ギターレッスンと演奏の日記 from 富川ギター教室

クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。

2026年08月

2019.8 新サイトOPEN!
https://tomikawaguitar.com

富川ギター教室(東京渋谷) https://tomikawaguitar.com
https://tomikawaguitar.sakura.ne.jp/wp/lesson/
※他に池袋現代ギター社でもレッスンしています

お仕事依頼&お問い合わせは下記メールへお気軽に!
tomikawaguitar@gmail.com

3年分の「厚み」:そこにある思考

現代ギター9月号が発売されています。




「ホセ・ルイス・ゴンサレス ギターテクニックノート講座」も、今回で最終回(第36回)。

IMG_8282




















36回かあ。

「ずいぶん続けたなあ」と思います。


写真は、この連載を書くために使っていたA6サイズのバインダーメモです。

IMG_8277





















こうして横から見ると、結構な厚さ。この厚さが三年間の僕の思考の「厚み」。

中身は本当に雑多です。

アイデアの断片、文章の構成、動画で話すこと、写真の指定、図のアイデア、実際にギターを弾いていて気づいたこと。


思いついたら書く。


矢印が飛び交い、丸で囲み、あとから書き足し、別のページへ飛び……。自分でもあとから見て、「これは何を書いたんだ?」というページもあったりして。でも、久しぶりにめくると「自分の脳内が見える」。

この3年間、自分が何を考えながら連載を書いていたのかが、そのまま残っている。

もちろん、テクニックノートに書かれていることをどう説明するかというメモ。

でも、そうじゃないことも書き残している。

実際に弾きながら考えていると、「あ、これはテクニックノート本体には書かれていないことだな」「この練習を成立させるためには、実際にはこういう身体の使い方が必要なんだな」「これは自分が長く弾いてきた中で、なんとなく身につけていた感覚かもしれない」ということが、次々と出てくる。

そんなメモ。


テクニックノートは何度も言ってますがそれ自体決して多くを語る本ではありません。
言葉による説明がほぼない。

だからこそ、ひとつの練習を前にして、「これは何のための練習なんだろう?」「曲の中では、どこにつながるんだろう?」「身体の中では、実際に何が起きているんだろう?」と考える余地がある。

だからこそこの本に書かれていることとは少し離れた、自分なりの「技術」や「考え」も出てきてしまったのだろうなあ。

最初は、あくまで連載を書くためのメモでした。でも、36回分たまってみると、これはもう単なる下書きではないですね。この3年間、自分がギターの技術について考えてきた記録。テクニックノートを読み、弾き、考えて、また弾く。そのたびに小さな紙に書き残していく。

その積み重ねが、気づけばこんな厚さに。


36回分。


よく書いたなあ、と思います。

そして、もうひとつ思うことがあります。まだまだ、伝えたいことがあるなあ、と。

36回書いても、ギターの技術について考えることは、どうやら尽きないのかもしれませんね。

というわけで、36回目の動画もアップしました。



あと、現代ギターの方で、この全36回分の連載をpdf販売することを考えてくれているようです。また詳細情報が出たらお知らせします。
 

ギター文化館との関わり:閉館について思い出したこと

ギター文化館が、8月末で閉館することになりました。
(8月19日午前中、ギター文化館館長さんから直接電話があり知りました)

あまりに突然だったので、まだ正直なところ実感がありません。閉館に至った事情については、僕自身まだわからないことも多いので、それは置いておくとして……

まずは、自分とギター文化館との関わりを少し記録しておこうかなと思います。

僕がギター文化館と直接関わった最初は、たぶん2020年2月1日。

初めてのソロCD『組曲 プラテーロとわたし』を出した頃で、文化館から「コンサートをやりませんか」と声をかけていただいて、リサイタルをやりました。
20200201トミーギター文化館























IMG_9764












IMG_9733












↑ギター文化館でリサイタルをやると壁にサインできる。(このサインの歴史も終わっちゃうんだなあ)


考えてみれば、もう6年も前なんですね。

この時は、もちろん一演奏家として呼んでもらっただけでした。

でも実際にあの場所で弾いてみると、ギター文化館という名前の通り、ほんとうに「ギターのための場所」なんだな、という感じがありました。


独特のドーム型のホール。歴史的なギターが並んでいて。そこにギター好きの人たちが集まってくる。

全国を見ても、こういう場所って、実はほとんどない。

そして、ほぼ同時にコロナ禍。

文化館の運営もかなり厳しくなって、存続のためのクラウドファンディングが行われました。

僕もそのときは個人的に協力しました。「こういう場所は残ってほしいな」と思っていたんですよね。

その後、2022年、僕が日本ギター連盟の代表理事になってからは、文化館との関わり方も少し変わりました。

東京国際ギターコンクールの優勝者を、日本各地で演奏させてあげたい。コンクールって、優勝者を決めて終わりではなくて、その後に演奏する場所を作るところまで含めて考えたい。どうせなら、世界でも稀な歴史的なギターコレクションが揃っているギター文化館で……。

その流れの中で、ギター文化館でも東京国際の優勝者記念コンサートを開催してもらうようになりました。

僕自身が弾きに行く場所だったのが、いつの間にか若いギタリストを送り出す場所になっていたわけです。そして結果的に、ギター文化館で最後に行われた東京国際ギターコンクール優勝者記念コンサートは、2025年11月29日のアウシアス・パレホ公演になりました。


スクリーンショット 2026-08-21 23.37.47




















アウシアスは2024年の東京国際優勝者。

スペイン・バレンシアの若いギタリストで、ルネサンスのミランやサンスから、タレガ、ロドリーゴ、アセンシオ、ファリャまで、自分のルーツであるバレンシアや地中海文化を一本の線でつないだ、とても良いプログラムを持ってきてくれました。そして、ギター文化館でも、コレクションの一部を使って演奏してきたようで、僕にも「あの場所はコンサートでも楽しかったけど、たくさんギターの良いコレクションを試奏できて楽しかった!」と伝えてくれました。

そして今年2026年も、昨年の東京国際優勝者フランシスコ・ルイスのコンサートを11月に予定していました。


それが、なくなってしまった。
あと、連盟企画のGLCギターコンペ優勝者コンサートも10/31に予定していました。これもなくなりました(なんとか代替場所は見つかりましたが…)。

こういうところで、ようやく少しずつ「閉館するんだな」という実感が出てくるもんで。

ギター文化館には、プロの演奏家のコンサートだけではなくて、シニアギターコンクールもあったし、弾こう会もあったし、愛好家がふらっと行ける場所でもありました。


ギターを弾く人、聴く人、作る人、教える人。


いろんな人が「ギター」というひとつのキーワードで集まれる場所。建物があれば、そういう場所になる。

何年もそこでコンサートが行われて、人が集まって、誰かが演奏して、誰かが聴いて、また翌年来て。そういう積み重ねで、ようやく「文化」ができていく。

だから今回なくなるのは、単に一つのホールではないのだと思います。

2020年に自分が初めて弾いたところから始まって、コロナ禍のクラウドファンディングがあって、その後、東京国際の優勝者たちを送り出す場所になって。


気がつけば、僕自身もそれなりにギター文化館との時間を重ねていました。

(写真を探していたら、まだいろいろ出てきそう)

なので、このあたりのことは、少しずつ記録として残しておこうと思います。

長い間、ギターのための場所を作り続けてくださった皆さんに感謝。


そして、僕自身も本当にお世話になりました。


まだ「なくなる」という感じが、あまりしないんですけどね。

「親として生きる」:「クラシックギターと私」最終回で考えたこと

8月19日、駒沢のmoment.baseにて、ラジオ「クラシックギターと私」の最後の公開収録をやってきました。

最終回のゲストは宮下祥子さん。
att.L92enpD7ME-kW5cbHaIpAdJ5Izemt3Rl0zvDc1qh-Ao





















これで「クラシックギターと私」としての公開収録はすべて終了。9月の放送をもって、番組そのものも終了します。

一年とちょっと続いた番組でした。

始めたころは、「クラシックギターの番組なんだから、いろんなギタリストを呼んで、その人とギターについて話せば面白いだろう」くらいに考えてました。

でも、やってみて思ったのはこれはゲストの話を聞く番組であると同時に、僕自身が「クラシックギターって何なんだろう?」と何度も考え直す番組でもあったんだなー、ということ。

本当にたくさんのクラシックギタリストの方に来ていただきました。


もちろん全員、同じ「クラシックギター」という楽器を弾いているのですが、話してみるとその楽器との距離感も違う。そして演奏について考えていることも違う。音楽家としての生き方も違うし、教えることへの考え方も、コンサートというものへの考え方も違うんですよねー。

当たり前といえば当たり前なんだけど、これが面白い。

僕自身、もうずいぶん長いことクラシックギターを弾いているわけですが、それでもゲストの話を聞きながら、「ああ、クラシックギターって、そういう楽器でもあるのか!」と思うことが何度もありました。

長くやっていると、自分なりの「クラシックギターとはこういうもの」という像が固定されます。それは経験の蓄積でもあるけれど、同時に、知らないうちに自分で作ってしまったスキーマもある。

そこに、まったく違うキャリアや感覚を持ったギタリストの話が入ってくる。

すると、その固定概念が良い意味で「ブレる」。

「自分が当たり前だと思っていたことって、別に当たり前じゃないんだな」と気づく。これは僕にとって、とても良い勉強になりました。

そして最終回の宮下祥子さんとの話は、その意味でもかなり印象に残る回になりました。

宮下さんとは同世代なので、演奏やキャリアの話だけではなく、いわゆるミドルエイジ・クライシス的な話にも自然と入っていきました。


若いころのように「自分が何をやるか」「自分がどう成長するか」だけではなくなってくる。では、この先どう生きるのか…

そんな話の中で、宮下さんが話していた「親として生きる」という言葉が、とても印象に残りました。


これは実際に子育てをする、という意味だけではありません。もっと抽象的な意味で、次の世代を育てるということ。


自分が何かを獲得することだけではなく、自分が持っているものを次へ渡していくこと。

そういう段階に入っているんじゃないか、という話。

宮下さんも日本ギター連盟の理事としても活動しています。

東京国際ギターコンクールや学生ギターコンクール、ギターコンペティションなど、そうした活動も、単にコンクールを運営するというだけではなく、広い意味では「次の世代を育てる」ということにつながっている。

若い奏者が演奏する場を作る。目標を持てる場所を作る。次の世代がクラシックギターの世界に入ってきて、そこで何かを経験できる環境を残していく。

そう考えると、「親として生きる」という言葉が、かなり具体的なものとして見えてきます。

そしてその話を聞きながら、これは宮下さんだけの話でもないな、と思いました。


僕自身も、演奏する、教える、文章を書く、研究する、イベントを作る、こうしてラジオで話す。

それぞれ別々の仕事のように見えるけれど、この年齢になってくると、そのかなりの部分が「次の世代に何を残すか」というところにつながっている。


もちろん、まだまだ自分自身が演奏家としてやりたいこともあるし、新しいことも学びたいし、こっそりと研究を続けていきたいこともある。

でも、自分一人の成長だけを考えていればよかった時期とは、少し違うのですよね。

そんな自分自身の現在地を、最終回の収録であらためて確認したような気がします。

考えてみると、「クラシックギターと私」という番組を一年とちょっと続けてきたこと自体も、そういう作業だったのかもしれません。


ゲストに来てくれたギタリストたちが、それぞれの言葉で自分とクラシックギターの関係を語る。それをラジオという形で残す。僕自身も、その話を聞きながら自分の立ち位置を確認する。

結果として、いろいろな世代の、いろいろなクラシックギター観が積み重なった番組になったと思います。

ゲストで来てくださった皆さん、公開収録に足を運んでくださった皆さん、そしてラジオを聴いてくださった皆さん、本当にありがとうございました。

こんな感じに書くと、完全に最終回っぽいのですが……実は、ラジオそのものは続きます。


2026年10月から、同じ時間帯で新番組が始まります。

タイトルは、「ヨウジと私」

The 東南西北の久保田洋司さんと、富川勝智でお送りします。

「クラシックギターと私」では、クラシックギターという一つの楽器を真ん中に置いて、そこからいろいろな話をしてきました。

今度は、その真ん中に置くものをもう少し自由にしちゃう。音楽のこと、人のこと、世の中のこと、そのとき気になっていることを、二人であれこれ話していく番組になるのかな?


「そもそも何の話をしていたんだっけ?」となっちゃうかもしれませんが、ラジオってそのくらいが面白いのかもしれません(これは今までラジオやってきて感じたところ。少しインプロがないと面白くないのです)。

きれいに結論を出すためではなく、話しているうちに思ってもみなかったところへ転がっていく。

「クラシックギターと私」を一年とちょっとやってきて、僕自身、以前より少しだけ「話す」ということに欲が出てきたようにも思います。

ということで、「クラシックギターと私」はこれにて終了。

そして10月からは、「ヨウジと私」。よろしくお願いします。

お楽しみに!

テクニックノート講座第35回、アップしました!〜いよいよ「まとめ」へ

YouTubeに「ホセ・ルイス・ゴンサレス ギターテクニックノート講座」第35回をアップされております。

今回のタイトルは、「テクニックノートは何を学ぶ本だったのか?(まとめ前編)」です。



ここまで34回にわたって、『ギターテクニックノート』に収められている練習をひとつずつ見てきました。

そして第35回からは、いよいよこの3年間の連載の「まとめ」に入ります。

今回あらためて考えてみたのは、そもそも、この本から何を学んできたのだろう?ということ。


音出し、スケール、アルペジオ、トレモロ、スラー、セーハ、和音の移動、ハイポジション……。

もちろん、それぞれのテクニックを身につけるための練習ではあります。


でも、3年間この本と付き合ってきて感じるのは、単に「指を動かすための練習帳」ではないんですよね。

むしろ大切なのは、「なぜうまくいかないのか?」「身体の中では何が起きているのか?」「どの部分を変えれば弾きやすくなるのか?」ということを、自分で観察し、考える習慣を身につけること。

テクニックノートはとても「無口な本」。


細かい身体の使い方を全部説明してくれるわけではありません。

だからこそ、この連載ではその空白を埋めるように、僕自身がこれまでギターを弾いたり教えたりする中で考えてきたことを、できるだけ言葉にしてきました。


振り返ってみると、この「身体でなんとなく分かっていることを言語化する」という作業こそ、僕自身にとってもこの連載の大きな収穫だったように思います。

そして、このテーマについてはnoteにも少し詳しく書きました。




「弾けない」「指が届かない」「セーハが鳴らない」といった漠然とした問題を、そのままにしない。

身体の状態や指の動きをいくつかの要素に分け、言葉を与え、観察できるようにする。

僕はこれを奏法の「抽象化」と考えています。

「ハコ」「準備」「戻し」「音価」「押弦」「離弦」「腕の重さ」「接点」「身体配置」……。

この3年間の講座では、こうした言葉をたくさん使ってきました。でも、用語を覚えること自体が目的ではありません。
言葉を持つことで、自分の演奏を観察できるようになる→観察できれば、「なぜ弾けないのか」を考えることができる→そこから初めて練習方法を変えることができる。

このプロセスが大事なのです。

第35回の動画とnoteの記事、ぜひ合わせて見ていただければと思います。


現代ギター誌で3年間続けてきた「テクニックノート講座」も、ついに最後のまとめです。

ここまで付き合ってきた『テクニックノート』から、最後に何を取り出すことができるのか。


もう少しだけ、お付き合いください!

7月って、何してたんだっけ?

8月に入ってしまった。自分の教室でのレッスンも8月の一週目で終わり、大学の前期授業も終わり、7月まで続いていたいろいろな仕事もひと区切り。

そこでふと、「7月って、何してたんだっけ?」と思って振り返ってみたら、思っていた以上にいろいろやっていたことに気づいた。

7月15日。まずはバースデーライブ!

今年の7月15日は、自分の誕生日にバースデーコンサートをやった。
att.UzHf4sbc0-Z-pSjrmnIaL3bI-L_GB6r130iU0RFdjoA











出演してくれたのは、メキシコから来日していたホアン・カルロス・ラグーナ、ソフィア・ルローニ、そして歌の石塚裕美さん。

僕自身のソロでは、サインス・デ・ラ・マーサの組曲《プラテーロとわたし》から「プラテーロ」と「死」、マンホンの《あなたとわたし》、久保田洋司さんの「君が眠っている間の世界」「ヨウジとわたし」。石塚さんとは武満徹の「ぽつねん」と「ワルツ」。

そしてラグーナとは佐藤弘和さんの《風のはこんだ4つの歌》を演奏。


こうして曲名を並べてみると、最近の自分の音楽活動がかなり凝縮されていたことに気づく。《プラテーロとわたし》は2019年に録音し、《あなたとわたし》は2021年。そして昨年から今年にかけては久保田洋司さんとの《ヨウジとわたし》。

武満徹の歌も、自分にとって長く大切にしてきた音楽。「いま自分が何を弾きたいのか」を考えていったら、自然とこういうプログラムになった。

若い頃は、コンサートというと「何を弾けば自分を見せられるか」という意識も、今よりずっと強かったと思う。


でも、最近は自分が本当に好きな音楽、自分の中に長く残っている音楽を弾いて、その空気をお客さんと共有できればいいという気分が強い。


それにしても、自分の誕生日に、その時いちばん弾きたい曲を弾いて、親しい音楽家たちにも付き合ってもらうというのは、なかなか有難い。
att.2rC29NiFDJURNRdzod_nkVFs-G79JdQrVU7ivxGhzWQ












来年は55歳。さて、どうしようかな。今年とは少し違う形で、何かやってみてもいいかもしれない。

……ということだけ、今のところ書いておきます(笑)。

そしてジュリアーニ

その数日後、7月19日は現代ギター社での講座。

「巨匠たちの作品への真摯なるアプローチ」シリーズの第3回で、今回はマウロ・ジュリアーニを取り上げた。

ジュリアーニというと、ギターをやっている人ならもちろん有名な作曲家だけれど、「では、彼はどんな音楽家だったのか?」と考えてみると、意外と知られていないことも多い。

南イタリアからウィーンへ渡り、ベートーヴェンのいた時代の音楽界で活動していたこと。ソルとはかなり違った作曲の発想を持っていること。そして、当時ウィーンで使われていたテルツギターという楽器。

今回は実際にテルツギターも使いながら、「ジュリアーニは、そもそもどんな音を想像していたのだろう?」というところをデモンストレーション。

こういう講座をやっていると、自分でも新しい発見がある。

資料を読み、楽譜を分析する。当時の楽器で弾いてみて、実際に音にしてみる。

すると、「ああ、だからこう書いてあるのか」と身体で納得できる瞬間があるんです。

音楽史の話と演奏技術の話が、そこでひとつになる。この「真摯なるアプローチ」シリーズは、ジュリアーニで終わりではありません。これからもいろいろな作曲家を取り上げながら、「その人は何を考えて、この音を書いたのか」を一緒に探っていく予定。

2026GG講座真摯なアプローチ























単なる作品解説ではなく、実際に弾く人の目線から作曲家の世界を見ていく講座なので、興味のある方はぜひ今後の回(次は10/4)にも来ていただけたらと思う。

大学の前期授業も終了

7月後半になると、大学の授業も前期のまとめ。普段、自分主宰の教室でもレッスンしているが、「区切り」があるので、ちょっと違う感覚を持って教えているのは事実。

カルリやタレガのエチュードをやったり、右手や左手の運指を確認したり、発表会をやったりしているのだけど、学生を教えながら最近ますます思うのは、「技術を教える」ということと、「音楽を教える」

ということは、順番を間違えるとかなり違うものになるのかなーと。

まず音楽がある。どんなフレーズなのか。どこへ向かっているのか。どんな音が欲しいのか。

そのうえで、「じゃあ、そのためにはこの指使いが必要だね」「このタッチが必要だね」となる。


技術から音楽を作るのではなく、音楽から必要な技術を見つけていく。これはここ数年、自分の中でもかなり明確になってきた。これは先に述べたように「区切り」のある大学の授業だからこそ、この要点を外してはいけないのかなーと思う。

逆にいえば、個人レッスンでの生徒さんには基本技術をひたすらに何年でもかけて丁寧に教え込むことができるが、下手すると「音楽ファースト」を忘れがちになっているのかもしれない……とちょっと反省したりしている。

連盟では、音楽家の仕事について考える

そして、この時期は日本ギター連盟の仕事もいろいろ。その一つとして、音楽家の労災保険について少し調べ始めたり、会員へのリサーチをしたり。


音楽家には「演奏する仕事」だけではなく、「教える仕事」がある。

むしろ多くの演奏家にとって、レッスンは職業生活のかなり大きな部分を占めているのだ、普通は。


ところが、芸能関係作業従事者を対象にした労災保険の特別加入制度では、「教える・指導する仕事」が十分にカバーされていない部分がある。


では実際、音楽家が教えている現場ではどんな事故やトラブルが起きているのか。レッスン中の怪我。教室内での事故。身体的な負担。そういう実例を少しずつ集めながら、関係する機関とも話をしている。


これは、すぐに何かが変わるという話ではない。

だけど公益社団法人として、こういう問題について考えていくことも大切だと思っている。


音楽家という職業は、ステージで演奏している時間だけではできていない。

教える。審査する。企画する。文章を書く。楽譜を作る。運営する。

そういうもの全部をひっくるめて、音楽家の仕事なのだと思う。だからこそ、こうやって「職業音楽家が良いビジョンを見れるような」地味な作業って必要なのです。

そして東京国際ギターコンクール

そんな7月の終わりから8月の頭にかけて、今年の東京国際ギターコンクールの応募も締め切られた。

今年は、日本から11名。海外から41名。合計52名。

例年のほぼ倍増である!
かなり多くの方に応募していただいた。嬉しい。
この理由はいろいろあると思うけれど、個人的には、コンクールをYouTubeで配信してきたことの効果もかなり大きいのではないかと思っている。

昔だったら、東京国際ギターコンクールという名前を知っていても、実際にどんな人が出ていて、どんな雰囲気で審査が行われているのかまでは、(実際に会場に足を運ばないと)なかなかわからなかった。


でも今は動画で見ることができる。

そこで、「へー、こんなコンクールがあるのか!」と思ってくれる人がいる。

さらに、「これなら、もしかしたら俺のほうが上手いんじゃない?」と思ってくれる人がいてもい(笑)。

(僕は、そういう良い意味での「勘違い」は大歓迎だと思っている。)


コンクールというと、どうしても「ものすごく上手い人だけが出る場所」と思われがちだけれど、最初から自分の実力を正確に測れる人なんて、そんなにいないしね。

「ひょっとしたら自分もいけるかも」というところから挑戦が始まる。その結果、自分より上手い人に出会ったり、違う音楽観に触れたり、自分の現在地を知ったりする。


それがコンクールなのだ。

むしろ、そういう人がどんどん出てきてくれたほうが、コンクールとしては面白い。

そしてもう一つ、ここ数年かなり意識してきたのが、コンクールそのものの「アンビエント」。審査はもちろん厳正に行う。でも、会場まで殺伐としている必要はない。出場者が安心して演奏できること。スタッフがきちんと声をかけること。出場者同士が自然に話せること。

落選したからといって、「もう二度と来たくない」と思うようなイベントにはしたくない。

実際、過去の入賞者がもう一度挑戦してくれるケースも増えてきた。


これは順位や賞金だけでは説明できない部分もあると思っている。

「またここで弾きたい」と思ってもらえるコンクールであること。そのために細々としたコンプライアンスを整え、スタッフたちにも共有してきた。


受付、舞台、進行、出場者への対応、会場の空気作り。

そういう細かなところまで動いてくれているスタッフたちが、毎年少しずつ積み重ねてきてくれた結果だと思う。改めて、スタッフのみんなには感謝したい。


コンクールは、優勝者を一人決めれば終わり、というものではない。

挑戦してみようと思う人が増えること。

一度参加した人が、もう一度戻ってきてくれること。

世界中からギタリストが集まって、そこで新しい出会いが生まれること。

そういう循環ができて、初めてコンクールそのものが育っていく。


今年の52名という数字を見ながら、少しずつだけれど、その方向へ進んできたのかな、と思っている。

というわけで、東京国際ギターコンクール、配信でもいいけど、生で観戦に来てほしい。そして、スタッフの動きにも目を向けて欲しいかな!

新進芸術家ギタリストの饗演プレフライヤ






















こうして振り返ってみると

7月は、ずいぶんいろいろやっていた。

演奏する。作曲家について調べる。教える。音楽家の働く環境について考える。コンクールを運営する。


こうして並べると、全部別々の仕事のように見える。


一方で何か繋がりがありそうで。


自分が音楽を演奏し、そこで自分が発見したものを誰かに伝える。次の世代の演奏家が育つ場所を作ること。そして、その人たちが音楽家として仕事を続けていける環境について考えること。


結局は全部、「音楽を弾くことと、音楽が続いていく場所を作ること」を大切にしたいと思って、動いているだけなのだ。


8月は少しダラダラしてます。秋以降のことをぽつぽつ考えている。まだ表には出ていないことも、いくつか。また書きますね。

レッスン案内
東京渋谷:ホームページ
東京池袋(金曜):GG学院
※ワンレッスン→詳細
お問い合わせ

レッスンのお問い合わせや演奏依頼、執筆依頼、作曲&編曲依頼、またはブログの御感想など…

名前
メール
本文
プロフィール

tommig

訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

ギター史と和声のワークショップ
公益社団法人日本ギター連盟ユベントス主催によるギター史と和声学の講習会
詳細はこちら!
講師はギター連盟正会員の富川勝智と坂場圭介です。
Archives
富川勝智

Facebookページも宣伝
記事検索
演奏会情報
♪富川勝智の演奏会♪
チラシまとめ
→演奏会チラシ


体験レッスン
富川ギター教室では無料体験レッスンを行っています。正しい基礎を知りたい方、独学でお悩みの方、技術に限界を感じている方…今すぐに申し込みください。


☆申し込み☆
 ↓↓↓↓↓
クリック!

ギタートラベローグ
日曜ワークショップ開講中!
♪詳細は…
→“月イチ講座”ブログ
サーキュレーション
  • ライブドアブログ