2026年3月1日にギタリストであり作曲家の峰岸君とギターデュオでライブします。

att._YhH7VXQn63YU5Rd8vh2i2ed09nnUF5w3-r0JxBrXFE

















昨年、2025年11月15日、大泉学園in"F"にて初めて峰岸慶典君とライブをしました。
秋の空気が少し冷えてきて、音が遠くまでよく飛ぶような日でした。その時のライブタイトルは「ほどほど癒されるギターデュオ」。

ふざけているようで、実はけっこう本気で、“ほどほど”という言葉の中に、力を抜くこと、構えすぎないこと。でも音から逃げない。そんな意味を込めました。


当日のプログラムは、ジャンルを決めず、国も決めず、そのとき僕たちの手の中に自然に集まってきた音楽たち。クリスマスソング、日本の歌、北欧の作品、アルゼンチンのフォルクローレ。

途中では in “F” の佐藤マスターがウッドベースで加わり、一瞬、場の空気がぐっとジャズ寄りになる瞬間もありました。

でも、全体として目指していたのは、「盛り上げる」よりも「続いていく」…そんな音楽。

焚き火の火を見ているみたいな感じです。大きく燃え上がらなくても、ちゃんとあたたかい。


後半に演奏したのがRalph Townerの作品でした。“Summer’s End”や“Song for a Friend”。

正直に言えば、これらは有名曲ではありません。一般的な意味での代表作とも言えません。

でも、弾いている側からすると、タウナーという人の「音の考え方」がとてもよく見える曲たちです。


音が少ない。
間が長い。
派手な展開はほとんどない。


なのに、空白がちゃんと音楽になっている。

彼はOregonを結成し、ジャズでもクラシックでもフォークでもない、でも全部つながっているような音楽を作り続けた人でした。

ギターとピアノを自由に行き来しながら、ずっと「静かな強さ」を探していた人、という印象があります。

そして彼は2025年1月10日 に亡くなりました。大きなニュースになるタイプの訃報ではありませんでした。でも、ギターという楽器の地平を、少しずつ、静かに広げてくれた人がいなくなった。

それは、あとからじわじわ効いてくる喪失感を味わいました。


実はクラシックギターの世界では、タウナーというとJuggler’s Etudeのような、テクニック的に華やかな作品が先に知られてきました。もちろん、彼がソロワークスに名盤が多いこともクラシックギタリストたちの感性を刺激してきたのでしょう。

もちろん、ああいうソロギタリストとしてのアレンジ力やヴァーチュオーゾ的な側面も彼の魅力の一部です。でも僕自身は、ずっと以前から「タウナーを“ギタリスト”としてだけでなく、“作曲家”として捉えたい」という気持ちを持っていました。

音数の少なさや、和声の絶妙な配置、フレーズとフレーズのあいだにある沈黙。そういう部分にこそ、彼の本質があるように感じていたからです。

派手さはないけれど、音が消えたあとにも、まだ何かが残っている。その余韻こそが、タウナーの音楽なのだと思っています。


そして思い返すと、結果的に最後の来日公演になってしまった高崎でのステージも、僕の中には強く残っています(2019年でしたね)。


あのときの彼は、いわゆる“ギターの名手”というよりも、作曲しながら即興している人——まさに「コンポーザー・インプロヴァイザー」という印象。


曲と曲の境目が曖昧で、決まっているのか、今その場で生まれているのか分からない。でも確かに、音楽は前に進んでいる。

あの感覚があったからこそ、僕はますます「タウナーを作曲家として捉えたい」と思うようになったのかもしれません。


そんな流れもあって、3月1日の峰岸くんとの次回ライブは、「ラルフ・タウナー追悼」をひとつの軸として構成することにしました。

もちろんラルフ・タウナー作品だけのライブではありません。

彼の音楽を中心にしながら、そこから自然につながる作曲家たちの作品、そして僕たち自身の感覚に沿った曲も演奏します。

いわゆる“追悼コンサート”というより、タウナーという音楽家を起点に、風景が少しずつ広がっていくような夜にしたいなあと思っています。


タウナーの音楽には、大きなクライマックスも華やかな技巧もほとんどありません。

でも、音が消えたあとに、まだ何か残っている感じがする。

コーヒーを飲み終えたカップの底に、ほんの少し香りが残っているみたいな。そしてその残り香こそが本当のコーヒーの風味だったり。


力まないこと。作り込みすぎないこと。自然体でいること。

それは、気づけばとてもタウナー的でした。

3月1日は、静かだけれど芯のある時間を、峰岸くんと一緒に作れたらと思っています。日曜の午後、ぼんやりと聴きにきてくれれば、皆さんの中に何か「残る」とは思います。お気軽にお出かけください。

:::::::::::::::::::::::::
富川勝智 × 峰岸慶典 ギターデュオ

ラルフ・タウナー追悼

日時:2026年3月1日(日)15:00開演(14:30開場)

会場:JAZZ & 地酒 in “F”
東京都練馬区東大泉3-4-19 津田ビル3F
(大泉学園北口より徒歩5分)

出演:
富川勝智(guitar)
峰岸慶典(guitar)

料金:
3,000円 + 2オーダー

ご予約・お問合せ:
https://in-f.live/site/
03-3925-6967