ギターレッスンと演奏の日記 from 富川ギター教室

クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。

ひとり反省会

2019.8 新サイトOPEN!
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フルート&ギター演奏会終了!

昨日はフルート山下兼司氏との2重奏コンサートでした。

和嶋みわこさんの絵画個展のオープニングとしてのイベント。

録音を聴きながら、ひとり反省会終了したところ。簡単にメモしておきます。

アーノルド「ファンタジー」…会場でのリハーサルがなかったので、本番ではなんとなく音のアタックが聴こえなかったのだけど、録音を聴くとそうでもない。もう何回か山下氏とは演奏しているので、割合自由に演奏できている。この曲、玉数(音数)は少ないけど、結構深い曲だなあ。

ラベル「ハバネラ形式の小品」…これは、本番山下氏、かなり自由に吹いてくれたので、こちらも自由に…。とはいって、きっちりはまっているところははまっている。それにしても、山下氏の音色、録音で聴くと、滑らかだなあ。

ジュリアーニ「小さなセレナーデ」…このあたりでお互いの楽器も鳴り始めたようです。ギターの音もだいぶ前に出てきたし、山下氏の音色も古典らしい明朗さに満ちています。アレグロの部分のグルーブ感がいい感じに弾けて、個人的には大満足。

プレーガー「序奏、主題と変奏」…本番直前の「打ち合わせ」が非常に役立ちました。変奏曲というのは、各変奏のテンポ設定とつなぎ方が結構ポイントなのですね。だから結構危険な要素も多いというわけです。それをいい感じに回避できています。全体のノリも演奏中感じていたよりもいいなあ。ギターソロの部分、基本的な音階で弾けると思って甘くみていたら、弾きこぼしがいくつか…悔しいなあ!。アルペジオ、和音ばかりやっていて、突然ソロが来ると結構怖いものだなあ、と思いました。客観的に聴くと、ものすごい格好いい曲です!何故、皆演奏しないのか?…やはり疑問。そのくらい名曲!

テデスコ「シチリアーナ」…自分なりに研究したシチリアーナのリズム感はできているかなあ。でも単純に一筋縄ではいかない曲。細部のチェックをもうちょっと入念にやっておかないと怖い曲だと実感。山下氏の歌いまわしに影響受けて、面白い表現になっている部分もあり、今後の参考にはなる演奏はできたかなあ、と思ってはいます。全体としては悪くないのだけど、テクニック面で私個人にしか分からない後悔は多いかもしれません。

バルトーク「ルーマニア舞曲」…強弱はいい感じにつけられたと思います。バルトークのメロディーで本当に個性的で、魅力的です。基本的にギターは伴奏なので、こういう曲はもう何回かやっていくと、アクセントや流れが身にしみていくのかもしれませんね。今回で「あたり」はついたので、もう何回かやってみたいなあ、と思います。リハーサルではまったくあたりがつかなかったものが、何故か本番では掴めているのが不思議。

ベーレント編「古いイギリスの巨匠による組曲」…残響の多い会場だったので、和音の弾き方を工夫してみました。これは練習では分からない要素かもしれません。アクセント強弱と和音のばらし方そして音の切り方で、ダイナミクスをコントロールしていくという方法ですね。…まあ、偉そうなことをいっていますが、本番のときに思いついただけなのですが。単純にいうとベーレント編は高速での和音変化がすさまじいので、音を切って弾いていくしかないのですが、それをうまいこと全体のダイナミクスへと転化していくということです。

2曲目で途中8小節ほど楽譜を見失って、アドリブしてしまいましたが、今録音を聴いても不自然ではなかったのは幸い。3曲目はメロディーと伴奏のリズムがまったく合わせのときにつかめなくて、本番朝の練習でやっと「こんな感じでいけばいいのかな?」というのが分かった曲。本番はスムーズにいって自己満足です。終曲ジーグもかなり怪しいけれど、なんとかそれなりに処理していますね。もうほとんど、指の動きはオートマチックで動かしているだけですね(ああ、この曲だけはもうちょっと練習しよう!!)。

ピアソラ「カフェ」…録音聴きなおすと、面白いです。山下氏は原則、同じ曲を様々なアプローチで弾いてくれます。特に本番は…。こういうアプローチ法は最近自分でも演奏家として大切だなあと実感しています。リハは割合タイトに(きっちりと正確に)やっておいて、本番でしか生まれないアイデアを大切にする。曲は自分の中で新鮮に響きます。だからといって、デタラメには聴こえないバランス感も必要なのですが…。

各部分の細かいリズム的要素が上手く全体感へとつながっているような演奏となっているのは満足。どこに向かっているのか?が分かる演奏というのでしょうか?…それでいて、各部分の緊張感は失っていません。よく演奏できたのではないかと思っています。終演後、「CDで聴いていて、まあこんな曲だなあと思っていた程度だったのだけど、生で聴くとこんなに感動するものとは思わなかった」という意見を頂きました。嬉しかったです。

パガニーニ「カンタービレ」…当日、楽譜を忘れてしまって、某所よりファックスしてもらうという荒業を使いました。快く引き受けてくれて楽譜関連某所の関係者の方ありがとうございます!!

さて、演奏はとても快適な流れでした。全体としてちょっと早かったかなあ、という感じですが、さわやかな風情があり良かったですね。途中、山下さん、カデンツァを即興している!…というささやかなアクシデントはありつつも、楽しく演奏できました。

デュアート「アン・プティ・ジャズ」…直前、練馬の山下氏のスタジオでのリハで、「あれ〜?音増えてないか?」といわれた今回の問題作(?)。ただ単に私が練習に取り掛かるのか遅かっただけですが…(反省)。でも、本番はできていますね。スウィング感も出ています。

2曲目のメロディーと伴奏の関連が本番でやっと掴めている感じです。録音しておいて良かったという感じ…今後やる場合は、もっと明確にアクセントなどつけられると思います。3曲目は5拍子と6拍子の混合です。これもいい感じにはまっています。和音が半音下降していく「浮遊感」が大切な曲なのですね。これは本番中気がつきました。最終曲は、いわばロックンロールです(!)。楽しめました!

 

(全体の感想)

私が個人的にいろいろと忙しく、山下氏も多忙なので、その合間を縫って2回ほどあわせただけでしたが、本番はそれなりにできました。それなりといってもいい部分はかなりあったような気がします。面白いのは本番でしか出ないアイデアがあるということでしょうね。これを録音でチェックして、楽譜などにメモしておくと頭がすっきりします。で、再演するときに、そのあたりは頭の片隅においておいて、またゼロから楽譜を読み直すとまたいろいろでてくるものなのでしょうね。こういうフィードバックのシステムはどういうふうになっているのか、最近は経験でつかめてきたよう気もしています。

山下氏のフルート、やっぱりいい音です。存在感があるというか…本番で威力を発揮する音色なのですね。録音で聴くと良く分かります。普段は隣にいるので、このあたりはお客さんが一番よく分かっていることと思いますが。

ということで、こんかいの「ひとり反省会」は終了。次回山下氏とのデュオは12月7日。杉並の公民館にて予定しています。これは一般向けのプログラムで古賀メロディーとかをやります。入場は無料ですが、申し込み制です。詳細が分かり次第お知らせします!!

 

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11月9日のライブ録音を聴く(ひとり反省会)

先週金曜日はライブでした。演奏会後はそのときの録音を聴いて「ひとり反省会」を開くのが恒例となっております。

金曜本番+その後打ち上げ朝3時頃まで・・・土曜は朝10時から夜7時までレッスン・・・日曜午前お買い物&午後昼寝・・・という感じでしたので、やっと今ゆっくりと録音を聴くことができました。

とりあえず先日のセットリスト、以下です。

(富川勝智+尾野桂子)

小さい秋みつけた(中田喜直)

おてもやん(熊本民謡)

カラグナ、チャサピコ&チャサポセルウィコ(ギリシャ民謡)

赤いほっぺ(スリナッチ)

ロシアの思い出(ソル)

(尾野桂子ソロ)

前奏曲1番&ショリーニョ(ヴィラ=ロボス)

月光(ソル)

アランブラ宮殿の思い出(ターレガ)

(富川勝智ソロ)

11月のある日(ブローウェル)

トリーハ(トローバ)

エストレリータ(ポンセ)

アラビア風奇想曲(ターレガ)

魔笛の主題による変奏曲(ソル)

(富川勝智&尾野桂子)

パヴァーヌ(フォーレ)

無窮動(プーランク)

タランテラ(プティ)

アンコール〜オーバー・ザ・レインボウ(アーレン)

以上で、前半1時間、後半も1時間というボリュームたっぷりのライブとなってしまいました。

 

さて、以下富川による「ひとり反省会」です。(演奏で使用した楽器はロベール・ブーシェです)

小さい秋みつけた(中田喜直)→よく歌えていたと思います。音程感とそれを表すための音色の扱いがうまくいきました。ブーシェ独特の音の残りかたをうまく利用してヴィブラートをかけましたが、これもうまくいっています。しかし、逆にこの「音の残り」が和声的に濁りもうむ危険性もあります。これは今後のコントロールの課題点です。

おてもやん(熊本民謡)→民謡独特のニュアンスはスタッカートなどを利用してうまく表現できました。全体としてもうすこしダイナミクスに起伏があればと思いました。

カラグナ、チャサピコ&チャサポセルウィコ(ギリシャ民謡)→フレーズ感を表すのに苦労しましたが、アゴーギグの扱いなどうまくいき、なんとか「聴かせる」演奏ができたと思います。タメる部分・・・も良い感じに決まっていると思います。その場、その場で想いをこめていく即興的な感じもでていて、全体として満足いく出来でした。

赤いほっぺ(スリナッチ)→カウンターラインの扱い(音色の変化)はグッドです。もうちょっと音量を落とすところをつくるとコントラストがでたかもしれません。

ロシアの思い出(ソル)→序奏部分。「重み」がうまく表現されています。しかし、その重みを抜ける瞬間を無意識に弾いているため、後付けの表現になっています。このあたりは次回演奏時にしっかりとチェックしておこうと思います。変奏部分はリズムコントロールがうまくいっています。楽器に不慣れなせいか、ポジション移動と押弦のちから加減がうまくいっていない部分もありますが、これは時間の問題でしょう。もうちょっとテヌート部分をつくれば良かったとも思いますが、古典的な明瞭さは出せていると思います。旋律を歌わせるときのヴィブラート&減衰(これがブーシェの魅力)もうまく決まっています。この感じはアルカンヘルでは出せないなあ、と本番中も思いましたが、やはり録音を聴いてもそう思います。このセクシーさはブーシェ独特なものなのか?・・・今後の研究課題です。終結に向かってのテンポの詰め方は良い具合に決まっています。どちらにしてもこの曲はテンポ設定とリズムのコントロールがとても難しいのです。今後もいろいろ試しながら弾きこんでいきたい曲ですね。

(※ここで前半最後は尾野桂子のソロでしたが、これについての寸評は後述・・・とりあえず、自分の関わっているものを「反省会」します。)

(富川勝智ソロ)

11月のある日(ブローウェル)→1弦の音色のコントロールができていない。ブーシェらしいまろやかさはよく出せている。

トリーハ(トローバ)→凡ミス多し。やはり譜面なしで弾いている弱点である。ほぼ暗譜しているという安心感がうむ嫌なタイプのミス。

エストレリータ(ポンセ)→これは良い演奏だった。南米的リズムに集中して演奏したが、実際の演奏を聴くと音色のバリエーションも綺麗についていて、良かったと思う。アルカンヘルで弾くよりも若干ピアニスティックな表現になったかもしれない。

アラビア風奇想曲(ターレガ)→この曲にきて、やっとブーシェらしい音色を意識的に出そうとしているのが録音を聴くとわかる。イントロ部分の「うねり」がうまくいっている。上行スケールももうちょっとニュアンスが欲しかったかなあ。低音の音が荒い部分があるが、全体のノリとしては良かったかもしれない。アラビア風な感じにはまとまっている。

魔笛の主題による変奏曲(ソル)→思っているよりしなやかに弾けているが、古典的な明瞭さが前半に欠けている。単純にテクニックの甘さが出ている部分もあるが、単純にリズムトレーニング不足かもしれない。最近のサボりがでる。注意。3連符〜コーダ部分の表現は良い意味で「レヒーノ的」。偶然ではあるが(その場の思いつきの表現アプローチという意味ですよ)、このかっちりとした「フルピッキング」な感じは意外に悪くないと感じた。そういえば、大学生くらいのとき、こんな感じの表現好きだったなあ・・・と思ったわけです。三つ子の魂百まで?。

(富川勝智&尾野桂子)

パヴァーヌ(フォーレ)→伴奏のバランスが良いです。デュオでの音量バランスはもうちょっと考えたほうが良かったかもしれません。

無窮動(プーランク)→メロディーの音圧がしっかりと感じられた演奏だったと思います。尾野の伴奏のバランスとリズムも良い!。私のポジションミスのごまかし方もうまい。これはおまけ的プラスポイントだけど。2楽章の雰囲気もうまくまとまっていて、3楽章の華やかさもよく出ている。もうちょっとフランス的な細かいニュアンスを出した演奏アプローチも磨きをかけたいところだが・・・。

タランテラ(プティ)→練習の成果が良く出ている。時間的制約の割にはよくまとまっている。それにしても音階が不慣れなパターンが多くて困った曲だった。今後もパーツ練習は続けていこう。全体としては良い演奏ができている。

アンコール〜オーバー・ザ・レインボウ(アーレン)→アンコールらしいリラックスした表情で弾けている。とても良かったのではないだろうか?

以上、私の『反省会』。

以下は尾野のソロを聞いた私の『感想』(私の弟子なので、割合ストレートに記述します)。

(尾野桂子ソロ)

前奏曲1番&ショリーニョ(ヴィラ=ロボス)→前奏曲1番。実に立体感ある演奏だったと思う。低音のメロディーと伴奏部の弾き分けがうまくいっているので、オーケストラ的に「左右に分かれて聴こえる」。中間部の楽譜の正確な読み(リズム面)も功をそうしている。女性らしいエレガントな中間部。この部分で華やかさ&しなやかさを出さないと、テーマ部分に戻ってきたときの粘りがなくなることを忘れている人が多い中で、この点をしっかりと把握している演奏。ショリーニョも間のとりかた、緊張感の高め方など「手のうち」に入った演奏。細かいニュアンス&リズムの伸縮のバランスも絶妙。中間部のショーロ的軽さ(リズム面)がもうちょっとでると良かったとは思うが、これは弾き込んで行くうちに表にでてくるだろう。

月光(ソル)→メロディーをよく聴けている演奏。後半リピート時の最初のほうに若干の「迷い」があるが、これが表現としてうまく機能している。個人的にはこの表現はプラス・・・。演奏家としてやっていくと、このような偶然の産物に出会うことがあるが、これをその後の表現アプローチに活かしていくことがポイントとなります。終結に向かってのクレッシェンドの扱いもデリケートでよかった。

アランブラ宮殿の思い出(ターレガ)→3拍子のリズムをうまく捉えている。トレモロの音色も「正攻法」で、とても良い(粒が出ている!)。表現の方向性(緊張感の高低)もしっかりと分かる名演。Pのタッチにもうちょっと深み、音色の変化があると表情がぐっとでるのであるが、これは本人も分かっているようなので、今後の課題なのだろう。全体としては、とても良い演奏。この演奏のテクニック&表現のバランスがとれた「名演」はどのプロ奏者にとっても難しい。その観点からみれば、素晴らしい演奏であったと思う。

 

以上、ひとり反省会でした。

全体としては、良かったと思います。なによりもまず、最近使用しているブーシェの特性がとてもよく理解できました。楽器というのは「らしさ」が大事です。この「らしさ」を徹底して研究して掘り起こすことが新しい音色のバリエーションを得る方法なのでしょう。この「らしさ」を追求していくと表現のアプローチも変化していくのが自分でも楽しめました。この感覚を忘れないうちに、いろいろと試してみたいと思います。

また楽器の可能性を認識させてくれた場を提供してくれたBlue-Tさんにも感謝です。やはり楽器のポテンシャルは本番+会場の音響によって左右されます。(もしかしたら、後方にあったスタインウェイが協力してくれたのかも?)

プロとしての弟子とのデュオは実は初めてでしたが、これもうまくはまったようです。お客様からは「息が合っていた」「左手の形が似ている」など言われました。手の形が似ている・・・は非常に興味深い発言でした。やはり知らず知らずのうちに似てくるのでしょうか?。私自身もとても楽しく弾けました。尾野桂子のレスポンスの良さもとても良かったです。けっこう好き勝手に弾いてもついてきてくれましたので。

さて、長ーくなりましたので、このへんで。

ほんとうにご来場のみなさま、ありがとうございました!!

 

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