ギター文化館が、8月末で閉館することになりました。
(8月19日午前中、ギター文化館館長さんから直接電話があり知りました)
あまりに突然だったので、まだ正直なところ実感がありません。閉館に至った事情については、僕自身まだわからないことも多いので、それは置いておくとして……
まずは、自分とギター文化館との関わりを少し記録しておこうかなと思います。
僕がギター文化館と直接関わった最初は、たぶん2020年2月1日。
初めてのソロCD『組曲 プラテーロとわたし』を出した頃で、文化館から「コンサートをやりませんか」と声をかけていただいて、リサイタルをやりました。


↑ギター文化館でリサイタルをやると壁にサインできる。(このサインの歴史も終わっちゃうんだなあ)
考えてみれば、もう6年も前なんですね。
この時は、もちろん一演奏家として呼んでもらっただけでした。
でも実際にあの場所で弾いてみると、ギター文化館という名前の通り、ほんとうに「ギターのための場所」なんだな、という感じがありました。
独特のドーム型のホール。歴史的なギターが並んでいて。そこにギター好きの人たちが集まってくる。
全国を見ても、こういう場所って、実はほとんどない。
そして、ほぼ同時にコロナ禍。
文化館の運営もかなり厳しくなって、存続のためのクラウドファンディングが行われました。
僕もそのときは個人的に協力しました。「こういう場所は残ってほしいな」と思っていたんですよね。
その後、2022年、僕が日本ギター連盟の代表理事になってからは、文化館との関わり方も少し変わりました。
東京国際ギターコンクールの優勝者を、日本各地で演奏させてあげたい。コンクールって、優勝者を決めて終わりではなくて、その後に演奏する場所を作るところまで含めて考えたい。どうせなら、世界でも稀な歴史的なギターコレクションが揃っているギター文化館で……。
その流れの中で、ギター文化館でも東京国際の優勝者記念コンサートを開催してもらうようになりました。
僕自身が弾きに行く場所だったのが、いつの間にか若いギタリストを送り出す場所になっていたわけです。そして結果的に、ギター文化館で最後に行われた東京国際ギターコンクール優勝者記念コンサートは、2025年11月29日のアウシアス・パレホ公演になりました。
アウシアスは2024年の東京国際優勝者。
スペイン・バレンシアの若いギタリストで、ルネサンスのミランやサンスから、タレガ、ロドリーゴ、アセンシオ、ファリャまで、自分のルーツであるバレンシアや地中海文化を一本の線でつないだ、とても良いプログラムを持ってきてくれました。そして、ギター文化館でも、コレクションの一部を使って演奏してきたようで、僕にも「あの場所はコンサートでも楽しかったけど、たくさんギターの良いコレクションを試奏できて楽しかった!」と伝えてくれました。
そして今年2026年も、昨年の東京国際優勝者フランシスコ・ルイスのコンサートを11月に予定していました。
それが、なくなってしまった。
あと、連盟企画のGLCギターコンペ優勝者コンサートも10/31に予定していました。これもなくなりました(なんとか代替場所は見つかりましたが…)。
こういうところで、ようやく少しずつ「閉館するんだな」という実感が出てくるもんで。
ギター文化館には、プロの演奏家のコンサートだけではなくて、シニアギターコンクールもあったし、弾こう会もあったし、愛好家がふらっと行ける場所でもありました。
ギターを弾く人、聴く人、作る人、教える人。
いろんな人が「ギター」というひとつのキーワードで集まれる場所。建物があれば、そういう場所になる。
何年もそこでコンサートが行われて、人が集まって、誰かが演奏して、誰かが聴いて、また翌年来て。そういう積み重ねで、ようやく「文化」ができていく。
だから今回なくなるのは、単に一つのホールではないのだと思います。
2020年に自分が初めて弾いたところから始まって、コロナ禍のクラウドファンディングがあって、その後、東京国際の優勝者たちを送り出す場所になって。
気がつけば、僕自身もそれなりにギター文化館との時間を重ねていました。
(写真を探していたら、まだいろいろ出てきそう)
なので、このあたりのことは、少しずつ記録として残しておこうと思います。
長い間、ギターのための場所を作り続けてくださった皆さんに感謝。
そして、僕自身も本当にお世話になりました。
まだ「なくなる」という感じが、あまりしないんですけどね。

