ギターレッスンと演奏の日記 from 富川ギター教室

クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。

ハンス・ペーター・シュミッツ

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音楽表現を考えるためのヒント1

表現力っていうのはなんでしょうか?

これから何回かにわたって、このブログでヒントを書いていきたいと思っています。

当教室に訪れる方には「自分で表現をしっかりとつけてみたい」と仰る方が多いのです。

当教室の生徒はいろいろな曲を持ってきます。私がまったく見たことがない楽譜をその場で分析し、解釈の可能性を探る…それを見て、生徒さんによっては「先生って、初めて見た曲の表現がどうして分かるのですか?」と訊いてくることがあります。

勉強すればできるよ〜!とその場ではぐらかす場合もありますが、いくつか解釈の方法を教えます。西洋音楽の普遍的なルールをいくつか知れば、表現を探していくことが可能です。

今日から、その普遍的なルールを知るための参考書やヒントを少しずつこのブログでお伝えします。

ということで「音楽表現を考えるためのヒント」第一回!

まずは音楽における「表現」とはなにを表しているのでしょうか?…これはとても大切です。抽象的に言ってしまえば、ストーリーを曲で描ければよいのです。とはいっても、音楽には「言葉」はありませんし、絵もありません。音でストーリーを描ければよいのです。

では、ストーリーとは何か?…はじまりがあって、いろいろな変化が起きて、波乱があって、クライマックスがあって、終わりがある。つまり「変化」=ストーリーというわけです。

音楽では、それを「音楽の三要素」(旋律、和声、リズム)を用いて、ドラマを描き出します。この「表現とは変化」であるということをしっかりと整理してある名著としてハンス・ペーター・シュミッツ氏の「演奏の原理」(シンフォニア刊)があります。

演奏の原理
大阪村上楽器
2006-04-21


この本から多くのことを学ぶことができます。基本的な概念はシンプルです。

動的であるか静的であるか?…これが変化を作る要素ということです。テンポの速い遅い、音量の変化、アーティキュレーション、etc...いずれの要素も動的であるか静的であるかという区別がつけられます。

音色についても動的であるか静的であるかということがあります。面白いのはこのような区別がつけられると、音量の変化や表情記号の知識などと組み合わせると、様々な表現のバリエーションが得られるということです。

以前、スペインの女流ギタリストであるマリア・エステル・グスマンのマスタークラスで私が感じたことのブログ記事をアップしました。
明るさと暗さ:開と閉

この記事の中でこう書きました。
マリア・エステル・グスマン氏のマスタークラスの通訳をしたときのこと。クレッシェンドを「だんだん開いて行って〜」と言ったり、フォルテを「もっと開いて!」と言ったりします。つまり「abierto」という単語を使うわけです。直訳すれば「開いている」。英語のopenedです。文脈によっては「開放的に!」とか「明るく!」という感じで訳しわけたりします。
 

音量の大小、音色の明暗は同時に表現されると、実に複雑な表情を孕んでいきます。

楽譜のダイナミクス記号を見て、音量の大小だけで表現しようとすると、非常につまらない音楽になっていく場合があります。緊張感のあるピアニッシモ…硬質な音色で音量を小さく…というふうに表現することも可能です。

このようにハンス・ペーター・シュミッツ氏の著作には多くのヒントが隠されています。また、そのお弟子さんでもあった吉田雅夫さんの著作も簡潔にまとまっていますので、オススメです。




では、「音楽表現を考えるためのヒント2」へ続きます!

音楽表現に関しては、次回の日曜ワークショップでも扱います。 

表現力についてヒントを得たい方…ぜひ日曜ワークショップ「表現力アップの秘訣!」に参加ください! 
詳細はこちら! 



 


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旋律を表現する〜ハンス・ペーター・シュミッツ著作から学ぶ

生き生きとした旋律…生命力のあるリズム…それでいてエレガント…

いい音楽ってなんだろうなあと考えたときに思い浮かぶイメージです。私が演奏家として、そして教授活動をしていて大切にしていることでもあります。

来週、重奏の発表会があるので、最近生徒さん同士のギター重奏をレッスンする機会が多いのですが、旋律パートがつまらない…もうすこしアーティキュレーション、フレージング、ダイナミクス、リズム、拍節感(注文が多いかな?)を大切にしてほしいと思う事が多いのです。

旋律だけを弾かせたときに「表現力が弱い」のです。いくつかのヒントを生徒さんにあげるとやっと「歌」になってきます。

かくいう私も、一時期、「ギタリストの歌心のなさ」に演奏家として悩んだ時期がありました。クラシックギターというのは、メロディーも和音も同時に弾けてしまいます。独奏楽器なのです。なので、なんとなく楽譜に書いてある音がでてしまうとそれでおしまい…というふうになりがちです。メロディーだけをしっかりと歌わせよう…という意識が希薄になってしまうのです。

これはクラシックギタリストの弱点ともいえます。

旋律楽器であれば、アーティキュレーションやダイナミクス、フレージングが明確にできていないと存在意義を失ってしまいます。いつも旋律楽器の方と共演するとやはり明確に意図がある表現になっていることがほとんどです。ギタリストの方!…見習ってください!!!…と言いたくなります。

さて、話は自分のことに戻ります。さきほど「ギタリストの歌心のなさ」に悩んだと書きましたが、そのとき「ならば旋律楽器に学べばいいのだ!」と考えました。

なので、フルートやヴァイオリンの巨匠たちの演奏を沢山聴き、これらの楽器の演奏法の本などを入手できるかぎり読みました。なかでも、ハンス・ペーター・シュミッツさんの書いた著作からたくさんのアイデアを貰うことができましたし、それまでの自分の西洋音楽の解釈法の整理にもなりました。是非クラシックギタリストの方(あと生徒さんたち)にお勧めしたい本なのです。

最近、リズムや拍節に関する講義をしたので、まだ再読しましたが、やはりよくまとめられている本であると思います。この本が一番基本になるものだと思います。「演奏の原理」です。ほとんど譜例はありません。演奏法の基本となる音の運動、強弱、長短、高低について言葉でイメージを伝えています。

R0026579











現在は入手が難しい本かもしれません(絶版?)が、一度はみなさんに読んでおいてもらいたい本です。

もっと具体的に「旋律研究」をしてみたい方には以下の本がお勧めです。
R0026580









「フルート奏者への実践的アドバイス」です。譜例も多く、時代毎の表現の違いなども述べられており具体的です。もちろんタイトル通りにフルートに特化したことも書いてはありますが、アーティキュレーションやフレージング、拍の意識、アクセントの置き方…いずれも全ての音楽に共通した要素がほとんどです。私もこの本を読みながら、ギターで全部弾いてみました。

最後のほうに指揮者フルトヴェングラーについても書いています。シュミッツさんはフルトヴェングラーがベルリンフィルを振っていた時期のフルート奏者だったので、この大指揮者からたくさんのことを学んだとのことです。





もう一冊、紹介しておきます。このハンス・ペーター・シュミッツ氏の考え方を踏襲し、まとめた本があります。フルート奏者吉田雅夫さんの本です。

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ハンス・ペーター・シュミッツ氏の演奏法をしっかりと簡潔にまとめている…そういう内容です。「演奏の原理」を読んでから、吉田氏のこの著作を読むと、理解が深くなると思います。

以上、フルート奏者であるハンス・ペーター・シュミッツ関連の本を紹介しました。クラシックギターの巨匠アンドレス・セゴビアは弟子たちに「ギター以外の音楽をたくさん聴きなさい」と言ったそうです(同じ事を昨年マリア・エステル・グスマンも言っていました)。

クラシックギタリストが軽視しがちな要素…旋律をしっかりと歌わせること…これを見直すためには優れた旋律奏者から学ぶのが一番です。



 


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