2008年を振り返っております。

数年前から、出版物の編曲や録音などのお仕事をやっておりますが、今年はDVDの仕事を二つ行ないました。以下2点です。

 

シンコーミュージックさんのほうは、「ソロギター」という観点で、数曲アレンジして模範演奏を録画させて欲しいというもの。初めてのDVDの仕事でしたので、緊張しましたが、スムーズにできました。日本歌曲からジャズ、バッハまで…さまざまなジャンルをアレンジしましたが、実に楽しくできました。

ヤマハさんの仕事のほうは、もともと発売されていた教本に準拠したDVDをつけて再販するというものでした。なので、できるだけ内容にそくしたDVDになっていますが、あまりにもこれは…という奏法上の説明などは修正しました。もともとの文章内容はできるだけ活用する…という方針でしたので、若干不明瞭な部分はありますが、DVD自体の内容としては問題ありません。

奏法上のことは「あくまでもシンプルに」という感じでしたので、具体的、理論的な説明はありません。いずれ、そのような形のDVD教材なども作ってみたいと思います。

どちらにしても、DVDという新しい分野の仕事は実に学ぶべきことは多かったです。今後、同様の仕事をするにしても、何を準備したらいいのか、どのような点に気をつけたらいいのかが分かるので、スムーズにいくと思います。

録音作業にしても、録画作業にしても、やってみなければ分からないことがたくさんありますね。クラシックギタリストという職業も、そういう意味ではいろいろなメディアとの関わりのなかで、ここ数年大きく変化したいったのだと思います。DVDやCD、インターネットの普及のなかで、それに巻き込まれることなく、普遍的な価値をクラシックギターという楽器に見出さなければ巻き込まれてしまうでしょう。

私自身にとって、上記のようないわば商業的な仕事は、ちょっとしたカンフル剤として作用しているようにも思えます。

そればかりやっていては、クラシックギターの伝統的な美を忘れてしまいそうになります。ターレガが弟子数人の前で弾いた演奏にも、クラシックギターの美は存在します。しかしだからといって、その規模だけにとどまる活動をしていてもしょうがないわけです。

セゴビアが大ホールでも演奏できる楽器であると、生涯かけて人々の意識を改革していったのと同様な意識をもたなければならないと思います。

いつも思うのですが、音楽家がどのように社会に関わっていくか?…について常に思考しなければならないと思います。社会や人々の意識が変化していけば、それにともない音楽家も思考を変化させていかなければなりません。そして、社会の変化を敏感に察知しつつ、音楽の本質を失わない意識の高さが必要なのでしょう。

幸いにして、今年も大小とりまぜて、演奏の機会には恵まれました。やはり音楽は「実演」に限るとは思うのです。その意識を失わずに、来年も機会があれば録音や録画のお仕事できればいいなあ、と思っています。

 

BLOGランキング(応援よろしく!)

音楽ブログランキング