昨日の“「合理的な」テクニックとは?”という記事ですが、あづみ野ギターアカデミー開催にあたって「アンドーヴァー講習会」のご案内というつもりで書きました。
で、書いてからいろいろ考えました。
そして、ピアニストの方からコメントも頂きました。下記に引用します。
私も、アレクサンダーテクニックのワークショップに参加したことがあります。そのときは、ボディマッピングという講座でした。
ピアノ業界では、未だに、根性練習が、わりと幅を利かせていたり、自慢の種になったりするようで・・。何時間練習したとか。たとえば。
楽器をやる上では、こういった、身体そのものを見つめ直す機会というのは本当に大切だと痛感します。
身体そのものに正直であること…このことの大切さは「こども」のレッスンなどをしていると実感することが多いですね。また大人であっても、「ギターに触ったことすらない入門者」の人からも多くのことを学べますね。
身体感覚に正直でないなあ…と思うのは「独学で長い間やってきた人」というパターンが多いですね。
例えば左手の親指…いまだに『左手親指は2指の裏側に!』という「ルール」を信じている人が多いのが現状ですね。またそういう風に教えている先生も多い。このルールは実は“身体感覚としてはNG”なのですね。
しかしネックの裏側にある左手親指が2指の裏側に位置していてもOKという場合もある。これは左手手首の状態とそのほかの指が自由に動くかどうかをチェックすれば分かります。基本的には親指を2指のほうにぐいっと動かすと手首は緊張します。しかし「ある動かし方」をすれば、同じようにしても手首は緊張しないものです。
この「ある動かし方」はなかなか言葉では説明しずらいですね…別に企業秘密というわけではないのですが…
上記のことは子供のレッスンのときに気づいたものです。子供は「握る動作」を自然にしますので…。
で、かつてバルセロナで師事していたアレックス・ガロベー氏のレッスン時の言葉を思い出しました。
『騙されたと思って、全部“カントリーグリップ”で、その部分弾いてみろ!…そうすると左手指先の押弦している感覚が敏感になるだろ?』
(※カントリーグリップとはギターのネックを手のひらで握りこむようにするフォームのこと。一般的には左手指の独立した動きを妨げるためクラシックギターのメソッドでは否定されている)
…これは本当でした。もちろんこれはガロベー氏が指先と腕とのリンクを感じてもらいたくて行った“実験”でした。手首の状態を『オンライン』状態に保つことの重要性に気づいてもらいたかったのでしょう。
勿論、カントリーグリップオンリーでクラシックギターのレパートリーは弾けません。しかし、指を独立して動かすにしても、「できるだけ自然な動作で」行うことができれば、指への過度の負荷をさけることができますし、コントロールもしやすくなります。
上記のように、身体のことを考えながら、練習していくことは非常に大切です。教える側もそういう意識をもって、常に「生徒さんが自分の身体の動きに意識的になる」というふうに導いていかないと、よくないということなのです。
この自然な動きは子供は生まれながらにして持っています。しかし、それが大人になるにつれて「間違った動き」を身につけてしまい、それが「正しい動き」であるかのように誤認識してしまうわけです。で、どんどん「ぎこちない動きの大人」になっていくわけです。(このことがアレクサンダーテクニックの基本的な発想です)
逆にいえば、子供の動きから自然さは学べます。またギターだけに限って言えば、「ギターを弾いたことが全くない入会者」は、実は既存のギターメソッドの影響を受けていないために「悪癖がつかず上達できる場合」が多いのです。
そういう「気づき」の場として、アンドーヴァーは有効なのだと思います。(あとは各自の研究と意識の働かせ方の問題であると思います。別にアンドーヴァーを受けなくても、カルレバーロ奏法を学んでいなくても、アンドレス・セゴビアは“極めて自然に”身体を使って演奏していたのですから…)
あづみ野ギターアカデミーの「アンドーヴァー講習会」の申し込みは下記からできます。(締め切り7月31日です!お早めに!!)