ギターレッスンと演奏の日記 from 富川ギター教室

クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。

表現

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スペインが教えてくれたもの〜スペインギターフェスタ2015無事終了

2015年5月16日〜17日にかけて行われた「スペインギターフェスタ2015」無事に終了いたしました。
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(↑初日のあとの記念撮影!)

初日はギター独奏、二日目はトークイベント+ギターアンサンブルで行いました。

同時期にスペインに留学し、今もなお各自がスペイン音楽とスペインという国と密接なつながりをもっている5名でのイベントでした。

独奏では各自の個性がはっきりとわかったと思います。それぞれの選曲、音色、音楽表現に個性があるのは当然です。ですが、スペインで修行した人間共通の「こだわり」があります。そして、その「こだわり」があるからこそ、奏者各自の個性が際立ちます。

二日目のトークイベントのテーマは「本当のスペイン音楽とは?〜スペインで学んだもの」というものでした。そこで留学当時の話をいろいろとしました。どのようにスペイン語を学んだいったのか・・・どのように留学先を決めたのか・・・そして、実際にどのような考えをもつようになったのか・・・留学から10年以上経ち、それぞれがプロ活動を日本で行った今だからこそ、客観視できる「留学で学んだもの」があります。

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(↑プレトークの様子)

プレトークでは、いろいろとお話しましたが、岩崎氏が「他の楽器のコンサートにいったとき”どういう音楽をするんだろう?”と思うけど、ギターのコンサートに行ったときは"どういう音を出すんだろう?”と思うことが多い」と言ったのが印象に残りました。

なるほど、と思いました。ギターは他の楽器に比べると奏者による音色の違いやイメージの違いが色濃く出る楽器です。我々がスペインで習った師匠達全員、ギターという楽器の音色のこだわりは強いものでした。各自が「音色」に悩み、「音色」が音楽の表現に結びつく経験をしてきたのだと思います。

そう考えてみると、最近のギタリストたちは、あまりギターの音色にこだわりがないのかもしれません。司会進行役をしてくれた若手ギタリストの林祥太郎君は「最近のヨーロッパではマスタークラスといっても、音色に対するアドバイスは少なく、どの楽器でも共通の音楽表現のレッスンとなってしまうことが多い」ということを述べていました。

もちろん、西洋音楽に共通の語法(表現法)はあります。ですが、クラシックギターならではの語法もあります。それはスペイン音楽の中に息づいているものでもあるかもしれません。東氏が「スペイン音楽の中にギターが息づいている」ということを言っていましたが、ギターの音色自体に「スペイン音楽表現のヒント」があると言っても良いのかもしれません。

おそらく、スペインで修行した我々は、「音色」にはこだわりをもってきたのだろうなあ、とプレトークイベントを終えてから思いました。各自、仲は良いですが、お客さんを前にして、「きちんと考えをまとめて話す」という経験はなかなかありません。私も、残りの出演者の意見や持論から新しいアイデアをたくさんもらうことができました。

演奏自体は、リハーサルや本番を通じて、たくさんの新しい感覚を得ることができました。新しい感覚を得ると同時に、全奏者に共通の「こだわり」が実感できました。なかなか言葉にすることは難しいですが・・・。

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来年もやってみたいイベントですし、もっともっとたくさんの方に来ていただきたい・・・そして、もっともっと「スペイン音楽」と「クラシックギター」について考えてみたいなあ、と思っております。



 


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音楽表現を考えるためのヒント5

表現力っていうのはなんでしょうか?そしてどのように学ぶべきなのか?ということをテーマに連載しております。さて、今まで4回連続で記事投稿してきました。
あくまでも「ヒント集」ですので、興味ある本などを読んでいただいて表現力アップを目指していただきたいと思います。

音楽表現を考えるためのヒント1
音楽表現を考えるためのヒント2
音楽表現を考えるためのヒント3
音楽表現を考えるためのヒント4

さて、今回は最終回、「音楽表現を考えるためのヒント」第五回!


表現のしかたというのは、時代によって違います。その時代時代によって、「これは強調してほしいなあ!」という要素が違うということです。

これを「時代様式」と言ったりします。

たとえば、アウフタクトと一拍目の関係も時代によって感覚が違います。

かつて、このブログでもあの齋藤式指揮法の齋藤秀雄先生の言葉を借りて、以下のような記事を書きました。

拍子を理解するために

ここから引用します。

さて、一拍目の存在感は時代によって異なる…ということを私は補足説明しました。

このことに関して齋藤秀雄氏の「音楽は文法」という言葉を思い出しました。アウフタクトと一拍目(つまり上記でいうと「小節線の右側の音」ですね)の関係を以下のように述べたという言い伝えがあります。

「これは花だ」…バロック

「これは綺麗な花です」…古典

「なんて綺麗な花でしょう!」…ロマン派

上記の「花」が一拍目です。

バロックであれば、花に強い存在があります。

古典であれば、花には依然ある程度の存在感が残るが、バロックと比べれば一拍目のアクセントは弱まります。

そしてロマン派では「なんて綺麗な」のほう(つまりアウフタクトのほう)の意味合いが強くなります。結果として一拍目の存在感は希薄になります。 

旋律の扱い方も時代によって変化してきます。もちろん和声の扱いも。このあたりをじっくりと研究していかねばなりません。

なぜ、このような違いがあるのか?…各時代毎に「このバランスがいいね!」という旋律の歌わせ方や和声の表現の仕方、拍の表し方のブームがあります。とはいっても、人間は「飽きてしまう」のですね。なので、ちょっと違うことをやってみよう!…このほうが今の時代にあっているんじゃないかな?…というふうに変化させてしまうわけです。

古典の時代にシンプルな和声と美しい均整のとれた音楽が隆盛したあと、人々は「飽きてしまいます」。なので、ちょっと複雑な和声、装飾的な旋律が多く含まれている旋律が「目新しい」時代になり、それがロマン派になっていきます。それに飽きれば、12音技法などが登場し…

時代それぞれに「強調したい点」が違ってくるわけです。そこに表現の仕方の濃度の違いがでてくる。それが「時代様式」と言えます。

その楽曲が演奏されていた当時の価値観=様式感というわけです。なので、もちろんそれを知った上で、現在の我々の価値観で演奏したって一向に構わないのですが、当時書かれた曲は「当時の価値観を考慮した上で」書かれています。なので、現在の価値観や表現の基準で演奏した場合に、つまらない音楽になってしまう場合もある。そこには注意を払わねばなりません。

この様式について、学ぶためには当時の文献や楽譜、教則本などをたくさん読んでいくしかありません。少しずつ読んでいきましょう。たとえばこのような本。



あと、もう一冊くらいあげるなら、この本。


今とは違った「価値観」が見えるはずです。バロック時代にどのような考え方をされていたのか?、ロマン派の時代はダイナミクスをどのようなイメージで捉えていたのか…いろいろと見えてくると思います。

様式は時代とともに変化する「価値観」からも見ていかなければなりません。なので、音楽史についての基本的な知識は必要です。当時の人々が音楽に何を求めていたのか?…何を表現しようとしたのか?…それを抜きにして各時代毎の「個性」は見出せません。

音楽全般と思想の流れを掴むためには以下の本がおすすめです。


読み物としてすらすらと読めます。論理的な部分と感覚的な部分がバランスよく書かれている著作。

ギター史の流れについては日本語で読める良い本はなかなかありません。英語ですが、以下の本が一番のオススメかも。



(日本の出版社で、全訳を考えてくれるところありませんかね?全部読んで、全部訳しましたので、いつでもご連絡くださいまし!)


クラシックギターの奏法史というものも学んでいかねばなりません。これらのことも「教則本や楽譜」などの資料から謎解きしていくしかありません。

たとえば、よく「アンドレス・セゴビアの音楽にはロマン派的からの影響が強い」と言われますが、それを考えていくためにはセゴビアの運指などを丁寧に分析していくのがよいと思います。

以前以下のような記事を書きました。
「版」の意味〜セゴビア編ソルの20のエチュード

ソル20の練習曲〜セゴビアの意図を探る

セゴビアの運指の「理由」を考えていくことで、セゴビア本人の音楽的な嗜好やその当時のギター界の流行がわかります。もちろん、これは別の時代との比較がなければ、わかりません。なので、ソルの原典もあたらなくてはなりません。ソルの生きた時代(古典音楽の時代)の「一般的な価値観」とソルの音楽家としての「価値観や美観」それぞれを分析していかねばなりません。

ソルの場合であれば、その教則本にしっかりと「音楽のあるべき姿」が述べてあります。

そういうものをしっかりと勉強しながら、時代様式というものをギター奏法の中にも求めていかなければなりません。

さて、今回は「時代様式」について書いてみました。

これで、ヒント集は終了ですが、明日もう一本だけ関連記事を書く予定です。

いままでの「ヒント集」の「まとめ」を書いてみたいと思っています。お楽しみに!



音楽表現に関しては、次回の日曜ワークショップでも扱います。 

表現力についてヒントを得たい方…ぜひ日曜ワークショップ「表現力アップの秘訣!」に参加ください! 
詳細はこちら! 

音楽表現を考えるためのヒント2

表現力っていうのはなんでしょうか?そしてどのように学ぶべきなのか?ということをテーマに連載しております。

前回は、音楽の三要素を使って、「音楽でストーリー(ドラマ)を作るためのヒント」をお話ししました。
音楽表現を考えるためのヒント1

ということで「音楽表現を考えるためのヒント」第二回!


音楽の三要素とはなんでしょうか?
旋律、和声、リズムです。

今回はこの3つのうち、旋律についてお話ししてみたいと思います。西洋音楽において旋律はどのように作られるでしょうか?何か元になるものはないのかな?…どう思いますか?

作曲家たちはどのようにして旋律を作っているのでしょうか?…インスピレーション?霊感?

こう考えてしまうと…なんだか正体不明ですね。ミスティックなもので、我々凡人には理解しがたいものになってしまう。

なので、もう少しシンプルに考えましょう。基本になっているものは「音階」です。西洋音楽であれば、基本的に「音階」でメロディーが作られているわけです。

音階にはどのような要素があるのか?…まずはそのあたりを勉強していくとよいと思います。音階にはどのような種類があるのか?…「楽典」の知識が必要です。

楽典は世の中にたくさんの種類がありますから、書店などで「あ、これなら分かりやすいかな?」というのを見つけてみるとよいでしょう。

順次進行、跳躍進行、協和音程、不協和音程…メロディーの「変化」を表すためには以上のような要素が用いられます。

それぞれに、緊張感、親和感、安定感、不安感、意外感、などなど...いろいろな印象がありますね。その印象をうまく使って音楽は「変化」を表しているのです。

簡単に言うと、まずは「実際に声にだして歌ってみる!」ことが大切。

音程を感じながら歌ってみる。音程それぞれに「印象」があります。それを整理していくしかありません。

そして、旋律というのは和声やリズムとの兼ね合いでいろいろと変化します。そのあたりの「感じ」をつかみたいなあ…というのであれば、以下の本がオススメです。

演奏のための楽曲分析法
熊田為宏
音楽之友社
1999-07-01


音の高低による緊張度の違いや、順次進行、跳躍進行による感じの違い。非和声音に扱い方など、具体的な楽曲とともの紹介してあります。もちろん、ある程度の基礎的な「楽典の知識」(調性や音程など)は必要ですが、読み進めていけば「こういうことを作曲家は考えて、自分のイメージを旋律に託しているんだな!」というのがおぼろげながらも分かってきます。

いずれにしても、メロディーは和声とともにあって意味をなしてきます。非和声音についての知識が必要となってきます。「非和声音」というくらいですから、「和声の音にあらず」です。なので、和声がわからないと理解しづらいですね。

旋律を解釈する場合には非和声音を見つけることからスタートするとよいかもしれません。

さて、メロディーはただ適当に音階を上がったり下がったりしているものなのでしょうか?…いいえ、違います。良いメロディーには発想の元になっているものがあります。それを「モチーフ」といったりします。

モチーフを元に作曲家は、変形させたりして、楽曲全体の統一した印象を作っていきます。

このモチーフについては以下の本がとても参考になります。
作曲の基礎技法
アルノルト・シェーンベルク
音楽之友社
1998-12-10


ベートーヴェンの楽曲を中心に「モチーフ」をどのように展開させていくのかを分析しています。冒頭部分を読むだけでもヒントがたくさん得られます。作曲家がモチーフをどのように展開させているのかなあ?と自分がやっている楽曲の中で意識が向くようになると、旋律の扱い方がとても丁寧になります。

さて、非和声音やモチーフについて述べてきましたが、旋律について意識を働かせるためには「秘伝」があります。

それは…自分でメロディーを作ってみることです!そのための参考書としては、以下の本がとても参考になります。ポピュラー音楽のため・・・と銘打っていますが、段階的に書かれています。この本を読めば、作曲家が「あてずっぽうに」旋律を書いているわけではないのだ!…とわかるはず(霊感…などという曖昧な言葉では美しくロジカルな旋律は生まれないのです!)。



以上、旋律について、どのように勉強していったらいいのか?…を参考書を中心に説明してきました。

旋律にもリズムがありますので、そのあたりも注意して…と書き始めると無限に終わらなくなりますので、このあたりで。

とりあえずのまとめとしては「歌ってみる」「メロディーを作っている人の気持ちになって分析する」「自分でもメロディーを作ってみる」という作業をしてみると、旋律を分析する感覚が養われてきます。


では、「音楽表現を考えるためのヒント3」へ続きます!


音楽表現に関しては、次回の日曜ワークショップでも扱います。 

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音楽表現を考えるためのヒント1

表現力っていうのはなんでしょうか?

これから何回かにわたって、このブログでヒントを書いていきたいと思っています。

当教室に訪れる方には「自分で表現をしっかりとつけてみたい」と仰る方が多いのです。

当教室の生徒はいろいろな曲を持ってきます。私がまったく見たことがない楽譜をその場で分析し、解釈の可能性を探る…それを見て、生徒さんによっては「先生って、初めて見た曲の表現がどうして分かるのですか?」と訊いてくることがあります。

勉強すればできるよ〜!とその場ではぐらかす場合もありますが、いくつか解釈の方法を教えます。西洋音楽の普遍的なルールをいくつか知れば、表現を探していくことが可能です。

今日から、その普遍的なルールを知るための参考書やヒントを少しずつこのブログでお伝えします。

ということで「音楽表現を考えるためのヒント」第一回!

まずは音楽における「表現」とはなにを表しているのでしょうか?…これはとても大切です。抽象的に言ってしまえば、ストーリーを曲で描ければよいのです。とはいっても、音楽には「言葉」はありませんし、絵もありません。音でストーリーを描ければよいのです。

では、ストーリーとは何か?…はじまりがあって、いろいろな変化が起きて、波乱があって、クライマックスがあって、終わりがある。つまり「変化」=ストーリーというわけです。

音楽では、それを「音楽の三要素」(旋律、和声、リズム)を用いて、ドラマを描き出します。この「表現とは変化」であるということをしっかりと整理してある名著としてハンス・ペーター・シュミッツ氏の「演奏の原理」(シンフォニア刊)があります。

演奏の原理
大阪村上楽器
2006-04-21


この本から多くのことを学ぶことができます。基本的な概念はシンプルです。

動的であるか静的であるか?…これが変化を作る要素ということです。テンポの速い遅い、音量の変化、アーティキュレーション、etc...いずれの要素も動的であるか静的であるかという区別がつけられます。

音色についても動的であるか静的であるかということがあります。面白いのはこのような区別がつけられると、音量の変化や表情記号の知識などと組み合わせると、様々な表現のバリエーションが得られるということです。

以前、スペインの女流ギタリストであるマリア・エステル・グスマンのマスタークラスで私が感じたことのブログ記事をアップしました。
明るさと暗さ:開と閉

この記事の中でこう書きました。
マリア・エステル・グスマン氏のマスタークラスの通訳をしたときのこと。クレッシェンドを「だんだん開いて行って〜」と言ったり、フォルテを「もっと開いて!」と言ったりします。つまり「abierto」という単語を使うわけです。直訳すれば「開いている」。英語のopenedです。文脈によっては「開放的に!」とか「明るく!」という感じで訳しわけたりします。
 

音量の大小、音色の明暗は同時に表現されると、実に複雑な表情を孕んでいきます。

楽譜のダイナミクス記号を見て、音量の大小だけで表現しようとすると、非常につまらない音楽になっていく場合があります。緊張感のあるピアニッシモ…硬質な音色で音量を小さく…というふうに表現することも可能です。

このようにハンス・ペーター・シュミッツ氏の著作には多くのヒントが隠されています。また、そのお弟子さんでもあった吉田雅夫さんの著作も簡潔にまとまっていますので、オススメです。




では、「音楽表現を考えるためのヒント2」へ続きます!

音楽表現に関しては、次回の日曜ワークショップでも扱います。 

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明るさと暗さ:開と閉(強弱記号のイメージ)

最近気になること。

生徒さんのダイナミクスへのイメージです。ダイナミクス…一般的には音の大小ですね。僕自身も小学生や中学生の頃に「フォルテは強く、ピアノは弱く」と習った記憶があります。一般的にはこういう感じ(Wikipediaより)で習います。

これはもちろん間違いではありません。とはいっても、これらをデジタル的な目盛りのような感覚で演奏するだけでは、音楽のストーリーを作れるわけではありません。

作曲者がつけているfやp…一般には強弱記号とか呼ばれたりしますが、それにはもっといろいろなニュアンスが含まれているのです。フォルテにはフォルテの「イメージ」があり、ピアノにはピアノの「イメージ」があります。同様にクレッシェンドやデクレッシェンドは「音量をだんだん大きく/小さく」という定義以上のイメージがあるのです。

留学中に習ったほとんど先生がダイナミクスのイメージを音量の大小でいうことは稀でした。フォルテには「温度の熱さ」とか…ピアニッシモには「芯の強さとはかなさ」とか…楽曲の文脈によって同じフォルテという記号がついていても、
いろいろにイメージは変化しましたが、ほとんどの先生は「音の強弱」を越えたイメージを求めていました。

留学から帰って来て、こんな本に出会いました。

ピアニスト、ヴィタリー・マルグリス著の「バガテル 作品7」です。
バガテル作品7―或るピアニストの考えと格言
ヴィタリー マルグリス
カワイ出版
2002-11-01



この134ページにこんな文章があります。引用します。

だんだん「大きく/静かに」だけが、「クレッシェンド/ディミヌエンド」の意味することではない。多声構造において、だんだん「厚くする/薄くする」こと、だんだん「明るくする/暗くする」ことも「クレッシェンド/ディミヌエンド」の一種である。

…音量の強弱が明るさや暗さにも喩えられています。この発想はツェルニー著「ピアノ演奏の基礎」にも同様のものがあります。フォルテやピアノの「特定の性格」を定義しているページがあります(12ページ)。




簡単にまとめると以下のようになります。

pp:秘密めいて神秘的な性格。
p:愛らしさ、優しさ、穏やかな平静、静かな憂鬱
mezza voce:穏やかに語る会話の調子
f:独立心に溢れた決然とした力の表現であるが、情熱を誇張してはならず節度を保つこと。
ff:歓呼にまで高まった喜び、苦悶にまで高まった痛み

もっと丁寧に原書では説明しています。詳しくは原著を読んでください。ダイナミクスの表現に悩んでいる生徒さんやイメージ作りに悩んでいる生徒さんには、レッスン中にこのページを読み上げることが多いです。ほとんどの生徒さんは「強弱記号ってこういうことだったの?」と思ってくれます。そして楽曲のストーリー作りを楽しんでくれます。

この著者はベートーヴェンの弟子です。なので、古典の表現などについて多くの示唆を与えてくれます。

そして、この時代からダイナミクスは「イメージの表現」であるということが理解することができます。デジタルは音量表現が先にあるのではなく、先に感情が伴ったイメージがあり、その結果としてフォルテは音量が大きくなり、ピアノは音量が小さくなる(ことのほうが多い)ということなのです。

私の自分自身の経験からも、同じことが言えます。ヨーロッパで演奏したり、海外のギタリストの通訳をしたり、音楽談義をしたりすると、やはりダイナミクスは音量の大小だけはないな〜と痛感します。

マリア・エステル・グスマン氏のマスタークラスの通訳をしたときのこと。クレッシェンドを「だんだん開いて行って〜」と言ったり、フォルテを「もっと開いて!」と言ったりします。つまり「abierto」という単語を使うわけです。直訳すれば「開いている」。英語のopenedです。文脈によっては「開放的に!」とか「明るく!」という感じで訳しわけたりします。

同様のことはフランシスコ・クエンカ氏のマスタークラス通訳をしたときも感じました。

フォルテは「明るく」そして「開放的」でもあるのです!これはもちろんスペイン語の語感による部分も大きいとは思いますが、少なくとも音量の大小だけの問題ではないことが分かります。

クレッシェンドが「開放へ向かう」のであり、デクレッシェンドが逆に「閉じて行く」のであれば、音楽のイメージ作りが随分変化してきます。また「光に向かって行く感じ/暗闇に引きずり込まれて行く感じ」…「外交的な感じ/内向的な感じ」というふうにイメージを作って行くこともできます。楽曲を解釈していく際のストーリー作りがしやすくなるわけです。

強弱記号のイメージ…これをいろいろと持つように心がけてください。デジタル的に捉えるのではなく、最初にイメージがあるのですから。




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