最近、デュオのレッスンをすることが多いです。

生徒のなかでも、自発的にデュオのレッスンを頼んでくる人が増えてきました。

さっきもブログに写真をアップしたのですが、通常のレッスンの合間に、デュオのレッスンがあるとリフレッシュできます。脳みその使い方が違いますし、室内楽のノウハウというものを教える面白さがあります。

生徒さんとのレッスンで、デュオの曲を教材に使うことはありますが、やはり「室内楽」のレッスンにはなりにくいのです。どうしても、こちらが持っている知識などを伝授することに終わってしまいがちです。

私はデュオの経験は多いほうだと思います。ギター2台だけでなく、フルート、歌、ピアノ、朗読…いろいろと経験してきましたが、やはり奏者の自発性を発揮できる現場が実に楽しいです。

もちろん、先輩音楽家にいろいろとアドバイスを受けながらのリハーサルは実に勉強になるのですが、これはなんとなく「レッスンを受けているようで」落ち着きません。

まあ、言ってみると、このアドバイスが過剰になってくると、「うざったく」なってくるのですね。もちろん、私も「絶対これは、相方、気づいていないなあ」という解釈の部分や、表現の部分は口に出して言います。逆に、相手から自分が見えていないポイントや切り口を指摘されるのは実にありがたいことです。

しかし、本当は(理想は)その「要望」を音にして相手に伝えることなのです。

デュオのリハーサルで、まず1回ざっくりと合わせます。相手がこうやりたいんだな…というのが分かります。もちろん、こちら側の「要望」も自分の演奏の中にこめます。

ここはぐわーっと盛り上がりたいんだよ!!とか、ここはあっさり弾きたいんだよなあ…というのを、一回目のあわせのときに伝えるわけです。そして、相手の音楽の方向性も感じ取るように努めるわけです。

 

結局、デュオなどのレッスンをしていると、そういう方法論を指導していることが多いです。

実際のレッスンにおいては、楽曲分析、フレージング、表現法などの知識面にフォーカスを絞ることもありますが、やはり私がデュオをレッスンする上で伝授したいのは方法論なのです。それはデュオをやる上での心構え、姿勢といったものです。

理想を言えば、最低限、各自が楽曲分析をすませ、フレージングや、ダイナミクスにおいて明確に音楽の方向性を指し示すレベルにいってから、デュオでリハーサルをすべきです。

お互いが楽曲にたいして明確なビジョンを持っていないのに、ただリハーサルをしても、それは実は「無駄な時間」である場合が多いのです。未知の楽曲のイメージをつかむために、とりあえず初見で…という場合は別ですが。

そして、各自がアイデア(イメージ)を明確にしてリハーサルに臨むわけです。たとえば、各自が10のアイデアを持っているとして、それを10×2名で20のアイデアにすることがリハーサルの意義です。

もちろん、お互いのアイデアが完全に合致する場合が多いです。なぜなら、音楽の表現法にはある程度の共通のルールがあるからです。

なので、その楽曲を演奏するために知っておくべき知識やアイデアが100であるとすれば、プロの演奏家であれば、各自80くらいはぱっと思いつくはずです。残りの20はデュオの合わせをしたときに、相手から貰うことが出来ると考えればよいのです。

もちろん、100の知識やアイデアを各自がもっていれば、完璧なデュオになります。1回合わせただけで、素晴らしい音楽を作ることができるでしょう。

 

さて、私は生徒には、上記のような考えから、生徒同士でデュオをする場合、その楽曲を演奏するのに必要な知識やアイデアを100と仮定した場合、各自最低10はもってから合わせをするべきであると教えることにしています。

例えば、ソルのデュオ曲をやる場合は、古典の様式や表現マナーを知らなくてはいけません。それは各自の通常のレッスンで、古典曲のエチュードなどから学ぶべきものです。もしくは、教師とのデュオ曲のレッスンを通じて、知識を得ていくものです。

そして、それらのルールや知識、つまりアイデアをそのソルのデュオ曲でも応用することが大切なのです。

まだ修行中の2名が集まる場合でも、各自ちょっとずつでも、そのアイデアを出してリハーサルをすることが大切です。

そのアイデアを具体化する方法を知らない人が2名あつまっても、アイデアはゼロです。そして、そのアイデアを相手に伝える気が無い人もいます(!)。相手が何か教えてくれるだろう…とただ待っているだけ…という受身の姿勢しかない人も多いのです。

そして、相手からのアイデアを受け取ろうとしない人もいます。もしかしたら、音として受け取れても、それを頭で処理できない場合もあるかもしれません。

そして、相手にそのアイデアを伝える方法、そして、そのアイデアを受け取る方法…これがデュオの方法論というわけです。これはれっきとした技術です。これはコミュニケーション論も絡んできます。実に室内楽というのは、「哲学」な分野なのです。人間関係、信頼関係に関しても意識を向けなくてはいけない分野なのです。

 

最近、この方法論を教える方法(まどろっこしいなあ)がなんとなく分かってきました。まだまだ勉強しなくてはならないことは多いですが…。

ということで、デュオのレッスンは、実に教えていて楽しいです。

通常のレッスンとは違うことを教えることができるので、脳みそのリフレッシュに最適です。

 

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