ギターレッスンと演奏の日記 from 富川ギター教室

クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。

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何でもかんでも時間がかかる

今朝は日曜ワークショップを行ってきました。



右手のタッチについて。基本の基本からじっくりと。似たような内容でもこちらの考え方の微妙な変化で伝え方が変わったりするもんで、このあたりは毎回しぶとく出席してくれる人にしか分からないかもしれませんね。

演奏技術っていうのは、こまかーく分解していくと巨匠の技がわかってくるものです。

今日も教えていて、pp(ピアニッシモ)でも遠達性のある音が出せる感覚がわかりました。もちろんワークショップに出席した方にはその理由を説明しました。自分でやっていることをワークショップの現場で言語化した際に再確認できます。

毎回、こういうワークショップで技術のことやレッスンにおいても基礎技術を教える際に思うのは、「頭でわかっただけではダメ」ということ。頭でわかるのではなく、自分の身体でその動きができるようにならないとダメってことですね。

これは時間がかかる作業なんです。

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今日も教えていて、ある動作ができるようになるまでじっくりと時間をかけて、その動作ができたら次のアクションを考えるということを言いました。基礎的な指の動きをマスターすることは簡単ではありません。
多分、僕はこの手の基礎技術を説明するのは慣れているほうですが、だからこそ受講した方は「頭で」わかったつもりになっちゃう危険性がある。なので、こういう講座をやるときは「とにかく、その動きができるようになるまでじっくりと時間をかけてくださいね!」と念押しすることにしています。

「ホセ・ルイス・ゴンサレス ギターテクニックノート」の講座も現代ギター連載とそれと連動しているYouTube動画、そしてスペインギターフェスタアカデミー(オンライン講座)の三つで行っていますが、そんなことを常に感じています。同じ練習でも初心者と上級者では見え方が違うのです。このテクニックノート講座ではそういう観点からヒントをひたすら出すようにしています。でも、それができるかどうかは、時間をかけてじっくりとやっていくしかありません。

そして、基礎技術をじっくりとやっていき、それを実際の楽曲でひたすら応用していくしかありません。例えばカルカッシの25のエチュードの「リョベート運指」。やたらにaが登場しており、めんどくせーってなるやつですね 苦笑。
でも、テクニックノートのアルペジオの運指をしっかりと見ていくと、合点がいくものなのです。

テクニックノートにはタレガからリョベート、プジョールへと継承され、その後アンドレス・セゴビアやセゴビアやレヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサなどによって確立された伝統奏法のエッセンスが含まれています。

そのエッセンスを丁寧に見ていくと、「あ!だからリョベートの運指ってこうなのか!」と意味がわかってくるのです。それが実感できるのがカルカッシ25のエチュードです。そしてこのエチュードはリョベート編でやらないと全く無意味であることがわかります。このエチュードはリョベートの運指で行うと音楽表現的な意味が出てきます。音のグルーピングに意味があるわけです。

実はこの辺りに気づいたのは、僕自身も35歳くらいの時。ああ、勉強って時間がかかりますね!

興味ある方は是非、動画ご覧ください。



あと、最近気づいたこと。よく入門してきた生徒さんが「クラシックギターってどのくらいで弾けるようにありますか?」という質問をしてくることがあります。

僕がレッスンでよく使う教本は以下二つです。
「新ギター教本」(ギタルラ社)
「カルリ45のエチュード」(全音)

この二つのいずれかが終われば、クラシックギターは「弾けるようになった」と言えるのかなーと。この楽器の全体像もなんとなく掴めた段階なので、そう言っていいレベルなのかなと考えています。

で、たとえば「新ギター教本」ですが、練習なになにという感じで、番号が振られています。ざっくりと60程度の練習が含まれているのです。音階やアルペジオ、エチュードなど、あれこれあります。

当教室は年間36回のレッスンでやっています(月3回)。一つの練習を毎週こなして行ったとしても、2年弱かかります。

カルリ45のエチュードも45曲ありますから、同様に一曲ずつやっていっても、45週かかります。一週で仕上がらない曲もあるでしょうから、順調にいって2年かかる。

いずれの教本もスムーズに行ったらこのくらいかかるという目安です。

なので、「3年」。石の上にも三年!

何でも時間がかかるなー。









1曲を15分で解説できるのか?



コロナ禍に入った頃、結構動画をアップしました。時間があったというのもありますが、自分の勉強という意味もありました。

その中で割と人気があったのが「クラシックギター名曲を15分で解説」というもの。

とりあえず僕がその曲を弾く。そして、タイマーを押して15分で曲のポイントを説明するというもの。クラシックギター初心者や中級者くらいの方のためというのがあるので、現代ギター社の「発表会用ギター名曲集」を頭から順番に。



で、14曲ほどやって、その他のやることがあったり、YouTubeでは別企画を始めてしまったり、途中でストップしていたのですが、いまだに「これの続きはやらないんですか?」というリクエストが多いので、再開してみました。

基本的に一発どりですから、頭の演奏がうまくいかないとタイマーをスタートできない。で、演奏はうまくいったのだけど、ポイント解説でしどろもどろになってしまって、やり直しとかw

とはいえ、しゃべっていると「ああ、そういうことだよね」とか、割と自分でも客観的にアイデアが浮かんできたりとかします。なので、勉強にはなります。何よりも15分でえいやっ!と全体を説明しなくちゃいけないので、締め切り効果があります。程よい緊張感の中で、ささっと簡潔に。そして伝えたいことはポイントを絞って言うトレーニングとなっています。

とりあえず、上記曲集の40曲目くらいまでやってみようかなあーとか考えてます。

実際に自分の生徒さんでも、習っている曲の予習や復習に動画を見ている人もいるようなので、その人たちのためにも。そして、日本全国で独学で頑張っている人や、他の先生に習っている方でも「こういうアプローチの仕方があるのかー」と思ってもらえれば嬉しいなあと思います。




現代ギター10月号〜フィジカルなもの

現代ギター10月号の実物を見た

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やはりいくつもの連載をやってきて、著作もだしているとはいえ、実際の雑誌を見る快感は別物。
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ということで「ホセ・ルイス・ゴンサレス ギターテクニックノート講座」スタートしております。6ページに渡ってガッチリと。
やはり実際に本誌を受け取るとなんとも言えない気分になる。

インクの匂いがわーっと広がる。それはフィジカルなものだ。そして、そのフィジカルな感覚は10代の頃から変わらない。高校生から現代ギター誌を定期購読している。届けられて、開封する。その匂い!


中身を隅々まで読む。分かること分からないこと。たくさんある。だけど、あ!こういうことなのかーとか、こんなギタリストがいるんだなーとか、こんな曲があるのかー!など沢山の新しい世界がある。


だから、現代ギターという雑誌は憧れの雑誌で、留学から帰国してプロ活動を始めて連載してみない?というオファーがあったときはびっくりした。

え?僕が?現代ギターに?という感じ。最初はドミンゴ・プラトのギタリスト辞典の翻訳連載でしたが、あれこれ来日ギタリストの通訳を頼まれたり、自分が現代ギター社の主催コンサートに出演したり、スペイン音楽に関する連載を頼まれたりそんな感じでもうかれこれ20年以上ずーっとお付き合いさせてもらってます。

(オファーがないのは表紙だけ!)


いつでも初心忘るべからずじゃないですが、本誌を開くときはドキドキします。原稿を連載している時もゲラをpdfで頂きますが、これはやはりフィジカルなものじゃない。

やはり、実物を受け取り、ページを開き、インクの匂いを嗅ぐと「おー!仕事したよねー」と思う。


こういう感覚ってわすれちゃならないんだよねーと思います。実はこの感覚はCDと変わりません。CDをいままでたくさん出してますが、このフィジカルな感覚は別物。音源の確認は山ほど事前にやっていたとしても、実物をうけとったときのフィジカルな感動は常にあるのです。


だから配信やYouTubeの演奏動画にはなーんの感動も感じなかった。自分としても「これがおれだよー」と言い張れるような感じではアップできてません。やはり演奏も生じゃないとなーとか。フィジカルなものが好きなんですよね。


とはいいつつ、最近自分でYouTubeみたりしていると、その演奏動画のバリエーションにとんでいること!基本的にクラシックギター以外のジャンルしか見てませんが、あ!そういう考え方もあるのねーとか。多様性。ほんと自分の価値判断とは相入れないものでも「楽しめる」。


だから基本的にはCDはオワコンだと思ってた。そのあたりは僕が所属するレーベルの主宰ともあれこれ話はした。


やはりオワコン。だけど、いまだに雑誌や書籍やCDのフィジカルな気持ちよさには魅力を感じてしまう。


結局両方なのかなー。


「テクニックノート」講座の連載もフィジカルなものです。ページをめくって、じっくり読んでほしい。

だけど、YouTubeの動画と連動してます。YouTubeも見てください。おもしろいから。


そんな感じでやってます。というか、そういうスタンスになりました。そういう時代なのでしょうね。そして、自分の中で折り合いがついている。


ということで、このブログを読んでいる人、雑誌も買う、そしてYouTubeもがっちり見てくださいね。








文で伝えることと動画で伝えること、そして、目の前で伝えること

現代ギターで連載を始めたことは先日のブログでも書きました。


そして、この連載と連動で動画もアップしました。


文章で伝えることと動画で伝えることができるものは割と別物だと感じています。
文章であると「頭でわかったふり」になりがち。ですが、ある程度文章で書いてあることを理解して自分でやってみると「ああ、なるほどな」と思えます。文章で確認しながら自分の動作を整理できるわけです。

動画だけで学ぶと「やれたふり」になりがち。なんだ同じようにできるじゃん!で終わってしまう危険性があるし、その動作が実際どのような理由で大切なの?というのもわからない。


そんなことがあるので、文章で書いたものと”同じ内容”を動画で扱ってみたかったのです。

とは言え、なんか自分で足枷かけちゃったなーという感じです 苦笑。

通常のギター教本にしても、今回扱っている「テクニックノート」にしても、学ぶためには全部通してみるしかないわけです。特にこのテクニックノートは全部通してみて、そして、また細部を学んでいって、また全部を通してやってみて、やっと”意味”がわかる。

結構辛い。なので、その辺りをうまく導いていければいいのかなというアプローチで連載を考えています。少しずつ丁寧に、そして各エクササイズの正しい練習法と意図を頭に入れながらやっていき、別項目との連動も少しずつ組み合わせていく。そんな感じで書いております。

よく楽器を学んでいる人で「その練習なんの意味あるんですか?」みたいなことを言う人がいます。そしてそういう人に限って「ユーチューブで学んだほうが早い」とか馬鹿なことをいう。自分の経験の浅いレベルで検索してたどり着いたYouTubeの動画なんて、やはりその人のレベルを越えるものではない。

そのことがわかった人だけが楽器って上達できるんです。

なので、今回の動画も手を抜きません。一体それどんな意味あるのー?って思うかもしれませんが、お付き合いください。1年後ぐらいにはうっすらと意味がつかめてくるでしょう。そして、意味を掴みやすいようにこちらも説明していきます。ヒントたくさん出しておきます。自分で考えてください。

そういう意味では対面での通常のレッスンはとても楽。その人が理解しているのかどうかが確認できるので。ある練習への応用もその場で伝えることできるので、無駄はないです。通常のレッスンでの弱点は受け身になりがちのことかもしれません。先生が生徒さんの確認をしてくれるのですから、自分で「できているのか」「理解しているのか」の判断をしなくても良い。そこが弱点。

だから、僕はレッスンでたまーに「放置」することあります。自分で考えて判断を下して欲しいから。

文章で学ぶ、動画で学ぶ、レッスンで学ぶ・・・この三つについて述べてきましたが、結局は独学って難しいよね!ということなのかもしれません。逆に言えば、どんなメディアからだって客観性を失わなければ学べます。

拙著「クラシックギターワークアウトブック」が引き続き大好評です。

【1日】に【3つ】のフレーズを【5分】ずつ弾くクラシックギターワークアウトブック
富川 勝智
ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス
2022-01-26


最近、なんでこの本が売れているのかわかってきました。日本人はドリルが好きなのかもなあーと。それが理由なのかもと。そして、各エクササイズにつけて動画も好評。この辺りも上記で述べたことと一致してますね。動画で”きちんと段階を追って学んでいける”のが良いのでしょう。実はこの本文章で書いていることと動画内で説明していることの内容を少し変えています。文章で伝えやすいことは文章で、やって見せたほうがわかりやすいことは動画で、としています。

この次に出た「クラシックギターの参考書」も実は大大大自信作。アマゾンのカテゴリー分類がうまくいっていないため、なんか残念な評価になっておりますが(カテゴリーが”音楽”という大きなものになっているw)、これこそ本当に僕が「音楽を伝えるテクニック」を伝授できている本です。

STEP UP クラシックギターの参考書 〜基礎から応用へ〜
富川 勝智
ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス
2023-03-17


実はこの本、左手の使い方(運指法)で今までどの本に書いてなかったことが入っています。そして、技術が音楽表現とどう結びついていくのかを丁寧に説明しました。じっくりと一度通して読んでみるとわかる本です。皆様、ぜひお手にとりお読みください。損はさせません。




ラジオのあれこれ(駒沢六弦倶楽部ってナンジャラホイ?)

4月からラジオのパーソナリティーをやっております。神戸のラジオ局「FM MOOV」の番組を担当しております。公開収録方式でやっており、収録場所は東京の駒沢大学駅近くのM'sカンティーナさん。

で、生徒さんなどから「何で神戸の局なのに、東京で収録なんですかー?」なんて言われたりすることも多いのですが、ラジオの収録って結構そういうこと多いみたいです。地方局などの番組を東京で作っていたり。そうしないと番組が足りないってこともあるんでしょうね。

というわけで、神戸のラジオに僕が出演しているわけです。実は神戸、間違って新幹線で乗り過ごし大阪にリターンという経験しかない。滞在時間、20分ほど。そんな縁もゆかりもない場所で僕の声が流れているというのは何とも味わい深いw

(神戸方面の方、演奏に呼んでおくれよ)

というわけで、神戸方面以外の方が僕出演の「駒沢六弦倶楽部」を聞くにはアプリとか入れないといけないのです。で、以下のように毎回告知しております。

インターネットではサイマルラジオ( http://www.simulradio.info/ )、スマートフォンではAndroidiPhoneアプリ「TuneIn Radio」をダウンロードの上でお楽しみ頂けます。


アプリがあれば放送を神戸以外の方でも聞くことは可能なのだけど、課金されちゃうんですよねー。まあ、もちろんラジオ好きな方ならインターネットラジオのサービスはとーーーっても便利で、楽しい。実は僕もTunein Radioは普段から使っているので、タイミング合えば、自分の番組を「ふーーーん」とか言いながら聴いてます。

とはいえ、タダで聴ける方法ないのかなーと。で、僕の生徒さんから以下のフリーソフトがありますよ!という情報を得ました。

「らじれこ」というフリーソフト。



ということで、これをPCにインストールすれば…タダで聴けちゃいます!別に違法なことをしているわけじゃないので、安心してお使いくださいませ。

ということで、今日6/1 水曜日18:15-から「駒沢六弦倶楽部」放送あります。ゲストは鈴木大介さん!

6月は三回僕の担当回があります。その三回とも鈴木大介さんがゲストです。もーーー、むちゃくちゃ面白い話がたっぷりと聞けました。そして、役に立つ。絶対に聞いた方が良いです。

ということで「らじれこ」をPCにインストールしちゃってくださいませ。

ちなみに公開収録後に行ったミニコンサートの模様をYouTubeにアップしております(大介さんの許可はもらっています)。武満徹の「波の盆」。当日合わせですが、良い感じですよー。ぜひおきくください。




こんな感じで、公開収録に来ると、ゲストのソロや僕のソロ、デュオなどあれこれ聴けます(これらの演奏はラジオでは一切流れません)。

さてさて、次の公開収録は6/9です。


20220609
















ゲストは宮下祥子さん。ながーいお付き合い。あれこれ楽しくお話しできるかなあーと。

というわけで、公開収録是非ともお越しください。デュオもやります。


こんな感じで19世紀ギターで行こうかなーと。


↑弦を仕込んでいる様子

公開収録にお越しいただける方は当方のスケジュールなどから予約方法など確認してください。


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