やばい、やばい、またこのブログをさぼりそうになってしまう。
「レッスン覚書はどこにいったの?」と言われる前に、近況報告からざっと、書いておきましょう。
11月6日
ギター界、期待の新星、松尾俊介君のデヴューリサイタルへ。丁寧な直筆のご案内状に心を打たれたから行きました。前日に会ったとき「印刷だと、ちょっと手抜きかな・・・と思いまして」。うーん、古風。でも、こういう人には好感を持ってしまう。
レッスンがあったので、後半から聴いた。聴きたかったエチュの「ギターのために組曲」が聴けたのラッキーであった。バルセロナで、ピエッリの演奏で聴いた以来。その演奏があまりにもよくて、翌日すぐに楽譜を買いに行ったことを覚えている(もちろん、練習しました。本番では弾いたことないですけど)。
12音技法でかかれてはいるものの、拍節感はしっかりとあり、ところどころ古典的な和声の進行が織り交ぜられているのがこの曲の肝。路線としては、マルタン「4つの小品」といった趣向である。
まあ、通な一曲ではあるのだが、これが良い。でもその後のブローウェルのほうがより遠近感がある演奏。
どちらにしても、和音の余韻と「間」を重点にした演奏スタイルで好感を持てました。若手としては、なんか“いい意味で”老成した感じで、個人的には好きな演奏家です。
打ち上げも、巨匠がゾロリ。大萩君や、江間常夫氏などが出席。豪華な打ち上げ。私は終演後、ロビーでぶらぶらしているところを桜井氏(現代ギター社長ね)に「時間あるでしょ?来てね」と居酒屋を名刺を渡されたので、なんとなく出席。
結局、結構飲みすぎて、帰宅は午前様。
かつて、仙台でギターを勉強していたとき、「大学が東京だったら、江間先生を紹介するよ」と仙台のギターの師匠に言われていた、本人に会えて、じっくりとお話を聞けたのはなによりでした。
レコードとかで、憧れの存在だった人と会えるというのは、「ああ、ギタリストになってよかったな」と思う瞬間であります。
11月7日
軽い“ボディブロー”のような二日酔いで目覚め。結局、風邪も完治していないのに、連日「お酒飲み」な生活をしている。
午後からのレッスンでも、ちょっぴり疲労感が残っている。でも、なんとか正気を保ってレッスン。
レッスンが終わったのは、夜の9時。そのころには、二日酔いの倦怠感はすっきりと改善。この倦怠感が一生ぬけないとしたら、酒を飲みすぎることもないのにね。
11月8日
さて、ここから、ひさびさにレッスン覚書です。どうぞ。
右手のタッチの基本は簡単である。弦を振動させればよい、という一点に限る。それを如何に体を“うまく使って”“スムーズに”実現するかということに集中すれば、(おそらく)誰でも、ギターできちんと音を出すことができる。でも、その基本から、どのように応用しているかも難しい問題であり、そのようなことに対しては、「自分で考える力」をつけてもらうしかないようである。(まるで、某塾の宣伝みたい)。
音質、音量との区別は曖昧である。音量の大小しかないように聴こえる演奏は、おそらく“ピアノ”=“ボリューム1”、“フォルテ”=“ボリューム10”というような数値でしかイメージしていないのであろう。
このあたりは、言葉の問題かもしれない。やはり表現力をつけたいならば、日本語のボキャブラリーも豊富でないと、駄目であると、ちょこっと思った。例えば“真冬のシベリアで息絶える寸前につぶやく一言”みたいなピアノ・・・とか。
腕はどこから?と尋ねると、やはり「肩から先!」と答える人が多い。体のことを認識している人って少ないですね。まあ、一般に日本語で「腕」と言えば、肩から下のことだけど。「手」は一応、鎖骨からはじまっているということを認識しないと、肩凝りますよ。
付点のリズムを「引き締め」に使っている代表例が「大聖堂第二楽章」です。ああ、落ち着いたのかな?というところで、付点のリズムを巧みに使用して、息を吹き返させる・・・という用い方。まあ、そのくらい、付点のリズムって、魔力があるのです。
やっぱり、音階というのは、各段階で必要なトレーニングなんですよね。これをしつこく生徒に「癖付け」させるかどうかが、5年後のレベルを決定すると言っても過言ではない。
あっと、驚くほど、タッチが良くなる生徒がいる。やはり、そういう人は「基礎」を甘く見ていない人である。どんな単純な練習でも、怠けずに、且つ客観的に自分の肉体をコントロールできる人は、ほんと〜に驚くほど音がよくなることが多い。
チリも積もれば・・・ということで、同じ作曲家のエチュードを何曲が続けってやっていると、頻出パターンとでも呼ぶような音が出てくるものである。それで、読譜に自信がついてくる場合もある。これは、エチュードの効能のひとつである。
大きな音のグループを見つけたら、最小の音のグループを見つけてみる。それをどのようなバランスで弾くか・・・をいろいろと試す。試す際に必ず歌ってみること!呼吸にも意識をもっていくこともでき、やはり音楽表現の基本テクニックであることは確か。歌ってみれば、変なところにアクセントが落ちていたりするのにきづくことができる。
・・・以上、レッスン覚書でした。
今日の覚書は、抽象的なことがらが多かったですね。まあ、その日の体調によって文体もアプローチも変わりますが、本質はいつもいっていることと変わりません。
では。