ギターレッスンと演奏の日記 from 富川ギター教室

クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。

教授法

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富川ギター教室(東京渋谷) http://tomikawaguitar.com
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※他に池袋、横浜青葉台でもレッスンしています。

富川勝智の演奏会チラシはこちらでご覧頂けます。

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何故40分のレッスン時間が必要なのか?

富川ギター教室でのレッスン時間は一枠40分となっています。このレッスン時間の単位は実はいろいろと考えた末の結果です。今まで一度も話したことがなかったですが、最近後輩ギタリストで教室立ち上げを考えている人に尋ねられたので、書いておきます。

多くの教室が30分単位で区切っているかもしれません。大手の音楽教室にはそういうところが多いですね。私もかつては大手の音楽教室でレッスンを受け持ったことがありますが、そのほとんどは30分枠でした。

30分という時間は短過ぎす、長過ぎす…ちょうど良いという印象を持つ方が多いとは思います。ですが、生徒さんの記憶の定着を考えると、実はちょっと足りないのです。

レッスンで伝えたいこと、学んで覚えてもらいたいこと。これらのことが30分という時間枠だと定着しにくいということが分かったのです。

エビングハウスの忘却曲線というものがあります。かつてこれについてはブログに記事にしましたので、是非お読みください。
レッスンメモの鉄則(忘却曲線に抗う)

おおまかですが、以下のような忘却率です。
20分:40パーセント忘却
1時間:60パーセント忘却
1日:75パーセント忘却
1週間:80パーセント忘却
1ヶ月:80パーセント忘却

いかがでしょうか?20分が「忘却の境目」です。30分たったら半分くらいは「覚えていない」と言って間違いないでしょう。

教える際には、この20分という時間にいつも注意を払っています。つまり、あることを教えた場合に、20分後には40パーセントくらい忘れてしまっている!…というわけです。なので、20分後あたりで再度リコール(思い出してもらう)してもらわねばなりません。生徒さんが学んだことを「忘れずに家に持ち帰ってもらう」ために、何かを教えたら、その20分後あたりで復習してあげねばならないのです。

簡単に言えば、「その日のレッスンで与えた課題をそのレッスン時間内にもう一度復習させてあげる」ということが大事だということです。

これが40分のレッスン枠だとやりやすいのです。

30分レッスンの流れはだいたいこのようになります。
1:準備(楽器準備、楽譜の準備、調弦など)
2:前回の課題の確認
3:今回の課題点のピックアップ
4:課題(宿題)の設定

30分のレッスン枠であれば以下のような時間配分になるでしょう。
1:3分
2:7分
3:15分
4:5分
→3の今回の課題点のピックアップをしているうちに最初にほうに出て来た課題点について記憶が希薄になります。

40分のレッスン枠であると以下のような流れにすることが可能です。
1:準備(楽器準備、楽譜の準備、調弦など)
2:前回の課題の確認
3:今回の課題点のピックアップ
4:宿題の設定
5:前回と今回の課題点の再確認

1:3分
2:7分
3:15分
4:5分
5:10分
→2と3の課題点の復習をレッスン時間内に行うことが可能です。ラスト10分でその日行った事を生徒さんと確認することで、帰宅したあとも「レッスンで学んだ事」をしっかりと覚えていることが可能です。

教える立場として、もうひとつ大切にしていることは生徒さんに自主的に「思い出してもらうこと」です。2と3の段階(前回の課題点と今回の課題点)について、自分は何を練習すべきなのか?…そして練習すべき理由とその解決方法をなんとか思い出してもらうこと…これが一番大切かもしれません。

そして、その作業がレッスン時間内に行われることが理想です。そのためにはやはり40分という時間枠が必要だと私は考えています。

レッスン時間枠のなかで時間は「ひとつの流れ」となっているわけではありません。その枠の中で、課題を絞り込み、与えるのが教授者の役目であり、それを学習者(生徒さん)が自力で課題点を覚えておく。そのような記憶の時間になるようにコーディネイトしてあげなければならないわけです。

そして、そのレッスン枠内での「課題点を思い出す作業」を無意識のうちに行わせるのが教授者としての醍醐味でもあります。



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使っている楽器のポテンシャルをしっかりと把握する方法(二人羽織法?)

自分が使っている楽器のポテンシャルをしっかりと感じてもらいたい…いつもそう思ってレッスンしています。せっかく良い楽器をもっているのに、その楽器のポテンシャルを感じずに「諦めて」しまう生徒さんが沢山います。とても残念。

ちゃんとしたタッチで弾けば、太い低音、抜けるような高音がでるのにも関わらず…それを試そうとしない人がいるのです。


楽器のポテンシャルをしっかりと感じて練習しないとテクニックは磨くことができません。


レッスンをしているときの生徒さんの心境をシュミレーションすると以下のような楽器になるでしょう。


先生:(お手本を示す)「こんな感じにしっかりと鳴らしてみてね!」

生徒さん:(真似してみるが、望んだ音がでない)「こんな音しかしません…」

先生:「こういうアングルを試してみて!」

生徒さん:(再度試行する。だがやはりきちんとした音がでない)「やっぱり先生のような音はでません…」

生徒さんの心境→『先生の楽器だから、そういう音がするんでしょ!』


こういうふうに「諦めて」しまうのです。楽器自体のポテンシャルはあるのにも関わらず…。


こういう場合どうしたらよいのか?…ちゃんとしたタッチで弾けばこういう音がでるんだよ!ということを体験してもらう方法はないのか?…

生徒さん本人の楽器で実感してもらうのが一番だということに気づきました。とはいっても先生が生徒さんの楽器を借りて弾いてしまうと、距離があります。実際に自分の楽器が手元でどのくらい鳴るのか…それを実感してもらうことがなによりも大切なのです。


そこで「二人羽織法」です(←勝手に僕が命名しました)。

生徒さんにはいつもどおりに楽器を抱えていてもらいます。生徒さんに左手を担当してもらう。いつも弾いている曲を先生だけ「右手を担当する」のです。これをやってあげると、びっくりする生徒さんがほとんどです。タッチがしっかりするだけで自分の楽器全体が振動している!…と。お腹のほうまで楽器の振動が伝わってくる…そう感じる方もいます。

自分の楽器、ちゃんと鳴るんだなあ!…と感じてもらいます。そして、その楽器の振動を真似しようとしてくれます。そこでやっとタッチを意識して音を出して行こうと思うわけです。 


さて、余談です。

「二人羽織」とはいっても、生徒さんの後ろ斜めから右手だけ出して弾いてあげるだけです。この方法を最初試したとき、なんとも弾きにくい!…だって、普段弾いている感じではないですから…なんだかぎこちなかったです。いつもの自分の手首のアングルと違いますし、楽器にレストしている腕もないですから。でも、最近は慣れてきました。ひと月に数回は「二人羽織」をしてあげることがあります。なので、二人羽織スキルが上がってきました。教える方も色々なスキルが上がってくるものですね 苦笑。

 


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ペペ・ロメロ教本について(現代ギター2月号)

今年来日予定のペペ・ロメロ。彼が書いた教本について現代ギター2月号に4ページに渡って紹介文を書いています。

R0026527










簡単なギター奏法史、教授史となっています。
「ペペ・ロメロ教本における伝統と革新」と題した文章です。

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現代ギター2014年2月号

ギター史と奏法史全体を俯瞰しないと、ペペ・ロメロの奏法の正当性と合理性は理解できないかもしれません。それを論じています。



 


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ミラーニューロン〜教師自身が『楽しく』教えること!

人間は相手の情動を感じ取る共感能力を持っています。

ミラーニューロンというのだそうです。

今年に入ってから、なんとなくこのことが気になりだして、ちょこちょこ関連本を読んでいます。その中でも非常に面白かった本をご紹介。身体と脳の関連について書いています。

上述のミラーニューロンについても丁寧に説明されています。

レッスンのときにうすうすと感じていたものがすっきりと理論的に説明されていて・・・(重複ですが)すっきりとした気分にしてくれた本です!



脳の中の身体地図―ボディ・マップのおかげで、たいていのことがうまくいくわけ脳の中の身体地図―ボディ・マップのおかげで、たいていのことがうまくいくわけ
著者:サンドラ ブレイクスリー
販売元:インターシフト
発売日:2009-04
おすすめ度:4.5
クチコミを見る

特に小学生以下の生徒を教える場合には、このミラーニューロン理論は重要かもしれません。

ついつい基礎的な部分に執着しがちな、こどもとのレッスンですが、とりあえずは教える側が「音楽バカ」になることが大切じゃないか?と思っていました。

つまり、「うおー、この曲かっこういい!」と本気で思えば、生徒も「かっこういい!」と共感してくれるし、「やっぱりこのメロディー、綺麗だな!」と教える側がほんとうに思えば、「綺麗!」って生徒も思うものなのです。

ついつい体系的なものに頼りたくなったり、教本を進めることに重点を置きがちになってしまうレッスンなのですが、まずは教師自身が「音楽の素晴らしさを感じる」ことが最も大切であるということです。

これは、漠然と「楽しく」やるということとは違います。

「楽しく=気楽に=適当に」ということではないのです!

技術上の側面で生徒が未熟な場合、それができないことによって音楽が「成立しない」という部分で、教師側が「悔しい!」という思いを持たねばなりません。

例えば「このスラーが綺麗にはまりさえすれば、この楽曲の流麗さが引き出せるのに!」という感じ。そういうふうに思い、教師側が心のそこから「悔しいなあ!」と思い、真剣に技術解決の方法を提示している姿を見せれば、受けて側の生徒も「悔しい!この技術上の欠点を解決せねば!」と思うものなのです。

いろいろな教育システムがありますが、教師の情動がそのまま生徒に伝わって「無意識なレベルで真似される」ということを忘れてはなりません。

根本の次元としては、教える側は徹底的に「音楽大好き!」でなくてはいけませんし、「ギター馬鹿」といえるくらいギター音楽を愛していなくてはいけません。

惰性で「この生徒にはこのレベルでいいや。。。」というレッスンをしていれば、その「いいかげんさ」が生徒に伝わります。

確かに教師側も体調やプライベートの問題を引きずることがあります。そして音楽バカになりきれないこともあるのも事実です。

しかし、僕は教える立場として、そして演奏する側としても「24時間音楽バカ」でいようと思っています。


演奏という場でも、こちらが楽しくやっていると、やはりお客さんにも「楽しさ」が共感されるものです。

そんな風にレッスンの現場、演奏の現場では「楽しく!」ということをモットーにやっています!

(なんどもいいますが、「楽しく!=真剣でない」ということではないですからね!)



上記の本、実に含蓄が深い本です。

楽器奏者以外の方にもお勧めです!


 


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