「頭を使え!」名門音楽大学教授による効率よく能力を高める練習法とは?
私自身もこれを読んで、論理的によくまとめられているなあ、と思いました。普段の練習の仕方を再点検しているところです。
10000時間の計画的訓練…この「計画的な訓練」というのがとても大切ですね。無駄な反復練習は意味がないということです。客観性を保ちながら目的を持って練習しましょう。そういえば、先日、秋吉台ギターアカデミーで講師をしましたが、同じく講師であった松下隆二先生がこういっていました。
「練習するときは、目的を3つくらい書き出す(具体的にメモをする)」
…うむ、なるほど!…と思ったものです。
具体的な練習法としては、まずは自分の演奏を客観的に観察。
そして、課題をチェックする(書き出すと良いかも)。
課題を克服する方法を考える。
…と言ったところでしょうか?
練習時間は多ければよいというわけではありませんが、音楽的な創造のための時間はいくらあっても良いと思います。(これは上記記事には触れていないことです)
上記記事においてはどの巨匠達も4時間以上の練習は必要がない…ということを述べています。そして機械的な反復は避けるべきであると言っているのです。
機械的な訓練を嫌悪していたとされるピアニスト、シュナーベルでさえも同じフレーズを200回…弾いていたいしていたそうです。その真意はなんなのでしょうか?
彼はこういったそうです。「機械的に練習しているのではない。音楽を作っているのだ!」と。つまり、そのフレーズの音楽的な可能性、解釈の可能性を試していた訳です。納得のいく音色、納得のいく表現解釈を追求していたのでしょう。
このことは下記の本の229ページに書かれています。興味深い話なので是非読んでみてください。
心で弾くピアノ―音楽による自己発見
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私の師匠であるアレックス・ガロベー氏にもよく似たようなことを言われました。最初に習い始めたときに、質問を受けました。
師匠:「お前は毎日どのくらい練習している?」
私:「一日、8時間くらいです」
師匠:「多すぎる!その半分でいい!」
…という感じで、自分の演奏を客観的に聴き、観察し、自分で修正していくコツを教わって行きました。それまでの私は機械的な反復練習ばかりをしていたのでしょう。ギターならではの陥りやすいミスのポイントや聞き逃しやすいミスの傾向などがあります。それを最初の頃の数回のレッスンで徹底的に叩き込まれました。ちょっとした手のアングルの工夫や運指の工夫で弾けなかった部分が「あれ?弾けた!」と驚いたことを思い出します。そして、その理由(基本的な理論)をじっくりと説明してくれました(素晴らしい先生でした!!!)。
技術の克服が済んでしまえば、すぐに音楽的な解釈に入れます。そして、そこには一生分の時間をかけてもよいわけです。アレックス師匠の場合は、技術と音楽表現はできるだけ同時に解決、決定していく…というポリシーがあったようです。つまり、表現の方向性が決まらなければ運指も決まっていきません。
(しかし、全体感をつかめなければ楽曲部分の表現も決まらない訳ですから、初見力、読譜力も大切となってきます)
全体を見渡し、数小節分の表現を考える…最初アレックス師匠のレッスンでは一日数小節しか曲を練習できないような有様でした。。。ですが、このプロセスを繰り返して行くと、練習のシステムができてきました。曲全体から細部へ、細部から曲全体へ…フォーカスを瞬時に切り替えながら曲の練習を進行させていくプロセスが出来上がってきます。このシステムができあがるのに、おおよそ3ヶ月くらいかかりました。
練習時間は短いほうがいいですが、計画的な練習が大切です。そして解釈や音楽表現の可能性を試すための反復は機械的な反復とは違います。
そのことを肝にめいじて、日々練習したいと思っています。そして、生徒さんにもその観点からレッスンしていきたいと思いを新たにしました。
…とバルセロナから帰ったばかりなので、アレックス・ガロベー師匠のレッスンの話とつながってしまいました。そういえば、前の記事で書いた「体の中心軸と音楽表現の関わり」も書きたかったなあ、、、と。それはまた次の機会に!
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