ギターレッスンと演奏の日記 from 富川ギター教室

クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。

解釈

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匂わせる…表現の濃淡

最近のレッスンでよく使う言葉に「におわせる」があります。

例えば、ここは「2拍子であるようなないような・・・」と説明しなければならない場所があります。一番良く出てくる例で「ヘミオラ」でしょうね。3拍子の中に2拍子の感じが含まれている場合ですね。これを単純に2拍子と思ってノリを作ってしまうとこれが「ダサい」「クドい」「分かりやすすぎる」わけです。なので、基本的には3拍子で弾きながらも、そのなかにあるもうひとつのリズム2拍子を感じるわけです。これが「におわせる」というニュアンスなのでしょうね。

また音のグルーピングの場合にも当てはまりますね。また内声の進行を際立たせることがポイントの部分でも、この言葉を使う場合も多いです。

もちろん、匂わせる前に、はっきりと意識する・・・ということも大切です。なので、強調してまずは練習する。これは和声の部分的な解決などにもいえることです。極端な話半音下降のメロディなどは「ドミナントー解決」の組み合わせとも考えられるわけです(わかるかなあ?)。「半音下降らしく」表現するためには、最初は全部上記のように解決感をつけて区切って練習すると感じがつかめます。それから音のグループを滑らかなラインにしていくわけです。

極端な話、細かく区切っていけば、2音の間には絶対に主従関係があります。この関係が「王様と家来」というふうになる場合もあれば、「王様とこじき」となる場合もあります。「王様と女王様」(どっちが強いんだ?)という場合もあるわけです。もちろん同格の場合もありますが、音楽というのは経験上、主従で考えたほうが豊かな音楽が作れるような気がします。

さて、そのように割合明確に音の関係性を捉えて、“誇張して”表現練習をしたあとは、それを“忘れて”今度もより大きなフレーズを見ながら演奏します。行き先を決める…という感じでしょうか?

その行き先もはっきりと定めて、「よーし、ここで一旦休憩!」とか、「一気に緊張感を高めて、ここでクライマックス!」とか…このような感じで、誇張気味で練習しておきます。…そしてそれを“忘れて”、次はより大きな構成を見据えて演奏してみるのです。

このようにしていくと、表現における「匂わせる」というニュアンスが理解できるかもしれません。

結局は細部を丁寧に見ていき、大きい流れも失わない…ということを目指すために実に有益な言葉なのです。

誇張して細部をチェックする段階で、そこに気持ちや感情などが注入できればより良いですね。そしてその感情の流れを少しずつ大きなパーツにしていく。こう考えていくと、ある曲の一音目が始まった瞬間に、最後の音が見えるというのが良い演奏なのです(もちろん演奏者本人が)。

その場、その場で「頭で考える」「作られた」音楽は実に醜いものです。

「よーし、ここはクレッシェンド」とか、「次の2小節はフォルテ!」とか…これでは表面上表現がついていたとしても、音楽とはいえないと思います。

表層的な音楽を避ける、人工的な音楽を避ける、人為的な音楽を避ける…ということが演奏表現において重要であるということです。そして、そのような醜い音楽を作らないためにも「匂わせる」という感覚は是非知っておいて貰いたいと思うのです。

そして大事なのが、自分でこの「匂わせる」表現ができるようになると、他人の「匂わせ方」も分かるようになります。

CDなどで単調に聴こえていて「つまらない」と思っていた奏者が、この「匂わせる」というニュアンスがわかると、突然「凄い深い表現をしている!」というふうに思えてきたりするから不思議です。

この「匂わせる」という言葉には「上品さ」という言葉と同義かもしれません。全ての表情を分かりやすいように表に出してしまう演奏家も多いですが、実は巨匠と呼ばれる人にはこの「匂わせる」表現が上手い人が多いのです。こういう人のことを本当に巨匠と呼びたくなるものです。

文章で説明するのは実に難しいのですが…(レッスンで具体例を知っている生徒さんは「そうだよね〜」とうなずいてくださいね!)

…以上、最近なんとなく思っていることでした。

 

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リズムのついての一考察〜ソルとイルマル

はじめにリズムありき…といったのはハンス・フォン・ビューローでした。

この言葉を私は留学中読んだピアニスト、ネイガウスが書いた「The Art of Piano Playing」という本で知りました(この本を読め!と勧めてくれたのはバルセロナの師匠であるアレックス・ガロベーです)。

一般に「リズム」という言葉は曖昧に用いられていることが多いようです。なんとなくパーカッションやドラムをイメージしていたり・・・ラテンのノリ(!)のようなものを意識しているようです。生徒さん数人に質問するとそういうイメージを持っていることが多いのですね。

最近レッスンをしていて気づいたことなのですが、「旋律にもリズムがあること」を忘れている人が多いということです。生徒さんをレッスンしていて、ある程度の技術がある人、表現意欲がある人でも、このことを見過ごしていることが多いのですね。

この記事のタイトルに「ソル」と「イルマル」と出しました。ソルは19世紀ですね。古典です。イルマルは「バーデンジャズ組曲」の「イルマル」です。どちらかといえば現代風でラテン音楽の影響が強く、ジャズ風でもあります。しかし「旋律にもリズムがある」という点において、両者とも同じアプローチで楽譜を分析していかなければなりません。このことを忘れて、バーデンジャズ組曲を「なんとなくラテン風」に弾いて満足・・・という生徒さんが多い。むかーしもこのブログで同様のことを書いた気がするのですが、やはり人気曲・・・持ってくる生徒も多い・・・それだけ、このリズム面でのアプローチの曖昧さが実に気になる曲ではあるのです。

(曲に罪がありません。あしからず)

さて、どうしてソルもイルマルも同様のアプローチで解釈できるかということを説明します。

リズムを考える上で重要なのが「反復」という考え方です。

身近な例をあげれば、時計の秒針の音が反復です。タ、タ、タ、タ・・・。ずーと繰り返しますが、これをチックタック、チックタックとグルーピングしたがるのが人間の習性です。ここに一応最初のリズムが生まれます。しかし、そのチックタックを延々を聴いていると「単調」に聴こえてしまいます。そして眠くなる・・・つまり飽きるのです。

しかしちょっと変わった時計があって、このチックタックと定期的にクリックをうっているのに、あるとき突然「タタタタタ!」と1秒間に5回クリックを打ったとしたらどうでしょう?・・・チックタックの反復で眠くなっていたかもしれませんが、目が覚めますね?

チックタックを一定のリズムとして認識すると、それが次も続くのだなあと予測するのが人間の習性です。しかしその予測が裏切られたとき、人は「はっ!」とするのです。

この「はっ!」とする瞬間を作曲家は意識してメロディーのリズムを構成していることが多いのです。単純に考えれば、曲のメロディーは同じリズムを反復することが多く、展開させるために似たリズムをちょっと変形させて「はっ!」とさせることが多いのです。

例えば、ソルの魔笛の主題による変奏曲。テーマ部分がありますね。

「タータタ、ターターターティータン」というリズムのフレーズ。もういちど同じリズムのフレーズが繰り返されます。ここでもう一度全く同じリズムのフレーズがきたら「飽きます」(おそらく駄作です)。次は「タータタ、ターターターティヤンタタータター!…」というふうになりますが、途中まで一緒ですね。しかし装飾音が入っている部分からリズムが変化するのです。これが「はっ!」という瞬間です。そして、この部分を具体的に「変化」が感じられるように音として表現すること…が大切なのです。

もちろん上記の魔笛のテーマには和声進行もあり、この3つめのフレーズまでじょじょに盛り上げてくる雰囲気を作ってはくれています。しかし、このメロディーのリズムの変化する瞬間をはっきりと意識することが楽曲全体の解釈へとつながってきますし、このようなリズムの変化に敏感になることが大切なのです。

で、イルマルはどうでしょうか?

イルマルのバーデンジャズ組曲のシンプリシータの後半部分のボサノバっぽい部分(?)を見てみましょう。

基本的にはシンコペーションを反復と考えて、それが裏切られる部分を意識ということになるでしょう。リズムの裏をとっていて、それが頭にメロディーがのっかることで「裏切られる」わけです。ここを意識する…。それだけでだいぶ曲のリズムがすっきりします。

実際のレッスンでは、もっと細かくみていきますが、単純に考えれば、「予想と裏切り」という概念で、魔笛(古典)もイルマル(ラテン?)も解釈することができます。

この概念に慣れてくると、「お!このバスの進行は次の旋律のリズムの予告だなあ…」とか「あ、またテーマに戻ってきた・・・」とかが分かるようになります。

旋律のリズムに敏感になること…これは凄く単純な理屈なのですが、なかなか生徒さんで自分で気づける人は少ないようです。もちろん、これだけで楽曲の要素全てが解釈できるわけではありませんが、なかなか気づけない点のようです。

是非みなさん、がんばってこの感覚を身につけてくださいね!

 

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富川&池田対談(現代ギター誌に掲載中!)

昨日現代ギター11月号が届きました。

「特集:古典で楽しむデュオの世界〜カルッリを弾く」という記事で私、富川勝智と池田慎司氏が対談を行っています。

池田&富川デュオ対談

 

 

 

実際に楽譜を初見で弾きながら、デュオの勘所を考えていくという企画でした。基本はカルッリのギター教本をもとに。カルッリギター教本は前半は普通の教本ですが、後半に2重奏曲集がついています。これが隠れた名曲揃い!&初心者でも弾ける!…ということで、取材当日持参したものです(現代ギター11月号38ページ下方に写真があります)。

このカルッリの2重奏曲を初見演奏しながら、自分達が何を考えながらデュオ演奏しているのか?・・・というのを考えていく進行の仕方でした。

編集者2名同席のもとで2名はギターを抱えて、MDで録音しながらの進行でした。約2時間ほど弾きました。で、語る(弾き語り?)。

同席した編集者には「え、打ち合わせなしで、どうしてそこで表現が合うの?」という疑問が多くあったようですが、これは紙面にもありますが、「音楽の基本表現」、つまり解釈の基本文法が共通だからなのでしょう。(※この基本文法を学ぶのが音楽のレッスンなのですね)

もちろん、両名初見なので、大きな構造は掴めていません。

以下38ページより引用。

池田:ここは和声の変化でやらないとアゴーギグじゃ長いですね。お互いに今探りましたよね。

富川:うん、何が何だかよくわからない。

・・・(中略)

池田:でしょ。それが聴き手にも伝わっているっていうのも弾いててわかっちゃう。

これはお互いに全体を見通した上での着地点が見えていないということを表しています。もし、本番で演奏するならば、これをリハで確認します。

というように実践的なコツを明らかにしていこう、という企画だったわけです。

どちらにしても、普遍的な音楽表現の文法を理解していることが大切なわけですね。

フレージング?ヘミオラ?アナクルーズ?デジナンス?カデンツ?・・・と全て「?」なパートナーとはデュオは不可能なわけです。このあたりを教師の人が知識として与えることが通常のレッスンでも大切なわけですね。それをソロ曲でも適切に指導しておけばデュオでも両名、「共通の文法」でお話することができるわけです。

もちろん、今回はその「共通の文法」を容易に弾ける古典曲で理解するのがいいよ〜!という要旨ではあったわけです。これには生徒&教師のペアの演奏が理想形です。教師が「あ、そこは解決するところだからね・・・」とか、「フレーズはここで終わるからね・・・」とかいいながら、生徒を導くわけですね。そのようにして「基本文法」を学んでいく。この基本文法を学ぶ上で、古典は形式がしっかりしていますし、和声の解決なども明瞭ですので理想です。

本文中で私が「古典を楽しめない人はポピュラーも楽しめていない」といっているのは、そういう理由です。古典和声での解決などを理解していない人が、その発展したものであるポピュラーの和声の感じなど掴めるはずもありません。

これは、本文にもあるように「口伝」の部分です。

勿論、通常のレッスンの時間は限られているため、口伝では伝わらない部分もあるのも事実です。それは、演奏者各自の「古典とは何か?」「音楽の呼吸とは何か?」と常々考えることが重要なのです。また時代によって呼吸の長さも変化します。

先日も池田慎司氏とデュオをしましたが、ファリャの音楽の息の長さは尋常ではないと感じました(余談ですが、同じことをポンセのソロ作品などにも感じます)。ずっと、腹筋を締める感覚とでもいうのでしょうか?・・・息を吸い込む瞬間が訪れるまで「長い」のですね。これが独特の緊張感を生むのです。それが音量的にピアノの部分であるとしても、です。(←これが「寿命を縮める」理由?)

池田氏と私は、スペインで同じ先生についていましたが、その後はまったくそれぞれの道を歩んでいます。しかし、その学びの過程において、おそらく上記のこともお互いに意識できているのでしょう。ファリャの音楽を演奏する上での「同じ文法」が把握しているのです。

デュオの楽しみは、このように自分が知らない「文法」を相手の演奏から感じることにあると思います。そして、それを次に生かしていくわけですね。

大きな視点からみれば、やはり大指揮者にふってもらったオケの団員はものすごい量の文法を所有しているのだと思います。そして、それがオケの中で継承されていくわけです。

話はちょっとずれますが、私が生徒に常々「名演奏家、名指揮者といわれる人の演奏をできるだけ、ジャンル問わず聴くこと」を勧めているのはそういうわけです。ギターだけ聴いていても音楽はよくならないのです。

ということで、そのようなことを現代ギター誌11月号の自分達の対談を読んで思いました。

是非楽器店、書店などでご購入の上、お読みください。

現代ギターのサイト

 

(追記)

記事タイトル下の富川&池田の写真が凄くすがすがしいです。ああ、楽しそう〜って感じの写真です。これも是非注意してみてくださいね!

 

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レッスン覚書ミニ〜2007年10月3日〜4日

  1. 曲の解釈は、メロディー、リズム、和声・・・という3つにわけてまず分析。なれていないうちは、とりあえずひとつに集中。慣れてくると、これら全てを同時に考えながら解釈できるようになる。というよりは、できなければ曲全体の解釈は不可能。
  2. 一音では音楽として成立しない。次の音が現れてくるとき、やっと意味のある単位となる。
  3. 暗譜法。記憶術の本を読むとか、脳関連の本を読むと役立つ。これはギターだけでなく日常生活にも役立つ。
  4. mを弾くときもa、ch(小指)を連動させてみる。これでじっくりと音階練習していると、手の動きの仕組みがじょじょにわかってくるはずだ。aを動かすとき、chを連動させるのは言うまでもない。
  5. ラリータ・アルミロンの演奏。アラールの華麗なる練習曲などは参考になる部分が多い。ターレガがどのような演奏スタイルだったのかは想像や文献に頼るしかないが、できるだけ近い時代の演奏家のスタイルを研究することは楽曲解釈のうえで重要だ。
  6. セゴビア編ソルのエチュード5番、6番。アナクルーズとデジナンスと明確にすることが大事。これをしらないとフレーズ内の起伏が曖昧となり、ぼんやりとした演奏となる。フレーズの頂点はどこか?しっかりと把握しなくてはならない。
  7. ソル月光。リョベートの演奏は、楽曲全体を大きく捉えた演奏で参考となる。リズムの揺れは、3拍目と1拍目のつながりを意識したもので、なれないと気持ち悪いが、普遍的な西洋音楽のリズムとしては妥当なもの。最終フレーズのデジナンスの処理のしかたは、理想的。是非参考にすべし。
  8. セゴビア編、ソル。ソーファーミというつなぎのフレーズが次の部分で引き継がれていることに注意。そして、これを強調するためのアゴーギグの処理が大切。
  9. 複付点などの複雑な部分はとにかく分割して考える。四分で取れない場合は、8分でカウント。それでも駄目なら、16分でカウント・・・というようにいくらでも分割して、メトロノームで練習しよう。
  10. 細かい盛り上がり、落ち着く部分・・・を積み上げて曲全体の流れを作る。後半部分で、盛り上がりが続きすぎると逆に単調に聴こえるもの。緊張感を緩める部分(じらす部分?)を作ると、曲全体の緊張感は増すものである。
  11. プーランク、サラバンド。左手運指が絶妙。一体だれが運指をつけたのだろう。ギターのハイポジションとローポジションの音色を知り尽くした運指である。献呈されたイダ・プレスティかなあ?

 

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「ラグリマ」の解説について

ホームページの「ギター講座」のところに
ターレガの「ラグリマ」の解説をアップしている。
 
あるブログの記事に、この解説についての感想が載せられている。
以下引用。
 

選曲は古典的な小品…といっても、オーソドックスなようでいて実はマニアックという選曲でした。1曲目は「ラグリマ」だったのですが、ギター講座では「ラグリマ」の弾き方に関して詳細な考察があります。単に指馴らしで簡単な曲から始めたのかと思ったら、それだけではなく、この簡単な曲が実は非常に難しいのだということが講座を読むと分かります。ただ、私としては「そこまで考えて弾いているのか」と感嘆する反面、引いてしまったのも確かです。正直、それほど面倒なものならクラシックギターなんてやりたくないな…と。この辺は難しいところですね。

実は私のコンサートを聴きに来た人の記事です。

確かにそう思う気持ちも分かるのですが、これを一言で「ひいてしまった」「それほど面倒なものならクラシックギターなんてやりたくない」と言い切られてしまうほど切ないことはない・・・

 

私は通常の生徒のレッスンで、「ラグリマ解説」で書いてある内容の全てを生徒に強制したりはしていない。実際にそこに書かれていることを生徒に強制したら、それこそ「そんな面倒なことやりたくない!」と逃げられてしまうだろう。だが、本当にある作品の真価をひきだすためには、ありとあらゆる角度から楽曲に立ち向かわねばならない。

私は「ラグリマ解説」で、楽譜からどれだけ情報を読み取り、表現につなげていくかを文章に書いただけである。そしてその情報の取捨選択をしているのは私であるから「私なりの解釈」である。私なりのアプローチで作品と対峙しただけである。

そして、フレージングを考えたり、アゴーギグの様々な可能性を試し、本番の演奏時はそれを全て忘れてしまっている。「次はリタルダンドだな・・・」とか「このフレーズはあそこまで・・・」ということは一切考えない。練習の時に、考えた表現を同化させてしまっているので、本番演奏時に「ラグリマ解説」に書いたことなど微塵も考えるないのである。「心のおもむくまま」「わたしの」ラグリマを演奏している。いわば、自動的に楽しんで演奏しているという感じ。

どの曲を練習する場合でも、さまざまな観点から楽譜を「読む」こと、そして表現の様々な可能性を試すことは重要である。人前で演奏するにあたって、「どう表現していいかわからない」という部分をすこしでも残してはいけない、と思う。充分に楽曲を分析し、演奏する・・・これが作曲家に対する礼儀であり、音楽をする人の「至上の喜び」であるはずである。

楽譜の奥にあるものを掘り起こす作業を「ラグリマ解説」では書いただけである。

アマチュアにはアマチュアの領分がある。「面倒くさい」と感じるのであれば、その手前でラグリマの表面の音の部分で楽しんだらいいのである。アマチュアにはその権利がある。私はアマチュアが純粋に楽器で「音を出すこと」を楽しんでいる姿を見るのが好きである。そして、『ラグリマ』は、音をだすだけで充分に楽しめる楽曲である。

ただし、一度、楽曲を解釈する「楽しみ」を知ってしまえば、その行為こそが「音楽をする」ということに気づくだろう。その解釈という作業を自分でするためには、経験といくつかのコツが必要である。そして知識も必要である。作曲家についての知識、音楽形式に対する知識、楽典の知識などである。それらの知識を総動員して、楽曲の分析をすることで、「音楽」が眼前に顕れてくる。

そのために割かれる労力は「音だけ出したい人」には意味のない「苦痛」「無駄」であるかもしれないが、「音楽をする人」には喜びと発見に満ちた時間であるのだ。

楽曲を解釈するために割く労力と時間は各人自由である。逆に、労力と時間を多く割くことができる楽曲こそ「名曲」といえる。それは同時に「音楽をする楽しみ」をたくさん我々に与えてくれる楽曲である証拠でもある。

無責任に「それほど面倒なものならクラシックギターをやりたくない」と言わないで欲しい。本人はそういうつもりで言ったのではないと信じたいが、この言葉は、音楽に対する侮辱ととられても仕方がない台詞である。真摯に音楽に取り組む人にとっては、「怠惰」から来る言葉であるとしか思えない。

私は音を楽しむアマチュア演奏家の態度を否定しているわけではない。ただし、もう一歩踏み込んだところに「音楽のプロ」は喜びを見出しているということを忘れないで欲しい。それがアマチュアで音楽を楽しんでいる人がプロの音楽家に払うべき礼儀である。

・・・私は生徒にレッスンを行うとき、「音楽を解釈していく喜び」が得られるように技術面、表現面から指導している。最終的には自分で楽曲を解釈する喜びを見つけてくれることを希望しているのだ。

たった数音の音のつながりから意味を発見する喜び、その音のつながりが自分の精神に与える影響、それを第3者に伝える技術、を私は生徒に「こっそりと少しずつ」レッスンしている。

そして、現時点での私の解釈のプロセスをまとめたものが「ラグリマ解説」である。明日にはそのアプローチは変わるかもしれない。おそらく、演奏するたびに新しい解釈が生まれてくるだろう。そのプロセスが楽しいから「音楽家」をやっていけるのである。



かなりの長文になってしまいましたが、ここまでお読みいただいた方ありがとうございます。

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