テクニックノート講座第32回の動画、公開されております。前回に引き続き今回のテーマは「セーハ」。


セーハが安定しないとき、多くの人が最初に疑うのは「人差し指の力」です。人差し指の「セーハ筋」を鍛えればいいのだ!…そんなことを考えてしまう人が多い。

でも、このベクトルで答えを求めている限り、なかなか状況は変わりません。別のベクトルで考えてみないとだめなんですよね。

セーハをかけている指“以外”の指が、ちゃんと機能しているかどうか。ここが崩れていると、どれだけ練習しても、必ず引っかかります。

たとえば、セーハをかけた瞬間に他の指が動かなくなる。あるいは、小指を無理に伸ばして距離を稼ごうとしてしまう。この時点で、すでに「構造として無理をしている状態」に入っています。


少しだけネタバレをすると、セーハは「全部押さえる技術」ではありません。必要な音だけが鳴ればいい場面のほうが、実は圧倒的に多い。そしてそのためには、腕の重さの預け方、人差し指の関節の使い方、さらに前腕のバランスを整えることが必要になるのです。
そのことは前回の動画で解説しました。



つまりセーハは、1本の指の問題ではなく、ポジション全体の設計の問題。
ここを整理できると、「きつい」「つらい」と感じていたセーハが、むしろ他の指を支える“土台”として機能し始めます。


今回の動画では、この「セーハをかけている指と他の指の関係」をテーマに、指の独立、半セーハ時の関節の使い方、そして4指のポジション設計まで一歩踏み込んで解説しています。

もし今、セーハに違和感があるなら、それは単なる練習不足ではないかもしれません。やり方そのものを一度見直すタイミングかもしれません。

こちらの動画で詳しく解説しています。





そして、『ホセ・ルイス・ゴンサレス ギターテクニックノート講座』も、いよいよ大きな節目を迎えることになります。現代ギター誌において、三年前から連載してきて、今年で連載満期終了することになります。
今回で33回目。本編として予定していた内容は、全34回で脱稿となります。計36回の連載目処としておりました。つまり、残り2回を使って、この講座全体の「まとめ」に入る予定です。


思えばこの講座、単なるテクニック解説として書いておりません。


もちろん、スラー、セーハ、和音の移動、指の独立、ポジション移動、押弦の考え方など、具体的な奏法上のテーマは個別に扱ってきました。けれども、回を重ねるにつれて見えてきたのは、個々の技術をバラバラに覚えることではなく、それらがどのようにつながっているのかを理解することの大切さです(実はこのことは1回目の講座で既述)。

たとえば、スラーは指先だけの問題ではないですし、セーハも、人差し指だけで頑張るものではない。
和音の移動も、形を暗記して反射的に押さえるだけでは、音楽の中で自由には使えません。

そこには常に、腕の重さ、前腕の安定、指の付け根からの動き、押さえる順序、離す方向、力の抜き方…たくさんの要素が複合的に関連しているのです。


テクニックとは、音楽を成立させるために身体の使い方を整理していく作業であると言い換えることができるでしょう。

そして、その整理は一度で終わるものではありません。曲を弾き、課題にぶつかり、また基礎に戻る。その繰り返しの中で、少しずつ自分の身体に馴染んでいくものです。


34回分の本編を終えたあとに行う「まとめ」では、これまで扱ってきたテーマをただ並べ直すだけではなく、全体を貫いている考え方を整理したいと思っています。

それぞれの技術がどのようにつながっているのか。日々の練習の中で、どのように使えばよいのか。
そして、テクニックノートを単なる練習課題集としてではなく、自分の演奏を見直すための道具としてどう活用していくのか。

そのあたりを、残り2回でしっかりと整理していくつもりです。

ただ、この連載が終わったからといって、僕自身の中で「基礎技術について考えること」が終わるわけではありません。現代ギターでの連載が一区切りを迎えたあとも、YouTubeでは「基礎技術」に関するミニ講義のような形で、少しずつ発信を続けていきたいと考えています(まだ未定ですよ)。


もちろん、そのときには『テクニックノート』という一冊の書籍からは少し離れることになります。けれども、書籍を離れたとしても、ギターの技術に関する基本が大きく変わるわけではありません。

スラーで考えたことは、和音の移動にも関係します。セーハで考えたことは、左手全体の構造にも関係します。指の独立や脱力の問題は、右手にも左手にも、そして音楽表現そのものにもつながっていきます。

つまり、教材が変わっても、曲が変わっても、身体の使い方や音の作り方を考えるうえで大切な原理は、やはりつながっているのです。