ギターレッスンと演奏の日記 from 富川ギター教室

クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。

カルカッシ

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「版」の意味〜セゴビア編ソル20のエチュード再版!

アンドレス・セゴビアが運指を付け、音楽的な解釈(アゴーギグ)などを与えた「セゴビア編ソル20のエチュード」がやっと再版されました!

クラシックギターを学ぶ人にとって、アンドレス・セゴビアの運指&解釈を学ぶことが大切です。そのことに関して、以前ブログ記事を書きました。

ソル20のエチュード〜セゴビアの意図を探る

この記事を読んだ生徒さんの中に、「自分もこのエチュードをやってみたい!」という方が多くいました。ですが、この記事を書いた時点(2014年3月)で、なんと絶版…。ネットオークションなどではプレミアがついていたり…嗚呼…。

その後、クラシックギター専門店などに問い合わせても、在庫なし…という状態でした。

ところが、このたび、やっと再版!うれしいニュースです。




版について簡単に触れておきます。この版は「アンドレス・セゴビアは運指を付し、解釈をほどこした」という点で意味があります。つまり、セゴビアという巨匠の考えを学ぶという点で価値があります。

アマチュアのギタリストの人が陥りがちな考えは以下です。
1:セゴビア版が絶対に正しい版である。
2:ソルの原典版のみが正しい版である。

1も2も正しくありません。セゴビアの考えを学びたいのであれば、1を。ソルの考えを学びたいなら、2をセレクトすれば良いだけです。

ソルのエチュードには他にも重要な学ぶべき版がたくさんあります。例えば、イエペス編、レヒーノ編…それぞれに違いがあります。個性があります。その個性(各編者の音楽的な意図)を学ぶ事が、「版」を学ぶことです。

同様に「カルカッシ25のエチュード」を学ぶ場合には、カルカッシの意図を学ぶ場合には原典版をセレクトしてください。

最近、現代ギター社から出版されたものは原典版に近いです。



ただし、注意すべき点は、カルカッシ25のエチュードの「教育的意図」を提案したのは、ミゲル・リョベートであるということです。リョベートによる運指によって、このカルカッシ25のエチュードは「近現代ギターテクニックを学ぶための最良のテキスト」になったと言えます。

なので、全音から出版されている版は、その運指のほとんどにおいて「ミゲル・リョベートの運指」を採用しています。なので、この版も是非学ぶべきであると私は考えています。


 

もちろん、現代ギター社版には「原典版」としての良点がたくさんあります。右手左手のフィンガリングも原典は極めて少ないですので、自分で優れた運指を探っていくという使い方ができます。また現代ギター社版には、佐藤弘和氏による優れた解説が載っていますので、音楽的な理解を育む上で最高のテキストになります。

…私個人としては、まずは全音版(つまり、リョベート版)でスタートして、その後、しばらく間を置いてから、原典版(現代ギター社版)で学び直すのが良いのかなあ…と。

いずれにしても、今回、セゴビア編20のエチュードが再版されたことはうれしいことです。きちんとセゴビアの巨匠のワザを学ぶ教材が残って行くべきだと思いますし、その機会は失われてはなりません。

そして、版(編)について、きちんと皆さん学んでほしいと思います。それにはギター史の正しい知識が必要となってきます。余談にはなりますが、7月から(公社)日本ギター連盟主催の「ギター史&和声学ワークショップ」がスタートします。興味が有る方は是非、参加してください。今回で4年目となりますが、今回はより実践的な知識を提供したいと考えています。版や楽譜について…十分な情報を提供したいと考えています。



 

カルカッシ論文と洗足学園音楽大学大学院修了演奏会

洗足学園音楽大学ギター科の講師となって、初めての仕事が大学院の副論文指導でした。副論文とは修了演奏に関する研究などをまとめる作業です。仲野友規君の論文指導を担当することになり、1年間じっくりと「資料集め」から「まとめる作業」「文章化」まで付き合いました。

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カルカッシのエチュードと楽曲の関連性と、エチュードの意義についての論文でしたが、私自身も仲野君への指導に際して、カルカッシのエチュードを再研究しました。新たな発見もありました。やはり「教えるということは学ぶこと」だなあ…と。良い経験をしました。

先日、1月16日に、その仲野友規君の洗足学園音楽大学大学院修了演奏試験がありました。会場は洗足学園音楽大学の前田ホール。大ホールですが、素晴らしい音響でした。演奏もとても落ち着いていて、大学院での勉強の成果をしっかりと発揮していたと思います。

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審査員は、原善伸教授、鈴木大介客員教授、中根康美、竹内永和、堀井義則、富川勝智の各ギター科講師。それに作曲科の安彦善博客員教授が担当しました。

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まだ論文の口頭試問が残っていますので、もうちょっとです。仲野君、がんばれ〜!



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音楽用語と言語の関連(イタリア人、スペイン人の語感)

レッスンの合間を縫って、2月某日、関孝弘さんの「音楽用語」講座を受講してきました。

これで納得!よくわかる音楽用語のはなし―イタリアの日常会話から学ぶ
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これが数年前に出たもの。エッセイ風でイタリア語の原語のニュアンスから日本で俗に「音楽用語」と言われているものを解明するという画期的な本でした。

それからこの本が好評だったのでしょう。よりシンプルですが非常に工夫された新著がこちら。

イタリア語から学ぶ ひと目で納得! 音楽用語事典
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見開き1ページで辞書風にアルファベットで音楽用語の定義がされています。もちろん前著における「イタリア語の原語のニュアンスを感じる」という主旨は貫かれています。見開きの左側には「イラスト」がかかれています。講義では、このイラストにも最大の工夫をなされているのがわかりました。

たとえば、アダージョのニュアンス。女の子がジュースをお盆に載せて「注意深く」「ゆっくり」運んでいるイメージが描かれています。

・・・以上のように、上記2冊は「いままでの間違った音楽用語の定義」を払拭してくれるという意味で画期的でした。

かくいう私もスペインに留学していましたので、師匠たちが実に「自然に」音楽用語のニュアンスを汲み取っているのを実感していました。

なので、ホームページのほうに以下のような文章を書いたことがあります。

http://guitar.sakura.ne.jp/lesson/hyogen/hyogen2.html

私は大学でスペイン語を専攻していましたので、そのときの先生の影響でもあります。訳語を探すときに辞書のその単語の例文を全部読め!・・・といわれました。その言葉本来の「軸となるニュアンス」を汲み取れ!ということだったのでしょう。

そのことは音楽用語についても同じことが言えます。・・・という風には感じとってきましたし、レッスンでも折に触れて述べてきました。

そういう意味で、上記2冊が出版されて非常に「レッスンが楽」になりました。だって、この本を薦めてしまえばいいのですから。

講義ではテヌートとソステヌートのニュアンスの違いも実際に日常動作を交えて説明されていました。

これは私もスペイン留学時に師匠に質問したことがあります。スペイン語ではtenerとsostenerの違いだ!と答えが返ってきました。そして、そのニュアンスの違いを表現してくれました。見事に違います。このあたりは「耳で聞かないとわからない」ものだなあ、と思いました。そして、その言葉のニュアンスの違いを知らないとだめなのだなあ・・・と思ったわけです。


関孝弘さんの講義では、そのあたりをピアノを実際に弾いて説明もしてくれました。スタッカートのニュアンスです。音を「短くきる」のは誤訳ということです。そして、実際にそれは音色と実に関連があることだということを実際にピアノを弾いて説明してくださいました。

そのときに、「ホールで弾くときの音色をイメージすること」ということもおっしゃっていました。これは大事ですね。先日もギターコンペティションの審査をしましたが、「4畳半的な演奏をする人が多かった」という印象を持ちました。このことはブログでも記事にしました。

http://guitar.livedoor.biz/archives/52241407.html

別に「ひとりで楽しむだけ」であれば、4畳半的な響きでかまいません。しかし、演奏というものは聴衆の人含めて「みんなで共有」するものです。それを意識した音色作りをしておいたほうが楽しいよね!・・・という思いで書いたわけです。

関先生はそういうことを言いたかったでしょうね。そういう意味でも、非常に参考になり勉強になった講座でした。

さて、そういう意味で考えると、クラシックギターでいえば、カルッリやカルカッシなどのイタリア出身のギタリストは、おそらく原語のニュアンスで「アンダンテ」や「アジタート」などを使っていたのだと思います。そういう意味でみると、彼らの作品においてはそのニュアンスを明確に汲み取っていかないといけないのだなあと思うわけです。

そして、もしかしたらソルやアグアドなどのスペイン人は若干その感覚が薄かったのかも・・・などと想像してしまいます。(あくまでも想像ですよ)

もしかしたら、ソルはカタルーニャ出身ですので、その言語に近いフランス語で音楽表現に関する表記をするほうが感覚的に合っていたのかも・・・などと想像しています。



いずれにしても、こういう勉強は楽しいものです。自分の今までの経験や知識がいろいろとつながっていく面白さがありますね。


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レッスン覚書ミニ〜2009年2月5日〜7日

  1. セゴビア編ソルエチュード20番。このエチュードを3回くらい繰り返した暁には弾けるようになるものである。根性論ではない。様々なギターの運指のパターン、音形のパターンに対する適応能力がついてくるからである。
  2. カルカッシ25。11番。音価を正確に。難しいかもしれないが、正確に弾く事。
  3. フリア・フロリダ。版を正しく選ぶこと。ストーヴァー新版の運指は「いかにも」バリオスが使いそうなポジション指定がしてあり、非常に興味深い。
  4. 版の選定には、作曲家に対する知識、楽譜出版史に関するある程度の知識が必要。ひとつずつ学んでいくしかない。
  5. アラビア風奇想曲。メロディーのアクセント。これは音には伸びがあること。
  6. ジュリアーニ。アレグロ・ビバーチェ。ホ長調部分。プランティングを上手く用いて、低音を音価どおりに弾くべし。低音の消音を正確に。
  7. 左手pの位置について。初心者こそ、手首の状態に注意して、常に場所をチェックすること。手首の可動範囲にも注意。
  8. 音程感を養うための音階練習。上級者を目指す人であれば必須。3度での進行、4度での進行、様々なパターンで「つながり」と「2つの音の力学」を失わないで練習する。その後、旋律などに集中できるもので、それを応用。たとえば、ホ長調の音階で「遊んだ」後に、ソルの励ましなどのメロディーを弾いてみる。そういう意味で、デュオ曲というものは上級者を目指すために、また音楽的に上を目指すために必須の練習曲となりうる。
  9. 子どもの生徒。初期の段階から右手のプランティングは必須である。簡単なアルペジオで用いていく。まだ関節のコントロールなど未熟であるから、その関節を固めるためにアポヤンドなどを適宜用いていく。安易に「楽に良い音がでるから」という理由で、アポヤンド主体でのみ、レッスンを行うと、アポヤンドのときに指を棒状に伸ばしてしまう癖がついてしまう。あくまでもアポヤンドとアルアイレの切り替えがスムーズにいくことが最終目標であるから、アルアイレのフォームの中にアポヤンドを交えていき、正しいアポヤンドのやりかたを習得させていくことが「遠回り」にならないと思う。
  10. さくら変奏曲。ファ→ミのつながり。重要である。すべての部分でチェック。
  11. 「亡き王女のためのパバーヌ」。左手の押弦が怖い曲。怖いので「見る」。しかし、視覚にばかりたよっていると、よりその恐怖感が増す場合がある。なので、あえて「目をつぶって」弾いてみる。意外に弾けてしまう部分が多いものである。つまり、視覚に頼りすぎて、筋感覚を忘れているという証拠。曲を仕上げていく段階で、さまざまな感覚を用いてテクニック上の精度をあげていくことが重要である。その場合感覚とはなにか?…五感とはなにか?…ぱっと頭にひらめくようにすること。これは普段の「教養」のレベルの問題でもある。
  12. リズムのトレーニングも初心者には必要な場合がある。手拍子、足でのカウントなどを用いて行なう。そして、それと同じ「運動」をギター上で行なうのだが、それについての詳細なテキストブックは皆無。なので、その場その場で生徒たちにあわせて与えていくしかない。

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レッスン覚書ミニ〜2008年3月27日〜29日

  1. カルカッシ25の調性はわりあいシャープ系が多い。ギターでは弾き易い調である。そういう意味で純粋に技術を磨くという目的で使用するのにも良い教材。
  2. ソル、マルボロー。音のグループのまとまりがどこへ向かっていくのか…考える。曖昧に雰囲気で弾くと、全体がまとまらない。イントロ部分、単旋律の部分、緊張感をゆるめないように。体を動かしては駄目。結構音に影響する。
  3. 運指が決まったら、最初の段階から1音たりとも間違えずに正確に練習。10回弾いたら10回正しい運指で弾けるように練習すること。焦っては駄目。
  4. セーハ中心のエチュードは何か一曲くらい毎日やると良い。なんだかんだコツをつかめてくる。理屈ばかりではセーハは極めることはできない。
  5. 「どうやったらうまくなるのでしょう?」とか「いつになったらうまく弾けるのでしょう?」という質問は愚問。一体、「うまい」というのはどういう定義なのか?…音楽的に「良い演奏」をすること、「正しい演奏」をすることを目標にするべし。
  6. 和声進行や、フレーズわけ…分析ができたら、あとはそれを体に馴染ませる。具体的にどういう流れになっているか…アナクルーズ、デジナンス…考えながら、いろいろ試して自分の心のなかから出てくる歌とリンクするようにする。多くの場合、分析によって自分の心のなかの歌を修正しなければならないことも多い。
  7. ブランテルの子守唄。いい曲です。禁じられた遊びよりも味わい深いかも。ギターの音色の良さを感じるために最適な曲。
  8. 大聖堂3楽章、スラーの位置をしっかりと確認。このスラーでニュアンスをつけノリをつくるべし。弾きやすさだけのスラーではないことを意識するべし。
  9. コストのエチュード。名曲多し。特に25のエチュードは必修だと思う。
  10. 3拍子、自然リズムを学ぶことがソル月光制覇のポイント。
  11. パガニーニの小品はアルペジオの処理がポイントか?…旋律と和声の弾き分けが曖昧にならないように明確に。
  12. ターレガ、ラグリマ。音をつなぐ、低音のノイズを減らす…この2点をやろうと思うだけで、この曲は決して初心者用の曲ではないと気づくはず。
  13. ある曲をやって、技術的に様々思考して、解決法を試して…それでもうまく弾けない部分は、音楽表現において自然に聴こえるように処理を考える。アゴーギグを考えたり、ダイナミクスを考えたり、アーティキュレーションを考える。前提は楽譜が要求しているテンポを目指すことなのだが、それができない場合のことである。「意図的に誤魔化す」ということ。 「コントロールされたゴマカシ」?。
  14. 音階練習、速度をあげるには付点リズムでの練習が重要。
  15. 本人が音量や音色を楽器のせいにしている場合がある。その場合は右手だけ私が弾き、「このくらいの音量はするんだよ〜」とやる。それを生徒が真似をする。すると、音量や音色など解決する場合が多い。意識の問題かもしれない。
  16. あるていど弾き込んでくると、惰性で指運びをしている場合がある。これが間違った運指である場合が危険。運指を確かめながらゆっくりと弾くことが練習のどの段階でも重要。
  17. 粒のそろっていないトレモロよりも、ゆっくりでも粒がそろっているトレモロのほうが聴き易い。
  18. 海外へ行く生徒。先生探し&レッスン継続のポイント。とりあえず、現地で出版されている初心者用ギター教本で用語をチェック。初心者用音楽入門書も軽くチェックすると良い。
  19. 和音をばらすか、ばらさないか…これは全ての曲の全ての和音についてチェックすべき。
  20. フェルナンデス、解き放たれた悪魔。レアな楽譜だが、アリリオ・ディアスの名アレンジャーとしての才能が見事に発揮されている。運指、弦の指定を徹底して研究すること。

 

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