さて、今週末ですが、19世紀オリジナル楽器を用いたギターデュオコンサートを行います。
僕が使う楽器は以下の二台。
コゲット:製作年1820年ごろ? 弦長630mm
プラッテン為書きラベル テルツギター:製作年1880(ロンドン) 弦長510mm
コゲットは通常の19世紀ギターです。弦も6本、調弦も音域もほぼ現代のクラシックギターと一緒です。弦長がちょっと短めで、内部構造も現代のギターに比べればシンプルです。
写真でご紹介。向かって左がコゲット。右がテルツギターです。
テルツギターは「3カポをつけた調弦」になっています。
つまり、1弦から、ソーレーシ♭ーファードーソとなっています。つまりフレット三つ分だけ普通のギターより音高いよーってことで「テルツTerz」、英語でいう「THIRD」ということですね。このテルツギターは19世紀半ばに特にウィーンにて流行した楽器です。弦長をみてもわかるように大きめのテナーウクレレといった感じですね。
ウィーン派の19世紀古典音楽にはたくさんのギターデュオがありますが、「テルツギター&通常ギター」のアンサンブル曲がたくさんあります。ジュリアーニやディアベッリなどもたくさんテルツ&通常ギターのための作品を書いています。ウィーン派とはいえないですが、メルツのギターデュオのほとんどはテルツギター&通常ギターのために書かれています。
現在でも特注すればテルツギターは作ってもらうことができますが、まず楽器店などで見かけることはないです。もちろん通常ギターにカポタストをつけて演奏することは可能ですが、響きやプレイアビリティが変化します。テルツギターのために書かれた曲は12フレットを用いることが多いという点も注意すべき点です。これはカポをつけると15フレットになります。ジョイントがあるので、これはとても弾きにくい!…なのでテルツギターを使う理由にはプレイアビリティの点があげられるわけです。
2/27と28のコンサートは、19世紀のオリジナル楽器+ガット弦で行います。つまり「当時聴かれていた感じにとても近い」わけです。といっても、共演者の長谷川郁夫さんも僕も「再現性」を重視しているわけではありません。ふたりとも、「当時の音楽はどんな感じだったんだろう?」と好奇心で動いていったらこうなっちゃった…という感じです。学術的にどーのこーのというわけではありません。
でも、当時の響きや、いまは忘れさられてしまった「音楽の楽しみ」を感じることができると思います。