ギターレッスンと演奏の日記 from 富川ギター教室

クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。

振動

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弦の振動をわかりやすくするために・・・

ずっと作ってみたかった「道具」をとうとう作成しました。

弦の振動を見やすくする道具です!これでワークショップやレッスンにおいて生徒さんに「弦の振動と爪の形状の関係を説明しやすくなりはずです。

写真で説明しますね。



必要なのは、板、ゴム紐、木ネジ2本。東急ハンズで買ってきました!

さて、まずは板に木ネジをぐりぐり刺します。



そしたら、ゴム紐の登場!



じゃじゃーん!さて、これを板にさしたネジの間に渡していきます。

で、完成!



どうでしょう?でも何をわかりやすくするための道具なのでしょうね?

なので、動画もアップしました。弦の縦振動(垂直振動)と横振動(水平振動)を分かりやすくするため&それと爪の形状の関係を理解しやすくするための道具です。



純粋な縦振動、そして純粋な横振動は(おそらく)クラシックギターの奏法では実現できません。ですが、それぞれをどのくらいの比率で使うか?によって「音色」は変化します。倍音の変化が起こるのです。

一般的に縦振動のほうが表面板に与えるパワーは強くなります。表面板がきっちりと振動するわけです。おそらくタレガ派のテクニックはアポヤンド=縦振動・・・という概念を強くもっていました。なので、基本的にメロディー=アポヤンドなのですね。きっちりと表面板を振動させたい!・・・という訳です。

現代的な奏法ではアルアイレでも十分に縦振動を与えることが可能であると考えられています。スコット・テナントが書いた名著「パンピングナイロン」(←名著であると本当に思います)では、『アルアイレでは弦を表面板方向に押し込むこと』という考えが書かれています。それは右手親指の場合でもそうです。

しかし、あまり爪の形状によって弦を押し込むというアイデアは、意図的なのか意図的でないのか、ほぼ「あまりはっきりとは触れられていない」わけです。「爪の形状」のところではそれとなく触れていますが、右手の弾弦の部分では爪の形状については”説明済み”ということで、あまり語っていないのです。

1:爪の傾斜を緩やかにして、ヌケのいい爪を作った場合は、関節のロックによって「押し込み力」を強くしなくければ、良い音はでません。

2:傾斜が強い爪を作った場合、指にかかる抵抗は強くなりますが、弦の縦振動は強くなります。しかし、抵抗が強すぎると、指をMCP関節の自然な動きにしたがって「ふりぬく」ことができずに、ひっかき上げてしまう場合があります(初心者や独学者に多いタッチですね)。これは酷い場合には「バルトークピチカート」になってしまう場合があります。これは「楽音」ではありませんね。

なので、現代的な奏法で教えている先生であれば、ほとんどが1のアプローチでまずは生徒さんの爪の形状を作っていくはずです。まずは「指の自然な動きが重要」というわけですね。その後、は大まかに以下に分類されるでしょう。
1−A:爪の形状ですこしずつ「垂直振動」を強くする。
1−B:プランティングなどの練習によって「関節のロック」によって指の弦に対する押し込む量を増やすようにしながら、垂直振動を多くしていく。

これもまた、必ずどちらか一方が正しいというわけではありません。私が見た限り、熟練した奏者は上記AもBも両方使い分けていると思います。
そして、1−Aでいくと、結果として上記2に極めて近い考え方となっていきます。

いずれにしても、このように考えていくと、各人爪の長さは違ってきて当然です。爪が長くても「ふとくてまろやかなトーン」が出せる人はいます。


・・・というわけで、先日10月16日に行なった日曜ワークショップでは、以上のようなことをみなさんと勉強したわけです。また同様のことをテーマにワークショップをやっていきたいとは思います。(次回11月27日は左手の講座になってしまいますが・・・)

しかし、こう考えてみると「ギター奏法」って深いです。そして、それを身体の自然な動きとリンクさせていく作業は「狭い視野」では行うわけにはいきません。従来のギター奏法(ソルやアグアド、そしてタレガの奏法、セゴビアの奏法など)の研究も必要です。

うーん、研究あるのみ!

富川勝智

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「音=振動」(簡単な音色の理論とギターの特殊事情)

1月に行なった「ギター奏法の基礎の見直し」講座に参加した方の中に様々な変化が起こっています。みな、基本の理論をもとに、各自の奏法を研究してくれるようになっています。

とてもいいことです。

レッスン時においても、前回の講義で分かりにくかった部分を個人的にフォローして欲しい、という要望もでてきております。

なので、簡単にまとめておきます。

音というのは「振動」です。そして、その「振動」をいかにして起こすか、そして「振動」をいかに「楽音」としていくか…このあたりを研究していくのが「奏法」ということになります。

つまり、どのような振動が「楽音」(音楽を奏でるための音色ですね)なのか?…逆にどのような振動が「雑音(ノイズ)」なのか?…以上2つを明確に区別することが奏法を考える上で最重要事項です。

消去法が簡単です。

まず「ノイズ」について考えましょう。基本的に「引っ張りあげる」のは「雑音」つまり「ノイズ」です。

以下の写真を参考に。

(写真1)

弦をひっぱりあげる

上はギターの3弦を上方向に引っ張っているところ。そして、1センチくらい上げたところで離します。…ばちーん。耳に痛い音ですね。これは「ノイズ」だと思います。

(そう思わない人は逆にいえば相当耳の「肥えている」人です。理由は下記。)

(まれに現代音楽とかで、このノイズを「楽音」と定義する場合もあります。それを「バルトーク・ピチカート」と呼びます)

基本的にクラシックギターの音色の範疇ではありません。この弦の振動(もしくは振動方向)を避けることが大切です。表面板に対して垂直方向の振動ですね。

ところで、表面板に対して垂直方向の振動であっても、「ノイズ」にならない場合もあります。

以下、写真を参考に。

(写真2)

弦を引っ張り下げる

5弦を表面板方向に押し下げているところです。そして離します。これは写真1の「ひっぱり上げる」ときと同じくらいの距離を引っ張っても、ノイズにはなりません。(お試しを!!)

そうなのですね。「音色」として使う垂直振動は、表面板に対して押し下げるタイプのものは「楽音」としてOKだということです。

もうひとつ、弦を表面板と平行に振動させるものもあります。これは「ノイズ」とはなりません。

一般的なアポヤンドのタッチはこの平行振動です。

もちろん、アポヤンドでなくても、この平行振動に近いものは実現できます。このあたりの議論は、アルアイレ中心主義者とアポヤンド中心主義者の議論の論点となっているようですが…

 

ある程度まとめておきます。

  1. 垂直振動
  2. 平行振動(一般的にはアポヤンド)
  3. 上記1と2のミックス(一般的にはアルアイレ)

そして、垂直振動と平行振動では「音色」が変化します。このあたりは楽器によって誤差があります。1と2で変化が欠しい楽器は音色のバリエーションに欠しいということです。

(括弧内)は便宜上のものです。

アルアイレでも振動方向を平行振動に近い形にできます。逆もしかりです。既存のアポヤンドのフォームでしか平行振動を実現できない奏者もいまだいますが、現代的な多くの奏者はアルアイレで極めて近い音色を実現できるものです。

このあたりの理論的裏づけがない「奏法理論」はからまわりすることが多いです。結局、「アポヤンドでしか出ない音色がある!」とか、「アポヤンドは不要だ!」という極端な方向に走ることが多いのです。

結局「音色」を決めるのは、弦の振動方向ですから、それが実現できればよいのです。
 

その音色のバリエーションを増やす方法(=弦の振動方法を変化させる方法)は、演奏家によって異なるわけです。それを「俺のやり方は正しい」「あっちのやり方は間違っている」といってもしょうがないわけです。

音色に関しては右手のアングルなども関連があります。これについてはまた機会があるときに書きますね。

 

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