私はギター史を、坂場圭介くんが和声の講義を担当。受講生はいつも通り15名程度です。
私が担当したギター史では、ロマン派〜近現代までを扱いました。
楽器の面でいうと「多弦化〜6弦」という変革期でもありました。また産業革命とギター界との関わりもざっくりと説明。
ちなみに上の写真で私が持っているのは「現代ギター 2015年6月号」です。特集記事が「ギターのロマン派音楽再発見」でしたので、講義で紹介いたしました。特に多弦ギターに関する尾尻雅弘さんの記事は必読だよー!と紹介。写真もいろいろと載っているので、受講生の方に回覧してもらいながら講義を進めました。
もちろん、自分の書いた記事「クラシックギターのロマン派とは?」もフル活用。
坂場氏の和声講義は、非和声音を扱っていました。受講生の課題をこなす様子を僕もアシスタント気分で見て回りましたが、みなさん成長したなあ!と思いました。和声はやはり自分で問題を解くことでしか成長できませんね。ただお話を聞いているだけの講義では身につきません。教科書を読み、ひたすら問題に取り組む…そうすると「自分が勘違いしている点」や「わかっているようでわかっていなかった点」がはっきりとしてきます。
これはギター史でも同じことが言えます。細かい知識や年号をしっているだけではだめで、実際に当時の曲を観察してみて、ああそういうことだったのか!と気付けるようになることが大切です。そのためのヒントを「ギター史」の講義では与えるように意識しています。
たとえば、タレガが何故6弦という楽器をセレクトしたのか…そして、タレガが優れた作品を6弦のギターのために書き、それがその後のギター界にどのように影響したのか…何故ロマン派のギタリストたちの作品は普及しなかったのか…このあたりに意識が向くようになると、一気にギター史の世界は広がりと深みを持ってきます。そして、今現在のクラシックギター界のレパートリーを俯瞰できるようになってきます。プロで活動している人にとってはクラシックギターをいかに普及させていくかというヒントをあたえてくれるでしょう。クラシックギターの歴史上の栄枯盛衰をしっかりと知っておくことは、プロで活動する人にとっても大切だなあと思います。(なので、このギター史の講義はプロ活動している若手奏者に是非出席してほしいのです…現実問題としてなかなか多忙で参加してくれませんが)
さてさて…
午後のワークショップを終えて、誘われていた「ギター勉強会」にいってきました。これは多方面で活躍するギタリストが集まってギター談義をしようという会です。ギタリストであり編曲家であり音楽プロデューサーである小川悦司さんのお誘いで行ってまいりました。場所は小川さんのスタジオ。
左から小川悦司さん、真ん中が末松一人さん。末松さんはR&Bとジャズのテイストを大切にしているスーパーギタリスト。小川悦司さんもエレキギターの名手ですが、DTMからプロデュースまで手がける凄腕音楽家です。お弟子さんもたくさん育てています。
とはいえ、全員とにかく「ギター馬鹿」です。ギターという楽器が大好き!…ということでそれぞれが小川さんの楽器を触ったり、私が持参したパノルモ(19世紀ギター)を弾いたりして、お互いの弾き方をみたりして、ひたすらにギター談義。それぞれがスペシャリストですから、個性が豊か!そこから得るものがたくさんあります。
僕がドブロを弾いたり…
うわー、古いギブソンだー!…と思ったり。これも不思議な音でした。
あっという間の数時間でしたが、3年分くらいのものを勉強できてしまった感じがします!小川悦司さんのピックへのこだわりからも、たくさんのものを学びました。いろいろな厚さや材質のピックを見せていただき、実際に使ってみましたが、ギタリストの爪質などに関する重要なヒントをもらえたような気がします。
こういうちょっとしたヒントって、普通の人には「え?そんなこと?」って思えるような瑣末なことなのかもしれません。でも、楽器奏者にとっては、大きい財産になるのです!
…その後、みんなで外でちょっと飲みにいって…そこでも、やっぱり音楽談義になっちゃいました。
ということで、日曜日は午後〜夜まで、教えたり教わったりで、ギター漬けでした。 教えることも学ぶことなのです。そして雑談もギタリスト三人集まれば、やはり「勉強会」になっちゃいます。ギターの深い世界を教え教わり…といった1日でした!