8月19日、駒沢のmoment.baseにて、ラジオ「クラシックギターと私」の最後の公開収録をやってきました。

最終回のゲストは宮下祥子さん。
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これで「クラシックギターと私」としての公開収録はすべて終了。9月の放送をもって、番組そのものも終了します。

一年とちょっと続いた番組でした。

始めたころは、「クラシックギターの番組なんだから、いろんなギタリストを呼んで、その人とギターについて話せば面白いだろう」くらいに考えてました。

でも、やってみて思ったのはこれはゲストの話を聞く番組であると同時に、僕自身が「クラシックギターって何なんだろう?」と何度も考え直す番組でもあったんだなー、ということ。

本当にたくさんのクラシックギタリストの方に来ていただきました。


もちろん全員、同じ「クラシックギター」という楽器を弾いているのですが、話してみるとその楽器との距離感も違う。そして演奏について考えていることも違う。音楽家としての生き方も違うし、教えることへの考え方も、コンサートというものへの考え方も違うんですよねー。

当たり前といえば当たり前なんだけど、これが面白い。

僕自身、もうずいぶん長いことクラシックギターを弾いているわけですが、それでもゲストの話を聞きながら、「ああ、クラシックギターって、そういう楽器でもあるのか!」と思うことが何度もありました。

長くやっていると、自分なりの「クラシックギターとはこういうもの」という像が固定されます。それは経験の蓄積でもあるけれど、同時に、知らないうちに自分で作ってしまったスキーマもある。

そこに、まったく違うキャリアや感覚を持ったギタリストの話が入ってくる。

すると、その固定概念が良い意味で「ブレる」。

「自分が当たり前だと思っていたことって、別に当たり前じゃないんだな」と気づく。これは僕にとって、とても良い勉強になりました。

そして最終回の宮下祥子さんとの話は、その意味でもかなり印象に残る回になりました。

宮下さんとは同世代なので、演奏やキャリアの話だけではなく、いわゆるミドルエイジ・クライシス的な話にも自然と入っていきました。


若いころのように「自分が何をやるか」「自分がどう成長するか」だけではなくなってくる。では、この先どう生きるのか…

そんな話の中で、宮下さんが話していた「親として生きる」という言葉が、とても印象に残りました。


これは実際に子育てをする、という意味だけではありません。もっと抽象的な意味で、次の世代を育てるということ。


自分が何かを獲得することだけではなく、自分が持っているものを次へ渡していくこと。

そういう段階に入っているんじゃないか、という話。

宮下さんも日本ギター連盟の理事としても活動しています。

東京国際ギターコンクールや学生ギターコンクール、ギターコンペティションなど、そうした活動も、単にコンクールを運営するというだけではなく、広い意味では「次の世代を育てる」ということにつながっている。

若い奏者が演奏する場を作る。目標を持てる場所を作る。次の世代がクラシックギターの世界に入ってきて、そこで何かを経験できる環境を残していく。

そう考えると、「親として生きる」という言葉が、かなり具体的なものとして見えてきます。

そしてその話を聞きながら、これは宮下さんだけの話でもないな、と思いました。


僕自身も、演奏する、教える、文章を書く、研究する、イベントを作る、こうしてラジオで話す。

それぞれ別々の仕事のように見えるけれど、この年齢になってくると、そのかなりの部分が「次の世代に何を残すか」というところにつながっている。


もちろん、まだまだ自分自身が演奏家としてやりたいこともあるし、新しいことも学びたいし、こっそりと研究を続けていきたいこともある。

でも、自分一人の成長だけを考えていればよかった時期とは、少し違うのですよね。

そんな自分自身の現在地を、最終回の収録であらためて確認したような気がします。

考えてみると、「クラシックギターと私」という番組を一年とちょっと続けてきたこと自体も、そういう作業だったのかもしれません。


ゲストに来てくれたギタリストたちが、それぞれの言葉で自分とクラシックギターの関係を語る。それをラジオという形で残す。僕自身も、その話を聞きながら自分の立ち位置を確認する。

結果として、いろいろな世代の、いろいろなクラシックギター観が積み重なった番組になったと思います。

ゲストで来てくださった皆さん、公開収録に足を運んでくださった皆さん、そしてラジオを聴いてくださった皆さん、本当にありがとうございました。

こんな感じに書くと、完全に最終回っぽいのですが……実は、ラジオそのものは続きます。


2026年10月から、同じ時間帯で新番組が始まります。

タイトルは、「ヨウジと私」

The 東南西北の久保田洋司さんと、富川勝智でお送りします。

「クラシックギターと私」では、クラシックギターという一つの楽器を真ん中に置いて、そこからいろいろな話をしてきました。

今度は、その真ん中に置くものをもう少し自由にしちゃう。音楽のこと、人のこと、世の中のこと、そのとき気になっていることを、二人であれこれ話していく番組になるのかな?


「そもそも何の話をしていたんだっけ?」となっちゃうかもしれませんが、ラジオってそのくらいが面白いのかもしれません(これは今までラジオやってきて感じたところ。少しインプロがないと面白くないのです)。

きれいに結論を出すためではなく、話しているうちに思ってもみなかったところへ転がっていく。

「クラシックギターと私」を一年とちょっとやってきて、僕自身、以前より少しだけ「話す」ということに欲が出てきたようにも思います。

ということで、「クラシックギターと私」はこれにて終了。

そして10月からは、「ヨウジと私」。よろしくお願いします。

お楽しみに!