2008年を振り返っています。
演奏活動、教授活動…と見てきました。
さて、今回は執筆活動です。
私の執筆活動は大まかに以下となっています。
- クラシックギターに関する奏法や表現法に関する文章
- クラシックギター及びスペイン音楽や文化に関連する文章
メインは現代ギター誌への寄稿です。
連載として「セゴビア・アーカイブ細見」というのを行ないました。これは来年3月号まで連載いたします。セゴビアの蔵書に埋もれていた作曲作品を掘り起こして出版しているシリーズがあります。ギタリストであるジラルディーノ氏が監修をつとめる「セゴビア・アーカイブ」シリーズです。そのアーカイブシリーズを毎回1人の作曲家に絞って紹介するというものです。
このアーカイブ自体にも詳細なデータや論文が載っているので、それ自体で価値があるのですが、やはり現代ギターという専門誌とはいっても読者はアマチュアも多いと思います。私の想定読者層としては、中級者〜若手プロ志望…といったところなのですが、それなりに「読み物」として面白くするために工夫を凝らしました。
毎回、ちょっとした疑問とちょっとした解決が得られるように文章の流れは構築したつもりではあります。
データ的な部分には補足を行い、私なりの見解も含めました。自己資料もかなり見直しました。手持ちの楽譜に不備があれば、買いなおし…御陰で紹介した作曲家の作品に関して、カタログ的な知識を整理することができました。
また、タンスマンやモンポウなどのビッグネーム作曲家の場合はCDを聞きなおすことにもなります。またライナーノートなどからも有益な情報を得ることができますので、執筆前にはひっぱりだしたCDが山積みに…。
そんなわけで、この「セゴビア・アーカイブ細見」の連載は勉強しなおしばかりです。結局ひっぱりだしてきた楽譜などもちらっと弾いてみたり…もちろんセゴビアアーカイブシリーズも楽譜ですので、それも弾いてみます。
ちょっとした練習になります。いい勉強になるのです。
その他、アグスティン・バリオスを記念した豪華本の解説や、ガルシア・ロルカと芸術家たちに関する小論なども寄稿いたしました。
バリオス本も解説を書くにあたって、一通り目を通しました。なるほど〜という部分もあって、やはり仕事とはいえ楽しめました。
もともとスペイン27年世代の芸術家に関しては、個人的に研究していましたので、資料はそろっていました。知識の整理がすることができて、有意義なお仕事でした。
この一文のベースメントとなったのは、実はひたちなか市のアコラさん主催で行われた「レヒーノ&エドゥアルド兄弟のギター作品」というレクチャーコンサートでした。このときちょこっとレヒーノ=スペイン27年世代の音楽家…というふうに解説をしました。その延長線上で、ロルカや関連音楽家をとりあげたわけです。このレクチャーはギタリスト中心のものでしたが、その時代の芸術家たちが面白い具合に連繋して、そして刺激しあい、ときには敵対しながら、ひとつの芸術潮流を築き上げていったわけです。
1920年代〜30年代は非常に興味深い時代です。現在の世界状況と近似することも多く、この点も今後の研究課題かもしれません。現在の視点からみると、この時代の芸術家たちの動きに多くを学ぶことできるのです。
そして、そのように考えていくうちに、その時代の楽器とかにも目がいくようになってしまって、かなり危険な状態です。ああ、サントス・エルナンデス欲しいなあ…という感じ…(誰か譲ってくれないかなあ?1927年生まれのサントス…)。
さてさて、そのようにして、毎月最低一本の原稿を書き、ときには追加の原稿も書きながら暮らしてきましたが、根本はギタリストですので、教えたり、演奏したりということも同時進行…。
生徒さんなどには「いったいいつそんな仕事やってるんですか?」といわれます。私本人としては、無理をしているつもりではないとこが救いですかね。確かに締め切りにはなんとなく追われている気はしますが、毎回執筆の仕事から得るものは多いです。
来年も定期的に連載するかは分かりませんが、個人的な研究は一杯するつもりです。
昨年から今年にかけて、教本などの仕事もいくつかしましたし、私自身としてギター教授法についてある程度の体系化がされてきたような気がします。来年はそのあたりを地道にまとめながら、勉強をしてみるのも面白いかなあと思っています。
(そんなこともあって、最近スタニスラフスキーシステムの本を読んでいます。俳優の演技メソッドですが、その確立の過程に興味があるからです)
そんな感じで、執筆を依頼され、勉強し、そして次への興味が沸いてくる…ぐるぐる回り続ける好奇心…かなりの文章量をこなした一年でした。