ギターレッスンと演奏の日記 from 富川ギター教室

クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。

2015年01月

2019.8 新サイトOPEN!
https://tomikawaguitar.com

富川ギター教室(東京渋谷) https://tomikawaguitar.com
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※他に池袋現代ギター社でもレッスンしています

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知っていますか?…ファルカシュという作曲家

クラシックギター界ではだーれも知らない「隠れた大家」であるフェレンツ・ファルカシュ。ハンガリーの生んだ素晴らしい作曲家です。来週の二回のコンサートで弾く予定です。
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ギタートリオ曲…意外に少ないのです。定番としてはビー玉遊びのバイヨン(ベリナティ)、ヒンデミットのロンドあたりなのですが、まだまだ未開拓の分野です。ヒンデミットのロンドは今までいろいろな人とやりましたが、毎回発見のある名曲だなあと思います。

検索してみたら、自分が弾いている動画がヒットしました(苦笑)

こちらです。



九州での演奏ですね。松下隆二さんと池田慎司さんとの演奏。

…このような、「定番」をやってもいいかなあ?と最初は考えたのですが、今回、大島直くん、酒井良祥くんという若手と一緒に演奏するということで、もうちょっと新鮮なものを演奏したいなあと、いろいろ探してみました。

それで、ファルカシュを発見。実は生徒さんとは何回かやったことがありますが、きちんとした演奏者とやってみたことがない。フェレンツ・ファルカシュ ferenc farkasという作曲家ですが、あまり日本の音楽界では知られていないようです。

公式ページ

弟子にはリゲティなどがいます。教育者としても素晴らしい業績をあげています。その作風はひとことでいうと「民族風」。ハンガリーっぽい…わかりやすくいえばバルトーク風?という感じ。とはいっても、バルトークほど旋法的ではなく、わかりやすく親しみやすい作風が特徴となっています。

先週行ったリハーサルの動画です。

「CITHAROEDIA STRIGONIENSIS」より第一楽章 「INTRADA」です。


私の教室でのリハですが、なかなか面白いアングルでしょう?…まだみんなほとんど初見状態ですが、3回くらい通した感じで、この出来です。さすが〜。

本番までまだ最終リハがありますので、それでもう少し煮込んでみますね!本番では全三楽章やります。

なかなか面白い曲です。クラシックギタートリオ曲で、こういう感じのクラシカル且つ民族風な曲ってなかなかないですから。

みなさま是非コンサートに足を運んでいただいて、生で全楽章、聴いてください。圧倒的な音圧だと思います(三人とも音色ががっちりしていますので)。楽しいと思います。

ギタートリオの魅力
出演:富川勝智、大島直、酒井良祥

東京公演:名曲喫茶カデンツァ 午後7時開演
入場料:2500円 前売り&予約2000円(ドリンク代別)

横浜公演:鎌倉芸術館3階 集会室
入場料:2500円(前売り2000円) 

各公演ともご予約はメールにて!
tomikawaguitar@gmail.com 

練習法について〜「かた(型)」と「抽象化」

日曜日はワークショップを行いました。
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遠くは名古屋から参加された方も。アマチュアからプロで活動されている方まで、10数名が参加してくれました。

20150118講座概要

参加された中のひとり、道祖尾ギター教室を主宰されている道祖尾さんがブログにワークショップで「考えたこと」をまとめています。

「ひとりでも上手くなる練習法〜練習の仕方を練習しよう」ワークショップ受講してきました!

今回伝えたかったことのひとつが、「言語化」と「抽象化」でした。自分の言葉で経験したことを書いてみる。言語化するうちに「まとめること=抽象化」することができる。そういうことをレクチャーの一部として伝えました。

上記で紹介したブログ記事には、ギター講師として、そしてジャズギタリストとしての自分の経験を踏まえて、しっかりとまとめられています。すばらしい。

練習の仕方のコツはいくつかあります。細分化していけばきりがありません。音楽をやる、ギターを弾くという上で勉強しなければならないことは、たーくさんあります。

その中で自分を見失わず、自分が今「やるべきこと」を見つけていくためにはシンプルに考えることがとても大切です。「シンプルに考えること=ここに戻れば安心できる&たくさんのアイデアを得ることができる立脚点をもつこと」と言ってもよいかもしれません。

それは「かた」を探していく作業…と言っても過言ではありません。私個人の研究分野としては世阿弥研究は20年ほど行っていますが、それは自分の芸を磨く+音楽を人に伝えていく…という仕事に関わっていくからです。

自分の音楽を磨いていくこと+正しく音楽文化を伝えていくこと。

これが私の仕事であり、人生です。

そのためにはたくさんのことを勉強しなくてはいけません。ですが、たくさんのことを知れば知るほど混乱するものです。情報の多さ、伝えるべきことの多さ、やるべきことの多さには圧倒されます。圧倒されないためには、ひとつずつのことについて整理していくしかありません。

そして、シンプルなものにまとめていくしかないのです。そういう作業を行っていくうちに「かた」が見つかってきます。クラシックギターでいえば、右手左手の技術で注意することの「かた」はある程度見つかってきました。学び方の「かた」もある程度…。もちろん、まだ完全な「かた」は見つかっていません。

「かた」というものが洗練されていくべきものですので、これから私自身で色々なものを内包しながらも、シンプルな「かた」にしていかねばなりません。

ワークショップの最後に、半分冗談で、以下のように受講生のかたに言いました。

「いい音楽にするためには”ちゃんと弾けば”いいのですよね!」

…これも実は僕の中での考え方の「かた(型)」です。もちろんレッスンの中では、生徒さんの現時点での状況にふさわしいアドバイスをします。「ちゃんと弾く」という私の「かた」の中にはいろいろなものは内包されているというわけです。

ワークショップのなかで、より具体的な練習法は提示しましたが、最終的には各自が練習のなかで「自分のかたを見つけていく」しかないわけです。

だれそれさんはこんな練習をやっている=正しいにちがいない…と人の真似をする段階も大切なのですが、アマチュアであろうがプロであろうが「自分の方法論」を探していくことが最終目標です。

そしてその「かた」が普遍性をもつことが大切です。

細部までこだわって学ぶ→それを言語化する→抽象化する=「かた」がつくられていく。そして「かた」を応用してみる→修正する…という段階を作っていくしかありません。

いずれにしても受講生のみなさんの感想や意見から、とても良いワークショップとなりました!本当に感謝です。みなさんのフィードバックのおかげで、私自身もたくさんのことを勉強することができましたし、あらたに「抽象化」できました。



 


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上達するために!〜練習の仕方を学ぶための参考書

明日の日曜ワークショップにて「練習の仕方」を講義いたします。

そのために、たくさんの関連書籍を再読いたしました。
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こんな感じで10数冊を再読+要点を整理。
ワークショップにでる方も、でられない方も是非今後の練習をより洗練させていくうえで、参考になる本がたくさんあります。中でも、これは!…というものを紹介いたします。


 →なんど読んでも、役に立つネタがたくさん盛り込まれています。熟達者とは何か?何ができるようになるのか?…という部分の説明がしっかりとなされています。この部分が冗長に感じるきらいもありますが、情報量+ヒント量においてとてもお買い得な一冊です。


→ 見開き2ページで各項目ごとにシンプルにまとまっています。練習法や上達についての「まとめ」に。辞書的に使うとよいと思います。もちろん通読しても、役に立つように項目立てされています。


→実際にスポーツの現場で応用実践された「練習理論」について書かれた本です。各ルールごとに豊富な実例が書かれています(これが本の分量を多くしてしまっている理由なのですが)。エッセンスを抽出することに若干手間取るかもしれません。練習についてのフィードバックをどのように扱っていくか…という点についての説明が特に素晴らしいです。

学問の技法 (ちくま新書)
橋本 努
筑摩書房
2013-01-09

→「学問」全般についての本ですが、「学ぶ」ということ全般について知ることは、楽器の練習についてもあてはまることがたくさんあります。つまり学びの技術について全分野にあてはまることが書いて有る本です。


→最近はテレビでのコメンテーターなどの活躍で有名になっていますが、もともとは教育学&身体技法関連の研究者で、優れた著作を残しています。高岡英夫氏との関わりがあった時期の文章などはやはりハードで難解ですが、この本では「身体技法」について実にわかりやすく書いています。とくに「型(かた)」についての記述には未だに多くのヒントが隠されています。

学ぶ方を学ぶ…これはクラシックギターだけの練習法に限らず全分野について共通する「大切なこと」です。みなさんも是非上記の本のいずれか読んでみてください。

明日はクラシックギター及び音楽についての「学び方」をレクチャーいたします。

当日会場にてお待ちしております!


ひとりでも上手くなる練習法〜練習の仕方を練習しよう!
 

ハンターカレッジ・リサイタル スペイン音楽の真髄を理解するために…

あまりこのブログでは名盤紹介とはしてきませんでした。

名盤なんてものはひとそれぞれ…僕がこりゃいいよ〜!と勧めたところで、他の人には良さがまったくわからない…というものだと思っていますので。

とはいっても、たまーに、どんなことあっても、「これだけは絶対に聴いてほしい!」という音源があります。そのひとつが、これ。
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実はこれCD11枚のセットです。「ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレスの芸術」というBOXセット。大学生の頃買いましたが、定価27000円!
たしか、これが中古屋さんで15000円程度になっていたのですが、それでも学生には高い!…意を決して買ったのを記憶しています。それぞれにレアな音源が多いので(たとえばレナータ・タラゴー伴奏のスペイン歌曲集とか)、面白い。そして、とにかくデ・ロス・アンヘレスの素晴らしいスペイン歌曲の数々!…スペインの「歌心」を勉強したいときに、何度も聴きました。分厚いブックレットも何度も読み返しました。
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スペイン音楽の勉強用資料としては、もう十分にもとはとったかなあと思っています。
そして、この11枚あるCDのなかでも「ハンターカレッジ・リサイタル」は、本当に何百回と聴きました。

グラナドスの「昔風のスペイン歌曲集」などを演奏しているライブが収められています。その伴奏者はなんと、スペイン音楽の大巨匠アリシア・デ・ラローチャ!…これ以上の伴奏者は望めないというくらいの組み合わせ。スペイン音楽の歌の大家とピアノの大家のデュオ。

たとえば、生徒さんがグラナドスの「ゴヤの美女」をレッスンに持ってきたときに、聴かせたりします。もうそれだけで、みんなこの曲の本当の美しさに目覚めてしまうのです。がらりの演奏が変わる。そのくらい良い演奏です。

でも、問題はこのBOXセットが現在入手困難であること。なので、気楽に買ってもらえない…ということで、レッスン室で生徒さんに聴いてもらって「耳で感覚を掴んでもらう」というしかありませんでした。

…と思っていたのですが…とある生徒さんがネットで超お買い得なBOXセットを発見してくれました!こちらです。

Alicia De Larrocha - The Complete EMI Recordings
Alicia De Larrocha
Warner Classics
2010-09-14


こちらは8枚組ですが、8枚目が「ハンターカレッジリサイタル」になっています。その他、ピアノの名手ラローチャのCDが7枚も入っていて、数千円ですからお買い得!…そもそも「ハンターカレッジリサイタル」だけを目当てに買ってもよいくらいです。

…もちろん「ハンターカレッジリサイタル」は単品でも入手可能です(とはいっても品薄状態のようですが)。

スペイン歌曲リサイタル(ハンター・カレッジ・リサイタル)
アンヘレス(ヴィクトリア・デ・ロス)
EMIミュージックジャパン
2009-09-16


もちろん、「ハンターカレッジ・リサイタル」単品で買っても、一生モノの音源であることは間違いありません。

ぜひ、スペイン音楽をギターで弾こうとする人…聴いてください。損はしません。

 

寝かせること…弾けるようになります(そして分析を忘れずに!)

さて新年にはいり数週間たちました。生徒さんとのレッスンでいくつか気付いたことがありましたので、書いておきます。

ある程度練習した曲は、たとえ弾けない部分やうまく決まらない部分があっても「寝かせる」ことによって、弾けるようになることがある…ということ。

実は昨年末の最終レッスン日に何人かの生徒さんに以下のようにアドバイスしておきました。

「冬休みで時間があるときに新しい曲に取り組もうと思ってしまうけど、できれば今年やった曲をさらっといいから全部弾いてみてね!」と。

そして、今年になって上記のアドバイスをした生徒さんたちのほとんどが「昔弾けなかった曲が弾けるようになりました!」と言ってくれました。

これは何故なのでしょうか?「寝かせることによって熟成されたから!」という抽象的な説明も可能です。でも、ワインとかブランデーじゃないんですから…何か他に理由があるはずです。

理由はいろいろ考えるとは思います。ひとつ考えられるのが、他の楽曲を練習しているうちにほかの技術があがって、以前弾けなかった部分が弾けるようになっているという理由です。

え、よくわからないって?

たとえば、タレガのラグリマの9ポジションセーハで弾く部分ですが、ここは大半の人は「セーハが難しい」と思っているはずです。ですが、実はもうひとつ技術上の難しさが隠れています。それは左手各指のポジション内での独立です。つまり、この部分には二つの技術的な問題が含まれています。

この部分が弾けるようになるためには、セーハと各指の独立という二つの技術が上がっていかないとしっかりと決まりません。つまり、他の曲で3指と4指、および1指の独立を意識して練習していった結果、ラグリマのこの部分も押さえやすくなっていくのです。

step-by-stepで、段階的に弾いていけば、どの曲でも完璧に弾いていけるわけではありません。ひとつひとつの技術的な要素を正確に行い、それが手の内におさまるまで練習していくと、複合的な難所を含んでいる箇所を征服することができます。シンプルな楽曲を「守るべきこと」を正確に守りながらクリアしていくことが普段のレッスンでは大切です。

取り組んでいる楽曲の中で、数カ所弾けない部分がある場合、しばらくは解決方法を探し悩んでみるのは有効です。ですが、技術にはある程度の時間をかけて馴染ませていくべきものも多いのです。その技術がその時点では雑になっている、もしくは意識されていないことが多い。なので、他の楽曲に取り組むなかで馴染ませていくしかありません。

そして、以前難所であると思っていた部分に取り組んだ場合、あら不思議!…弾けるようになっているのです。最初に取り組んだときに発見した「自分が考えていた技術的弱点」以外の技術が上がることで弾けるようになります。

つまり難所と呼ばれるものはいくつかの技術的な要素が絡んでいることが多いということです。それらの要素を分割したものが「基礎練習」というものです。たとえば、私がレッスンで用いており「基礎技術の集大成」と考えているホセ・ルイス・ゴンサレス・テクニックノートに書いてあるようなものですね。

ラグリマのこの部分が弾けたようになったならば、何故それが弾けるようになったのか?…分析してみることも学習上大事なことです。自分ひとりでは探しにくいですので、優れた指導者とともに行ったほうがよいです。

こういうことがあるので、昔から「とりあえず楽曲には寝かせる時間が必要」と言います。ただし、何もしなくて上手に弾けるようになるわけではありません。そのほかの技術があがり、その人の全体レベルがあがると以前よりもうまく弾けるようになるだけです。

なので、「石の上にも三年」です。

ある程度弾き込んだ時点で、いろいろな曲に取り組んでいきましょう。そして、しばらくたってから以前にやったレパートリーを復習しましょう。そうすると弾けるようなっている部分が増えているはずです。

私のレッスンでは「どんどん先に進んで行く」と「この曲のこの技術だけはしっかりクリアしてほしい」という部分が混在しています。この段階ではこの曲はこの技術や音楽的な要素をクリアしてね!…という私なりの目安があります。一曲一曲完璧に弾けなくてもよいのです。

長く習っている生徒さんはセゴビア編20のエチュードを5年以上に渡って、5回ほど復習している方もいます。つまり何回転もしているのですが、そのたびに新しくできるようになっている技術が増えていきます。そして、毎回違うタイプのレッスンになっていきます。

技術があがって「弾けるようになっていく」プロセスというのは本人には理由が明確に把握できていないことが多いのです。もし、これが自分で正確に把握できるようになれば、「プロ」です。この次元までいく必要なありませんが、みなさんも復習をしてみて「あ!弾けるようになった!」と思った部分があれば、少しだけ頭をつかって分析してみましょう。ほとんどの場合、最初弾いたときには気づけなかった技術的な要素が進歩していることがその理由です。


 
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