クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。
現代ギター2月号に、私の短期連載が掲載されています。
60ページ〜61ページです。
タイトルは「ファリャと同時代の作曲家」
副題：1920年代を軸に眺めるギター・レパートリー概観
うーん、固い！
まあ、興味がある方は読んでください。すみずみまで読めば、意外に知られていない情報がこっそりと書いてあります。
しかし、今回1920年代頃のギター史を調べてみたら、面白かったです。本当に音楽が生き生きとしていた時代なのだな〜と思って、楽しく調べていたら文章化するのに手間取りました（笑）。
おまけとして、「いまさら聞けないQ＆A」の楽譜編に資料提供もしています。
いざというときに、資料は役立ちます。楽譜は集めておくものですね。
ということで、今号、来月号と「ファリャと同時代の作曲家」の連載がありますので、皆様（立ち読みせずに）お買い求めのうえ、お読みください。
私が資料提供したポンセの「しおれた心」の楽譜も添付されていてお買い得です！
今度1月26日に新宿曙橋でデュオライブをやる児玉祐子さんのブログへトラックバック。
「コンサートプログラム考」ということで、これがいい文章で・・・さすが相方！
・・・と褒めるだけで終わっては芸がない。
で、ちょこっと私なりの意見を。
確かに「知っている曲を聴きたい！」という意見はよく耳にします。クラシックギターで言えば、「禁じられた遊び」「アランブラの思い出」「恋のアランフェス」（今でもこういうのかな？）といった具合です。世代によっては“古賀メロディー”を聴きたいという方もいるかもしれません。
一方で、演奏する側が「名曲」と思っているものは、俗世間とは乖離しているものが多いものです。ポンセの「第�轡愁淵拭廖▲屮蹇璽ΕД襪離愁淵拭△呂燭泙辛靄�徹のフォリオス・・・ああ、お客が逃げていく・・・
まあ、その中間あたりを探ったりしてプログラミングをしてみるのですね。
私が留学から帰国したばかりの頃、そのプログラミングを『客を遠ざけるようなプログラミングだ』と批評してくれた友人がいます。ブロトンズや武満、ダンジェロ、ニャタリ・・・といった作曲家を配列したコンサートばかりやっていた頃です。
いっぽうで、『この“路線”で突き進んでください！』といってくれるお客さんも結構多くいました。
結構悩みましたね。どっちを信じればいいのか？って。
悩んでいてもしょうがないので、その後、ターレガを中心にギターレパートリーを見直しました。これで、なんとか「ギターを弾く喜び」を取り戻せたような気がします。
その後、調子にのって南米研究と称してラウロを見直し。その後、トローバを再研究。その後、「悲しみの礼拝堂」とか「ディアハンターのテーマ」「11月のある日」などの“ポピュラー小品”の研究・・・と、表面には見えずらいかもしれませんが、大まかに数ヶ月ごとにテーマを決めて練習、そして演奏会へかけてきました。
まあ、そんな感じで、とりあえずの結論は『いい曲はいい！』・・・ただそれだけ。
そう思って演奏していくしかないと思います。
おそらく、どの演奏家も『名曲探し』をしているのだと思います。
それを少しばかりの愛情を持って聴く・・・というのが聴衆の役割であると思います。
甘えているわけではなく、ギターのコンサートに来るお客さんが“演奏家を育てる”わけで、『自分の聴きたい曲を弾かないコンサートなんか行かないよ』といわずに、『今日はどんな新しい世界（曲）が待ち受けているのだろう？』くらいの感覚で、コンサートへ出かけて欲しいと思います。
最後にひとつだけ。
有名ギタリストが弾いていなくても「名曲」は存在する！ということを常に考えてください（アマチュアもプロもです）。
CDになっている曲しか弾かない・・・有名ギタリストがコンサートで弾く曲＝名曲・・・とかいう発想では駄目です。
ギター史の中には、「埋もれた名曲」というものがありますので、マスコミの情報に惑わされず、各自が「名曲」というものを発掘する努力をしましょうね。
もちろん「本当に埋もれた曲」ってのもありますけど・・・
まとまりないですが、一応コンサートプログラム考（富川編）でした。
1月26日のライブでは、「ライブ」なので、まだプログラム未定です。一応、わたしなりに「名曲」を選曲する予定ですけど・・・。多数のご来場お待ちしています！
（こっそり、宣伝）
最近数日分、まとめ書きしている。
なんだか、「昨日の夕飯覚えていますか？」みたいな感じです。脳みそが退行していくのに抵抗する感じがあるのです。ボケ防止にもいいかもしれない。ではレッスン覚書です。
子供の生徒の発想は面白い。ブリッジ寄りからサウンドホール寄りへ音色の変化を体験させようとしていたとき、「穴に落ちる〜！」という。指がサウンドホールに落ちる？・・・「絶対落ちないから大丈夫！」といってなんとかこの練習を終了。
まあ、子供の発想には驚きます。
知られざる名曲。ホセ・ルイス・ゴンサレス「夜明け」。この楽譜はテクニックノートの「練習曲」として掲載されています。彼の録音を聴くと、楽譜から音楽を作っていくというのは、こういうことなんだ！と実感できます。
真面目な性格の人は、レッスンでやったこと全てを復習しないと練習した気がしないらしい。そして、仕事などで疲れていると、「30分も練習できないや・・・」と結局まったく練習ゼロ。こういう人には2分でいいから、音階だけでも練習することを勧めます。くたくたになって帰宅しても、2分だったら練習できますよね。
ゆっくりと右手のタッチ、左手の運指を確かめながら、一回音階を弾くだけでも「あ〜練習した！」と思えるようになること・・・これが上達の秘訣かもしれません。
しっかりと音を響かせる。フレーズの終わりをしっかりと締めくくる。たとえ、テンポが乱れたとしても、フレーズの最後までしっかりと音を響かせたほうが「上手そうに」聴こえます。
盛り上がるところは盛り上がり、落ち着くところは“しっかりと”落ち着かせる。これが結構大事。
ド・カルって最近あまり教本に収録されていませんね。現在、現代ギターにおまけ楽譜で2重奏が収録されてはいますが、ソロ曲は曲集などでもめっきり見かけなくなりました。でも、結構いい曲も多いです。
ちょっとテクニック的なものを書く。
タッチの基本は以下2点。
弦をしっかりと振動させる。
できるだけ体の自然な動きを利用する。
以上2つだけであるが、どのような音色を望むかによって、微妙に爪のアングルなど変化させなければならない。
そんなことを考えていると、爪の形をあれこれいじってしまいたくなる。トレモロを練習していて、セゴビアの映像を見ていたら、何故か、右手薬指の爪の形状が不思議な形になった。すっきりと弦を振りぬかないと、雑音が混じる。だが、最適な位置で弦を捉えると、とても抜けの良い音がする爪の形なのである。
今までの形のほうが、「遊び」があり、若干、荒いタッチでも割合「適当な音」が出る。
どちらがいいかは分からないが、この辺りは、まだまだ時間がかかる。
そんなことを考えているとなかなか練習も面白い。
トレモロ、様々なパターンのアルペジオ、音階など、全てにおいて、自分の望む音色のバリエーションを完全に実現できる爪の形状は、一夕一朝では見つからない。
先週、木曜と金曜のレッスン覚書です。
「レッスンをボイスレコーダーに録音していいですか？」という生徒さんがいました。非常によいアイデアです。実際私も修行中レッスンを録音していた時期もありました。
音楽教室などによっては生徒さんのレッスンを録音または録画してくれるところもあるくらいです。忘却曲線に負けないように、録音することはとてもいいことです。レッスン中簡単にメモをとることもとてもよいことです。
ヨーク「サンバースト」・・・もういい加減分かって欲しいのだが、この曲の魅力はなにか？・・・弾く人は絶対に考えること！
和音の響き（だからオープンチューニング）、ダイナミクス、アーティキュレーション・・・以上3点、最低限チェックしておいてください。“全て”楽譜に書いてあります。細かい“点”（スタッカート）やテヌート、スラー、アクセントなどの指示を見過ごさないように！
タッチの基本と応用をしっかりと分けて考えましょう。標準フォームはできるだけ“安定した”右手を重視。アポヤンドもアルアイレも同じフォームで弾けるようにまずは設定しましょう。その後はアポヤンドを腕全体でかける（セゴビア風？）のを研究したり、様々なアングルや腕の動きなどを研究するのが良いと思います。
初見の練習。生徒によっては必ずやらせている。初見の練習って、なぜか“自分ひとり”でやれる人って少ないですよね。だから、やらせる。
私が主に使用しているのは、ロバート・ベネディクトという人がまとめた本。レベル別になっていて、漸進的に構成されている。初期の段階から、ダイナミクス、フレーズなどを意識させるつくりになっているのもとてもよい。
これは、レッスン時間内のみにやらせる。家で練習してきてしまうと元も子もないから。毎回レッスン時に10分弱やらせるだけでだいぶ効果的。
タッチということを考える時に、いつ音が出るか？を考えること・・・とても重要。アタックのタイミングを常に考える（聴く）。そのタイミングが、自分の頭の中の音楽のイメージと完全に一致することが、とても大事です。
この理屈は頭で分かっていても、体がしっかりとしたリアクションをしてくれるまで時間がかかる。
左手スラーの時に、左手全体の連動もしっかりと意識しましょう。スラーは指だけの運動では、楽にできません。だからといって、指の独立練習を怠ってもいけないのだけど。このバランスが難しい。
カルカッシ25番。和音の移行をよく感じること。とかくテクニカルな面ばかりに目がいってしまうが、響きを感じながら弾かないといけません。カルカッシ2番は左手サイドから見直し。左手親指をどこに位置させるか？実質的なポジション移動を極力少なくするという点から再チェック。
ソル20の1番。“音を残す”ということを研究するのにとてもよいエチュード。ついでに個人的には、この曲のセゴビア運指・・・とても好き。曲も美しい。このエチュードを美しく弾ける人をとても尊敬します。
ソル20より7番。3度の移動を滑らかにすることだけをターゲットに指導。パキパキと移動させないことがレガートに弾くコツ。たまたまそこにフレットがあったという感じで、グリッサンド“的”に練習をすると、何故か滑らかに聴こえる。
ブエノスアイレスの冬（アサド編）。一番最初の低音・・・何故か“聴いていない”生徒が多い。低音だけ弾かせて見ると、「あれ？こんな音が鳴っていたの？」というふうに思うらしい。最初の方のベースラインがとても素敵な曲であり、ここに“ドラマティコ”が潜在しているので、ここを見逃すのもったいないです。
「英雄ソナタ」ジュリアーニ。オーケストラを意識して演奏しましょう。古典ソナタは、そうしないとスケール感と色彩感が乏しくなってしまいます。あと、できるだけ“歌”の良い演奏を聴いて、フレージングの仕方を研究。これは、どのスタイルにも良い効果を与えます。
