- 低音のリズムには休符をうまく活かしたものがあることを常に意識。そこだけ取り出して弾いてみると、一見単純なエチュードでも非常に生き生きとした表情が存在することがわかることが多い。
- 音楽表現には「ルール」がある。それを2つ以上組み合わせることも可能である。そして複数組み合わせることによって、自分の音楽表現に自信や確信が生まれる。具体的に表面に出る音よりも、その「確信」のほうが大切である場合も(楽曲によっては)ある。
- 武満徹の楽譜には明確なアゴーギグ指示が付されていることが多い。まずはそれを行なうこと。自分で表現を練りこむ、または付加する場合は「根拠」を明確に持つこと。それが「だってビートルズのアレンジだもの」ということでもOK…(極端な例ですが)。
- フレデリック・ハンドのDVDなどで公開されている右手の脱力…というより無駄な動きや緊張感をとりのぞく練習法は非常に有益である。ある程度惰性になってしまった右手の指のアクションを見直し、洗練させるためにある程度初心者を脱した生徒にはやらせるべき練習法である。
- 先日の「月イチ企画」の基礎奏法の見直し…効果絶大である。レッスン時、最初の音を聴いた瞬間に「あ!音の張りが良くなった!」と実感できるくらいに変わった生徒さんもいる。
- アメリアの遺言。左手押弦。フレットを抜ける際のニュアンス…リョベートを参考にすべし。セゴビアもよく使ったテクニック。音源をしっかりと聴きながら確認。どうやっているか?…知らない人が多いテクニックではある。ホセ・ルイス・ゴンサレス氏はこの点を熟知していた最後の巨匠かもしれない。
- Pのアングルを気をつけることによって、右手のフォームは安定する。逆にいえば、Pのアングルがきちんとしていないフォームは実際に楽曲演奏に活用できるフォームとはいえない。
- アグアド。序奏とロンド。序奏部分。トニックの部分で無意識のアクセントをさけるために、左手の運指を工夫すべき部分が多くある。前もって押さえる指を入れ替えるなど…いくつかアイデアはある。
2009年01月
なんだか、固いタイトルですね…。
「継承する」ということ。
最近、レッスンなどで「大切だなあ」と思うことなのです。例えば、今自分が「自分のもの」として教えていることも、ほとんど全部が先輩ギタリストや巨匠たち、そして偉大な音楽家たちが与えてくれたものなのではないか?…ということです。
あたりまえっていえば当たり前なのですが…。
で、何を私が継承しているか…と自問してみるとします。そうするとたくさんのものが浮かびますが…。
直接なもの、もっともダイレクトなものとして「師匠からの教え」があります。直接レッスンなどで学んだものですね。
たまにこのブログでもネタにしますが、やはり私の中に今まで学んだ師匠達のアイデアが多数存在します。
“マエストロ”ホセ・ルイスや井上幸治さん…そしてアレックス・ガロベー…
私自身が自分の生徒とのレッスン時に言っていることの中に「師匠が自分に言った言葉」が生きているわけです。
そこにはレギュラーで師事していた先生だけの言葉だけではなく、マスタークラスなどで受講した先生たちの言葉もあるわけです。
そして、私が習った先生たちの言葉のなかに、さらにその先生たちの師匠達の言葉が確実に存在する…つまり、今の私の中には先達たちの言葉がたくさん蠢いているわけですね。
ホセ・ルイス先生でいえば、「セゴビアの教え」とか…。井上さんも、レッスン時に『そこはホセ・ルイスみたいにやっちゃえば?』とかよく言っていました。アレックス先生はそういう「誰それみたいに・・・」という言葉使いは全くしませんでしたが、おそらく彼の中にもホセ・トマスを始めとする彼の先生からの教えが生きているはずなのです(とはいっても、彼の親友で素晴らしいギタリストであるマルコ・ソシアスなどを例に出して「あ、これはマルコが言っていたことだけどね…」という感じでちらっとは言っていました)。
そう考えると、今私が教えていることのほとんど全てが「先達の教え」であるともいえるわけです。
そして、レッスンのときにその「先達の教え」の“パワー”を借りることも(たまに)あるのです。例えば、『そこはホセ・ルイスだったら、こうやるよ』とか、『だってセゴビアがそう弾いているじゃん!』とか…。
もちろん、それだけだとなんだか「誰それ派」とか「〜流」のようで、嫌味になる可能性もあるのですが…レッスンをしていて、どうしてもそれしか思いつかないこともあるのです。そういうときは、もうそれで貫きとおすしかありませんね(苦笑)。
だってセゴビアがそう弾いているじゃん!…そう言われて、文句をいえる生徒はいませんから…。
去年、九州のギタリスト池田慎司君に会ったときも、似たような話題になりました。彼があるフルート奏者の教えを受けたとき、普段は冷静で理知的な分析をしてくれるその先生が、ある部分の表現に触れたとき「モイーズがそうやっているから…」という言葉を使ったということです。
理屈では分からないんだけど、その言葉には抵抗しようがない“力”があったようです。
モイーズに関して言えば、フルート奏者の山下兼司氏と出会った頃、ラヴェルの「ハバネラ形式の小品」のリズム感について煮詰まったとき、リハーサル時に「まあ、これでも聴いてみたらいいよ」と言われて、モイーズの演奏を聴かされた記憶があります(勿論これは伴奏部分を参考にせよ…ということだったかもしれませんが)。
なんとなくなのですが、この録音を聴くことによって、ラヴェルの“匂い”というか、“雰囲気”が分かったような気がして、その後すんなり弾けました。
…そう考えてみると、共演する人から学ぶことの中にも先人の智慧が生きているわけですね。その人が習った先生の影響を知らず知らずのうちに学んでいるわけなのです。
そう考えてみると、今自分が教えているときに使っている論理やアイデア、言葉使いなどは全て、過去からの「借り物」なのです。
つまり、教えを継承しているということなのです。
その「教え」にはダイレクトなものから間接的なものまで、いっぱい詰まっているのでそこが面白いところですし、それが教えている本人の意識の底に沈められていて、臨機応変にでてくる場が「レッスンの場」なのですね。
たまに勘違いをして「自分が言っていることが一番正しい!」というアプローチで教えている先生もいるのかもしれませんが、冷静に考えれば、先生という存在は先人の教えを継承しているだけに過ぎないのです。ですから、ある先生がたった一人で音楽的な技術や表現などについて発想したのだと断言しているのであれば、それは大いなる勘違い…としかいいようがありません。
もし、それが“完全に”自分だけのアイデアで生み出したのだとしたら、その先生は“巨匠”でしかありえないはずです。
ちょっと話が脱線しましたが、教える立場としては、「先人の力を借りている」という謙虚な姿勢が大切なのです。
教えるのが上手い人…というのは、そういう立場を理解している人なのだなあ、と最近思います。そして、そういう人はよく勉強しています。様々な音楽を聴き、たくさん本を読み、いろいろな奏者の意見を聞き、貪欲に自分のなかに取り込もうとします。そしてそれを取り込んで整理整頓していく能力に優れているのです。
ですので、名教授といわれる人の内部にあるものを「プロフィール的な」誰それに師事…という表層だけでは推し量れないということです。
様々な経験を、素直に自分のなかにとりこんで、それを整理する能力…それが教える側に必要な能力です。そして、たまに先人たちの言葉を借りること…これが意外に大切なことなのかもしれません。
- ワルカー、小さなロマンス。冒頭。左手のポジションを意識して、スタート。4を押さえたために腕を動かさなければならないのは、ポジション移動時に指のポジション対応が崩れている証拠である。
- 楽曲のパターンを見つけることが楽曲の分析を助ける。
- 簡単なエチュードをデュオに分けて、練習する。そうすると、多くを得ることができる。デュオ的な駆け引きがソロ曲での表現力をアップさせる。
- 良い教本は、音階のポジションと和音の押さえを明確に意識した作りとなっている。そして、選別されているエチュードもその観点に基づいている。
- 右手のタッチ。和音を弾くのと同じ感覚で、アルペジオも弾けることが大切。
- 左手の指の向き(アングル)に注意する。ポジション移動時はできるだけそれをそろえることでスムーズな移動が可能なことが多い。簡単にいえば、腕のディレクションを崩さないことが大切なのである。
- 楽曲全体を通したら、近似している部分を探す。楽曲の構成を把握することによって、練習プランを立てること。闇雲に冒頭からばかり練習していると前半ばかり仕上がってしまう。簡単な楽曲分析は必要な作業である。
- 分析を怖がらないこと。少しずつ分かる部分から攻めていく。じょじょに分析の知識が増えていくにつれて、楽曲の仕上がりは早くなっていくはずである。
- パークニング教本、優秀な教本である。
- Pのタッチ。関節の使い方をしっかりマスターしている人は非常に少ない。「しなってしまう」のに任せるのはタブー。指の形状が元からそうなっている人はしょうがないが、全ての関節をある程度はロックできるように(固定できるように)すべきである。
さて、おとといになりましたが、無事に大林修子さんと典代さんとのコンサート終了いたしました。 1週間前にはチケット完売!…ということでした。なので、当日は満員御礼です。 ヴァイオリン2台ということで、私のオリジナルPAを使いました。それなりにナチュラルな音作りに成功…なんとなく時間をかけた甲斐はありました。
会場となった「サロン・テッセラ」も素敵でした。
外光をうまくとりいれた会場ですね。
ほどよいデッド具合がヴァイオリンにはぴったりだと思います。
さて、 打ち上げはスタッフの方と演奏者でこじんまりと…三軒茶屋にあるイタリアンレストラン。
左から典代さん、真ん中は修子さん。大林シスターズ、写真の写り方にも個性がでているなあ。
打ち上げでは大林姉妹の音楽人生とか哲学についていろいろ伺えて実に楽しく、勉強になりました。
また、やりたい組み合わせです!
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