「表現」とはなんでしょう?
自分の中にあるイメージが「表にでたもの」です。

表に出す方法は?…クラシックギターであれば、音で表現しますね。音色の変化、音量の変化、リズムの変化などで「イメージ」を「表現」するわけです。

では、そのイメージはどうやって作っていったらいいのか?…把握しやすのはパルスです。脈拍は誰だって経験しているものです。速くなればドキドキして、テンションがあがります。遅くなっていけば…リラックスしていきます。遅くなりすぎれば、あの世に近くなる。自分の「生命」に直結している感覚なので、わかりやすいのですね。

パルスの変化と、リズムは教えやすいものです。そこにグルーヴ感(つっこんだり、音のタイミングを後ろにずらしたり)などを加えれば、よりバリエーションに富んだものになります。

パルスとリズムとグルーヴは比較的伝授しやすいタイプの要素と言えます。なので、私もこの3つに関しては教授メソッドを自分なりにまとめています。生徒さんのほとんどに体感しやすい類いのものですね。

手拍子をとってもらったり、歌ってもらったりして、上記3つを感じてもらいます。パルスは脈拍、リズムは音価の長短、グルーヴは音のタイミングのつっこみと反つっこみ感…これらは人間の生命活動や身体の動きなどに喩えることができますので、「実感しやすい」のでしょうね。なので、レッスン時でも音楽表現のベースメントはこれらを基本に教えていくことが多いです。そこに拍感を加えていけば、よりしっかりとした表現の「下地」ができます。

音程感や音色のイメージはどうでしょうか?音程感は「歌い手の技術や感覚」をある程度勉強すれば、コツがつかめます。またCDやコンサートなどで歌を聴いて感覚を覚えていく事も可能です。音色は色彩や質感のイメージなどを用いて、養っていく事は可能かな?…とはいっても、これらの要素は「実感しずらい」ものであるようです。

教える側として、いろいろな方法を用いて、生徒さんが持っているイメージを推測し、それを具体的に形にしていく作業をします。それがレッスンというものです。

もともとイメージがない人には「表現」そのものからイメージしてもらうこともあります。半音下降は「行き場がないイメージ」とか…そういうことを言葉にして実感してもらいます。

もしくは僕がもっているイメージを言葉なりギターを通じて伝えて、真似をしてもらう。その上で、イメージを感じてもらう。

…上記のような作業をして、生徒さんにイメージを作ってもらいます。生徒さん本人の中にイメージを実感してもらうわけです。もし、そのイメージの実感がその人の中になければ、本当の「表現」とは言えないわけです。その「表現」は借り物です。

たとえば、クレッシェンドはただの音量の漸次的な増大ではありません。気分の高揚や拡大感…わかりませんが、何かイメージがあるはずなのです。そのイメージが明確でない(実感としてない)ものは「表現」ではないのです。

表面に出ている音が、自分の実感とリンクしたときに初めて「表現」になるわけです。

今、音楽修辞学というものを勉強中です。「型」があります。悲しみの表現や喜びの表現などにある決まった音型があります。「型」の裏にあるイメージは具体的です。

ただそのイメージを知らずに演奏した場合は「型なし」ですね。表現とはいわないのです。音楽修辞学ほど細分化されたものでなくても、西洋音楽にはある程度の「型」があります。音楽理論や認知心理学などを理解すれば、その「型」が成立した根拠もわかってきます。レッスンの現場では、そこから教えます。

そして、イメージを生徒さん本人に実感してもらう。自分の中に取り込んでもらいます。そして、また「型」にもどす。
もしくはその逆です。「型」から根拠を理解してもらう。そして、イメージの実感を作ってもらいます。

なので、音楽を表現することは楽典や和声や対位法を学ぶことだけでは実現できないのです。

いずれにしても、実感は大切ですね。頭で覚える知識よりも実は経験のほうが大切なのです。



 


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