多くの教室が30分単位で区切っているかもしれません。大手の音楽教室にはそういうところが多いですね。私もかつては大手の音楽教室でレッスンを受け持ったことがありますが、そのほとんどは30分枠でした。
30分という時間は短過ぎす、長過ぎす…ちょうど良いという印象を持つ方が多いとは思います。ですが、生徒さんの記憶の定着を考えると、実はちょっと足りないのです。
レッスンで伝えたいこと、学んで覚えてもらいたいこと。これらのことが30分という時間枠だと定着しにくいということが分かったのです。
エビングハウスの忘却曲線というものがあります。かつてこれについてはブログに記事にしましたので、是非お読みください。
レッスンメモの鉄則(忘却曲線に抗う)
おおまかですが、以下のような忘却率です。
20分:40パーセント忘却
1時間:60パーセント忘却
1日:75パーセント忘却
1週間:80パーセント忘却
1ヶ月:80パーセント忘却
いかがでしょうか?20分が「忘却の境目」です。30分たったら半分くらいは「覚えていない」と言って間違いないでしょう。
教える際には、この20分という時間にいつも注意を払っています。つまり、あることを教えた場合に、20分後には40パーセントくらい忘れてしまっている!…というわけです。なので、20分後あたりで再度リコール(思い出してもらう)してもらわねばなりません。生徒さんが学んだことを「忘れずに家に持ち帰ってもらう」ために、何かを教えたら、その20分後あたりで復習してあげねばならないのです。
簡単に言えば、「その日のレッスンで与えた課題をそのレッスン時間内にもう一度復習させてあげる」ということが大事だということです。
これが40分のレッスン枠だとやりやすいのです。
30分レッスンの流れはだいたいこのようになります。
1:準備(楽器準備、楽譜の準備、調弦など)
2:前回の課題の確認
3:今回の課題点のピックアップ
4:課題(宿題)の設定
30分のレッスン枠であれば以下のような時間配分になるでしょう。
1:3分
2:7分
3:15分
4:5分
→3の今回の課題点のピックアップをしているうちに最初にほうに出て来た課題点について記憶が希薄になります。
40分のレッスン枠であると以下のような流れにすることが可能です。
1:準備(楽器準備、楽譜の準備、調弦など)
2:前回の課題の確認
3:今回の課題点のピックアップ
4:宿題の設定
5:前回と今回の課題点の再確認
1:3分
2:7分
3:15分
4:5分
5:10分
→2と3の課題点の復習をレッスン時間内に行うことが可能です。ラスト10分でその日行った事を生徒さんと確認することで、帰宅したあとも「レッスンで学んだ事」をしっかりと覚えていることが可能です。
教える立場として、もうひとつ大切にしていることは生徒さんに自主的に「思い出してもらうこと」です。2と3の段階(前回の課題点と今回の課題点)について、自分は何を練習すべきなのか?…そして練習すべき理由とその解決方法をなんとか思い出してもらうこと…これが一番大切かもしれません。
そして、その作業がレッスン時間内に行われることが理想です。そのためにはやはり40分という時間枠が必要だと私は考えています。
レッスン時間枠のなかで時間は「ひとつの流れ」となっているわけではありません。その枠の中で、課題を絞り込み、与えるのが教授者の役目であり、それを学習者(生徒さん)が自力で課題点を覚えておく。そのような記憶の時間になるようにコーディネイトしてあげなければならないわけです。
そして、そのレッスン枠内での「課題点を思い出す作業」を無意識のうちに行わせるのが教授者としての醍醐味でもあります。
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