9月2日、満席で「林祥太郎留学記念リサイタル」を終えることができました。大御所ギタリストの方々も多数来ていただきました。また長く彼を応援している方々もたくさん来てくれました。そして彼の友人達(ギタリストもギタリストじゃない人も)もたくさん来ていただきました。
多数のご来場、主催者として感謝の言葉を申し上げます。ほんとうにありがとうございます。
彼本人にとっても、(実は)私自身にとっても思い出深いものになったでしょう
…などとオセンチなことを言っている暇はないのでしょうね。
彼はこれからでしょうし、スペインという新しい環境、そして新しい師匠とまた「再勉強」の日々が始まるでしょう。いったん、日本で学んだ事、私のもとで学んだ事はリセットしてまっさらな状態で学んできてほしいと思います。そして「勉強」というのはそれが大切です。習っている師匠の言う事を「まっさらな状態で」聞くこと…これが実はとても難しいことなのです。そして、それができないと勉強は失敗します。
彼にはそれができるということを私は信じています。実際に彼が私のとこに来てからのレッスンの吸収度、人間性の変化、などを見ていて、そう思うわけです。
彼は私のもとにくる前は菊池通介先生に習っていました。そのあとブランクのあと、私のもとにやってきました。最初に彼の演奏を聴いたのは学生ギターコンクールでした。ポテンシャルのある子だなあ、と思いましたね。
このコンクールのときですね。いまブログ記事を探したらありました。
2009年学生ギターコンクール
実は僕はこのとき審査員でした。このコンクールの本選審査員で彼の演奏に一位をつけたのは私一人。ミスよりも「自発性とポテンシャル」を私は評価の主眼にしたのです。なぜなら、他の本選参加者は音楽的に読譜がしっかりとできているとは言いがたかったからです。そこで点数を分けるよりも「とりあえず自分勝手でもやりたい表現をやろうとしているか?」という点と、ギタリストとしてのポテンシャルがあるかどうか?…ということを評価基準にしたわけです。
それからしばらくして、彼が私のところにレッスンの問い合わせをしてきました(別に審査評をみていたわけではないようです)。来るときまで私は彼があの時出ていた子だと気づきませんでしたが、彼の演奏を聴いたら、思い出しました!「あ、あのポテンシャルと自発性(音楽解釈はでたらめだけど)凄い子だ!」と。
そこから、そのポテンシャルを活かして、より右手左手の基本&音楽解釈の方法を基礎からやりなおしました。1回目のレッスンでこれからの林君に勉強すべきことを割り出しました。数曲弾いてもらい、どのくらい楽譜の読み込みができているのか?…技術的な難所はどのように考えて処理をしているのか?…そして基本的な考えを示しました。
彼は「まっさら」な状態からスタートしたわけです。2回目、3回目のレッスンで、きちんと私の言っていることを遵守しながら「過剰にならない程度に」応用してくる…ということができる人間であることがわかりました。頭の良さですね。しっかりと先生が言ったことを守りながら、楽曲の他の部分でも自分なりに考えて応用してくる…しかし自分勝手な考え方はしない…これが「学ぶときの基本姿勢」です。
そこからの彼の活躍はご存知のとおりです。
翌年の学生ギターコンクールでは見事にリベンジ。
ブログ記事
そのあと、九州ギターコンクールや、セゴビア国際などでも優勝…きちんと勉強した甲斐がありましたね。実際、レッスンでは私の言うことをしっかりと消化してくれました。まあ、私は演奏解釈などは音楽理論の根本から説明しますので、いろいろな可能性を本人が選択していくというだけですね。表現の押しつけはしませんから、彼なりに楽譜から正確に読み解いたものを表現する力をつけたということでしょう。
奏法についても、私は「形」を押し付けません(これは普段のレッスンからそうです)。身体の自然な操縦理論から既存の奏法への「歩み寄り方(?)」を教えるだけですから。
ですが、テクニック面に関しては前の彼の先生である菊池先生の教育が非常に良かったのだと言わざるを得ません。彼が私のところに来る前に既に非常に「しっかりとした指の力」を持っていましたから。
これが僕が最初彼の演奏を聴いたときに感じた「ポテンシャル」です。それをより意識下でコントロールする力、より効率よく使う方法を教えてあげること&既存の奏法理論と身体理論のリンクをとること…これが僕が教師として教えたことです。
震災後のイベントで菊池通介先生とご一緒する機会がありました。林君が私のもとに習いにきていることをお話しました。その後、折に触れて林君の動向などをお会いしたときに伝えるという関係となりました。
そして、今回の「留学記念リサイタル」にも菊池通介先生が来てくれました。記念に3人で写真を撮影しました。いい写真だなあ。なかなかないですもの。
林祥太郎というギタリストはこのふたりの先生に育てられたと思います。そして彼自身の精神力と知性で実力をつけてきたのだと思います。
とりあえずは、私の師匠としての役目もこれでおしまいです(←縁を切るという意味ではないですよ、念のため!)。
彼にはしっかりと新しい師匠(アレックス・ガロベー)のもとで修行に励んでもらいたいと思います。そして、今後は菊池先生&富川&アレックスで4ショット写真が撮れるといいなあ!
最後に…師匠のけじめとしても「留学記念リサイタル」やっておいて良かったと思います。
富川勝智
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多数のご来場、主催者として感謝の言葉を申し上げます。ほんとうにありがとうございます。
彼本人にとっても、(実は)私自身にとっても思い出深いものになったでしょう
…などとオセンチなことを言っている暇はないのでしょうね。
彼はこれからでしょうし、スペインという新しい環境、そして新しい師匠とまた「再勉強」の日々が始まるでしょう。いったん、日本で学んだ事、私のもとで学んだ事はリセットしてまっさらな状態で学んできてほしいと思います。そして「勉強」というのはそれが大切です。習っている師匠の言う事を「まっさらな状態で」聞くこと…これが実はとても難しいことなのです。そして、それができないと勉強は失敗します。
彼にはそれができるということを私は信じています。実際に彼が私のとこに来てからのレッスンの吸収度、人間性の変化、などを見ていて、そう思うわけです。
彼は私のもとにくる前は菊池通介先生に習っていました。そのあとブランクのあと、私のもとにやってきました。最初に彼の演奏を聴いたのは学生ギターコンクールでした。ポテンシャルのある子だなあ、と思いましたね。
このコンクールのときですね。いまブログ記事を探したらありました。
2009年学生ギターコンクール
実は僕はこのとき審査員でした。このコンクールの本選審査員で彼の演奏に一位をつけたのは私一人。ミスよりも「自発性とポテンシャル」を私は評価の主眼にしたのです。なぜなら、他の本選参加者は音楽的に読譜がしっかりとできているとは言いがたかったからです。そこで点数を分けるよりも「とりあえず自分勝手でもやりたい表現をやろうとしているか?」という点と、ギタリストとしてのポテンシャルがあるかどうか?…ということを評価基準にしたわけです。
それからしばらくして、彼が私のところにレッスンの問い合わせをしてきました(別に審査評をみていたわけではないようです)。来るときまで私は彼があの時出ていた子だと気づきませんでしたが、彼の演奏を聴いたら、思い出しました!「あ、あのポテンシャルと自発性(音楽解釈はでたらめだけど)凄い子だ!」と。
そこから、そのポテンシャルを活かして、より右手左手の基本&音楽解釈の方法を基礎からやりなおしました。1回目のレッスンでこれからの林君に勉強すべきことを割り出しました。数曲弾いてもらい、どのくらい楽譜の読み込みができているのか?…技術的な難所はどのように考えて処理をしているのか?…そして基本的な考えを示しました。
彼は「まっさら」な状態からスタートしたわけです。2回目、3回目のレッスンで、きちんと私の言っていることを遵守しながら「過剰にならない程度に」応用してくる…ということができる人間であることがわかりました。頭の良さですね。しっかりと先生が言ったことを守りながら、楽曲の他の部分でも自分なりに考えて応用してくる…しかし自分勝手な考え方はしない…これが「学ぶときの基本姿勢」です。
そこからの彼の活躍はご存知のとおりです。
翌年の学生ギターコンクールでは見事にリベンジ。
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そのあと、九州ギターコンクールや、セゴビア国際などでも優勝…きちんと勉強した甲斐がありましたね。実際、レッスンでは私の言うことをしっかりと消化してくれました。まあ、私は演奏解釈などは音楽理論の根本から説明しますので、いろいろな可能性を本人が選択していくというだけですね。表現の押しつけはしませんから、彼なりに楽譜から正確に読み解いたものを表現する力をつけたということでしょう。
奏法についても、私は「形」を押し付けません(これは普段のレッスンからそうです)。身体の自然な操縦理論から既存の奏法への「歩み寄り方(?)」を教えるだけですから。
ですが、テクニック面に関しては前の彼の先生である菊池先生の教育が非常に良かったのだと言わざるを得ません。彼が私のところに来る前に既に非常に「しっかりとした指の力」を持っていましたから。
これが僕が最初彼の演奏を聴いたときに感じた「ポテンシャル」です。それをより意識下でコントロールする力、より効率よく使う方法を教えてあげること&既存の奏法理論と身体理論のリンクをとること…これが僕が教師として教えたことです。
震災後のイベントで菊池通介先生とご一緒する機会がありました。林君が私のもとに習いにきていることをお話しました。その後、折に触れて林君の動向などをお会いしたときに伝えるという関係となりました。
そして、今回の「留学記念リサイタル」にも菊池通介先生が来てくれました。記念に3人で写真を撮影しました。いい写真だなあ。なかなかないですもの。
林祥太郎というギタリストはこのふたりの先生に育てられたと思います。そして彼自身の精神力と知性で実力をつけてきたのだと思います。
とりあえずは、私の師匠としての役目もこれでおしまいです(←縁を切るという意味ではないですよ、念のため!)。
彼にはしっかりと新しい師匠(アレックス・ガロベー)のもとで修行に励んでもらいたいと思います。そして、今後は菊池先生&富川&アレックスで4ショット写真が撮れるといいなあ!
最後に…師匠のけじめとしても「留学記念リサイタル」やっておいて良かったと思います。
富川勝智
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