数曲あるが、アンドレス・セゴビアが”8つのスペインのスケッチ”としてまとめたのが本日演奏される8曲である。リズミカルなトゥレガノから始まり、ニ長調のトリーハ、ハ長調のマンサナーレスへ調を落としつつ進み、松のロマンスとアルカニィスでイ長調の朗らかな様子を効果的に挟み、シグエンサのミスティックな風情へとつなぐ。アルバ・デ・トルメスではトローバの新古典主義的センスが感じ取れるが、終曲では帰営ラッパを模したオープニングから始まり華やかな締めくくりを見せている。


ラ・マンチャの歌

(ヘリゴンサ、冬がやってきた、コプリーリャ、羊飼いの娘、ラ・セギディーリャ)

トローバ珠玉の名曲であるのにも関わらず、出版譜そのままだと演奏不可能であること、実演が極めて少ないことからあまり演奏されることがなかった曲。長調の曲に挟まれる「冬がやってきた」「羊飼いの娘」は寂滅感の印象が強いものの美しく心に残る。冒頭と終曲の「ヘリゴンサ」「ラ・セギディーリャ」のスペインの古風な舞曲感はまさにトローバのお家芸である。終曲の手前に置かれる羊飼いの娘の複合拍子感は息の長さからはスペインの古い中世音楽例えば聖母マリア頌歌集など)からの影響を感じさせる。今回の演奏にあたっては、古今東西のすべての録音をあたり楽譜のエディットを行なった。1番参考になったのは引退した巨匠ジョン・ウィリアムズのものである。

トローバ、トローバ、トローバ! 全部トローバ!

10月7日の洗足学園音楽大学での「モレーノ・トローバの世界」コンサートが近づいて参りました。

全部モレーノ・トローバの作品だけのコンサート。結構レアです。
(多分、アンコールはトローバ以外を弾いちゃうんだろうなあーw)

モレーノ・トローバの世界






















割とこの日、他のギターコンサートと重なっているんですねー。しかも、スペインの巨匠2名(トラパガとマリア・エステル・グスマン)。僕も僕でスペイン音楽の世界頑張って伝えようと思っています。

まだお席ございますので、予約は下記まで。お名前と人数いただければ当日精算でお入りいただけます。

1007premium35@senzoku.ac.jp

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SENZOKU GAKUEN 100th ANNIVERSARY  プレミアムコンサート 

モレーノ・トローバの世界」 


*モレーノ・トローバはスペインの大衆オペレッタ”サルスエラ”の大家で あり、同時に多くのギター作品を残しました。彼のギター作曲作品には スペインのカスティーリャ地方独特の雰囲気が濃厚です。トローバが ギターに託したスペインの空気感や色彩感を堪能してください。 


富川勝智 (クラシックギター/ワールドミュージックコース講師) 

program 

モレーノ・トローバ作曲: 「カスティーリャ組曲」 「スペインの城」 「特性的小品集」 ほか 


2023年10月7日(土) 開場14:30|開演15:00 

\2,000|全席自由|要予約 小学生以上入場可 

洗足学園音楽大学 シルバーマウンテン2F 

JR南武線「武蔵溝ノ口」駅 東急田園都市線・大井町線「溝の口」駅 南口下車徒歩8分 


予約方法 

1007premium35@senzoku.ac.jp までお問い合わせください 

www.senzoku-concert.jp 


主催 洗足学園音楽大学・大学院 

後援 「音楽のまち・かわさき」推進協議会 



クラシックギタリストらしい活動〜3月のいろいろ

最近、いろいろなジャンルのミュージシャンとユニットを組んでおりますが、本職「クラシックギタリスト」を忘れそうになります。(そういう活動での「ライブ」はこちらのブログ記事にまとめております)

いい意味で「ギタリスト」であるとは思うのですが、ホームグラウンドの心地よさっていうのはあります。

来月3月は半ばからがっちりと数日間は「クラシックギタリスト」としての活動をします!…とはいっても、3/20は歌とのコラボですねw やっぱり完全にクラシックギターへは専念できないみたい〜 苦笑。

3月16日(木):富川勝智ギターリサイタル@東京本郷三丁目「名曲喫茶カデンツァ」→タイトルのあるとおり「モレーノ=トローバ」作品を増量でお届けします!
20170316富川ソロチラシ
 

















3月18日(土)「ソル二重奏曲コンサート」@大阪 フレット楽器ヤマサキ
岩崎慎一&富川勝智でほとんどのフェルナンド・ソルのデュオ曲を!
20170318ソルデュオ



















3月19日(日)ギター史講習会&富川勝智個人レッスン会@大阪門真 松本ギター工房
15:00-概論 17:00-ロマン派&近代 受講料:各講義2500円(学生2000円)
お問い合わせ:yoshiguitar@icloud.com
✴︎富川勝智個人レッスンを希望の方も上記メールへお問い合わせ下さい。

3月20日(月)工房コンサートwith笑間コーヒー
14:00-(歌:仲大盛易力 ギター:富川勝智)
お問い合わせ:yoshiguitar@icloud.com

 


 


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多数のご来場ありがとうございました!

昨日は六本木のデザインKホールでのソロリサイタルでした。
雨で、寒い中、多数のご来場ありがとうございました!
最初は30人くらい来てくれるかなあ???という予想でしたが、ふたを空けてみれば、60名近くのご来場…ほんとうに感謝です。



さきほど、昨日の演奏についてひとり反省会(←演奏会後、必ずやります)を終了。今後の課題も見えました。

お客様から頂いた感想を思い返すと、「スペインの城」が好評だったようです。あとは前半の「ロートレック讃歌」と「ロンデーニャ」ですかね。

昨日弾いたプログラムはこちら。

(前半)

F.モレーノ=トローバ:カスティーリャ組曲

R.S.デ・ラ・マーサ:歌とカスティーリャ舞曲

E.S.デ・ラ・マーサ:ロートレック讃歌

R.S.デ・ラ・マーサ:ペテネーラ、サパテアード、ロンデーニャ


(後半)

F.タレガ:アラビア風奇想曲

J.トゥリーナ:ファンダンギーリョ

E.S.デ・ラ・マーサ:暁の鐘

J.マラッツ(タレガ〜富川編):スペイン風セレナーデ

F.モレーノ=トローバ:「スペインの城」よりトゥレガノ、松のロマンス、シグエンサ、アルカーサル・デ・セゴビア

いずれにしてもソロで全部やるのは久しぶりだったので、感覚を掴むのにかなり時間がかかりました。来年以降、ちょっとだけソロを増やして行こうと思っています。

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トローバの秘曲「幻想的ソナタ」とパブロ

幻想的ソナタとCD

 

 

 

 

 

 

昨日、現代ギターの原稿を提出。

12月号のための「セゴビア・アーカイブ」の原稿です。

モレーノ・トローバです。幻想的ソナタ。

写真に写っているCDは、その世界初録音のCD。演奏しているのは、スペイン留学中の友人だったパブロ君。立派になったものです。

講習会で一緒になって、彼のダマンを弾かせてもらいました。もの凄く良かったので、「いいなあ〜」っていったら、「じゃあ、お前のアルカンヘルと交換しようか?」という展開になりました。…一瞬本気で考えてしまいましたが、このときパブロと楽器を交換していたら、お互いのギタリストとしての人生変わっていたかもしれません。

そんなことを考えました。

あと昨日は現代ギター社でレッスンでしたが、ちょうど午後7時からGGサロンのほうで、アリエル・アッセルボーン氏がCD発売記念ライブをやっていました。

最後15分くらいを、生徒を引き連れて鑑賞。

うーん、こなれたなあ…(いやあ、昔から彼の曲は良かったけど)

世界がありますね。彼の歌とギター。それにしてもあのギターを弾きながら、あの歌は凄いなあって正直感心。

開演前にちょっと世間話。ダイエットの話ばかり。

どちらにしても、11月3日の当教室のゲストとしても呼んでいるので、演奏楽しみになりました!

 

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