ギターレッスンと演奏の日記 from 富川ギター教室

クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。

学生ギターコンクール

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第42回GLC学生ギターコンクール 女性のパワーに圧倒されました!

第42回GLC学生ギターコンクールが2017.7.26に豊洲シビックセンターホールにて行われました。
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あいにくの雨模様でしたが、暑いよりはよかったでしょうか?雨といっても大雨ではなかったので。

会場は学生ギターコンクールとしては初めて利用する「豊洲シビックセンターホール」でした。駅からほぼ直結で便利です。

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中も美しく…音響も悪くありません。控え室も外が見晴らせて、気持ちのよい空間。閉鎖的なよりも、出演者の緊張もすこしは解けたのではないでしょうか?

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舞台はこんな感じです。授賞式まえの風景ですね。

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私はスタッフ及び、本選の審査員を担当いたしました。また中学生の部の講評を担当。講評を担当した中学生の部は非常に印象に残っています。まずは全体の結果をご覧ください。

2017年GLC学生ギターコンクール結果
小学低学年
1 山本 和佳 水神の踊り/フェレール
2 鈴木 恵 小さなロマンス/ワルカー
3 袴田 風雅 エチュード7番/カルカッシ、月光/ソル

小学高学年
1 飼馬 亜美 朱色の塔/アルベニス
2 岡 ちえり アラビア風奇想曲/タレガ
3 西村 桃里 ワルツNo.4/A.バリオス

中学生
1 大谷 恵理架 ソルの主題による変奏曲/リョベート
2 横村 堂 内なる想い 3、4、5楽章/アセンシオ
3 尾 琴音 ベニスの謝肉祭による変奏曲/タレガ

高校生
1 坂本 和奏 夕べのハーモニー大幻想曲/メルツ ✴︎GLC賞
2 赤井 俊亮 6つのバルカン小曲より1、2、4、5、6/ボグダノビッチ
3 大蔵 奏太朗 情熱のマズルカ/バリオス

大学生
1   渡邊 華 バスクの歌/マンホン
2 齊藤 黎 椿姫の主題による幻想曲/J.アルカス
3 神田 陽 ヘネラリーフェのほとりにて/ロドリーゴ

::::::::::::::
中学生の部から、がらっと曲目が変化します。そして音楽の密度も変化しています。10数年まえまでは「ヴァーチュオーソ作品」としてトッププロのレパートリーであった作品を技術的な破綻なく中学生が弾いてしまう時代…すごいなあ、と。

そして、クラシックギターの世界でも「女子力」すごいです。各部門の一位が全員女性なのです!

講評で「10年後には男性ギタリストはいなくなってしまうかもしれませんね」と言いましたが、そのくらい女性のパワーと感じるコンクールとなりました。

来年の開催日時はまだ未定ですが、また一年たってどういう人材がでてくるのが非常に楽しみにしております!

出場者のみなさま、スタッフのみなさま、お越しいただいた方、ありがとうございました!



 


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第39回GLC学生ギターコンクール(生徒さん二名入賞!)

2014年8月16日(日)第39回GLC学生ギターコンクールが開催されました。毎年私の生徒も多数でていますが、今年は二名が入賞。

高校生の部三位:鈴木文乃さん
大学生の部三位:裏川裕太郎さん

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とりあえず、おめでとうございます!…指導者としては嬉しいことです。ふたりとも学業が忙しい中でがんばってくれたと思うからです。

私はコンクールの運営側(審査側)でもあるので、感想はなかなか難しいですが、自分が審査を担当した第二次予選の大学生の部と中学生の部について審査基準を書いておきます。原則として私個人の審査基準ですので、他の審査員の方にはそれぞれの審査基準があるという前提でお話します。

大学生の部(二次課題:タンゴ):タレガのタンゴが課題曲でした。私の審査基準は以下。
a:タンゴのグルーヴ感
b:低音の処理
c:フレージングと息の長さ
d:イントロの効果的な処理
e:音色とヴィブラートと装飾音

以下詳細に。
aについて:タレガ時代のタンゴがどのようなものであったか?…を感じなくてはいけません。テンポ設定においてはタレガの次世代のギタリスト(及び演奏家)がどのように「タンゴ」のテンポを設定していたかが参考になります。とはいっても最終的にはタレガがどのようなテンポを望んでいたのか?…は想像の領域の話となります。いずれにしても二拍子感(メトリック)を明確に感じながら、演奏していくのは(当たり前ですが)大切となってきます。そこから自然にタンゴのグルーヴは生まれてきます。とはいっても、そればかり強調するとメロディーの流れを阻害するものにもなります。「c:フレージングと息の長さ」も考慮していくと、この曲のテンポ感が分かってくるとは思います。

bについて:タンゴのベースラインの面白さをしっかりと考えてください。音を切るか、粘りをもったものにするか…いろいろな面白さが演出できるはずです。とはいっても、消音を大切に。ベースライン=一本…というふうに基本的には考えて良いはずです。ベースの動きは音程感が大切です。分散和音のようにして弾いている人が多かったように思います。自分がラテンバンドにはいってベースを担当するとしたらどう弾くだろうか?…と考えて、丁寧にハーモニーの推移をベース担当者が演出しなくてはなりません。そして歌の盛り上がりを考えて、ダイナミクスやテンポ変化などをサポートするべきです(もしくはベースが歌をひっぱっていってもよい)。全体として、ベースラインが全体の流れをひっぱっていくような推進力のある演奏をしていた人はほとんどいませんでした。

cについて:フレージングを意識した「息の長さ」を感じさせる演奏者も少なかったです。一度拍子を外して、鼻歌でもなんでも歌ってみること!…その練習を積めば、自然にフレーズの頂点や開始ポイントと終止ポイントの処理が分かってくるとは思います。

dについて:イントロの部分を魅力的にする方法…これを徹底して考えている人も少なかったように思います。「お?何が始まるんだ?」という期待感…というのでしょうかね?…それを表現してほしかった。何人か印象的なイントロを演奏していた人がいました。タンゴのベースラインが始まる直前の「休符+ハーモニクス」の浮遊感と緊張感を演出しきれているかどうか?…いずれにしても正確に楽譜を読み込み、イントロダクションのところの緊張感と先への期待感をしっかりと演出してほしかったです。

eについて:美しいメロディーの曲です。タレガ時代の曲ですので、ヴィブラートを効果的に使ってほしかったです。ヴィブラート=感情の高揚と捉え、どこでヴィブラートをかけるかをしっかりと考えてほしかった。…とはいっても、ほとんどの奏者はヴィブラートかけていないように感じました。そして、装飾音もこの手の曲では「歌の高揚感による声のうわずり」と捉えてもよいので、機械的にならないように。特にスペインものでは、高揚感がメリスマに変形していくように、装飾音の処理を歌唱から捉えることが肝要です。



中学生の部(二次課題:ひな菊):これも私の審査基準を明確にしておきます。
a:低音の処理
b:フレージングとアゴーギク
c:借用和音の印象的な処理
d:音色の多様さ
e:楽譜の正確な読みと「自発性」

大学生の部と同様に以下詳細。

aについて:少なくとも楽譜に書いてある低音の音価について正確に弾いてほしいと感じました。冒頭部の低音は付点四分音符です。ほとんどの奏者がその音価を守っていませんでした(私がチェックしたかぎりで6名ほどで、二次参加者の四分の一ほど)。低音を伸ばすことで得られる効果をしっかりと把握した演奏をしてほしかったです。その他、この曲のなかで低音が停止する部分や、わざと伸ばす部分…たくさんありますので、そこを譜読みの段階で丁寧に分析してほしかったです。

bについて:冒頭部分からドミナントへ向かって高揚して行く部分がありますが、それを音量やテンポの詰め方などで演出できている人はほとんどいませんでした。音高がじょじょに高まって行くだけでも、聴き手は「高揚感」を感じることができますが、認知心理学な観点からみると不十分です。テンポの詰め具合、音量の増大を伴うと、より「分かりやすい演奏」になります。演奏効果というのは聴き手が感じて初めて成立します。悪い言い方をすると、「あ、盛り上がっているな!」と感じているのは奏者だけ…という演奏がほとんどでした。冒頭以外でも、同じ音形パターンの繰り返し(中間部)がありますが、そこにも「積みかさね」の面白さと「じらし」をしっかりと表現して欲しいなと感じました。

cについて:和声学の知識が若干あれば、冒頭に戻る前の借用和音の面白さを素通りするはずはないはずです。本来メジャーの和音であるはずのところにマイナーの和音が来れば、アクセントです。強く弾けば良いのではなく、いろいろな表現があるはずです。時間を長めにとってもいいですし、音色を変えてもよいのです。素通りするのはいけません。なにかやってください。ほか、全般的に和声進行を把握して全体の流れをコントロールしていた奏者は少なかったです。本選の中学生の部の奏者たちは全員すばらしかったのですが、二次課題の時点で「当たり前」にできていないということはとても残念でなりません。この二次課題のレベルでは、本選の表向きの「素晴らしい演奏」=「借り物」としか見ることができません。

dについて:ひな菊ははっきり言ってしまえば、単調に聴こえてしまう曲です。音色を効果的に使って、面白く聴かせるしかありません。もう少し工夫してほしかったです。

eについて:ここからは私見ですが、大切な部分です。楽譜は正確に読むこと!…音価をまずは正確にリアライズすること!…そこからでてくる音楽の効果をしっかりと自分の中に還元すること!…中学生ならばそのくらいの「知性」と「悟性」を持ってほしいと思います。自分勝手なイメージ作りは作曲者のイデアを壊します。この点については小難しくなるのでこのあたりで(分かる人だけ分かってくださいね)。

以上、細々と書きましたが、以上が私の二次審査をしたときの審査基準です。一次審査も私は担当しましたが、全員に言えることは「もっと楽譜を正確に読んでください」ということです。

今なんとなく弾けている…というレベルよりももっと上を目指してほしい。10年、20年後に素晴らしい音楽ができていることを個人的には望んでいます。

いずれにしても、各参加者みなさん努力したとは思います。お疲れさまでした!
また来年、みなさんの努力の成果を見ること&聴くことができることを楽しみにしております!

なお、39回の結果はギターリーダーズクラブホームページにてご覧いただけます。
GLC39回結果



 


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審査基準って?〜GLC学生ギターコンクールを審査して

さて、8月も終わっちゃいますね〜。ということで、9月に入る前に…
8月18日のことになりますが、GLC学生ギターコンクールに審査員としていってまいりました。その感想と「思う事」を書いておきたいと思います。

結果はこちらでご覧頂けます。

みな立派な演奏でした!素晴らしかったです。特に小学校高学年と中学生の部はレベルが高い演奏でした。


みなさん先生に習っていると思います。その先生から教えてもらったことをしっかりと守って、「音楽のルール」に則って演奏していることが分かりました。そこからもう少し皆さんの「言いたい事」が伝わる演奏になっていけば、より「その人らしい」演奏になっていくのだろうな、と思います。…というよりは、みなさんが学んでいるのはもしかしたら「音楽のルール」に則って、先生が考えた結果かもしれません。もっと主体的な演奏スタイルを持ってくれたら嬉しいなあ、と思います。そうすれば、楽譜からもっとたくさんの情報を引き出せますし、それが「あなたの音楽」になっていきます。


「音楽のルール」をしっかりと理解したうえで楽譜からしっかりと情報を読み取って、自分のストーリーを作っていくこと…これが音楽の本当の楽しみです。このことを知ってもらいたいと思い、この文章を書くことにしました。


私が審査した二次予選の感想をもとに、簡単に説明していきます。二次予選の審査を担当したのは、中学生と大学生の二部門でした。


中学生の部は「月光」です。大学生の部は「アメリアの遺言」。それぞれに特記ポイント(表現してくれたらなあ!…という点ですね)はあるのですが、まずは共通の要素からお話していきましょう。


1:共通する審査ポイント。以下です。

フレーズ感

声部の弾き分け

ダイナミクス

拍節感


2:月光に関する特記ポイントは以下。

テンポ設定

ヴィブラートをどうかけるか?また、どこでかけるか?

和声の変化を意識しているか?

アクセントの設定


3:アメリアの遺言に関する特記ポイント

グリッサンドやポルタメント、アラストレの意味付け

ハーモニクスの表情

四弦上での歌い回しと音色


上記、1、2、3と分けました。まずは1が審査する際の基本点となります。2と3は追加点ですね(とはいっても、本当はしっかりと全要素やってほしいですが…)。


正直言うと、中学生の部も大学生の部も1を全て適切にバランスよく行っている人はいませんでした。ダイナミクスはみな意識していたようです。あとは声部の弾き分けですかね。これら二点で本選に進めるか進めないか…というのは決まったように思います。フレーズに関しては完璧に考えている人はほとんどいませんでした。みな「軸」が定まっていません。どこがフレーズの頂点なのか分からない…そのような演奏がほとんどでした。フレーズは横のラインです。第一段階として拍子感(拍感)は無視してしっかりと練習してほしいと思います。緊張度の高まり、弛緩する感じ…これらのことがアゴーギク(音量と速度の変化)できちんと表されているかをチェックしてください。


拍感に関して。拍感もほとんどの人で感じられませんでした。中学生の部で数名、大学生の部でも数名…拍感は単純にいうと「小節線はどうしてついているの?」ということです。そして、3拍子って何?4拍子って何?…ということです。言ってみると周期性なのですが、これは上記のフレーズとは相反する要素です。

フレーズはまっすぐにラインを伸ばしていく運動です。反対に拍節は区切ろうとします。フレーズの伸びばかりを意識しすぎると、拍節の周期がなくなって推進力のない音楽となってしまいます。拍節が強く前に出過ぎると、フレーズ…つまり歌がなくなってしまいます。この両者のバランスを整えることは、実はとても難しいです。ですが、このバランスが奏者の個性であるとも言えます。


さて、月光とアメリアの遺言のそれぞれ個別のポイントを見ていきましょう。

2です。月光の特記ポイント。テンポ設定はフレーズの緊張感が維持できる限りはゆったり目でよいような気がします。アレグレット(ソルの原典)もしくはモデラート(セゴビア版)なので、みな一様に速めに弾いていたようですが、楽曲の短調の風情などを考慮すれば、アレグレットはアレグロよりも遅めです。そもそもアレグロには「速い」というニュアンスはありません。動的であることは確かなので、よく歌わせることが肝要です。なので、私の審査ポイントとしては、「きちんと歌わせられるテンポである程度、推進力のあるテンポを設定していること」としました。

ヴィブラートの位置。フレーズの流れの中で、どこでヴィブラートをかけるか、またどこで?…このことについてきちんと考えられている演奏はほとんどありませんでした。せっかくギターで演奏するのですし、「月光」という別名で知られているように「歌うこと」が大切な曲でもあります。この点が考えられている演奏がもっとあって良かったのではないか、と残念です。

和声の変化が面白い曲です。たった一音で流れが変わります。そういう場面があるのですから、そのキーポイントとなる音をしっかりと印象深く弾く事が大切です。

アクセントの位置。これと関連して、拍節の周期性やメロディーのパターンを破るところにアクセントを適切につけること(印象的に弾く事=聴き手にその変化を感じさせること)…これができている人がほとんどいなかったです。


3です。アメリアの遺言です。リョベート編の良さをきちんと活かした演奏をしてほしかったです。タレガ〜リョベートの時代のグリッサンドやアラストレは現代よりも濃厚でした。これはタレガの弟子であったレッキの教本などを見れば分かります。ポルタメントなどは「半音がきちんと聞こえるように」弾かねばならないと書いてあるからです。これらの技術は「歌の模倣」です。なので、当時の歌は今よりも「濃かった」のでしょうか…そのあたりを想像してきちんと楽譜を厳守して練習してほしかった。これもほとんどの方が「おまけ」程度にしてやっていませんでした。そして、もしやっていたとしても、ワンパターンになっていることがほとんどです。音程感をしっかりと感じて、相応しい速度感と濃度を選択しなければなりません。もちろん、この濃厚な歌い回しは現代人の感性に合わないかもしれません。しかるべき調整がなされてもよいのですが、そこまで考えていた人がいたかどうか…疑問です。

ハーモニクスも単調な歌い回しが多かったです。フレーズですから、きちんとアゴーギクを付けて演奏してほしいです。きちんと音が鳴っているという演奏ばかりでした。ハーモニクスにも「音色」と「音量」があります。なので、きちんと歌ってほしかったです。結果として技術としてノーミスである人を本選に通すかな?…という結果になったと思います。

後半に、4弦上で旋律が歌う部分があります。この音色にもっとこだわりを持ってほしかったです。ローポジションで弾けば、簡単だったでしょうね。でも、ハイポジションの低音弦の音色と同一弦でとる意味があります。そのアレンジの意味をしっかりと考えてほしいです。技術的にはp指のコントロールが上手くできていない人が多かったです。


以上、述べてきましたが、ご理解いただけたでしょうか?

音楽には「ルール」があります。そのルールに則って、楽譜を読み込んで行くこと。そして、各要素を意識すること。各要素のバランスをとること。それが「奏者の個性」に繋がります。


学生コンクールですので、年齢を考えるとまだ先生の表現(結果)の影響が強いとは思います。ただし、少しずつでも、その先生がその表現にいたった道筋を想像してください。必ず、(良い先生であるならば)そこの考えの道筋があり、その奥には「音楽の普遍的なルール」が存在します。


音楽解釈のルールを探しだすことは難しいことではありません。基本を知ってしまえば、未知の曲でも自分で解釈ができるようになりますし、説得力がある表現が付けられるようになります。そして、奏者の本当の個性がそこに出てくるようになります。是非、若い方たちにはそういう勉強をしてほしいと願っています。すくなくとも、上記1の観点だけは、洗練させて行ってほしいと思います。あなたか勉強する曲全てにおいて、考えていってくださいね!

演奏と評価(GLC学生ギターコンクール審査を終えて)

昨日はGLC学生ギターコンクールの審査を行なってきました。
審査をしたのは本選会のみです。

結果はGLCホームページのほうに掲載されています。
2011年度結果 
以下、私の審査基準を示しておきます(GLC本体としては事前に審査基準を話あうことはありませんので、以下に書くことはあくまでも「私の審査基準」です)。
審査をするということは非常に責任を伴います。課題曲について事前にリサーチをすることは勿論です。そして、可能な限り自由曲についても事前に楽譜を参照します。

その上で、以下のことを目安に判断します。
  1. 楽譜の正確な読みができているか? 
  2. そして、読み取ったことを的確に表現できているか?(伝わっているか?)
  3. ギターの特性をしっかりと活かしているか?
簡単ですが、上記のことを考えて審査します。1にかんして言えば、実はその奏者の「版のセレクト」からスタートしています。今回嬉しかったのは、いく人か「アルカス作曲」の椿姫幻想曲を弾いていましたが、それをしっかりとアルカス編で弾いていたこと。かつて流布していたタレガ編そのままに「アルカス編」とだけして弾いている人も多いので、素晴らしいことだと思いました。

ソルなどの古典などの場合、しっかりとした信頼できる版を使うこと・・・これは出場者がたとえ小学生であった場合でも、指導者の責任でちゃんとした版を使用すべきです。もし、大学生であれば、いわずもがな。きちんとした版を使うことが前提となります。もちろん、入手しやすい版を利用しても基本的に採点には大きく影響しないようにはします。しかし、版にこだわった演奏者の演奏は説得力を持つものです。

そして、その適切な版にしたがって、作曲者の記した指示、時代の様式にあった演奏をしているかどうか?・・・これがもっとも大切です。音楽全般のルールもきちんと理解して表現できているかどうか?・・・これも大切です。

2に関して。読み取ったものを的確に表現する。つまり、聴いている側に届けることができるかどうか?はテクニックがあるかどうかということに関連してきます。そして「ある表現」を表すためにテクニックはあります。「ただ間違わずに正確に弾く」 「音階が速く弾ける」というのは「テクニック」ではありません。
この観点から私は技術点を付けます。その人が言わんとしていることが明確に伝わってきた場合、「技術点」はあがります。逆にいうと、こういうことをやりたかったんだろうなあ!・・・と分かっても、技術が安定していないために伝達力が不十分に終わるという場合もありますね。

何かを伝えたいという意欲だけが先走る場合も多くあります。しかし、それを練習時に確認し、コントロールされた技術を身に付けておく・・・というのが理想的です。 でも、それはプロの奏者でも難しいですね。

逆の場合もあります。自分が持っている技術の中だけで「音楽をやろうとする」演奏者。最近のコンクール演奏者に多いタイプです。実際、今回もそのような人を多く見かけました。残念なことです。

3に関して。ギターの特性・・・簡単にいってしまえば、ギターらしく!です。すごく抽象的なことですから、言葉では説明しずらいですが、簡単にいってしまえば、音色のバリエーションです。それがあるかどうか・・・そしてその音色が上記2で話した「自分が伝えたいこと」のために機能しているか?です。

上記、1、2、3、全て関連しています。例えば、3のギターの特性ですが、音色のことです。音色というものは子音と母音から成立しています。簡単に言ってしまえば、「サシスセソ」なのか「パピプペモ」なのか「カキクケコ」なのか・・・。そして1の過程から考えると、作曲者の頭のなかでそのメロディーやハーモニーの響きがどのような子音と母音のイメージで鳴らされていたのか・・・考えなくてはいけません。だから、フランス人の作曲家であれば、フランス語のイメージで音色をイメージしているはずです。
スペインの作曲家の作品を演奏した人が多かったですが、私には作曲家の声が聞こえてくる人は極めて少なかったです。一言でいってしまえば、「もっとギターらしく!」なのですが、上記で述べたように実は楽曲の解釈の時点からこのことは考えなくてはいけません。ギターはものすごく子音と母音のニュアンスの差が出しやすい楽器です。
一般的にギターは「いろいろな音色がでるね!」と言われていますが、それを楽曲の解釈としっかりとリンクさせて表現できる奏者が、本当の「ギタリスト」であり「音楽家」です。


以下は個人的な意見です。

「かりものの表現」というのがあります。小中学生であれば、先生やCDなどの録音をそのまま「マネをする」という表現もよいと思います。実際、学ぶは真似ぶ・・・とも言いますしね。
でも、その借りてきた表現に対して、心から納得しているか?していないか?・・・はとても重要です。

演奏は舞台上の俳優の行為に似ています。ストーリーはあらかじめ分かっていますし、俳優さんは何回もセリフを読み、その役柄の運命は知っているのです。でも、舞台上ではあたかもその時点での自分の行為や状況の変化に一喜一憂しなくてはいけません。喜怒哀楽を心から感じ、そしてそれを適切なセリフまわしやアクションでお客さんに伝達するのです。

音楽を演奏する人もそのような心持ちで臨まなくてはいけません。そのとき、自分が繰り出す一音一音、フレーズ毎にその音楽が目指すものをしっかりと「感情」として反芻しなくてはいけません。

毎回、自分のなかに感動を呼び起こさなくてはいけないのです。そして、その感情の濃度は実は演奏ごとに微妙に変化することもありうる・・・ということを忘れてはなりません。 だからこそ、ありとあらゆる表現の可能性を考えて、作品を常に分析し、可能性を探っておくのです。どのようなパターンに対しても対処できるように技術を磨いておくことが、本番であたかも「インプロビゼーション」のような「本当の音楽」を生み出す拠り所となります。

そのような演奏ができている人は本選出場者にはほとんどおりませんでした。とはいっても、学生のコンクールですので、この点に関しては私は審査基準には全くしていません。あくまでも、それが「借り物の表現なのかもなあ・・・」と思っても、きちんとお客さんに伝わる形で楽譜からそれなりに音楽を抽出していれば、きちんと評価したつもりです。
ただし、本当の音楽をやりたいのだとしたら、上記のことは絶対に理解しなくてはいけません。そして、音楽を続けていれば、それは自然に理解されてくるものだと思います。それが理解できなけば、音楽をやる意味はないともいえます。

以上、だらだらと思いつくまま書きました。
あくまでも、私個人の意見です。審査員の総意でもありませんし、審査員団の審査基準というわけでもありません。その点を考慮してお読みいただければと思います。 

「ギタリストに足りないこと」は?(レッスンしていて思うこと)・・・学生ギターコンクール概観

最近、まじめに「レッスン覚書ミニ」つけています。手書きのレッスンノートもつけています。

それをまとめていくこと・・・生徒さんのレッスンにおいて感じていること・・・つまり、「生徒さんに足りない点」に気づくよいきっかけとなりますね。

先日、第35回学生ギターコンクールにて審査員とスタッフをしました。たくさんの出演者の演奏を聴きました。

ここ数年、毎回聴いていますが、やはり自分が生徒を教えているときに感じる共通の「足りない要素」「勉強すべき要素」が多くの参加者に見出されます。

それを箇条書きでまとめておきます。

  1. 自然な拍子のプロポーション(拍子の周期性を含む)
  2. メトリックアクセントのルール(時代による違いや他の音楽的要素により変化するという点も含め)
  3. 旋律線におけるピッチのコントロール
  4. 非和声音の処理の仕方(臨時でつく♯や♭の扱いも含め)
  5. ギター史への知識不足(レパートリーのワンパターン化)


いまのところ、上記5点が私が気になっている「ギタリストに足りないこと」ベスト5です。

私は普段、初心者からプロまで幅広くレッスンしていますが、上記5点は常に意識をして教えています。ちょっと話題はそれるかもしれませんが、上記5点について、教える側の「理解不足」「メソッドが未確立」という問題点も危惧しています。

上記5点に関して、簡単に説明しておきます。

1:2拍子であれ、3拍子であれ、小節内に完全に均等なプロポーションで存在しているわけではありません。これはフィボナッチ数列などに見られる黄金比という概念も理解しなくてはいけませんが、まあ、簡単にいってしまえば、「自然な揺らぎ」のあるリズムの周期を作らねばなりません。

2:上記1とも関連しますが、やはり拍子の周期を理解しなくてはいけないですし、聴衆にはそれを明確に指し示さなければなりません。「1拍目はどすん!と重めに」と単純に述べてしまうことも可能ですが、すべてそのパターンで行けば、冗長さにつながります。そしてそのメトリックアクセントは旋律線の動きや和声、アーティキュレーションなどによって「覆い隠されていきます」。つまり、音楽解釈としてはかなり下位の重要性しか持ちません。しかし、音楽の周期性を支えるという意味においてはベースメントとなっているものですので、絶対に「消滅してはいけません」。このバランスが奏者の個性ともなっていきますし、また時代によっては「一拍目の存在感」が強い場合もあります。その逆の場合もあるのです。

3:これも上記の要素の関連します。音楽を拍のなかに閉じ込めずに先に進めていくもの・・・それが旋律でもあります。そして、ある音が次の音に向かう場合の「音程」(ピッチ)というものがあります。また「動きずらいピッチ」「そこに停滞するイメージのピッチ」というものがあります。ギターはフレットがありますので、多くの人が『そこを押さえてば”正しい音程”がでる』と思っているのでしょうが、旋律の推進力を考えれば正しくないのです。このことはギターの魅力でもあるヴィブラートの技術とも関連してきます。実はこのピッチコントロールの意味を感じずにはヴィブラートは不可能であるともいえます。ここに縦の要素「和声」のことを考慮にいれれば、より複雑にはなっていきます。最終的には「どちらをとるか?」という決断をさまられることになりますね。和音も弾け、旋律も弾ける「完全な独奏楽器」としてのクラシックギターの宿命ともいえる問題です。

4:旋律の動きをつかさどる重要なポイントです。これは今年「あづみ野ギターアカデミー」で講義する内容となっています。音をどのようにつないでいくか?・・・音のグループはどのようにして形成されていくか?・・・フレーズの頂点は?・・・という点を考えていくうえで、欠かすことができない要素です。

5:ギター史について理解すること、一般の音楽史について理解すること・・・これがないためにギターレパートリーが限定されすぎています。確かにたくさんの人に弾かれている曲、弾き継がれている曲は「名曲」といっていいでしょう。しかし、有名なソルにしても、「すべてを弾いてみる!」という意識で取り組んでみれば、「ああ、こんな曲もあったのか!」と思えるもののほうが多いはずです。そのためには、未知の楽曲の楽譜から自力で解釈する方法論が大切となるわけです。上記1〜4はその基本となる考えです。


上記1から5のことは、「音楽表現」に関するものです。特に1から4に関しては「正確にコントロールされた技術」が必須です。

その技術の面においては、現在ほとんどのギタリストが獲得しつつあるといえます。また、その点のメソッドも十分に確立しつつある段階であると私は思っています。

あとは、上記1〜5に関して、教える側、学ぶ側がどのくらい「必要性」を感じているか・・・ということです。教える側に上記1〜5を噛み砕いて、生徒に伝える技術があるか?・・・ということも大切です。


学生ギターコンクールのブログ記事において、私は以下のように書きました。

私のレッスンは理論はありますが、基本的には生徒の「頭で考えさせます」。だから型を押し付けません。

私はレッスン時において、上記1から5を生徒各自が「自分の言葉」で整理して理解することを望んでいます。これが私のレッスンのやり方です。

解釈の結果のみを教えるほうが「速成栽培」としては効率がいいですが、それでは生徒さん本人が「音楽のパワー」を感じることはできませんし、その後もしプロの音楽家となった場合に、演奏活動だけでいければいいのですが、もし教えるという立場になったときに、「音楽の素晴らしさ」を伝えることは不可能となるでしょう。

手間はかかりますが、それが私の教授方針の哲学となっています。

九九を覚えるような人間よりも、数学の難問をとける人間を育てたいと思っています。

(数学とか物理に挫折した人間が言うのもなんですが・・・)



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