ギターレッスンと演奏の日記 from 富川ギター教室

クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。

執筆活動

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3年分の「厚み」:そこにある思考

現代ギター9月号が発売されています。




「ホセ・ルイス・ゴンサレス ギターテクニックノート講座」も、今回で最終回(第36回)。

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36回かあ。

「ずいぶん続けたなあ」と思います。


写真は、この連載を書くために使っていたA6サイズのバインダーメモです。

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こうして横から見ると、結構な厚さ。この厚さが三年間の僕の思考の「厚み」。

中身は本当に雑多です。

アイデアの断片、文章の構成、動画で話すこと、写真の指定、図のアイデア、実際にギターを弾いていて気づいたこと。


思いついたら書く。


矢印が飛び交い、丸で囲み、あとから書き足し、別のページへ飛び……。自分でもあとから見て、「これは何を書いたんだ?」というページもあったりして。でも、久しぶりにめくると「自分の脳内が見える」。

この3年間、自分が何を考えながら連載を書いていたのかが、そのまま残っている。

もちろん、テクニックノートに書かれていることをどう説明するかというメモ。

でも、そうじゃないことも書き残している。

実際に弾きながら考えていると、「あ、これはテクニックノート本体には書かれていないことだな」「この練習を成立させるためには、実際にはこういう身体の使い方が必要なんだな」「これは自分が長く弾いてきた中で、なんとなく身につけていた感覚かもしれない」ということが、次々と出てくる。

そんなメモ。


テクニックノートは何度も言ってますがそれ自体決して多くを語る本ではありません。
言葉による説明がほぼない。

だからこそ、ひとつの練習を前にして、「これは何のための練習なんだろう?」「曲の中では、どこにつながるんだろう?」「身体の中では、実際に何が起きているんだろう?」と考える余地がある。

だからこそこの本に書かれていることとは少し離れた、自分なりの「技術」や「考え」も出てきてしまったのだろうなあ。

最初は、あくまで連載を書くためのメモでした。でも、36回分たまってみると、これはもう単なる下書きではないですね。この3年間、自分がギターの技術について考えてきた記録。テクニックノートを読み、弾き、考えて、また弾く。そのたびに小さな紙に書き残していく。

その積み重ねが、気づけばこんな厚さに。


36回分。


よく書いたなあ、と思います。

そして、もうひとつ思うことがあります。まだまだ、伝えたいことがあるなあ、と。

36回書いても、ギターの技術について考えることは、どうやら尽きないのかもしれませんね。

というわけで、36回目の動画もアップしました。



あと、現代ギターの方で、この全36回分の連載をpdf販売することを考えてくれているようです。また詳細情報が出たらお知らせします。
 

三年かけて、テクニックノートをひと通り見終えました

ホセ・ルイス・ゴンサレス『ギターテクニックノート』講座、第34回の動画を公開しました。




今回は第10章「ハイポジション」です。

12フレットより上、つまりボディ上に伸びた指板部分で演奏するときに、左手や身体をどのように使うのかを解説しました。


ハイポジションというと、ただ「高い音を弾く場所」と思われがちですが、実際にはかなり奥が深いです。指だけで頑張ろうとすると、親指が固まり、手首が折れ、指が寝てしまう。つまり、気合いだけではどうにもならない場所。

大切なのは、視線を先に送り、腕を入れ、親指の接点を整え、身体全体の配置を少し組み替えること。今回も、D.アグアドとA.カルレバーロの考え方に触れながら、ハイポジションでの親指の扱いや運指の考え方について整理しました。

そして今回の第34回で、『ギターテクニックノート』に書かれている内容は、ひと通りすべて見たことになります。


三年ほど連載を続けながら、毎回テクニックノートと向き合ってきましたが、正直な感想としては「やはりテクニックノートってすげえなあ」です。

すべてが親切に説明されている本ではありません。むしろ、かなり無口です。こちらがちゃんと考えないと、何も教えてくれないタイプの本。でも、その無口さがあるからこそ、余地がある。

ただ楽譜をなぞるだけではなく「これは何を練習させようとしているのか」「実際の演奏ではどう働くのか」「自分の身体感覚とどう結びつくのか」を考えざるを得ない。その余白があったから、これまで僕自身がギター奏法について考えてきたことや、連載の中で新しく発見したことを盛り込むことができました。

特に大きかったのは、今まで漠然と持っていた身体知を言葉にできたこと。

指の置き方、腕の入り方、親指の接点、視線の使い方、ポジション移動の準備、音を出す前の身体の配置。普段のレッスンや演奏の中では、なんとなく感覚として扱っていたものを、テクニックノートを手がかりにしながら言語化していくことができました。

これは個人的に、とても大きな収穫でした。


そして、この連載を終えたあとも、こうした作業は続けていきたいと思っています。

ギター専門誌の連載という枠の中では、どうしても書けること、書くべきこと、分量やテーマの制約があります。あと一般読者の質や要望を考えると突拍子もないアイデアは書けない。僕が実践し、生徒さんにも効果があった方法論しか書けないわけです。

その制約があったからこそ整理できたこともある。でも一方で、もう少し個人的な身体感覚や演奏の現場で感じていることを、もっと自由に言葉にしていきたいという気持ちもある。

ですので、テクニックノート講座としては残り2回でまとめと総括に入りますが、その先でもギターの基礎技術や身体感覚について、もう少し自由な形で発信を続けていけたらと考えています。

講座はこれで終わりではありません。残り2回では、これまで扱ってきた内容をつなぎ直し、テクニックノート全体のまとめと総括に入っていきます。

34回かけて見てきた内容を、実際の練習や演奏にどう生かしていくのか。ここから改めて整理していきたいと思います。

基礎練習としてのスケール〜動画アップしましたー

現代ギター誌へ「ホセ・ルイス・ゴンサレス ギターテクニックノート講座」というものを連載して、あっという間に一年過ぎました。
今発売されている2024年11月で14回目の連載。




毎回連載と連動で動画を上げています。アップしましたので是非みなさんご覧ください。欲を言えば両方読むとなるほどーとわかる内容となっています。もっと欲を言えば、第一回目の連載から読んで、動画もみておくと「腕の連動ってこうなっているのかー」とかあれこれわかってきます。

とりあえず14回目の動画、是非ご覧ください。




スケールについては第13回からの動画を見ていただけると、音楽的な意味もわかって良いとは思います。



大切なのは音程感です。これを踏まえて音階練習を行なっていくと格段に音楽表現のセンスが上がります。そしてこれをギターという楽器の指板のシステムの中で目で見えるようになってくることも大切です(ビジュアライズ)。

もう少しだけ音階についての連載は続きますので、是非お付き合いください。

そして、是非余裕のある方はこの段階で第一回からの連載を復習してみるとたくさんの発見があると思います。腕の使い方、体幹の使い方…諸々含めて練習を進めていくとスケール練習の中でたくさんのものが学べるということがわかるはずです。

結論から言えば「山ほど練習しましょう!」ってことなのですが、少しだけ頭を使ってくださいませ。頭だけで理解してもダメですよ。とりあえず楽器と向かい合ってやってみること。そっちの方が先です。


現代ギター10月号〜フィジカルなもの

現代ギター10月号の実物を見た

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やはりいくつもの連載をやってきて、著作もだしているとはいえ、実際の雑誌を見る快感は別物。
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ということで「ホセ・ルイス・ゴンサレス ギターテクニックノート講座」スタートしております。6ページに渡ってガッチリと。
やはり実際に本誌を受け取るとなんとも言えない気分になる。

インクの匂いがわーっと広がる。それはフィジカルなものだ。そして、そのフィジカルな感覚は10代の頃から変わらない。高校生から現代ギター誌を定期購読している。届けられて、開封する。その匂い!


中身を隅々まで読む。分かること分からないこと。たくさんある。だけど、あ!こういうことなのかーとか、こんなギタリストがいるんだなーとか、こんな曲があるのかー!など沢山の新しい世界がある。


だから、現代ギターという雑誌は憧れの雑誌で、留学から帰国してプロ活動を始めて連載してみない?というオファーがあったときはびっくりした。

え?僕が?現代ギターに?という感じ。最初はドミンゴ・プラトのギタリスト辞典の翻訳連載でしたが、あれこれ来日ギタリストの通訳を頼まれたり、自分が現代ギター社の主催コンサートに出演したり、スペイン音楽に関する連載を頼まれたりそんな感じでもうかれこれ20年以上ずーっとお付き合いさせてもらってます。

(オファーがないのは表紙だけ!)


いつでも初心忘るべからずじゃないですが、本誌を開くときはドキドキします。原稿を連載している時もゲラをpdfで頂きますが、これはやはりフィジカルなものじゃない。

やはり、実物を受け取り、ページを開き、インクの匂いを嗅ぐと「おー!仕事したよねー」と思う。


こういう感覚ってわすれちゃならないんだよねーと思います。実はこの感覚はCDと変わりません。CDをいままでたくさん出してますが、このフィジカルな感覚は別物。音源の確認は山ほど事前にやっていたとしても、実物をうけとったときのフィジカルな感動は常にあるのです。


だから配信やYouTubeの演奏動画にはなーんの感動も感じなかった。自分としても「これがおれだよー」と言い張れるような感じではアップできてません。やはり演奏も生じゃないとなーとか。フィジカルなものが好きなんですよね。


とはいいつつ、最近自分でYouTubeみたりしていると、その演奏動画のバリエーションにとんでいること!基本的にクラシックギター以外のジャンルしか見てませんが、あ!そういう考え方もあるのねーとか。多様性。ほんと自分の価値判断とは相入れないものでも「楽しめる」。


だから基本的にはCDはオワコンだと思ってた。そのあたりは僕が所属するレーベルの主宰ともあれこれ話はした。


やはりオワコン。だけど、いまだに雑誌や書籍やCDのフィジカルな気持ちよさには魅力を感じてしまう。


結局両方なのかなー。


「テクニックノート」講座の連載もフィジカルなものです。ページをめくって、じっくり読んでほしい。

だけど、YouTubeの動画と連動してます。YouTubeも見てください。おもしろいから。


そんな感じでやってます。というか、そういうスタンスになりました。そういう時代なのでしょうね。そして、自分の中で折り合いがついている。


ということで、このブログを読んでいる人、雑誌も買う、そしてYouTubeもがっちり見てくださいね。








文で伝えることと動画で伝えること、そして、目の前で伝えること

現代ギターで連載を始めたことは先日のブログでも書きました。


そして、この連載と連動で動画もアップしました。


文章で伝えることと動画で伝えることができるものは割と別物だと感じています。
文章であると「頭でわかったふり」になりがち。ですが、ある程度文章で書いてあることを理解して自分でやってみると「ああ、なるほどな」と思えます。文章で確認しながら自分の動作を整理できるわけです。

動画だけで学ぶと「やれたふり」になりがち。なんだ同じようにできるじゃん!で終わってしまう危険性があるし、その動作が実際どのような理由で大切なの?というのもわからない。


そんなことがあるので、文章で書いたものと”同じ内容”を動画で扱ってみたかったのです。

とは言え、なんか自分で足枷かけちゃったなーという感じです 苦笑。

通常のギター教本にしても、今回扱っている「テクニックノート」にしても、学ぶためには全部通してみるしかないわけです。特にこのテクニックノートは全部通してみて、そして、また細部を学んでいって、また全部を通してやってみて、やっと”意味”がわかる。

結構辛い。なので、その辺りをうまく導いていければいいのかなというアプローチで連載を考えています。少しずつ丁寧に、そして各エクササイズの正しい練習法と意図を頭に入れながらやっていき、別項目との連動も少しずつ組み合わせていく。そんな感じで書いております。

よく楽器を学んでいる人で「その練習なんの意味あるんですか?」みたいなことを言う人がいます。そしてそういう人に限って「ユーチューブで学んだほうが早い」とか馬鹿なことをいう。自分の経験の浅いレベルで検索してたどり着いたYouTubeの動画なんて、やはりその人のレベルを越えるものではない。

そのことがわかった人だけが楽器って上達できるんです。

なので、今回の動画も手を抜きません。一体それどんな意味あるのー?って思うかもしれませんが、お付き合いください。1年後ぐらいにはうっすらと意味がつかめてくるでしょう。そして、意味を掴みやすいようにこちらも説明していきます。ヒントたくさん出しておきます。自分で考えてください。

そういう意味では対面での通常のレッスンはとても楽。その人が理解しているのかどうかが確認できるので。ある練習への応用もその場で伝えることできるので、無駄はないです。通常のレッスンでの弱点は受け身になりがちのことかもしれません。先生が生徒さんの確認をしてくれるのですから、自分で「できているのか」「理解しているのか」の判断をしなくても良い。そこが弱点。

だから、僕はレッスンでたまーに「放置」することあります。自分で考えて判断を下して欲しいから。

文章で学ぶ、動画で学ぶ、レッスンで学ぶ・・・この三つについて述べてきましたが、結局は独学って難しいよね!ということなのかもしれません。逆に言えば、どんなメディアからだって客観性を失わなければ学べます。

拙著「クラシックギターワークアウトブック」が引き続き大好評です。

【1日】に【3つ】のフレーズを【5分】ずつ弾くクラシックギターワークアウトブック
富川 勝智
ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス
2022-01-26


最近、なんでこの本が売れているのかわかってきました。日本人はドリルが好きなのかもなあーと。それが理由なのかもと。そして、各エクササイズにつけて動画も好評。この辺りも上記で述べたことと一致してますね。動画で”きちんと段階を追って学んでいける”のが良いのでしょう。実はこの本文章で書いていることと動画内で説明していることの内容を少し変えています。文章で伝えやすいことは文章で、やって見せたほうがわかりやすいことは動画で、としています。

この次に出た「クラシックギターの参考書」も実は大大大自信作。アマゾンのカテゴリー分類がうまくいっていないため、なんか残念な評価になっておりますが(カテゴリーが”音楽”という大きなものになっているw)、これこそ本当に僕が「音楽を伝えるテクニック」を伝授できている本です。

STEP UP クラシックギターの参考書 〜基礎から応用へ〜
富川 勝智
ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス
2023-03-17


実はこの本、左手の使い方(運指法)で今までどの本に書いてなかったことが入っています。そして、技術が音楽表現とどう結びついていくのかを丁寧に説明しました。じっくりと一度通して読んでみるとわかる本です。皆様、ぜひお手にとりお読みください。損はさせません。




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