「シルバーウィーク」です。特別連載企画です。のんびりと暇つぶしにお読み下さい(のんびり読めない内容かもしれませんが…)。
テーマは…突然ですが、「教える」ってことについて書きます。
まずはその前に「富川ギター教室」について。
留学から戻ってきて、幸いなことに私の演奏会に来てくれた人が「是非、習いたい!」といってくれました。彼はプロ志望の男性だったのですが、彼から私の教えるという仕事はスタートしました。それが2000年のことです。
演奏を中心に最初の2年くらいはなんとかやっていきました。そのほかは知り合いから頼まれて外部の音楽教室などで指導を行っていました。演奏は月に4回から5回、録音の仕事とかちょっとした伴奏のお仕事とか…まあ、たくさんやりました。ごちゃごちゃやっていてば露出は多くなるもので…「習いたい!」って人が個人的にやってきました。最初はプライベートなスタイルでやっていました。まあ、それだと生徒さんも安心できないかなあ…とおもって「教室」という名称をつけたわけです。
というわけで、わが教室の開設というのは非常にファジー。面倒くさいので一番最初の生徒さんが来た2000年を開設年としています。
おそらく現在まで、外部の教室なども含めて300人は最低でも生徒を個人指導してきたと思います。
最初の頃はとにかく私が留学時に身につけた知識と技術を一方的に与えるだけだったと思います。今、思い返してみると実に「断言的」なイメージですね。
でも、しょうがない。だって、若かったんだもの(言い訳?)。
そして、教える人数が少なければ少ないほど「一方通行的な教え方」になるのはしょうがないのかもしれません。
その当時は自分の知識と技術に「絶対的な自信」をもっていますし。それは確かに「正しい」ものなのですが、やはりどちらかというと自分の身体やメンタルな部分にしっかりと結びついたものでもあります。つまり「私にとっては」正しい…ということになります。
留学中に学んだアレクサンダーテクニックや、様々な先生からの教えを自分としては体系化したつもりではあったのですが、それが万人に通用するのかどうか?…そこの確信がもてないようになっていったのです。
そのように考えてから、生徒さんとのレッスンは「実験の場」と考えるようになりました。そして、「教えること」についての著作などもたくさん読みました。コーチング関連の本も勉強…。
多くの著作や、知り合いのプロギタリストのアドバイスからえられた結論は…理論は様々なケーススタディから抽出される…ということです。そして抽出された理論をまた現場で応用していって修正+改善していくということです。
様々なケース→理論化→その理論を現場で検証→修正&改善
上記の繰り返しを忘れてしまうと「その本人にとってのみ有効な理論」になってしまうということですね。
そして上記のループの大切さは、それを経験した人間にしか分からないのかもしれない…ということも分かってきました。
続きは、また次回!
理論
久々に音楽本の紹介。
かつて私が大学生の頃に愛読していた本。大学の行き帰りに電車の中で、ほぼ毎日2年間繰り返し読みました。
リットーミュージックの「実践コード・ワーク理論編」です。
キーボーディストの篠田元一氏の著作です。
上記写真の私のもっているものは1991年に出版のもの。最近は新装版がでているようです。コンプリート、とついているので内容も加筆されているのでしょう。どちらにしても、もう20年近く出版されていることになるので、内容がいいものであることは保証します。
実践コード・ワークComplete 理論編
最近生徒から「コードって知っておいたほうがいいのですか?」という質問を受けることがあります。クラシック音楽は全てコード進行で説明することは不可能ですが、楽曲によってはコード進行(ドミナントとかサブドミナント、セブンスとか・・・)で説明するほうが分かりやすいことが多いのです。
弾き語りをやっていた生徒さんや、バンドをやっていた人には「ここのDm7がG7に進行していてね・・・」とか説明したほうが分かりやすいこともあります。
場合によってはバッハであっても和声進行をコードで提示したほうがすんなりと合点がいく場合もあるのですね。
なので、知らないよりは知っておいたほうがいいし、クラシックギターでポピュラーの編曲を弾く際や、自分でアレンジを加えてみたい(ハーモニーを付け直したいなど・・・)場合にも役立ちます。
さて、コード理論を学ぶ際に大切なのが、実際に音を出して確かめる・・・ということです。
私が上記の本を勉強していたのは、ほとんど電車の中でした。というよりは、電車の中で「予習」することをしていたわけです。そして帰宅したら、その日読んだものを実際音に出して確かめてみる。そして翌日その部分を「頭の中で音を鳴らしながら」再読。こういうプロセスを繰り返してみると、楽譜を見ただけでは音が浮かばないところが現れます。これが「未修得」の部分ですね。それを帰宅してまたチェック・・・。この繰り返しによって、コード理論の基礎を身につけることができました。
この本はキーボディストが書いた本ですので、楽譜はギター用には出来ていません。これがまた効果的だったと思います。本を読み、頭のなかでギターの指盤を思い浮かべ、運指を考えながら、勉強していました。それを様々なキーで試みるだけでかなりのイメージトレーニングとなったと思います。結果として読譜力もアップしたような気もします。
最近はギタリスト向けのコード理論書もでていますが、意識してやらないとパターンスタディになってしまう危険性があります。手形で理論を覚えてしまっては、実は役に立たないことが多いのです。
極端な例ですが、ジャズ(フュージョンかなあ?)ギタリストのアラン・ホールズワースが理論のみで独自のギターコードのフォームを習得していったように(確か彼の父親がピアニストで、理論だけを教えてもらいながら自分でコードを組み立てていったという話をどこかで読みました)、理論から指盤を把握していく方法が効果的な場合が多いのかもしれません。調性を知り、音符からコード進行を把握していくことがクラシックギタリストにも役立つのです。
生徒のなかには、長年弾き語りやバンド活動をしていて、クラシックギターに転向という人も多いのですが、そのほとんどの人が楽譜からコード進行を読み取ることができません。
カルッリであれ、ソルであれ、ほとんどの場合はコード進行をふることが可能ですので、自分でそれぞれ試してみるいいですね。すると「ほお!」と思うことも多いものです。
「え?この進行、弾き語りのときによく使っていたなあ・・・」とかね。そういうふうに感じられると横の流れがいっぺんに把握できたりする場合もあるのです。
もちろん、上記の本一冊で全ての音楽理論がマスターできるわけではありませんが、その先に和声学や、ジャズ理論、対位法、装飾法などを学んでいく過程で「西洋音楽」が根本に同じ理論を持つことがじょじょに理解できるようになります。
音楽に関しては、さまざまな切り口で勉強をしてみることがなによりも大切なのです。
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