ギターレッスンと演奏の日記 from 富川ギター教室

クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。

練習覚書

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時間割と耳休め・・・そして留学中を思い出す

2月28日に私の生徒さんたちで結成されているリオリコギターアンサンブルの定期演奏会があります。毎月一回練習しているのですが、午後だけの数時間ということがあり集中練習をしたいね!…ということだったので、2月1日都内某施設を丸一日借りて、朝から晩まで練習しました。

リオリコギターアンサンブルのブログはこちら

こんな会場でおこないました。
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写真、左で写っているのは留学から帰ったばかりの林祥太郎くんです。今回の集中練習から「指導担当」として活躍してもらいました。当教室講師である富川&尾野、そして林くんでアンサンブルの指導を担当したわけです。

以下のような時間割で練習しました。

9:00〜9:15 練習会場準備&本日の練習スケジュール確認

✳︎P練習=パート練習(尾野、富川、林がぐるぐるまわります。10分ごと)

9:20〜10:00 チューニング&山田P練習

10:10〜10:50 鎮魂歌P練習

11:00〜11:50 スケッチP練習

11:50〜13:00 お昼休憩(賢者+光自主練習)

13:00〜13:40 エスパニアP練習 

13:50〜14:30 テルプシコーレP練習

14:40〜15:20 リフレクションP練習

15:20〜15:40 休憩&おやつ

15:40〜16:40 通し練習(チューニング&山田&鎮魂歌&スケッチ)


17:00〜18:00 移動&夕飯

18:00〜18:15 練習会場準備

18:20〜19:10 通し練習(エスパニア&テルプシコーレ&リフレクション)

19:20〜19:40 やわらかな歌 練習

19:50〜20:30 全体通し練習

20:30〜 予備

まずは、40分刻みでパート練習をしました。その中で3名の指導役が各パートを10分ごとに回りながら細部のチェックを行いました。

昼食を挟んで、またパート練習。午後の締めくくりに演奏会の前半の通し。夕食を挟んで、後半の通し練習、そして全体の通し練習。

…このような感じで、なかなかハードなスケジュールではありましたが、練習は大成功だったと言えるでしょう。各パートの個人的な問題点なども解決することができましたし、曲の合わせの難所もはっきりとわかりました。

こういう全体練習をするときのポイントは「耳休め」の時間を必ず作ることです。

「耳休め=楽器を弾かない時間」です。

これを取らないと耳が疲れ切ってしまいますし、集中力も途切れがちになります。もちろん、指も疲れ切ってしまいます。40分刻みのスケジュールにしたのは、40分間弾き切れる体力があれば、演奏会は乗り越えられます。その時間感覚を養うという意味もあります。そして、やはり「耳休み」の時間が必要だなあ、と。

よく学生さんのアンサンブルの練習などで、休憩中も曲の部分をさらっていたり、次に練習する曲の譜読みをしていたりする人がいますが、できるだけ休憩は休憩らしく過ごしたほうがいいのです。

今回のような丸一日練習の場合は特にそうです。耳を休めないと集中力が続かないのです。メンバーたちには休憩時間には「絶対に楽器を弾かない」というルールを守ってもらいました。

…この1日練習を終わったあと、帰途についているときに、「これは何かに似ているなあ?」と思いました。

そうだ、留学中の1日の過ごし方だ!…と。私は1996年〜2000年までスペインに留学していましたが、朝から45分刻み+15分休憩で練習していたことを思い出しました。お昼は眺めに3時間ほど休憩をとって(もちろんシエスタもとって)、また夕方から45分+休憩15分で練習していたなあ、と。

休憩時は、本を読んだり、寝転んだり。意図的に「耳休め」しました。スペイン留学に行ったきっかけとなった先生はホセ・ルイス・ゴンサレス先生でしたが、留学いった初回のレッスンで時間割を組んでくれたのです。以下のようなものでした。

(朝食)
8:30ー10:00
10:30−12:00
12:30−14:00
(お昼休憩)
16:00ー17:30
(夕方の休憩)
19:00ー20:30
20:30以降=自由時間!

1時間半枠でとるのは、まさにリサイタルを想定した時間の区切り方ですね!この合間に5分か10分の休憩を挟んでもよいと言われました。しかし、今見ると見事なくらいスペイン時間が組み込まれていますね〜 苦笑。ホセ・ルイス先生曰く、「休憩時間はバルにいってコーヒー飲んだり、散歩したりしろ!」と。

このタイムスケジュールをもとに、留学時は時間割を組みました。音楽院にいかなければならない日もありましたので、そのあたりを組み込んで曜日毎にスケジューリングしました。いずれにしても休憩はしっかりと、そして「休憩らしく!」過ごすことをずっと心がけました。

その後、バルセロナに移転してからは住んでいたところの裏手にバルセロナ映像ライブラリー(Filmoteca)というものがありましたので、そこによく通いました。名作映画が毎日上映されていました。それが学生だと一本100円ちょっとで観れたのです。そこの上映スケジュールを見て、それも練習スケジュールに組み込んでいました。これも良い「耳休め」の時間でした。(もちろん、映画文化にも親しむことができました!)

ホセ・ルイス・ゴンサレス先生が教えてくれたのは、「時間割を組む」という考え方だったのですが、同時に「耳を休める大切さ」も教えてくれたのかもしれません。

そんなことを先日、生徒さんたちの丸一日練習をしてみて思い出しました。
 

エウレカ!…千本ノックの意味

以前ブログでこんな記事を書きました。
「ユーレカ」について 

ユーレカ、もしくはエウレカともいいますが、簡単にいうと「発見した!」と意味です。

前の記事で、反復練習について書きました。音楽的な発見は上記記事の「今まで身につけてきた知識や経験に基づいた発見!」であるような気がします。音楽表現を教えていて、和声や音楽理論、音程感、リズムや拍節…様々な知識が必要です。そして楽曲にふさわしい(というよりは本人の感性と合致する)表現はその様々な組み合わせによって生まれてきます。それが「ユーレカ(エウレカ)」となります。

技術的な面においても、この「ユーレカ!」はあり得ます。

空手などにおいては、正拳突きを一時間程度ずっとやらせるという教授法があるようです。ずっと同じ動作を繰り返していると疲れがたまってきますが、ある瞬間に「力の抜き具合」が分かるということだそうです。「お、できたぞ!」という瞬間が「ユーレカ!」です。

野球の素振りや、1000本ノックもそのたぐいの発見があるのでしょう。身体や筋肉の力の入れ具合などにおいて「あ、つかめたぞ!」という瞬間があるのだと思います。

「ユーレカ!」は様々な試行錯誤を経て、発見するという「喜び」があります。

さて、教える上でも、学ぶ上でも、この「ユーレカ!」を大切にしないといけません。他人から教えられたものは知識ですが、「ユーレカ!」は血肉化された感情としての知識であり経験です。

例えばクラシックギターで言えば、セーハなどを千本ノック感覚で「指から血がでるほどやれ!」というやらせる教授法(?)も存在します。大学のギターアンサンブルなので基礎練習と称して、1フレットから9フレットまでFコードをずっとアルペジオさせる…といった類いの練習ですね。

これはこれで悪くはないのです。10人の内1人くらいは、セーハのコツをつかむでしょう。その人にとって自分の力と試行錯誤で得たセーハのコツは「ユーレカ!」なのです。ものすごい喜びでしょうね!

しかし、そうでない人にとってはどうでしょう?こんな練習、力任せにやっていたら指が痛くてたまらないでしょうから。残り9人は「指を壊す」&「挫折」する可能性が高いです。

私は教える上では、ギターの基礎技術上の部分では「千本ノック」方式は行いません。とはいっても、生徒さん本人の「ユーレカ!」を奪いたくありません。なので、ヒントだけ与えます。しかし少しは苦労してもらわないと、「ユーレカ!」の感覚は得られません。なので、10本ノックくらいですかね 苦笑。

10本ノックくらいはやらせます。そして、変な癖がつかないうちに「それだと大変だよね!」という感じで導きます。そこから生徒さんと一緒に解決法を探して行きます。こちらは答えは分かっていますので、うまいことヒントを出して生徒さん本人が試行錯誤して探していくように導きます。

もちろん、このバランスはとても難しいのです。すぐに解決法を教えた方が悪い癖がつかない技術的な要素もあります。すこし10本ノックくらいさせてから、ヒントを与えてやっていくべき要素のものもあります。100本ノックさせてくらいのほうが体感しやすい技術的要素もあるのです。

ただし、概して言うと技術的な要素は身体的負荷が多くかかるので、できるだけ効率よく早めに解決法を導きだすようにします。

音楽的な要素はできるだけ、小さなユーレカを積み重ね、曲想全体を左右するような大きなユーレカを生徒さん本人で導きだせるようにしむけます。

音楽表現のユーレカは1000本ノックに近いです。しかし、前の記事で書いたようにどちらかというとシュナーベルの練習法に近いです。同じフレーズでも100回弾いたら、100通りのバリエーションのフレーズを弾く…この感覚に近いのです。そのためには上記で述べた和声や音楽理論、音程感、リズムや拍節…様々な知識それぞれに小さなユーレカを積み重ねておくしかありません。

富川勝智

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練習の仕方を考える:効率と反復

練習というものの効率を考えるようにいつも生徒に言っているのですが、ものすごくよくまとめられたインターネットの記事があったのでご紹介します。

「頭を使え!」名門音楽大学教授による効率よく能力を高める練習法とは?

私自身もこれを読んで、論理的によくまとめられているなあ、と思いました。普段の練習の仕方を再点検しているところです。

10000時間の計画的訓練…この「計画的な訓練」というのがとても大切ですね。無駄な反復練習は意味がないということです。客観性を保ちながら目的を持って練習しましょう。そういえば、先日、秋吉台ギターアカデミーで講師をしましたが、同じく講師であった松下隆二先生がこういっていました。

「練習するときは、目的を3つくらい書き出す(具体的にメモをする)」

…うむ、なるほど!…と思ったものです。

具体的な練習法としては、まずは自分の演奏を客観的に観察。
そして、課題をチェックする(書き出すと良いかも)。
課題を克服する方法を考える。

…と言ったところでしょうか?

練習時間は多ければよいというわけではありませんが、音楽的な創造のための時間はいくらあっても良いと思います。(これは上記記事には触れていないことです)

上記記事においてはどの巨匠達も4時間以上の練習は必要がない…ということを述べています。そして機械的な反復は避けるべきであると言っているのです。

機械的な訓練を嫌悪していたとされるピアニスト、シュナーベルでさえも同じフレーズを200回…弾いていたいしていたそうです。その真意はなんなのでしょうか?

彼はこういったそうです。「機械的に練習しているのではない。音楽を作っているのだ!」と。つまり、そのフレーズの音楽的な可能性、解釈の可能性を試していた訳です。納得のいく音色、納得のいく表現解釈を追求していたのでしょう。

このことは下記の本の229ページに書かれています。興味深い話なので是非読んでみてください。
心で弾くピアノ―音楽による自己発見
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私の師匠であるアレックス・ガロベー氏にもよく似たようなことを言われました。最初に習い始めたときに、質問を受けました。
師匠:「お前は毎日どのくらい練習している?」
私:「一日、8時間くらいです」
師匠:「多すぎる!その半分でいい!」

…という感じで、自分の演奏を客観的に聴き、観察し、自分で修正していくコツを教わって行きました。それまでの私は機械的な反復練習ばかりをしていたのでしょう。ギターならではの陥りやすいミスのポイントや聞き逃しやすいミスの傾向などがあります。それを最初の頃の数回のレッスンで徹底的に叩き込まれました。ちょっとした手のアングルの工夫や運指の工夫で弾けなかった部分が「あれ?弾けた!」と驚いたことを思い出します。そして、その理由(基本的な理論)をじっくりと説明してくれました(素晴らしい先生でした!!!)。

技術の克服が済んでしまえば、すぐに音楽的な解釈に入れます。そして、そこには一生分の時間をかけてもよいわけです。アレックス師匠の場合は、技術と音楽表現はできるだけ同時に解決、決定していく…というポリシーがあったようです。つまり、表現の方向性が決まらなければ運指も決まっていきません。

(しかし、全体感をつかめなければ楽曲部分の表現も決まらない訳ですから、初見力、読譜力も大切となってきます)

全体を見渡し、数小節分の表現を考える…最初アレックス師匠のレッスンでは一日数小節しか曲を練習できないような有様でした。。。ですが、このプロセスを繰り返して行くと、練習のシステムができてきました。曲全体から細部へ、細部から曲全体へ…フォーカスを瞬時に切り替えながら曲の練習を進行させていくプロセスが出来上がってきます。このシステムができあがるのに、おおよそ3ヶ月くらいかかりました。

練習時間は短いほうがいいですが、計画的な練習が大切です。そして解釈や音楽表現の可能性を試すための反復は機械的な反復とは違います。

そのことを肝にめいじて、日々練習したいと思っています。そして、生徒さんにもその観点からレッスンしていきたいと思いを新たにしました。

…とバルセロナから帰ったばかりなので、アレックス・ガロベー師匠のレッスンの話とつながってしまいました。そういえば、前の記事で書いた「体の中心軸と音楽表現の関わり」も書きたかったなあ、、、と。それはまた次の機会に!



 


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基礎練習あれこれ

最近、あれこれ勉強することが多く、何かと助かっています。

周囲のギタリストの方からも学ぶことが多いです。

昨日は京都の藤井眞吾先生から「基礎練習パック」が私の生徒用に送られてきました。

さっそく見てみました。

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プリントアウトするとどっさりあります。来週末、私の生徒が藤井先生のレッスンを受けることになっているのですが、そのための参考教材です。

どっさり…という感じがいいですね。

こういう基礎練習は、この「どっさり」をいかに「指の動きを意識して」行なうか?…が大切です。質×量です。

もちろん、量をこなすなかで、「あ!そういうことだったのかあ!」という方法論もあります。しかし効率よく学習するためには(&指のトラブルを回避するためには)質にも配慮することも大切で、結果としては良い洗練されたものがえられます。

 

普段、私が基礎練習教材として用いている「ホセ・ルイス・ゴンサレステクニックノート」にも同じことが言えます。おそらく指導する先生によってその教授法は異なることでしょう。

この話題で思い出すのが、先日行なわれたあづみ野ギターアカデミーの参加者のGちゃんのトレモロです。レッスンを担当して池田君やそのほかの人にも言われましたが、とても「粒ぞろいのトレモロ」です。

彼女は普段、私にレッスン受けていますが、決して右手のタッチは良いほうではありません。なので、トレモロのトレーニングには細心の注意を払いました。私が出して処方箋は、上記のテクニックノートの「タレガによるトレモロ練習」という項目をありとあらゆるアポヤンドとアルアイレの組み合わせで練習させること…でした。

その中でpとその他の指とのバランスを徹底的に研究していきました。弾きにくいパターンはその理由を考えながら…という感じですね。

そういう過程を経て、彼女のトレモロは良くなっていったのです。なんだかんだいって1年くらいはこのトレモロ練習を各レッスン毎に課題を出して続けたと思います。

おそらく、独学でこの練習をやるのは不可能だったでしょうし、人によっては「適当に弾いて御終い」ということが多いでしょうね。

基礎練習というのは、「何を意識して練習するか」+「量」という概念がやはり大切なのです。

基礎練習というのは、なかなか誤解を与えやすい分野ではあります。「質だけ重視派」対「量だけ重視派」の構図になりがちですね。

両方ミックスして考えられる人は極めて少ないような気がします。

なかなか難しい分野なのです。

 

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夏休みの宿題(練習します!)

さて、8月に向けての練習開始です!

まずは楽譜を集めて…どさっ!とまとめてみます。

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うーん、けっこうな量ですなあ。まるで夏休みの宿題ですね。しかも、それを「できるだけ課題は早いうちにやりましょう!」みたいな…。

朝の涼しいうちにやりましょう!…ていうのもありましたね。

もう、午後ですが、練習します!

 

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