最近…というよりはここ数年の研究テーマなのですが、正しい指の動き(自然な動き)で弾くということを教えるのは難しいのだなあ、と感じています。

動きを意識化する&無意識な動きが悪癖であるならばそれを駆除する…このことはいつも教えるときに苦労します。

たとえば、歩いているときに誰でも自然に腕をぶらぶらと動かしているはずです。いったん、それを「やめてみる」ということをやってみてください。とても居心地が悪いはずです。そして、再び歩くのに任せて腕をぶらぶらさせてみてください。そうすると、腕の動きが「意識化」できているはずです。
…ああ、肩甲骨のあたりも動いているんだな、とか、鎖骨も動くんだ!、とか。

クラシックギター演奏においても、ある動きを集中してやっているときはきちんと「正しく動かせる」のに『曲を演奏しよう!』と思った瞬間に「無意識になる」場合があります。もともと悪癖を持っていた人はその悪癖に打ち勝つことがかなわないわけです。

その例を動画でどうぞ。



曲はフォルテアですね。aのタッチを「きちんと振り抜くように」してほしいのですが、指単独でMCP関節を意識してやっている最初はできています。しかし、「曲を弾く!」と思った瞬間に「ひっかき弾き」となっています。

こういう場合はどう指導していけばいいのでしょうか?また、生徒さん本人はどのように修正していけばいいのでしょう??

正しい動きをしよう!・・・と思えば思うほど、なかなかできません。こうしなければ!という意識を「抑制」します(アレクサンダーテクニーク用語です)。

ある動きをしない!もしくは『逆のことをやってみよう!』とすることが大切です。

ふたつの動画をご覧ください。前の動画とは違う生徒さんです。






本来とは逆の動作を「意識してやってみる」というのが、関節の意識を高めます。最初の動画プロセス1では「指の関節を逆に動かす」というのができていません。関節をコントロールできていないのです、自分の脳みそで。

さて、二つ目の動画プロセス2では、きれいに「逆の動作」ができています。本来ならば、この弾き方は俗にいう引っ掻き弾きなので、使うことはおすすめしません。しかし、このダメな動きがきれいにできるから、「その動きをしない」と強く意識すると、右手の動きがきちんと正しくコントロールされているのが確認できるはずです。

さて。。。

昔から、名手は「下手な人のまねが上手」と言われています。僕の師匠であるホセルイスゴンサレス先生も、「お前の音はこーだ!」といって、きたなーい音を真似するのがとっても上手でした。

それだけ、指の動きを意識化しており、自分のコントロール下においていたということなのですよね。

アレクサンダーテクニークはスペイン留学中に2年弱個人レッスンに通いましたが、まさに自分の身体感覚を再考する良い機会でした。そして、いま生徒にレッスンしているときに、このような形で応用しています。なかなか深いですね。

参考資料は以下。(抑制についてちょっと確認しました)
アレクサンダー・テクニークにできること―痛みに負けない「からだの使い方」を学ぶ
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富川勝智

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